NinoNegri“ヴァルテッリーナ”の魅力 Presented by モンテ物産

今、スイス国境近くのある渓谷で作られるロンバルディア州のワインが熱い。
その渓谷の名は“ヴァルテッリーナ”。
今回はその“ヴァルテッリーナ”でワインを造るニーノ・ネグリ社について、昨年就任したばかりの新しいエノロゴの話しを交えながら特集したい。
▲高い山々が連なるヴァルテッリーナ渓谷

車でミラノ市内から約2時間。同じロンバルディア州とはいえ、スイス国境にまたがるアルプスを間近に見るエリアにヴァルテッリーナ渓谷がある。周りを高い山々に囲まれており、ブドウ畑が山の急斜面に広がっているのもこのエリアならではの景色だ。
ひと昔前の車の無い時代は、本当に陸の孤島ともいえる場所であっただろう。

このエリアの郷土料理で有名なものは、そば粉のショートパスタ“ピッツォッケリ”。そば粉といえばヘルシーなイメージがあるが、合わせるソースはちりめんキャベツとじゃがいもに地元のチーズとバターをたっぷりと使ったもの。栄養満点の、今でというと少々高カロリーな一品だ。寒い冬に食べると格別で、じんわりと温まる。
そしてそこに合わせるのが、地元ヴァルテッリーナ地方の赤ワインだ。重すぎず奥行きがあり、身体にすんなりと入っていく。
▲ピッツォッケリ

ニーノ・ネグリ社は、そんなヴァルテッリーナ地方のキウロという小さな町にある。
1897年創業。ワイナリー敷地内にはキウロ城があり、オフィスと熟成庫がその風情ある城と一体となっている。
出迎えてくれたのはエノロゴのダニーロ・ドロッコさん。実は、彼は1年前までバローロの造り手として世界的に有名なピエモンテ州のワイナリー、フォンタナフレッダ社で統括エノロゴを務めていた。
フォンタナフレッダ社で1年前に会って以来久しぶりに会う彼は、とても精悍な顔つきをしていた。
元来山好きで、スキーが大の趣味。それもヴァルテッリーナに移ってきた理由かもしれないが、本当のところを聞いてみた。

「一体なぜ、世界的に有名なバローロ生産者から、このヴァルテッリーナの地に赴いたんですか?」
▲ニーノ・ネグリ社のオフィスがある建物の外観とダニーロ・ドロッコさん

「フォンタナフレッダでは、バローロをはじめ多岐にわたるワイン造りに取り組んできたこの30年の間に、畑から醸造まで大きな改革を行い、品質を更に向上させることが出来たと思っている。その経験をバローロエリアと同じく高品質なネッビオーロの生産地として注目されているヴァルテッリーナ地方で活かして、新たな挑戦をしてみたいと思ったんだよ。
それから、ここヴァルテッリーナのワインは、昔はやせた印象のワインだったが、今ではしっかりとした果実味を持ちながら繊細さとフレッシュさを持つとても飲み心地の良いワインになった。世界的なワイン傾向は、“エレガンス”。そこにヴァルテッリーナの可能性を感じたのさ。間違いなくヴァルテッリーナのワインは将来成功を収める。これに貢献したいんだ!」
とても生き生きとした表情で話すダニーロさん。まだまだ世界的に有名ではないヴァルテッリーナのワインで世の中を驚かしてやろうとする気概を感じとることができた。そして、ネッビオーロのスペシャリストのこの言葉を聞き、今後のニーノ・ネグリ社のワインへの期待が高まった。

ところでヴァルテッリーナで造られている赤ワインには、2つのDOCG(※1)がある。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレとスフルサート・ディ・ヴァルテッリーナだ。
ニーノ・ネグリ社が作る最高級のスフルサートDOCGのワイン名は、“チンクエ・ステッレ”。
収穫したキアヴェンナスカ種(ヴァルテッリーナエリアでのネッビオーロの呼称)の房を陰干ししてブドウ果の水分を減らしてから造るワインで、凝縮感があり、果実味、酸味、骨格、タンニン、余韻、全ての要素が高いレベルで調和した偉大なワインだ。
その陰干しの現場に案内してもらった。
▲フルッタイオに並べられたブドウ

「我々が“Fruttaio(フルッタイオ)”と呼ぶここ陰干しの場所は、標高500メートルに位置する。なぜこんなにも高い場所で行うかというと、自然の風で陰干しするため、風がよく乾燥していないといけないからだ。高地の風はよく乾燥している。
こうして窓から自然の風を吹かせているんだ。分かるかい?風が室内に入ってきているのが。」
たしかにフルッタイオ内では、心地良い乾燥したそよ風が吹いているのが感じられた。

「朝は山側から、昼はコモ湖から風が吹くんだ。この状態で9月中旬に収穫したブドウを自然の風で3ヶ月間陰干しをすると、ブドウの重量はだいたい30%落ちる。そうして上品な甘みの凝縮した陰干しブドウができるわけだ。
また、“チンクエ・ステッレ”に使われるブドウの収穫は通常より10日~15日前に行い、陰干しによってアルコール度が上がり過ぎないように配慮しているんだよ。」

ダニーロ・ドロッコさんが実際に陰干し中のブドウの房を見せてくれた。
約2ヶ月半の陰干し状態だ。香りを嗅いでみるとブドウのフレッシュ感を保ちながら深い果実の香りが感じられる。
「香りだけで質の良さが分かる。」とダニーロさん。
口に含むと、よく熟したプルーンのような味わい。とても健全なブドウだ。
▲陰干し中のブドウを見せてくれる、ダニーロさん

「この房は粒が大きくて粒同士が少し離れているだろう。これは特殊なクローンのブドウで、陰干しに最適な果汁の多さと風通しのよさを兼ね備えているんだ。」

陰干しワインではヴェネト州のアマローネが有名だが、この“チンクエ・ステッレ”スフルサート・ディ・ヴァルテッリーナは、それに比べ凝縮した果実味の中に冷涼感と、ミネラルを感じる。

ヴァルテッリーナの気候風土と急斜面での過酷なブドウ栽培作業、丁寧なワイン醸造、陰干しブドウへのこだわり、それらすべてが一体となって、ヴァルテッリーナらしさを表現した素晴らしいワインをニーノ・ネグリ社は造りだしている。

今後ニーノ・ネグリ社では、単一畑のクリュワインを増やしていく、とダニーロさんは話す。
「ヴァルテッリーナの特徴の異なる栽培エリアの中にも更に細かく見ると、独特のキャラクターを持つ素晴らしい畑があるからね。それを表現するワインを作りたいんだ。」

ダニーロ・ドロッコさんとニーノ・ネグリ社の今後の活躍と、ヴァルテッリーナのワインから目が離せない。

▲“チンクエ・ステッレ”


※1:DOCG…統制保証原産地呼称。イタリア全国にあるワインの銘柄・タイプを限定し、その品質を守ることで、古くから続くワイン造りの伝統と名誉を保護する「イタリアワイン法」のもと制定されたカテゴリーの一つ。DOCGはその中でももっとも厳しい基準を満たし、特に歴史のあるワインが分類されるカテゴリー。

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