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偶然のサラーメ ~取材日記~

「あ、薪釜のパン屋がある」。嗅覚。車はトレントからフリウリに向かう途中、ヴェネトはプロセッコ地区の街道を走っていた。イタリア取材中、松本編集長(以下マッシモ)は時にするどい嗅覚を発揮することがある。特にパーネに関しては警察犬並みの鼻を持っているのでないかと思うくらいだ。

来た道を少しだけUターンし、店の前に車を停め、飛び込みで取材をさせてもらう。素晴らしいご夫婦がやっている、素敵なパニフィーチョだった(詳しくは本誌次号で)。
店内にはパーネや焼き菓子以外にも、その地域の様々な食品や工芸品が売られていた。取材を終えた我々はそれらを物色し始めた。マッシモは太いサラーメを手にとって見ていた。ヴェネトのサラーメ、ソプレッサだ。パニフィーチョの奥さんがそれより、もっといいものを作っているところが近くにあるから連絡してあげるよと。その上、作っている農家まで案内してくれると言う。親切すぎる。イタリアの地方で取材しているとよくあることだけど。

mn2_5551旦那さんが車で先導してくれる。街道沿いの細い道を左折し、どんどん坂道を登っていく。程なく車は一軒の農家の前の空き地に止まる。ここだ。街道から5分も走ってないのに、別世界に来たような空気感が漂う。古い建物の前に女性が二人立っていた。母娘のようだ。ブォンジョルノ。ブォンジョルノ。
挨拶の握手をする彼女たちの奥にソプレッサが鈴なりにぶら下がっているのが見える。「おおおおー!」マッシモも興奮している。建物の隣のもっと古い建物にマンマの方がこっちに来なさいと僕たちを奥へと促す。かなり年代物に見えるカンティーナでチーズたちが熟成の最中だった。マンマは「すごいね!」と驚く僕たちを見て嬉しそうだ。

mn2_5564そして試食。娘さんが、ぶら下がっているソプレッサを一つ選び、外に即席で準備してくれたテーブルの上でカットしてくれる。もちろんチーズも。先ほど取材したパーネもある。そしてここはプロセッコに属する村、ラベルも付いていない自家製のプロセッコが出てくる。息子が作っていると。天気は最高。立ち食い。僕たちイタリア好き取材班にはこれ以上の食事はないのだ。パーネとソプレッサを噛み締め、いい具合に冷えたプロセッコを流し込む。チーズも素朴でうまい。ミルクの質がいいのだろうと想像できる。ソプレッサには通常、白ワインを混ぜるのだが、ここではプロセッコを使うとのこと。塩加減も絶妙だ。マッシモはいつものようにパニーノを作って頰ばっている。ご満悦。作り手たちを目の前に、これ以上はない贅沢なテーブルなのだ。

mn2_5581最後に質問をしてみた。「マルガのサラーメ」という言葉がしばしば会話に上がっていて、彼女たちのライフスタイル(夏は山で放牧し、冬は村近くで加工品を作る等)を聞いていると、ピエモンテの酪農民族マルガリと酷似している。通訳の高橋さんに聞くと、マルガリのことは知っていて、まあ同じだ、みたいな感じだった。北イタリアには酪農を司る人々の歴史が今も当たり前のように続く。イタリアの食の道はまだまだ深いのだ。本当に、本当に。
グラツェミッレ、アリヴェデルチ。僕たちはさらに東へ向かった。

フォトグラフォ 萬田康文


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イベント詳細/2月5日(日)集まれ!イタリア好き~イタリア冬料理とパニーニを楽しもう!~@アンティキ・サポーリ

『集まれ!イタリア好き@アンティキ・サポーリ』についての情報を随時アップしていきます!

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 開催概要・お申込みはこちら
 https://italiazuki.com/?p=19131
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★2016.12.9 更新 
 ○編集長マッシモよりコメント
 ○お店&シェフの紹介
★2017.1.9 更新 
 ○俺のPanini自慢 参加シェフ(Macelleria La Luna Rossa 木村秀行シェフ)
★2017.1.13 更新 
 ○当日のメニュー
 ○俺のPanini自慢 参加シェフ(NIDO 戸羽剛志シェフ、Trattoria Dal Birbante Giocondo 古川裕士店長)
★2017.1.23 更新 
 ○当日のメニュー
 ○山崎シェフのデモンストレーション


頬張ろうパニー二!

MN1_0687パニーニ好きなもので…
取材に行くたびに気になってしまうパニーニ。
そうなったら食べずにはいられない!
難しいことは考えず、挟みたいものを頼んで頬張るのだ。
その土地のサラミやハム、チーズがあったら迷わずそれ。
定番のポルケッタやサルシッチャ、ランプレドットにカポコッロ、
ツナ&カッペリ、フリットラ、モッツァレラ&トマト、チャウスコロ………
考え出したらキリが無い!
食べたくなってきた〜
とにかく楽しく挟んで、一緒に満腹になりましょう。

編集長 マッシモ

◆◆お店&シェフの紹介◆◆
会場となるのは東京・広尾にあるプーリア料理の店「アンティキ・サポーリ」
日本ではまだまだ馴染みの薄いプーリア料理ですが、
ここ「アンティキ・サポーリ」はその魅力を存分に味わえる店としてメディアにも度々登場。
今や知る人ぞ知るお店です!
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それもそのはず、イタリア人が最も信頼する格付誌「ガンベロロッソ」で最高評価を持つ、
プーリア州モンテグロッソにある名店「Antichi Sapori」
外観・内観・味すべてにおいて再現し、
食材も多くをプーリアから直輸入していて、本場さながらのお食事が楽しめるのです。
プーリア料理は前菜が次から次への出てくるのが特徴。
今回のイベントでは、イタリア各地の冬の味をたっぷりとお出しします。
ランプレドットやトリッパもお出しする予定!
皆さんにもぜひこの空間で味わっていただきたいと思います!!

<料理長 山崎大輔さん プロフィール>
_MG_9290-2カット色調整1976年生まれ。
2011年イタリア料理コンクール優勝の実力者。
ヴェネチア料理店・銀座【バラババオ】の料理長を経て、
現在プーリア料理店・南麻布【アンティキ・サポーリ】の料理長を努めている。
イタリア料理を本場そのままに日本にお届けすることを信念としている。

★山崎料理長より
「寒い時期ですが、イタリアの冬料理で温まってください!
プーリア料理のほかにも得意のヴェネツィア料理もご用意しちゃいます!!
楽しんでくださいね!」

★当日のメニューはこちら!
イタリア好きメニュー訂正2017.1.26

◆◆山崎シェフ デモンストレーション◆◆
作る工程がわかれば美味しさも楽しさもup!
今回は2つのデモンストレーションを実施!
あなたもシェフと一緒に作れちゃうかも!?
焼き上がりはもちろん食べられますよ♪

➀ナポリの焼き菓子 スフォリアテッレ(13:00頃~、夕方)
朝食やドルチェにぴったりのスフォリアテッレ。幾重にも重なるサクサク生地はどうやって出来るのか??
IMG_6575[1]
➁プーリアの固焼きパン タラッリ(15:00頃~) 
ザクザクとした歯ごたえがクセになる!ワインのお供にも◎
IMG_6582[1]


◆◆俺のPanini自慢 参加シェフ&メニューご紹介◆◆
パニーニ大好き料理人の皆さんが集合!それぞれのこだわりの詰まった自慢のパニーニを販売します。
%e6%9c%a8%e6%9d%91%e7%a7%80%e8%a1%8c%e3%82%b7%e3%82%a7%e3%83%95image1Macelleria La Luna Rossa 木村秀行シェフ:
20歳でイタリア料理人を目指し代官山ダ サルバトーレで料理の基礎を学ぶ。街場のトラットリアでダイナミック、繊細な料理を学び約3年間イタリア生活を送る。
帰国後、広尾ラ ビスボッチャ、麹町サロン ド カッパ、中目黒ラ ルーナ ロッサ、赤坂ペスケリア ラ ルーナ ロッサを経て現在に至る。
イタリアにいた頃に休日に山に遊びに行き狩猟文化と出会い、狩猟免許を取得する。
素材をみて、イタリア人ならどうするかということをベースに考え、シンプルかつダイナミックな料理を得意とする。

★当日のメニュー : 
サルシッチャとペペローニ、プロヴォラチーズのパニーノ ポルタポルテーゼ風 *価格検討中
ローマで毎週開かれるのみの市ポルタポルテーゼ。この屋台で毎週のようにシェフが食べていたパニーノ。

★シェフより 
「みなさんお待ちしています!」

IMG_1361IMG_2190NIDO 戸羽剛志シェフ:
1977年7月25日生まれ
リストランテ ラ・キリアなど都内数軒で料理人としての基礎を学ぶ。
2007年エミリアロマーニャ州ピアチェンツァのアグリツーリズモにて伝統料理や食文化を学び、ワイン作りや野菜の栽培など様々な経験を積む。
帰国後、新橋Okeiの料理長を経て、2015年大井町にてエミリアロマーニャ料理を中心としたトラットリア「NIDO」をオープン。

★当日のメニュー :
全粒紛のピアディーナ(ピアチェンツァ産コッパ、セミドライトマト、セルバチコ、ストラッキーノチーズ)¥500
エミリアロマーニャのパニーノと言ったらピアディーナ。お世話になったアグリツーリズモの方に生地作りから教わりました。休憩時間に食べたり、フェスタで販売したり、修行時代の思い出のパニーノです。

★シェフより 
「”美味しくて、楽しい” パニーニの魅力が皆様に伝わるようにがんばります!」

イタリア好き用イタリア好き用 (2)Trattoria Dal Birbante Giocondo 古川裕士店長:
1982年福岡県糸島市生まれ。
目黒トラットリア・デッラ・ランテルナマジカ、白金アンティーカ・ヴィネリア・ジュリアーノを経て、2012年にトラットリア ダル・ビルバンテ・ジョコンド店長に。呆れるほど食しん坊。

★当日のメニュー : 
アリッチャ風ポルケッタのパニーノ ¥500
アリッチャで学んだ本物の仔豚のポルケッタを、その場でスライスして、
その場で挟んで仕上げます。(パンは自家製ロゼッタの予定)

★シェフより 
「当店名物アリッチャ風ポルケッタをその場で手切りして自家製パンにはさむ。ただそれだけ!豪快にかぶりついてください!ローマの街角そのままの味わいをどうぞ。」

長野シェフ_サムネイル用タロスパニーニ_サムネイル用 Taverna Tharros 馬場さん&長野 雄シェフ:
長野 雄シェフ・・・1985年1月27日生まれ、岩手県出身。調理師学校を卒業後、都内のいくつかのイタリア料理店で経験を積む。イタリアンでさらなる展開を希求し、未知の世界「サルデーニャ料理」に心惹かれ、2013年タロスの料理人に。店のコンセプトを大切にマンマの味を提供し、サルデーニャの食文化を発信するとともにタロスを通じて人と人をつないでいきたいと日々腕をふるっている。

★当日のメニュー : 
マグロ、ルコラ、ケイパー、赤玉葱のパニーニ(予定)




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◎当日の内容(予定)◎

★山崎シェフが作る冬にぴったりのイタリア郷土料理
 料理&食材は合わせてなんと約100種!!
★山崎シェフ デモンストレーション
 スフォリアテッレ&タラッリを作ろう!
★俺のPanini自慢
 パニーニ大好き料理人の皆さんが集合!それぞれのこだわりの詰まった自慢のパニーニを販売します。
★Mio Paniniを作ろう!(おまけ)
 マッシモ編集長、フォトグラファー萬田氏があなたのパニーノづくりをお手伝い♪

その他、ゲスト、楽しいイベント、参加特典なども検討中です!
詳細が決まり次第ブログ、facebookなどでお知らせします♪

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メニューの他、ゲスト、楽しいイベント、特典なども企画中です!

詳細が決まりこちらでお知らせします♪

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 開催概要・お申込みはこちら
 https://italiazuki.com/?p=19131
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2月5日(日)集まれ!イタリア好き~イタリア冬料理とパニーニを楽しもう!~@アンティキ・サポーリ

2017年2月5日(日) 毎年恒例の「集まれ!イタリア好き」を開催★

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毎年2月開催の「集まれ!イタリア好き」は
イタリア好きの皆さんが、気軽に集い、飲んで食べて交流できるイベントです!

今回は、8月から延期となっていたアンティキ・サポーリでの企画が復活です。(リベンジ、お待たせしました~!)

イタリア好きvol.26 で特集したパニーニをメインテーマに、
イタリアの冬料理もた~っぷりとご用意!

この時期にぴったりのイタリアの冬を感じる郷土料理と、
組み合わせで変幻自在のパニーニの魅力を、
是非たっぷりとお楽しみください!

イタリア好きが集まる、美味しい楽しい冬の1日♪
一緒に過ごしましょう!

□■□■ 開催概要 □■□■

◇開催日:2016年2月5日(日)12:00(11:30開場)~ 20:00
     ※入退場自由

◇場所 :アンティキ・サポーリ
     東京都港区南麻布5丁目2-40 日興パレス1F
     http://r.gnavi.co.jp/3z51b77x0000/

◇アクセス:電車の場合/地下鉄日比谷線 広尾駅 徒歩4分

◇料金 :<会員>5,500円(税込 5,940円)(イタリアズッキーニクラブ・パートナーズ会員+1名様まで)
     <非会員>7,400円(税込 7,992円)
     <当日参加>税込 8,000円 ※当日受付にてお支払い。

◇形式 :立食ブッフェ形式/ワンドリンク付き
     ※ドリンク2杯目以降キャッシュオン

◇事前受付期間:12月上旬~2月2日(木)頃まで~

※事前申込で銀行振込ご希望の方には、
 お振込案内をご本人にメールにてお知らせします。
 最終2017年2月3日(金)14:00までに参加費をお振込ください。
※キャンセルについて:2月1日(水)よりキャンセル料が発生します。
 ご了承ください。

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▼イベントの詳細・お店紹介などはこちら ▼
https://italiazuki.com/?p=19140

◎当日の内容(予定)◎

★山崎シェフが作る冬にぴったりのイタリア郷土料理
 料理&食材は合わせてなんと約100種!!
★山崎シェフ デモンストレーション
 スフォリアテッレ&タラッリを作ろう!
★俺のPanini自慢
 パニーニ大好き料理人の皆さんが集合!それぞれのこだわりの詰まった自慢のパニーニを販売します。
★Mio Paniniを作ろう!(おまけ)
 マッシモ編集長、フォトグラファー萬田氏があなたのパニーノづくりをお手伝い♪

その他、ゲスト、楽しいイベント、参加特典なども検討中です!
詳細が決まり次第ブログ、facebookなどでお知らせします♪

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★イタリアズッキーニクラブ・パートナーズ会員の方
価格:5,500円(税別)

カートに入れる

★非員の方
価格:7,400円(税別)

カートに入れる

Grazie!

グラッパの革命児 ノニーノ(前編) Presented by モンテ物産

グラッパを飲んだことがあるだろうか?
グラッパとは、ヴィナッチャと呼ばれるブドウの搾りかすを蒸留して造る蒸留酒で、イタリアでは伝統的な食後酒として親しまれている。

ノニーノ3姉妹
▲ノニーノ3姉妹
ノニーノ社は、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にある1897年創業の蒸留所で、創業者のひ孫にあたるベニートさんと、奥様のジャンノーラさんによる家族経営によって伝統的な単式蒸留製法を守り続けるグラッパの名門である。実際に製造から販売までを任されているのはお二人の子である、エリザベッタさん、クリスティーナさん、アントネッラさんの三姉妹なのだが、グラッパへのあふれ出る情熱で三人とも話し出したら止まらなくなってしまう。メモを取りきれないので、と止めようとしても、生半可な制止では振り切られてしまい、ノニーノ三姉妹のトークショーの舞台に放り込まれた気分になる。ベニートさんは、そこにさらに加勢するジャンノーラさんと三姉妹とのやり取りを常に温かい目でじっと見守っている。話が止まらない、というのも、来年で120周年を迎えるノニーノ社にはそれだけ語ることがあるからだ。

ジャンノーラさん 前にあるのはモスカートのヴィナッチャ、手に持っているのは、モノヴィティーニョのグラッパ・モスカート
▲ジャンノーラさん 前にあるのはモスカートのヴィナッチャ、手に持っているのは、モノヴィティーニョのグラッパ・モスカート
ノニーノ社は、グラッパ界に二度も偉業とも言える革命を起こしている。
「ひとつは、一種類のブドウ品種の搾りかすだけを使った“グラッパ・モノヴィティーニョ”をイタリアで初めて造ったことだ。」
ベニートさんが懐かしむような顔で語りだした。
「我々は代々グラッパを伝統的な手法で造り続けていたが、1960年代に大手蒸留所がグラッパの大量生産を始め、1970年代にはウォッカブームがイタリアで巻き起こったことで大衆的なグラッパの質もイメージも落ちてしまっていた。我々は「イタリアの固有性を保ちつつ、上質なコニャックのような高品質な蒸留酒を造りたい」という思いから、地ブドウのピコリットだけを100%使用したグラッパを考え出し、“モノヴィティーニョ(単一ブドウ)”シリーズとして様々な品種で造っている。今では単一品種のグラッパはどこにでもあるが、実は我々が始めたことなんだよ。」
時おり「そう!そうなのよ!」といった合の手は入るが、歴史を知る父の重みのある言葉に女史たちも静かに聴き入っている。

蒸留釜
▲蒸留釜
「もうひとつは、アクアヴィーテを生み出したことだ。
アクアヴィーテは、搾りかすになる前の、発酵を終えてまだ果皮や種が混ざった状態のブドウ果汁を蒸留したものだ。ブランデーやコニャックと同じ発想だね。ただしそれらは、果皮や種を取り除いてから発酵させたブドウ果汁を蒸留するから若干違いがある。いろいろ試してそこに行き着いたんだが、グラッパよりも柔らかくフルーティーで、ブランデーやコニャックのように木樽で熟成させなくても美味しい蒸留酒を造りたかったんだ。
初めは、『搾りかすではなくブドウを丸々使うなど考えられない。ワインとして売れるのになんてもったいないんだ!』と言われて周囲のグラッパメーカーから理解が得られず、我々が単独で政府に申請して製造と販売の許可をもらったんだ。その結果がどうなったかは、今イタリア全土でアクアヴィーテが当然のように売られているのを見ればわかるだろう?
アクアヴィーテ
▲アクアヴィーテ

ちなみにこのシリーズの名前はフリウリ方言の“UE”(Uにアクセント記号がついて“ウエ”または“ウーエ”)で、イタリア語で“UVE”(ウーヴェ)という意味なんだ。」


品質の高さで世間を驚かせるグラッタマッコのワイン Presented by モンテ物産

コッレ・マッサーリ社のオーナー、クラウディオ・ティーパさんは、同じくトスカーナのボルゲリエリアにもうひとつ非常に重要なワイナリーを持っている。それがグラッタマッコ社だ。
同エリアの代表格サッシカイア、オルネッライアとならんで“三大ボルゲリ”と呼ばれている。

▲グラッタマッコのワインはこの4品。右から二つめがフラッグシップの”グラッタマッコ “の赤
▲グラッタマッコのワインはこの4品。右から二つめがフラッグシップの”グラッタマッコ “の赤
「サッシカイアは、デカンター誌の1978年に行われたブラインドテイスティングで、シャトーマルゴーを抜いて最優秀カベルネに選ばれ、“スーパータスカン”としてその名を轟かせた。だが、それ以前にすでにこの土地のポテンシャルに確信を持った初代オーナー、ピエルマリオ・メレッティ・カヴァッラーリさんは1977年にグラッタマッコ社を創業し、サッシカイアを造るテヌータ・サン・グイド社に次いでボルゲリで2番目に古いワイナリーが誕生した。1982年にはワイナリー名を冠したフラッグシップワイン“グラッタマッコ”をリリースしてその品質の高さで世間を驚かせると、さまざまな評価本や品評会で輝かしい評価を受けるようになったんだ。特に2009ヴィンテージは、イタリアワインの5大評価本、ガンベロ・ロッソ、ビベンダ、ヴェロネッリ、レスプレッソ、スローワイン(全て2013年版)で、全てにおいて最高評価を獲得した稀有な4本のワインのうちの1本だ。」

▲左がクラウディオ・ティーパさん、真ん中がお姉さん、右端が奥さん
▲左がクラウディオ・ティーパさん、真ん中がお姉さん、右端が奥さん
クラウディオさんは、いつも冗談ばかり言っては人を笑わせる非常に気さくな人で、「私はワイナリーのオーナーである以前に一人のワイン愛好家だ。だから私のためにより美味しいワインを造ってくれないとだめだぞ!」とルカさん(同社とコッレマッサーリ社のチーフエノロゴ)に言っておどけていた。「三大ボルゲリの中で他の二つとの決定的な違いを生んでいるのは、サンジョヴェーゼだろう。サッシカイアとオルネッライアは、ボルドーでよく使われるカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルドなどの国際品種しか使っていないが、一方グラッタマッコは、カベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロー20%に加えてサンジョヴェーゼを15%使用している。この土地では国際品種が良く育ち、高品質なサンジョヴェーゼは作りにくいと考える人もいるが、それは大きな間違いだ。我々は丘の上に素晴らしいサンジョヴェーゼの畑を創業当初から持っていて、このトスカーナを代表するブドウのポテンシャルを最大限まで引き出してブレンドすることで、ただ濃厚なだけではなくエレガントさも兼ね備えた複雑味のあるワインができあがるんだ。」

▲グラッタマッコの畑。創業当時から今も変わらず有機農法で栽培されている。
▲グラッタマッコの畑。創業当時から今も変わらず有機農法で栽培されている。
グラッタマッコ社でもコッレマッサーリ社と同じく全てビオの認証を取っている、と言っても、認証を取るために栽培方法や醸造工程を変えたということは一切ない。

「グラッタマッコ社は昔から自然な造り方をしていて、それがそのままビオの規定に当てはまっていたので認証を取得した、ただそれだけのことなんだ。醸造方法も昔から変わらない。培養酵母を添加せず、温度調整をしなくても、天然の酵母が自然と発酵を始めてくれる。そしてそのまま、700Lのオークの発酵槽でピジャージュ(櫂入れ)をしながら約3週間じっくりとマセラシオンをするんだ。実は、コッレマッサーリの“ポッジョ・ロンブローネ”(前号参照)はこれに習って造ったものなんだ。」

▲“ティネッロ”と呼ばれる700Lのオークの発酵槽 
▲“ティネッロ”と呼ばれる700Lのオークの発酵槽
グラッタマッコ社は、ボルゲリエリアで最も古いヴェルメン画像ティーノの畑を持っており、そのブドウを100%使用した“グラッタマッコ・ビアンコ”という白ワインも造っている。
果実味、ミネラル感、心地よい酸が見事に調和しており、厚みはあるが爽やかさもあって、べたつくような重い印象は全くない。この非常にハイレベルなヴェルメンティーノは、5年10年と熟成させても期待を裏切らないだろう。

▲樹齢約30年のグラッタマッコ・ビアンコのブドウ。ボルゲリで一番古いヴェルメンティーノの畑。
▲樹齢約30年のグラッタマッコ・ビアンコのブドウ。ボルゲリで一番古いヴェルメンティーノの畑。
毎年平均15万本造るオルネッライアや、それを更に上回る生産本数のサッシカイアに対し、グラッタマッコは4万本弱しか生産していない。白に至ってはわずか1万本程度だ。
三大ボルゲリは、それぞれがボルゲリを代表するワインであり、ボルゲリを語る上で欠かせない存在だ。どれも飲んだことがない方には、ぜひグラッタマッコを飲んで上質なボルゲリワインを味わっていただきたい。
また、3種全てを比較試飲できる幸運にめぐり合えた方は、サンジョヴェーゼが入ることがどんな違いをもたらすのかを感じ取ってみるのも面白いだろう。



モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼グラッタマッコのワインはこちら▼

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http://www.montebussan.co.jp/wine/grattamacco.html

チレント特集

vol.272016/11/1カートに入れる

イタリア好きはチレントへ

おそらくまだ『イタリア好き』ビギナーだと思われる方に、イベントなどでよく聞かれることがある。
「フィレンツェはどこに行ったらいいですか?」「ヴェネツィアのおすすめありますか?」(ローマは最近聞かれることが少なくなった)そんな時はいちばん困るのだ。だってフィレンツェも前号の特集までは10年以上行っていなかったし、ヴェネツィアに関して言えば、たったの一度。2015年に2泊ヴェネツィア番長のフォトジャーナリスト篠利幸さん(本誌連載中)にリードされるがままに廻っただけだから、どちらも人に教えるような知識も経験も無い。そう答えると少しがっかりしたような顔で去って行く。「『イタリア好き』なんて名前の雑誌の編集長のくせに、フィレンツェもヴェネツィアも知らないなんて」と心の中で思われているかもしれない。

もうひとつよく聞かれるのは、「次はどこへ行くんですか?」この質問はたぶんベテラン読者(あえてそう呼ばせてもらう)だ。次の特集への期待を寄せてくれているに違いないと思うと少し嬉しい。その反面、気が小さい僕は期待に応えられるのかいつも不安になる。そう、どちらも辛いのだ。

そして今回の特集は、カンパーニア州のチレントへカルメラさんを訪ねて密着取材をすることに。ビギナー読者の方の期待には全く応えられないだろうし、ベテラン読者の方からは「またか〜」と聞こえそうだ。あえて言わせてもらえば、僕は、チレントは二度目の訪問で、ヴェネツィアよりも1回多いし、フィレンツェとはたぶん同じ回数行ったことになる。そして前回の特集とは全く違うからぜひ本誌を手に取って読んでもらい、次にどこかで会った時には「チレントの話を聞かせて下さい」と声をかけて欲しいと願うのだ。

定期購読いただくと!

バックナンバーがもれなく3冊ついてくる!!
※どの号が届くかはお楽しみ♪

  • 1年間(4回発行)2,640円(税込)
  • 送料無料

『イタリア好き』バックナンバー

『イタリア好き』バックナンバーは単品でご購入いただけます。
*バックナンバー 1冊550円(税込)

11/2(水)『イタリア好き』ゆる~い会開催!

イタリア新酒ワイン(Vino Novello)解禁と、『イタリア好き』最新号発行をお祝いしながら
一緒に楽しく飲みましょうという集まりです。
イタリアが好きな人、イタリアワインが好きな人、おしゃべりが好きな人、
イベントが好きな人ならどなたでも参加していただけます。
ゆる〜い気持ちでお越しください。編集長マッシモもお待ちしております。

◎●◎● 開催概要 ●◎●◎

■日程:11月2日(水)
■時間:18:30〜21:00(何時からでもご参加いただけます)
■会場:広尾イタリアンバール ピエトレ・プレツィオーゼ
   東京都港区南麻布4-2-48 TTCビル
   TEL:03-6277-1513
   http://www.pietrepreziose.jp
■会費:3,500円(ノベッロ1杯とブッフェ)
   *お料理(予定)
    ゼッポリーネ、パネッレ、アランチーニ、カポナータ、
    鶏レバーのクロスティーニ、パスタ数種etc…  
   *2杯目以降のドリンクは全てキャッシュオンで、
    好きなワイン、ドリンクをご注文ください。
   *会費のお支払いは当日受付にて承ります。

★ 参加をご希望の方は下記までメッセージをお送りください。
  https://shop.italiazuki.com/inquiry_input.php
  
  当日のドタ参加も歓迎でーす!!!
  
◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎

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イタリア好き委員会