【カンパーニア州】ラグーソースとリコッタで仕上げる一品
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NinoNegri“ヴァルテッリーナ”の魅力 Presented by モンテ物産
今、スイス国境近くのある渓谷で作られるロンバルディア州のワインが熱い。
その渓谷の名は“ヴァルテッリーナ”。
今回はその“ヴァルテッリーナ”でワインを造るニーノ・ネグリ社について、昨年就任したばかりの新しいエノロゴの話しを交えながら特集したい。
車でミラノ市内から約2時間。同じロンバルディア州とはいえ、スイス国境にまたがるアルプスを間近に見るエリアにヴァルテッリーナ渓谷がある。周りを高い山々に囲まれており、ブドウ畑が山の急斜面に広がっているのもこのエリアならではの景色だ。
ひと昔前の車の無い時代は、本当に陸の孤島ともいえる場所であっただろう。
このエリアの郷土料理で有名なものは、そば粉のショートパスタ“ピッツォッケリ”。そば粉といえばヘルシーなイメージがあるが、合わせるソースはちりめんキャベツとじゃがいもに地元のチーズとバターをたっぷりと使ったもの。栄養満点の、今でというと少々高カロリーな一品だ。寒い冬に食べると格別で、じんわりと温まる。
そしてそこに合わせるのが、地元ヴァルテッリーナ地方の赤ワインだ。重すぎず奥行きがあり、身体にすんなりと入っていく。
ニーノ・ネグリ社は、そんなヴァルテッリーナ地方のキウロという小さな町にある。
1897年創業。ワイナリー敷地内にはキウロ城があり、オフィスと熟成庫がその風情ある城と一体となっている。
出迎えてくれたのはエノロゴのダニーロ・ドロッコさん。実は、彼は1年前までバローロの造り手として世界的に有名なピエモンテ州のワイナリー、フォンタナフレッダ社で統括エノロゴを務めていた。
フォンタナフレッダ社で1年前に会って以来久しぶりに会う彼は、とても精悍な顔つきをしていた。
元来山好きで、スキーが大の趣味。それもヴァルテッリーナに移ってきた理由かもしれないが、本当のところを聞いてみた。
「一体なぜ、世界的に有名なバローロ生産者から、このヴァルテッリーナの地に赴いたんですか?」
▲ニーノ・ネグリ社のオフィスがある建物の外観とダニーロ・ドロッコさん
「フォンタナフレッダでは、バローロをはじめ多岐にわたるワイン造りに取り組んできたこの30年の間に、畑から醸造まで大きな改革を行い、品質を更に向上させることが出来たと思っている。その経験をバローロエリアと同じく高品質なネッビオーロの生産地として注目されているヴァルテッリーナ地方で活かして、新たな挑戦をしてみたいと思ったんだよ。
それから、ここヴァルテッリーナのワインは、昔はやせた印象のワインだったが、今ではしっかりとした果実味を持ちながら繊細さとフレッシュさを持つとても飲み心地の良いワインになった。世界的なワイン傾向は、“エレガンス”。そこにヴァルテッリーナの可能性を感じたのさ。間違いなくヴァルテッリーナのワインは将来成功を収める。これに貢献したいんだ!」
とても生き生きとした表情で話すダニーロさん。まだまだ世界的に有名ではないヴァルテッリーナのワインで世の中を驚かしてやろうとする気概を感じとることができた。そして、ネッビオーロのスペシャリストのこの言葉を聞き、今後のニーノ・ネグリ社のワインへの期待が高まった。
ところでヴァルテッリーナで造られている赤ワインには、2つのDOCG(※1)がある。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレとスフルサート・ディ・ヴァルテッリーナだ。
ニーノ・ネグリ社が作る最高級のスフルサートDOCGのワイン名は、“チンクエ・ステッレ”。
収穫したキアヴェンナスカ種(ヴァルテッリーナエリアでのネッビオーロの呼称)の房を陰干ししてブドウ果の水分を減らしてから造るワインで、凝縮感があり、果実味、酸味、骨格、タンニン、余韻、全ての要素が高いレベルで調和した偉大なワインだ。
その陰干しの現場に案内してもらった。
「我々が“Fruttaio(フルッタイオ)”と呼ぶここ陰干しの場所は、標高500メートルに位置する。なぜこんなにも高い場所で行うかというと、自然の風で陰干しするため、風がよく乾燥していないといけないからだ。高地の風はよく乾燥している。
こうして窓から自然の風を吹かせているんだ。分かるかい?風が室内に入ってきているのが。」
たしかにフルッタイオ内では、心地良い乾燥したそよ風が吹いているのが感じられた。
「朝は山側から、昼はコモ湖から風が吹くんだ。この状態で9月中旬に収穫したブドウを自然の風で3ヶ月間陰干しをすると、ブドウの重量はだいたい30%落ちる。そうして上品な甘みの凝縮した陰干しブドウができるわけだ。
また、“チンクエ・ステッレ”に使われるブドウの収穫は通常より10日~15日前に行い、陰干しによってアルコール度が上がり過ぎないように配慮しているんだよ。」
ダニーロ・ドロッコさんが実際に陰干し中のブドウの房を見せてくれた。
約2ヶ月半の陰干し状態だ。香りを嗅いでみるとブドウのフレッシュ感を保ちながら深い果実の香りが感じられる。
「香りだけで質の良さが分かる。」とダニーロさん。
口に含むと、よく熟したプルーンのような味わい。とても健全なブドウだ。
▲陰干し中のブドウを見せてくれる、ダニーロさん
「この房は粒が大きくて粒同士が少し離れているだろう。これは特殊なクローンのブドウで、陰干しに最適な果汁の多さと風通しのよさを兼ね備えているんだ。」
陰干しワインではヴェネト州のアマローネが有名だが、この“チンクエ・ステッレ”スフルサート・ディ・ヴァルテッリーナは、それに比べ凝縮した果実味の中に冷涼感と、ミネラルを感じる。
ヴァルテッリーナの気候風土と急斜面での過酷なブドウ栽培作業、丁寧なワイン醸造、陰干しブドウへのこだわり、それらすべてが一体となって、ヴァルテッリーナらしさを表現した素晴らしいワインをニーノ・ネグリ社は造りだしている。
今後ニーノ・ネグリ社では、単一畑のクリュワインを増やしていく、とダニーロさんは話す。
「ヴァルテッリーナの特徴の異なる栽培エリアの中にも更に細かく見ると、独特のキャラクターを持つ素晴らしい畑があるからね。それを表現するワインを作りたいんだ。」
ダニーロ・ドロッコさんとニーノ・ネグリ社の今後の活躍と、ヴァルテッリーナのワインから目が離せない。
※1:DOCG…統制保証原産地呼称。イタリア全国にあるワインの銘柄・タイプを限定し、その品質を守ることで、古くから続くワイン造りの伝統と名誉を保護する「イタリアワイン法」のもと制定されたカテゴリーの一つ。DOCGはその中でももっとも厳しい基準を満たし、特に歴史のあるワインが分類されるカテゴリー。
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼ニーノ・ネグリ社についてはこちら↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/ninonegri.html
その渓谷の名は“ヴァルテッリーナ”。
今回はその“ヴァルテッリーナ”でワインを造るニーノ・ネグリ社について、昨年就任したばかりの新しいエノロゴの話しを交えながら特集したい。
車でミラノ市内から約2時間。同じロンバルディア州とはいえ、スイス国境にまたがるアルプスを間近に見るエリアにヴァルテッリーナ渓谷がある。周りを高い山々に囲まれており、ブドウ畑が山の急斜面に広がっているのもこのエリアならではの景色だ。
ひと昔前の車の無い時代は、本当に陸の孤島ともいえる場所であっただろう。
このエリアの郷土料理で有名なものは、そば粉のショートパスタ“ピッツォッケリ”。そば粉といえばヘルシーなイメージがあるが、合わせるソースはちりめんキャベツとじゃがいもに地元のチーズとバターをたっぷりと使ったもの。栄養満点の、今でというと少々高カロリーな一品だ。寒い冬に食べると格別で、じんわりと温まる。
そしてそこに合わせるのが、地元ヴァルテッリーナ地方の赤ワインだ。重すぎず奥行きがあり、身体にすんなりと入っていく。
ニーノ・ネグリ社は、そんなヴァルテッリーナ地方のキウロという小さな町にある。
1897年創業。ワイナリー敷地内にはキウロ城があり、オフィスと熟成庫がその風情ある城と一体となっている。
出迎えてくれたのはエノロゴのダニーロ・ドロッコさん。実は、彼は1年前までバローロの造り手として世界的に有名なピエモンテ州のワイナリー、フォンタナフレッダ社で統括エノロゴを務めていた。
フォンタナフレッダ社で1年前に会って以来久しぶりに会う彼は、とても精悍な顔つきをしていた。
元来山好きで、スキーが大の趣味。それもヴァルテッリーナに移ってきた理由かもしれないが、本当のところを聞いてみた。
「一体なぜ、世界的に有名なバローロ生産者から、このヴァルテッリーナの地に赴いたんですか?」
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「フォンタナフレッダでは、バローロをはじめ多岐にわたるワイン造りに取り組んできたこの30年の間に、畑から醸造まで大きな改革を行い、品質を更に向上させることが出来たと思っている。その経験をバローロエリアと同じく高品質なネッビオーロの生産地として注目されているヴァルテッリーナ地方で活かして、新たな挑戦をしてみたいと思ったんだよ。
それから、ここヴァルテッリーナのワインは、昔はやせた印象のワインだったが、今ではしっかりとした果実味を持ちながら繊細さとフレッシュさを持つとても飲み心地の良いワインになった。世界的なワイン傾向は、“エレガンス”。そこにヴァルテッリーナの可能性を感じたのさ。間違いなくヴァルテッリーナのワインは将来成功を収める。これに貢献したいんだ!」
とても生き生きとした表情で話すダニーロさん。まだまだ世界的に有名ではないヴァルテッリーナのワインで世の中を驚かしてやろうとする気概を感じとることができた。そして、ネッビオーロのスペシャリストのこの言葉を聞き、今後のニーノ・ネグリ社のワインへの期待が高まった。
ところでヴァルテッリーナで造られている赤ワインには、2つのDOCG(※1)がある。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレとスフルサート・ディ・ヴァルテッリーナだ。
ニーノ・ネグリ社が作る最高級のスフルサートDOCGのワイン名は、“チンクエ・ステッレ”。
収穫したキアヴェンナスカ種(ヴァルテッリーナエリアでのネッビオーロの呼称)の房を陰干ししてブドウ果の水分を減らしてから造るワインで、凝縮感があり、果実味、酸味、骨格、タンニン、余韻、全ての要素が高いレベルで調和した偉大なワインだ。
その陰干しの現場に案内してもらった。
「我々が“Fruttaio(フルッタイオ)”と呼ぶここ陰干しの場所は、標高500メートルに位置する。なぜこんなにも高い場所で行うかというと、自然の風で陰干しするため、風がよく乾燥していないといけないからだ。高地の風はよく乾燥している。
こうして窓から自然の風を吹かせているんだ。分かるかい?風が室内に入ってきているのが。」
たしかにフルッタイオ内では、心地良い乾燥したそよ風が吹いているのが感じられた。
「朝は山側から、昼はコモ湖から風が吹くんだ。この状態で9月中旬に収穫したブドウを自然の風で3ヶ月間陰干しをすると、ブドウの重量はだいたい30%落ちる。そうして上品な甘みの凝縮した陰干しブドウができるわけだ。
また、“チンクエ・ステッレ”に使われるブドウの収穫は通常より10日~15日前に行い、陰干しによってアルコール度が上がり過ぎないように配慮しているんだよ。」
ダニーロ・ドロッコさんが実際に陰干し中のブドウの房を見せてくれた。
約2ヶ月半の陰干し状態だ。香りを嗅いでみるとブドウのフレッシュ感を保ちながら深い果実の香りが感じられる。
「香りだけで質の良さが分かる。」とダニーロさん。
口に含むと、よく熟したプルーンのような味わい。とても健全なブドウだ。
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「この房は粒が大きくて粒同士が少し離れているだろう。これは特殊なクローンのブドウで、陰干しに最適な果汁の多さと風通しのよさを兼ね備えているんだ。」
陰干しワインではヴェネト州のアマローネが有名だが、この“チンクエ・ステッレ”スフルサート・ディ・ヴァルテッリーナは、それに比べ凝縮した果実味の中に冷涼感と、ミネラルを感じる。
ヴァルテッリーナの気候風土と急斜面での過酷なブドウ栽培作業、丁寧なワイン醸造、陰干しブドウへのこだわり、それらすべてが一体となって、ヴァルテッリーナらしさを表現した素晴らしいワインをニーノ・ネグリ社は造りだしている。
今後ニーノ・ネグリ社では、単一畑のクリュワインを増やしていく、とダニーロさんは話す。
「ヴァルテッリーナの特徴の異なる栽培エリアの中にも更に細かく見ると、独特のキャラクターを持つ素晴らしい畑があるからね。それを表現するワインを作りたいんだ。」
ダニーロ・ドロッコさんとニーノ・ネグリ社の今後の活躍と、ヴァルテッリーナのワインから目が離せない。
※1:DOCG…統制保証原産地呼称。イタリア全国にあるワインの銘柄・タイプを限定し、その品質を守ることで、古くから続くワイン造りの伝統と名誉を保護する「イタリアワイン法」のもと制定されたカテゴリーの一つ。DOCGはその中でももっとも厳しい基準を満たし、特に歴史のあるワインが分類されるカテゴリー。
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エミリア・ロマーニャ特集
匂いと、香りの記憶
>デジタル版はこちら
amazon.co.jp /fujisan.co.jp
父親が材木問屋だった。子供の頃に父親の仕事場に行くと、独特の木の香りに包まれた。作業場では大工が仕事をしていた。僕はその香りと音、空気感が嫌いではなかった。モデナの樽工房の木材を眺めながら脳の奥に眠っていた記憶が香りと共に蘇ってきた。
モデナの人(モデネーゼ)にとってアチェートバルサミコ(バルサミコ酢)は切っても切れない関係であり、それを造るための樽は重要な要素の一つだ。その樽工房を訪ねた時に重い引き戸を開けると、大きな機械音と共にアチェートバルサミコと木、そして油の匂いに包まれた。その作業場の奥には、乾燥させたさまざまな種類の木材が保管されている。新しいものもあれば、古い樽を分解したものもある。
年月を経た樽の軌跡は、何年、何十年と経て完成するアチェートバルサミコの軌跡と同じだ。そしてそれは香りの記憶と共に歩んできたモデネーゼの家族の歴史でもある。価値はその歴史にある。
子供のために残すアチェートバルサミコの12年後、25年後の味は、モストコットと樽と家族のハーモニーによって醸される。そしてそれは、匂いと香りの記憶と共に、引き継がれていく。
アチェートバルサミコ、小さな瓶の中の長い歴史。
発行編集人 マッシモ松本
定期購読いただくと!

バックナンバーがもれなく3冊ついてくる!!
※どの号が届くかはお楽しみ♪
- 1年間(4回発行)2,640円(税込)
- 送料無料
『イタリア好き』バックナンバー
『イタリア好き』バックナンバーは単品でご購入いただけます。
*バックナンバー 1冊660円(税込)
【vol.105|マンマのレシピ】パスタ・エ・パターテ
【カンパーニア州】誰もが知っていて誰もが喜ぶ庶民的料理
イタリア好き、郷土料理を楽しもう! エミリア・ロマーニャ州
ご覧いただきありがとうございます。
定員に達しましたので、参加申し込みを締め切らせていただきます。
次回は5月に開催予定です。お楽しみに!
\イタリア郷土料理を巡る食事会 第5回/
2月1日発行vol.36エミリア・ロマーニャ/モデナ特集の制作がほぼ終了し、
皆さまの手元に届くまではあと少し。
本誌の特集をテーマとした食事会も5回目となります。

戸羽シェフ 今回は大井町にある「NIDO」にて開催します。
オーナーシェフの戸羽剛志さんは、以前「アンティキ・サポーリ」で開催した、
集まれ!イタリア好き~イタリア冬料理とパニーニを楽しもう~ にもゲストシェフとして参加してくれ、エミリア・ロマーニャ州ピアチェンツァのアグリツーリズモでの修行時代に習ったピアディーナのパニーニを披露してくれました。
▼その時のイベントの様子はこちらから
https://italiazuki.com/?p=19939
「NIDO」に初めて行ってその料理を口にした時に、この人料理が本当に好きなんだなと感じました。それが料理を通して自然に伝わってきたのでした。そして戸羽シェフに「料理すごく好きでしょ?」と聞いたら、うれしそうな顔で「はい」と答えてくれました。それ以来、僕は戸羽シェフのファンになりました。
今回は、そんな戸羽シェフの料理を存分に味わっていただきたいと思います。
■日時: 2月11日(月・祝)12:00~(11:45受付開始)
■会場: NIDO
東京都品川区大井1-55-12 ベルフルーレ1F
(大井町駅より徒歩4分)
https://hitosara.com/0006068686/
■会費: <会員> 11,000円(税別)/<非会員> 13,000円(税別)
*ドリンクなどすべて込み!
(イタリアズッキーニクラブ・ズッキーニパートナーズ会員+1名まで有効)
■形式: 着席式
■定員: 18名
3連休の最終日の午後の一時をおいしい料理と楽しいおしゃべりで過ごしませんか。
皆さんの参加をお待ちしています。
■11月に開催したリグーリア食事会のレポートはこちらから
https://italiazuki.com/?p=31164
■8月に開催したカラブリア食事会のレポートはこちらから
https://italiazuki.com/?p=30424
《お申込み方法》
以下の「カートに入れる」ボタンをクリックしてお進みください。
*参加条件はイタリアズッキーニクラブ・ズッキーニパートナーズ会員様とそのお連れ様1名のみとさせていただきます。
※ズッキーニクラブ、ズッキーニパートナーズ会員の方は、ログインすると会員価格でご購入いただけます(未ログインでは、非会員価格でカートに価格が表示されます)。
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次回は5月に開催予定です。お楽しみに!
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オーナーシェフの戸羽剛志さんは、以前「アンティキ・サポーリ」で開催した、
集まれ!イタリア好き~イタリア冬料理とパニーニを楽しもう~ にもゲストシェフとして参加してくれ、エミリア・ロマーニャ州ピアチェンツァのアグリツーリズモでの修行時代に習ったピアディーナのパニーニを披露してくれました。
▼その時のイベントの様子はこちらから
https://italiazuki.com/?p=19939

今回は、そんな戸羽シェフの料理を存分に味わっていただきたいと思います。
◆+◆+開催概要+◆+◆
東京都品川区大井1-55-12 ベルフルーレ1F
(大井町駅より徒歩4分)
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*ドリンクなどすべて込み!
(イタリアズッキーニクラブ・ズッキーニパートナーズ会員+1名まで有効)
3連休の最終日の午後の一時をおいしい料理と楽しいおしゃべりで過ごしませんか。
皆さんの参加をお待ちしています。
■11月に開催したリグーリア食事会のレポートはこちらから
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■8月に開催したカラブリア食事会のレポートはこちらから
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※ズッキーニクラブ、ズッキーニパートナーズ会員の方は、ログインすると会員価格でご購入いただけます(未ログインでは、非会員価格でカートに価格が表示されます)。
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プーリアの涼しい丘のワイン リヴェラ社 Presented by モンテ物産
イタリア半島を長靴に見立てたときにちょうどヒールの部分に当たるプーリア州に、世界遺産にも登録されている名城がある。カステル・デル・モンテと呼ばれる城だ。八角形を象徴的に取り入れた城で、八角形の外壁には八角形の小塔が連なり、その荘厳さは見ると圧倒されるものがある。
一方でこのお城の名前を冠した格付けワインがあることはまだあまり知られていない。カステル・デル・モンテDOC。(※リゼルヴァタイプはDOCG。)まさにこの世界の名城を臨むなだらかな丘陵地帯のエリアで生産されるワインだ。
このエリアに、プーリア州を代表するワイナリーがある。名はリヴェラ社。創業は1950年だ。
「プーリアのワインと言われて一般に思い浮かべられるワインと、我々のいるこのカステル・デル・モンテエリアのワインは少し違うんだ。」
そう切り出したのは、リヴェラ社会長のカルロさん。綺麗に整った白髪と上品な物腰が、地元の名士であることをうかがわせる。
「プーリアというと暑い気候で糖度が上がり、アルコール度数も高くなったワイン、というイメージが先行している。しかし、プーリア州の中でもこのカステル・デル・モンテエリアは、レッチェやブリンディシなどのプーリア平野部に比べると少し冷涼な気候でね。特に昼夜の寒暖差は非常に大きく、そのためにブドウに綺麗な酸が残るんだ。この酸のバランスが取れたエレガントなワインが、リヴェラ社のワインの特徴なんだよ!。」
カルロさんはそう言いながら、畑を案内してくれる。
「このエリアが涼しいのは、少し小高い丘になっているからなんだ。“ムルジェの丘”、と呼ばれているよ。」
「私がこの土地に注目し始めた数十年前、まだ畑を作る前のこの丘に何度も足を運んだのさ。来てみるとわかるだろう?標高は300mほど。常に涼しい風が吹き、昼夜の寒暖差も申し分ない、ブドウ栽培には最適な場所なんだ。でももともとここに畑は一つもなかったんだよ。なぜだかわかるかい?」
カルロさんはそう言って、持参した古いアルバムを見せてくれた。
「ここに畑がなかった理由は、この土壌のせいさ。これが昔のこの丘の写真。手前の丘の土壌をごらん。岩だらけだろう?この岩石土壌のせいで、ここは昔から植物もほとんど自生しない丘だったんだよ。」
カルロさんはこう回想する。
「私は当時、この岩だらけのムルジェに来ては考えたんだ。もしここにブドウ畑を作ったらどんなに素晴らしいだろう、とね。土壌の岩石以外、このムルジェには、ブドウ栽培のための全てが揃っていたから。そこで私は、無理やりにでもここに畑を作る方法を考えたんだよ。」
カルロさんは丘に重機を入れ、岩石を無理やり掘削したそうだ。
そうやって壊した岩石を、今度はさらに細かく小石大にまで砕いていく。
その後砕いたムルジェの元岩石を撒きなおし、リヴェラ社はついにムルジェの丘の上にブドウ畑を作ることに成功したのだ。
リヴェラ社を語るには、やはりトップワインのイル・ファルコーネは外せない。
南イタリアを代表する一本といっても過言ではないこの傑作を飲んでみると、リヴェラ社が他のプーリアのワイナリーから一線を画していることが良くわかる。香りにはブドウ本来の凝縮した果実香があり、重心の低さを感じさせると同時に、冷涼なミクロクリマからもたらされるエレガントなアロマがある。
味わいには熟した果実と粗さが取れた滑らかなタンニンが感じられ、複雑なスパイスや土の香りとともに長い余韻が残る。特にアフターに残る酸は、暑いプーリアのワインのイメージを覆す上品さをこのワインに与えている最たる要素と言えるだろう。
しかし、リヴェラ社をプーリアのワイナリーの中でも特別たらしめる最も重要な点は、このような傑作を作り出すために決して諦めることなく、最良の環境を模索しプーリア屈指のブドウ畑を作り上げた、リヴェラ社の飽くなき品質へのこだわりであることを、最後にひとこと言い添えたいと思う。
▲『イル・ファルコーネ』。ラベルにはカステル・デル・モンテを建設した王家の紋章、“ファルコーネ”=鷹があしらわれている
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼リヴェラ社についてはこちら↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/rivera.html
一方でこのお城の名前を冠した格付けワインがあることはまだあまり知られていない。カステル・デル・モンテDOC。(※リゼルヴァタイプはDOCG。)まさにこの世界の名城を臨むなだらかな丘陵地帯のエリアで生産されるワインだ。
このエリアに、プーリア州を代表するワイナリーがある。名はリヴェラ社。創業は1950年だ。
「プーリアのワインと言われて一般に思い浮かべられるワインと、我々のいるこのカステル・デル・モンテエリアのワインは少し違うんだ。」
そう切り出したのは、リヴェラ社会長のカルロさん。綺麗に整った白髪と上品な物腰が、地元の名士であることをうかがわせる。
「プーリアというと暑い気候で糖度が上がり、アルコール度数も高くなったワイン、というイメージが先行している。しかし、プーリア州の中でもこのカステル・デル・モンテエリアは、レッチェやブリンディシなどのプーリア平野部に比べると少し冷涼な気候でね。特に昼夜の寒暖差は非常に大きく、そのためにブドウに綺麗な酸が残るんだ。この酸のバランスが取れたエレガントなワインが、リヴェラ社のワインの特徴なんだよ!。」
カルロさんはそう言いながら、畑を案内してくれる。
「このエリアが涼しいのは、少し小高い丘になっているからなんだ。“ムルジェの丘”、と呼ばれているよ。」
「私がこの土地に注目し始めた数十年前、まだ畑を作る前のこの丘に何度も足を運んだのさ。来てみるとわかるだろう?標高は300mほど。常に涼しい風が吹き、昼夜の寒暖差も申し分ない、ブドウ栽培には最適な場所なんだ。でももともとここに畑は一つもなかったんだよ。なぜだかわかるかい?」
カルロさんはそう言って、持参した古いアルバムを見せてくれた。
「ここに畑がなかった理由は、この土壌のせいさ。これが昔のこの丘の写真。手前の丘の土壌をごらん。岩だらけだろう?この岩石土壌のせいで、ここは昔から植物もほとんど自生しない丘だったんだよ。」
カルロさんはこう回想する。
「私は当時、この岩だらけのムルジェに来ては考えたんだ。もしここにブドウ畑を作ったらどんなに素晴らしいだろう、とね。土壌の岩石以外、このムルジェには、ブドウ栽培のための全てが揃っていたから。そこで私は、無理やりにでもここに畑を作る方法を考えたんだよ。」
カルロさんは丘に重機を入れ、岩石を無理やり掘削したそうだ。
そうやって壊した岩石を、今度はさらに細かく小石大にまで砕いていく。
その後砕いたムルジェの元岩石を撒きなおし、リヴェラ社はついにムルジェの丘の上にブドウ畑を作ることに成功したのだ。
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▲細かく砕かれた岩石 | |
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▲きれいに整えられた現在のリヴェラ社のブドウ畑 |
リヴェラ社を語るには、やはりトップワインのイル・ファルコーネは外せない。
南イタリアを代表する一本といっても過言ではないこの傑作を飲んでみると、リヴェラ社が他のプーリアのワイナリーから一線を画していることが良くわかる。香りにはブドウ本来の凝縮した果実香があり、重心の低さを感じさせると同時に、冷涼なミクロクリマからもたらされるエレガントなアロマがある。
味わいには熟した果実と粗さが取れた滑らかなタンニンが感じられ、複雑なスパイスや土の香りとともに長い余韻が残る。特にアフターに残る酸は、暑いプーリアのワインのイメージを覆す上品さをこのワインに与えている最たる要素と言えるだろう。
しかし、リヴェラ社をプーリアのワイナリーの中でも特別たらしめる最も重要な点は、このような傑作を作り出すために決して諦めることなく、最良の環境を模索しプーリア屈指のブドウ畑を作り上げた、リヴェラ社の飽くなき品質へのこだわりであることを、最後にひとこと言い添えたいと思う。
▲『イル・ファルコーネ』。ラベルにはカステル・デル・モンテを建設した王家の紋章、“ファルコーネ”=鷹があしらわれている
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【vol.104|マンマのレシピ】ピンツァとヴィン・ブリュレ
【ヴェネト州】1月6日のエピファーニアに欠かせない伝統菓子
【vol.103|マンマのレシピ】白インゲン豆とスカローラ(エンダイブ)のスープ風
【カンパーニア州】人気の葉野菜と豆のハーモニーで誰もが大好き
【vol.102|マンマのレシピ】レアおばあちゃんのタリアテッレのトルタ
【エミリア・ロマーニャ州】ココアと手打ちパスタのドルチェ
イベントレポート/イタリア好き、郷土料理を楽しもう!リグーリア州ジェノヴァ
イタリア20州を巡る食事会は、最新号vol.35リグーリア州をテーマに「トラットリア・ダ・テレーザ」にて11月23日に開催されました。
シェフの篠田さんは、誌面で紹介している料理を中心にメニューを構成してくれました。

これは本誌p34で紹介しているチーマ・アッラ・ジェノヴェーゼ。「いい感じでできました!」と篠田さん。

前菜のお皿に盛られてきました。こちらにはカルピオーネ、ポルペットーネ・アッラ・ジェノヴェーゼと共に。前菜からなかなかのボリュームです。

リグーリアのワインは土地柄数量も少なく、品種も限られています。その中でも篠田さんがこだわってセレクトしてくれました。

今回も満席御礼。2巡目になる州巡り食事会の皆勤賞の方、マッシモツアー参加の方、初期の頃からの読者の方、もちろん初めての方も。でも”キーワードはイタリア好き” おいしく食べて、飲んでしまえば皆さん会話も弾んで、時間もあっという間です。

こちらミネストラのペスト・ジェノヴェーゼは、篠田シェフ思い出の料理。ジェノヴァ修行時代のマンマ直伝の一品。濃厚なミネストラにパスタ、まさにマンマの味。これはうまい!

そしてもう一皿のプリモは、ペストはオーソドックスなもので、パスタがリグーリア特有のコルセッティ。丸く型を抜いた後に、スタンプを押すようにオリジナルの絵柄をパスタに刻みます。これはお店のロゴ入り。見えるかな〜?

こちらがその木型。もうリグーリアでも手作りの職人が減っているという。

セコンドの1品目。やはりジェノヴァで揚げ物は欠かせません。魚介にカルチョーフィ、それにベシャメルのフリット。

セコンドの2品目は、豚フィレのローストとポテトのピュレ。本来、リグーリアではウサギや鶏肉を食べることが多いですが、これはワインとのアッビナメントも考えて、シェフの修行先レストランで、ナターレコースのメイン料理として提供していたメニューでしめて。

さすがに相性がよかった。現地では飲んでませんけど……

ドルチェはやっぱりパンドルチェですね〜 濃厚でズッシリ。ジェラートと合わせて悪魔の味です。

スタッフの皆さんもありがとうございました。

『イタリア好き』創刊号ができた時に、篠田さんが以前勤めていたお店に偶然入った時からの付き合い。篠田さん、愛のある料理をありがとうございました。
シェフの篠田さんは、誌面で紹介している料理を中心にメニューを構成してくれました。

これは本誌p34で紹介しているチーマ・アッラ・ジェノヴェーゼ。「いい感じでできました!」と篠田さん。

前菜のお皿に盛られてきました。こちらにはカルピオーネ、ポルペットーネ・アッラ・ジェノヴェーゼと共に。前菜からなかなかのボリュームです。

リグーリアのワインは土地柄数量も少なく、品種も限られています。その中でも篠田さんがこだわってセレクトしてくれました。

今回も満席御礼。2巡目になる州巡り食事会の皆勤賞の方、マッシモツアー参加の方、初期の頃からの読者の方、もちろん初めての方も。でも”キーワードはイタリア好き” おいしく食べて、飲んでしまえば皆さん会話も弾んで、時間もあっという間です。

こちらミネストラのペスト・ジェノヴェーゼは、篠田シェフ思い出の料理。ジェノヴァ修行時代のマンマ直伝の一品。濃厚なミネストラにパスタ、まさにマンマの味。これはうまい!

そしてもう一皿のプリモは、ペストはオーソドックスなもので、パスタがリグーリア特有のコルセッティ。丸く型を抜いた後に、スタンプを押すようにオリジナルの絵柄をパスタに刻みます。これはお店のロゴ入り。見えるかな〜?

こちらがその木型。もうリグーリアでも手作りの職人が減っているという。

セコンドの1品目。やはりジェノヴァで揚げ物は欠かせません。魚介にカルチョーフィ、それにベシャメルのフリット。

セコンドの2品目は、豚フィレのローストとポテトのピュレ。本来、リグーリアではウサギや鶏肉を食べることが多いですが、これはワインとのアッビナメントも考えて、シェフの修行先レストランで、ナターレコースのメイン料理として提供していたメニューでしめて。

さすがに相性がよかった。現地では飲んでませんけど……

ドルチェはやっぱりパンドルチェですね〜 濃厚でズッシリ。ジェラートと合わせて悪魔の味です。

スタッフの皆さんもありがとうございました。

『イタリア好き』創刊号ができた時に、篠田さんが以前勤めていたお店に偶然入った時からの付き合い。篠田さん、愛のある料理をありがとうございました。
ピエモンテの偉大なワイナリー、ラ・スピネッタ社 トスカーナでの挑戦 Presented by モンテ物産
「良いワインは、良いブドウから。ワインの質は、90%がブドウ畑での仕事で決まる。」
この哲学のもと徹底したブドウの収量制限を行い、その土地を表現した類まれなワインを生み出すピエモンテの名門、ラ・スピネッタ社。イタリアワインガイドのガンベロ・ロッソ誌では、最高評価のトレビッキエーリ(3グラス)を全ワイナリーの中で3番目に数多く受賞しているスターワイナリーだ。今回は、2001年よりスタートしたそのラ・スピネッタ社のトスカーナワインについて話したい。
ラ・スピネッタ社が誕生したのは1977年。現オーナーのリヴェッティ3兄弟の両親、ジュゼッペとリディアがピエモンテ州バルバレスコのエリア近く、アスティ県カスタニョーレ・デッレ・ランツェの村で甘口発泡のモスカート・ダスティ造りから始めた。
その後1985年に、ラ・スピネッタ社が初めて手がけた赤ワインとなる、バルベーラ種を使った“カ・ディ・ピアン”をリリース。90年台後半には、3兄弟の末っ子でエノロゴ(醸造責任者)のジョルジョ・リヴェッティさんのもと、単一畑の3種のバルバレスコ、“ガッリーナ”、“スタルデリ”、“ヴァレイラーノ”で一躍脚光を浴びると、2000年に単一畑シリーズに新たに加わった”カンペ”バローロと合わせて、世界中のワインラヴァーを魅了した。ラ・スピネッタ社のワインを飲むと、生き生きとした果実の凝縮感が口の中いっぱいに広がり、幸せを感じる。
そしてそのジョルジョ・リヴェッティさんの醸造スタイルは、トスカーナにおける彼らのワインにも共通している。
フィレンツェから西に車で1時間。ピサの南東に位置するテッリッチョラという村に、ラ・スピネッタ社のワイナリー“CASANOVA(カサノーヴァ)”がある。出迎えてくれたのは、トビア・チョニーニさん。
「ここのワイナリーの建物は、2005年に完成したもの。
ほら、あれを見てごらん、目の前に広がるブドウ畑を。もともとワイン生産地としてはあまり注目されていなかったエリアだったのだが、土壌がピエモンテに似ていて、日当たりや風通しの良さなど理想的なミクロクリマ(微気候)だったことから、リヴェッティが購入を決めたんだ。他にも、国際品種があふれるトスカーナのワインに対して、地場品種にこだわったワインを作りたかったというのも彼がこの土地に畑を購入した理由の一つだったんだよ。」
トスカーナの畑は、45ヘクタールの“カサノーヴァ・テッリッチョラ”と15ヘクタールの“カッシャーナ・テルメ”に分かれている。
“カサノーヴァ・テッリッチョラ”は、白のヴェルメンティーノ種と赤のサンジョヴェーゼ種を栽培しており、貝殻の化石を含む砂質土壌からは、エレガントで繊細なワインが生まれる。
一方“カッシャーナ・テルメ”は、赤のサンジョヴェーゼ種、プルニョーロ・ジェンティーレ種、コロリーノ種を栽培。粘土や石灰、トラヴェルティーノと呼ばれる石灰質沈殿岩を含み、骨格・ボディのしっかりとしたワインが生まれる。
この2つの畑の土壌や丘の上から見渡した風景は、ピエモンテのバローロエリアを彷彿させる。
同じエリア内でも少し場所が変われば土壌の性質も異なる点、またトスカーナは非常に長いなだらかな斜面を持つ丘が多い中で、ラ・スピネッタ社のトスカーナの畑はバローロエリアのようにいくつもの丘が連なっていることなどがその理由だろう。
ところで、ラ・スピネッタ社のラベルといえばドイツ・ルネサンス期のアルブレヒト・デューラーの「サイ」が大きくあしらわれているのがとても印象的である。
実は、案内人トビア・チョニーニさんの父親ガブリエーレさんがラベルにサイを用いるよう進めたのだ。
ガブリエーレさんはジョルジョ・リヴェッティさんの親友で、ピサで唯一のミシュラン星付きレストランのシェフでもあった。ジョルジョ・リヴェッティ氏が彼のお店に通ううちに親しくなったそう。
リヴェッティさんのトスカーナでの挑戦を近くで見ていたガブリエーレさんは、目標に向かって前に突き進むリヴェッティの姿とサイを重ねて、ラベルにサイを使うことを提案したのだそうだ。
マイナーなトスカーナの土地で、誰も作らなかった素晴らしいワイン、国際品種ではないトスカーナの地場品種によるワインを作りたい。そう思い猛進したジョルジョ・リヴェッティさんの姿が思い浮かぶ。
さて、ワイナリーの内部の話に進めていこう。
ワイナリーの中の醸造設備はとても清潔で、ワインのアルコール発酵が行われていた。
中サイズの発酵タンクが数多く並んでいる。
「ここでは、特徴の違う畑ごとにワインを醸造し、最後にそれらをブレンドするんだ。そうすることで、華やかな香り、骨格の強さなど、それぞれの特徴がそのままワインに残り、複雑なニュアンスを作り上げることができるのさ。
また、赤ワイン用の発酵は、横長の回転式タンクを導入したロータリー・ファーメンテーションです。タンクの中のステンレスの棒がアルコール発酵中にゆっくりと回り(最初は1日6回、最後は1日1回)、余計な渋みを残さず、ブドウの果皮からフレッシュな果実味をすばやく引き出します。」
冒頭で述べたようにジョルジョ・リヴェッティさんのブドウ栽培へのこだわりの一つは、ブドウの収量を低くすることだ。トスカーナでもピエモンテ同様に低い収量を保つことで、高品質で味わいのたっぷり詰まった凝縮感のあるブドウを収穫している。そしてそのブドウからタンニンなどの成分を丁寧にじっくりと発酵しながら抽出することで、凝縮した果実味とエレガントさの両方を兼ね備えたラ・スピネッタ社のワインがトスカーナでも生まれているというわけだ。
なので、同じスタイルをトスカーナのワインの味わいにも感じるのだが、ワイン畑の仕事と地場品種にこだわるラ・スピネッタ社であればこそ、このトスカーナのワインそれぞれを飲み比べるとピエモンテとは異なる品種の個性と、土壌の特徴が現れていて、とても面白い。
例えば、同社の白ワイン「ヴェルメンティーノ・トスカーナ」には、貝殻の化石などからくるキリッとしたミネラル感と白桃や洋ナシの爽やかなフルーティさを感じる。
また、上品な薄ピンク色が特徴的なロゼワイン「ロゼ・ディ・カサノーヴァ・トスカーナ」には、きれいな酸とサンジョヴェーゼ、プルニョーロ・ジェンティーレの高貴な果実味があり、単醸で作られるそれぞれの赤ワインには、それぞれの品種の個性が味わい深くエレガントに表現されている。
ラ・スピネッタ社の、高品質なワイン造りへの姿勢は常にぶれることはない。
それは、同社のトスカーナワインを一口飲むと確信に変わる。
全てのワインがラ・スピネッタ社のピエモンテワインに比肩する優れた品質を兼ね備えており、「未開の地であったエリアでのワイン造り」という彼らの挑戦が、しっかりと実を結んでいることもまたそのワインたちが教えてくれた。
前に突き進むサイとも例えられるように、熱く、まっすぐなワイン造りへの情熱を持ったジョルジョ・リヴェッティさん。ピエモンテのワインだけではない、彼の思いが注がれたトスカーナでの傑作ワインの数々を、ぜひ皆さんにも一度試してみていただきたい。
左から、
「ヴェルメンティーノ・トスカーナ」
「ロゼ・ディ・カサノーヴァ・トスカーナ」
「“イル・ネーロ・ディ・カサノーヴァ” テッレ・ディ・ピサ・サンジョヴェーゼ」
「“イル・コロリーノ・ディ・カサノーヴァ” トスカーナ・ロッソ」
「“イル・ジェンティーレ・ディ・カサノーヴァ” トスカーナ・ロッソ」
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼ラ・スピネッタ社のページはこちらから↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/spinetta.html
この哲学のもと徹底したブドウの収量制限を行い、その土地を表現した類まれなワインを生み出すピエモンテの名門、ラ・スピネッタ社。イタリアワインガイドのガンベロ・ロッソ誌では、最高評価のトレビッキエーリ(3グラス)を全ワイナリーの中で3番目に数多く受賞しているスターワイナリーだ。今回は、2001年よりスタートしたそのラ・スピネッタ社のトスカーナワインについて話したい。
ラ・スピネッタ社が誕生したのは1977年。現オーナーのリヴェッティ3兄弟の両親、ジュゼッペとリディアがピエモンテ州バルバレスコのエリア近く、アスティ県カスタニョーレ・デッレ・ランツェの村で甘口発泡のモスカート・ダスティ造りから始めた。
その後1985年に、ラ・スピネッタ社が初めて手がけた赤ワインとなる、バルベーラ種を使った“カ・ディ・ピアン”をリリース。90年台後半には、3兄弟の末っ子でエノロゴ(醸造責任者)のジョルジョ・リヴェッティさんのもと、単一畑の3種のバルバレスコ、“ガッリーナ”、“スタルデリ”、“ヴァレイラーノ”で一躍脚光を浴びると、2000年に単一畑シリーズに新たに加わった”カンペ”バローロと合わせて、世界中のワインラヴァーを魅了した。ラ・スピネッタ社のワインを飲むと、生き生きとした果実の凝縮感が口の中いっぱいに広がり、幸せを感じる。
そしてそのジョルジョ・リヴェッティさんの醸造スタイルは、トスカーナにおける彼らのワインにも共通している。
フィレンツェから西に車で1時間。ピサの南東に位置するテッリッチョラという村に、ラ・スピネッタ社のワイナリー“CASANOVA(カサノーヴァ)”がある。出迎えてくれたのは、トビア・チョニーニさん。
「ここのワイナリーの建物は、2005年に完成したもの。
ほら、あれを見てごらん、目の前に広がるブドウ畑を。もともとワイン生産地としてはあまり注目されていなかったエリアだったのだが、土壌がピエモンテに似ていて、日当たりや風通しの良さなど理想的なミクロクリマ(微気候)だったことから、リヴェッティが購入を決めたんだ。他にも、国際品種があふれるトスカーナのワインに対して、地場品種にこだわったワインを作りたかったというのも彼がこの土地に畑を購入した理由の一つだったんだよ。」
トスカーナの畑は、45ヘクタールの“カサノーヴァ・テッリッチョラ”と15ヘクタールの“カッシャーナ・テルメ”に分かれている。
“カサノーヴァ・テッリッチョラ”は、白のヴェルメンティーノ種と赤のサンジョヴェーゼ種を栽培しており、貝殻の化石を含む砂質土壌からは、エレガントで繊細なワインが生まれる。
一方“カッシャーナ・テルメ”は、赤のサンジョヴェーゼ種、プルニョーロ・ジェンティーレ種、コロリーノ種を栽培。粘土や石灰、トラヴェルティーノと呼ばれる石灰質沈殿岩を含み、骨格・ボディのしっかりとしたワインが生まれる。
この2つの畑の土壌や丘の上から見渡した風景は、ピエモンテのバローロエリアを彷彿させる。
同じエリア内でも少し場所が変われば土壌の性質も異なる点、またトスカーナは非常に長いなだらかな斜面を持つ丘が多い中で、ラ・スピネッタ社のトスカーナの畑はバローロエリアのようにいくつもの丘が連なっていることなどがその理由だろう。
ところで、ラ・スピネッタ社のラベルといえばドイツ・ルネサンス期のアルブレヒト・デューラーの「サイ」が大きくあしらわれているのがとても印象的である。
実は、案内人トビア・チョニーニさんの父親ガブリエーレさんがラベルにサイを用いるよう進めたのだ。
ガブリエーレさんはジョルジョ・リヴェッティさんの親友で、ピサで唯一のミシュラン星付きレストランのシェフでもあった。ジョルジョ・リヴェッティ氏が彼のお店に通ううちに親しくなったそう。
リヴェッティさんのトスカーナでの挑戦を近くで見ていたガブリエーレさんは、目標に向かって前に突き進むリヴェッティの姿とサイを重ねて、ラベルにサイを使うことを提案したのだそうだ。
マイナーなトスカーナの土地で、誰も作らなかった素晴らしいワイン、国際品種ではないトスカーナの地場品種によるワインを作りたい。そう思い猛進したジョルジョ・リヴェッティさんの姿が思い浮かぶ。
さて、ワイナリーの内部の話に進めていこう。
ワイナリーの中の醸造設備はとても清潔で、ワインのアルコール発酵が行われていた。
中サイズの発酵タンクが数多く並んでいる。
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「ここでは、特徴の違う畑ごとにワインを醸造し、最後にそれらをブレンドするんだ。そうすることで、華やかな香り、骨格の強さなど、それぞれの特徴がそのままワインに残り、複雑なニュアンスを作り上げることができるのさ。
また、赤ワイン用の発酵は、横長の回転式タンクを導入したロータリー・ファーメンテーションです。タンクの中のステンレスの棒がアルコール発酵中にゆっくりと回り(最初は1日6回、最後は1日1回)、余計な渋みを残さず、ブドウの果皮からフレッシュな果実味をすばやく引き出します。」
冒頭で述べたようにジョルジョ・リヴェッティさんのブドウ栽培へのこだわりの一つは、ブドウの収量を低くすることだ。トスカーナでもピエモンテ同様に低い収量を保つことで、高品質で味わいのたっぷり詰まった凝縮感のあるブドウを収穫している。そしてそのブドウからタンニンなどの成分を丁寧にじっくりと発酵しながら抽出することで、凝縮した果実味とエレガントさの両方を兼ね備えたラ・スピネッタ社のワインがトスカーナでも生まれているというわけだ。
なので、同じスタイルをトスカーナのワインの味わいにも感じるのだが、ワイン畑の仕事と地場品種にこだわるラ・スピネッタ社であればこそ、このトスカーナのワインそれぞれを飲み比べるとピエモンテとは異なる品種の個性と、土壌の特徴が現れていて、とても面白い。
例えば、同社の白ワイン「ヴェルメンティーノ・トスカーナ」には、貝殻の化石などからくるキリッとしたミネラル感と白桃や洋ナシの爽やかなフルーティさを感じる。
また、上品な薄ピンク色が特徴的なロゼワイン「ロゼ・ディ・カサノーヴァ・トスカーナ」には、きれいな酸とサンジョヴェーゼ、プルニョーロ・ジェンティーレの高貴な果実味があり、単醸で作られるそれぞれの赤ワインには、それぞれの品種の個性が味わい深くエレガントに表現されている。
ラ・スピネッタ社の、高品質なワイン造りへの姿勢は常にぶれることはない。
それは、同社のトスカーナワインを一口飲むと確信に変わる。
全てのワインがラ・スピネッタ社のピエモンテワインに比肩する優れた品質を兼ね備えており、「未開の地であったエリアでのワイン造り」という彼らの挑戦が、しっかりと実を結んでいることもまたそのワインたちが教えてくれた。
前に突き進むサイとも例えられるように、熱く、まっすぐなワイン造りへの情熱を持ったジョルジョ・リヴェッティさん。ピエモンテのワインだけではない、彼の思いが注がれたトスカーナでの傑作ワインの数々を、ぜひ皆さんにも一度試してみていただきたい。
左から、
「ヴェルメンティーノ・トスカーナ」
「ロゼ・ディ・カサノーヴァ・トスカーナ」
「“イル・ネーロ・ディ・カサノーヴァ” テッレ・ディ・ピサ・サンジョヴェーゼ」
「“イル・コロリーノ・ディ・カサノーヴァ” トスカーナ・ロッソ」
「“イル・ジェンティーレ・ディ・カサノーヴァ” トスカーナ・ロッソ」
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