第4回 アマトリチャーナデイ 2019年11月17日(日)開催!


パスタを食べて中部イタリア大震災を支援するイベント、アマトリチャーナデイ!
本イベントは、在日イタリア大使館公認「世界イタリア料理週間」公式イベントとして4年目を迎えます。イタリア好き委員会は今年も出展し、復興支援のお手伝いさせていただきます。

当日はアマトリチャーナだけでなくイタリアの様々な地方の料理、ワイン、デザート、雑貨などをお楽しみ頂けます。諸経費を引いた売上は、復興支援として寄付されます。是非イタリアの魅力を味わいにいらしてください。

第4回 アマトリチャーナデイ 開催概要

日時:2019年11月17日(日)11:00〜18:00予定(入場は17時まで)
会場:コミュニティカフェななつのこ
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山 6-12-12 (京王線千歳烏山駅徒歩5分)
Tel03-5969-8457
詳細はこちらから:
今回から公式Tシャツ販売!予約購入の方には300円分のチケットをプレゼント!
https://amatricianaday.com/
https://www.facebook.com/AMATRICIANADAY/

■昨年の様子その1

やっぱりまずはアマトリチャーナを食べて欲しい。アマトリチャーナはイタリア中部のアマトリーチェの街で生まれた郷土料理です。グアンチャーレ(豚の頰肉の塩漬け)とペコリーノロマーノ(羊乳のチーズ)を使ったトマトソースをご堪能あれ♪


■昨年の様子その2

昨年はシチリア名物「脾臓バーガー」も登場しました~。日本ではなかなか食べられない一品。今年はどんなお料理が登場するのか今から楽しみですね!


■昨年の様子その3

『イタリア好き』も出展します!バックナンバーやMCC食品株式会社から発売された「本場イタリアマンマの味を再現したパスタソースシリーズ」も販売しますよ。たくさんの方で賑わうこと間違いなし。


晩秋の雨が降っても決行します。
日本全国から集まったシェフたちが作るスパゲッティ・アマトリチャーナはじめ多くのイタリア料理が会場を埋め尽くしますので、ぜひ遊びにいらしてください。
お待ちしています!

第4回イタリア中部大震災復興支援イベント 2019 Amatriciana DAY
https://amatricianaday.com/
お問い合わせはこちらから

チーズまみれ 

私、9月から10月にかけてチーズまみれになっていました。

訪問したチーズ工房は15軒以上。食べたチーズの種類は100種類以上。。。

世界には2000種類のチーズが存在すると言われています。日本で”チーズ”と言うと、まずフランス、そしてスイスが頭に浮かぶかと思いますが、どうして、どうして、、、イタリアにはフランスと同じくらい、約500種類のチーズがあるのです。

なんと言ってもイタリアの強みは、4種類の動物のミルクからチーズを造れること。牛、羊、ヤギ、そして水牛!

今日は、ミラノの近郊で造られるチーズであるタレッジョに焦点を当てたいと思います。

タレッジョはウオッシュタイプのオレンジ色の四角いチーズ。


ミラノのお隣のベルガモ県のタレッジョ渓谷で造られる牛のミルクのチーズです。とは言え、現在タレッジョ渓谷で造っているのは、1軒のみ。もはや平地で造るのが当たり前になってしまいました。

タレッジョ渓谷は、日の当たらない寒くて湿った地域。ここで生活するのは楽ではありません。

この地で生まれ、学校でチーズの造り方を学び、タレッジョ造りをしているカザーロ(チーズ製造責任者)であるアルトゥーロさん。彼が働くチーズ工房は、標高800mのところにあります。

周辺の8か所の酪農家から運ばれてくるブルーナ牛のミルクしか使用しないというこだわり。牛は毎日ミルクを出すので、このチーズ工房も365日、休む日はありません。

大鍋にミルクを入れ、33度ぐらいに温め、そこに仔牛のレンネット(凝乳剤)と前日のチーズ造りで出たホエー(乳清)を乳酸発酵させたものを加えます。

20分ほど待っていると液体状だったミルクが固まり始めます。


それをヘーゼルナッツぐらいの大きさにカットして、穴のあいた四角い型の中に入れていきます。

その作業は、ちょっと大雑把な感じがするのですが、さすが経験豊富なアルトゥーロさん。ちゃんとうまく配分できているのです。


何度かひっくり返し、湿度の高いセラーで寝かし、塩がけをします。その後も塩水で濡らした布で表面をふき、独特なカビと酵素を増殖させるのです。
       
50日間かけて出来上がったタレッジョ。

そのまま食べても美味しいですが、洋ナシと一緒のリゾット、これはまさに秋の味覚です。タレッジョが手に入ったら、ぜひ試してくださいね。

 

モデナのパルミジャーノレッジャーノチーズ

すっかり晩秋のエミリアロマーニャ州はモデナ。ずいぶんと気温が下がり、今朝は遠くに見えるアッペンニン山脈の頂が真っ白になっていました。庭の木々も随分と紅葉して、花材も色とりどりの葉っぱや実がたくさん。

食欲の秋にふさわしいチーズの王様パルミジャーノレッジャーノチーズの工場をご紹介します。

その歴史は古く、1250年にジェノバ共和国の公文書においてcaso parmesi(パルマのチーズの意)の購入記録などが発見されており、ずいぶん古くから存在していたようです。

日本ではパルマ県というイメージが強いと思いますが、パルミジャーノチーズはポー川の南西に位置するパルマ県、レッジョエミリア県、モデナ県、ボローニャ県、マントバ県の5県にわたって作られており、現在パルミジャーノレッジャーノチーズを作る工場は330軒、そのうち61軒はモデナ県にあります。うちのご近所にもBio製法で作られているパルミジャーノレッジャーノチーズ農場があり、冬のために刈られた沢山の干し草のロールを積み上げた倉庫があるレッジャーニさんのチーズ工場へお邪魔しました。

こちらは37年前、たった5頭の牛から始めた小さな酪農農家だったレッジャーニさんのチーズ工場。今では1200頭の牛から毎日牛乳を絞り、パルミジャーノレッジャーノチーズを作っています。奥さんマリアテレーザ(通称テリー)さん、が案内して下さいました。

パルミジャーノレッジャーノチーズは朝晩2回絞った牛乳で作ります。前日絞った牛乳はすぐに18度以下に冷却し、次の朝まで置くと、上部に脂肪分(生クリーム)がたまります。生クリームを取り除いた牛乳に、その日の朝に絞った牛乳を混ぜ合わせ、1000L入る銅なべにいれます。
36度まで温度を上げた後、前日にチーズを作った残りのホエー(乳清とも呼ばれ牛乳の脂肪分とカゼインを取り除いた残りの黄色味がかった液体)をバケツ一杯、レンネット(凝乳酵素)を入れ50度まで加熱し、4分間経つとプディング状に固まります。それを10分後にスピーノと呼ばれる道具で細かく壊し、約一時間後ホエーと、チーズに分けます。鍋の底の固形分を麻布に入れて引き上げ、スパッと二つに分け二つのパルミジャーノレッジャーノチーズの大元が出来上がります。これをまた麻布に入れて、木の大ベラに引っ掛けて、水分を切ります。
それをファッシエーラと呼ばれる型に入れ、夕方まで上下をひっくり返すこと3回、木の重石を置きながらしっかり水切りをした後、パルミジャーノレッジャーノチーズの刻印の元になる帯を巻いて一晩置くとしっかりパルミジャーノレッジャーノチーズの文字がチーズに刻印されます。これを上下を返しながら乾かす事3日間、次は塩水プールへ
パルミジャーノレッジャーノチーズの唯一の保存料は塩のみ。2/3が塩、1/3が水のこのプールで20日間しっかりと塩を染み込ませます。表面を洗浄し、いよいよ熟成庫へこの時点でのチーズの重量は50kg。
気温17度、湿度75%の熟成庫で裏表を返しながら、週に一回表面に浮いた脂肪分をブラシで擦って綺麗に保ちます。一年経った時点で、パルミジャーノレッジャーノ協会の監査員が専門の金槌で、一つづつ丹念にチェックをし、検査が通ったものについては、パルミジャーノレッジャーノチーズの刻印が押されます。通らなかったものはすぐにパルミジャーノレッジャーノの刻印が削り取られます。どんなに熟練のチーズ職人が作っても最低5%は検査に通らないと言われています。
その後また熟成させること一年あまり。この時点の重量は40kg
チーズがこの部屋にあるだけで、こんなに痩せるんだから、私だって痩せるはず!と思ったけど、この部屋でいくら作業しても痩せないのよねーと笑うテリーさん。
待った無しの生き物相手に365日間、休みなく毎日チーズを作り続け、牛の飼料となる干し草ももちろんBio農法で作った牧草から作り、抗生物質などの薬や、保存添加物一切なし、また、牛舎で出たし尿、チーズ造りで出るホエーや、チーズの表面の削りカスを利用して、ビオガスから発電をしており、工場で必要な全ての電力をまかない、ビオガスを取った残りのカスは畑へ肥料として使う完全循環型の環境に優しい。そんなこだわりのチーズ工場。
この度イタリアはベルガモで行われたチーズ品評会Word cheese awards 2019年で、全世界3500種類以上のチーズが出品された中、レッジャーニさんの18〜22ヶ月熟成のパルミジャーノレッジャーノチーズが11位にランクインしました!
出品されたパルミジャーノレッジャーノチーズの中で最高位!
本当におめでとうございます!

レッジャーニさんのパルミジャーノレッジャーノ工場
見学は事前に要予約(イタリア語のみ)

https://www.bioreggiani.com/


パルミジャーノレッジャーノチーズ工場の見学、バルサミコ酢の醸造室見学、バルサミコ酢を使ったモデナの郷土料理お食事会、料理教室、モデナもシェフを呼んでスペシャルな一日を過ごしたい、などお問い合わせはこちらまで。同行通訳をいたします。

https://m.facebook.com/balsamicland/

皆さんも一度、モデナに足を運んでみませんか?

 

 

サッシ地区でレッドブル®のフリーランニングの競技大会  世界遺産登録から26年、「フリーランニングの聖地」となるか?!

南イタリアでレッドブルと言えば、プーリア州の海リゾート、ポリニャーノで開催されるクリフ・ダイビングでした。

が、2019年はこれ「レッドブル・アート・オブ・モーション2019」。世界遺産「サッシ」地区を舞台に、世界のトップアスリート18名が、パフォーマンスを競い合いました。

https://www.redbull.com/より


かっこよすぎる公式トレイラーはこちらから。

フリーランニングって言うんですねえ。最近もマテーラの大聖堂近くでギリシア様式の壺(紀元前4C頃とみられる)が発掘されたばかりですが、2千年以上かけて築かれてきたサッシ地区の都市構造は、図らずもこの21世紀生まれの競技にぴったりです。

 

にわかファン、レッドブル・アート・オブ・モーション2019へ

土曜の13:30開始という、昼ご飯・命のマテーラ市民には「ありえない」時間帯と、直前までの小雨にも関わらず、特設ステージを視界におさめる良い場所はあまねく黒山の人だかり。フリーランニングという競技の、この集客力よ。

かくゆう私も、名前も知らない競技の魅力を前にしては、誘蛾灯の蛾のように、巨大モニターが設置された特設ステージ前へ。


リモンチェッロのプロセッコ&オーガニックトニック割りという不思議なドリンクを買い込んで、いざ観戦です。


 

初めてのフリーランニング

フリーランニングは、持ち時間90秒の間で、「difficulty 難易度」「execution 出来栄え」「flow 流れ」「creativity 創造性」「overall impression 総合的なインパクト」の5項目の総合ポイントを競う模様。

フィギュアスケートのように、パフォーマンスが終わるごとに審査員から得点が発表され、そしてフィギュアスケートのように、ルールを知らなくても、わいきゃあと盛り上がれます。

上の公式トレイラーにも出演しているNAPC2019王者のドミニク・ディ・トマーソ選手(オーストラリア)


大柄な選手が有利というパルクールに対して、アクロバティックなフリーランニングでは小柄な選手が有利らしく、女性選手も4名いましたよ。しびれちゃいます。

日本人も得意そうだ…と適当なことを考えておりましたら、いました!ミヤザキ ユライ選手。ビデオ選考にエントリーした100人以上の中から、審査員をうならせた男子上位4名の1人とのこと。

世界中にライブ配信された大会の模様は、一見の価値があります。

 

世界遺産地区でフリーランニング 是か?非か?

サッシ地区の段々畑に屏風を並べたような都市構造が、図らずも21世紀生まれのフリーランニングに、ばしっとハマりました。

「アート・オブ・エモーション2019」を一目見ようと、世界中から愛好者やファンが多く詰めかけ、前日の夜から、町にはフリーランナーっぽい様子の若者の数が目に見えて上昇。わたしのようなザ・にわかファンも巻き込んで、大いに盛り上がりました。


その一方で、大会直後のSNSでは、「フリーランナーおよび観衆が破損した」として壊れたブロック塀や屋根瓦の写真の投稿が物議を醸しました。またサッシ・ファウンデーションという社団法人が、サッシ地区の保全の観点から、サッシ地区でのフリーランニング反対を訴えました。

それに対して、

「(1952年のサッシ地区からの立ち退き令以降)30年以上もサッシ地区など見向きもせず、荒廃させた時代もあった」
― 世界遺産登録のずっと前からサッシ地区に住んでいる友人

「建物の外壁は、壊れたら二度と換えが効かない芸術作品とは違う。補償が整えられれば、大いに賛成」
― は16年間サッシ地区に住む友人

と言う意見もありました。

 

これは高度に政治的な問題だ

サッシ地区が世界遺産に加え、パルクールやフリーランニングの聖地となるのは、長い目でみると良いことではないか?と私は考えています。

アート・オブ・エモーション2019は、マテーラはもとよりイタリア国内でも初めての開催でした。新しい試みには、ふたを開けてみてからの課題はつきものです。

これ、まず市と主催企業が、愛好者に「世界遺産であり住宅地であること」を周知徹底し、罰則と損害があった場合の補償規定を設けるなどして、クリアできないものでしょうか?

市は思い切ってプレイエリアや利用時間も限定すれば、見たい!という人もフリーランニング遭遇率が高くなります。保全協力金として、使用料を徴収するのも有りかもしれません。

左:Josh Malone選手(USA)、中央:決勝ラウンドに進出したCharles Luong選手(スイス)。終了後、興奮で鼻息の荒いおばちゃん二人にも、気さくにフォトセッションに応じてくれた。


問題を改善するチャンスも与えないまま、短期合理的に反対!ゆえに今後一切の大会はなし!として、将来の「フリーランナー憧れの場所」の称号を手放すには、あまりにもったいない。

 

新しい価値が定着するには時間がかかる

サッシ地区だって…

1945年に出版された書物の中で、ダンテの地獄編に例えられ、
1948年には国家の恥とまで言われ、
1952~1968年、政府主導で立ち退きが続き、荒廃
1980年代の伝統文化の再評価のムーブメントを経て、
1993年には一転、世界遺産に登録。
2019年 欧州の文化の首都イヤー



「私たちはマテーラにぞっこんです」と書かれたビスケット会社の広告。Cottiは「惚れる」の他、ビスケットなどを「焼く」と言う意味があり、言葉遊びになっている。こんな広告がお目見えするのも、「マテーラ」に良いイメージがあればこそ。


そして将来「マテーラ出身です」と言えば、「ああ、フリーランニングの!」と認知されるようになれば?

開催する度に、きっとまた別の問題が持ち上がるんでしょうが、その度に微修正していったらいい。フリーランニングの是非について、20年後、30年後まで見据えた市民間の議論があるといいなと思います。

 

トレヴィーゾ郊外の栗祭り 「フェスタ・デイ・マローニ」

トレヴィーゾ郊外の山間、コンバーイ(Combai)

すっかり秋らしく、冬の足音が聞こえてくるこの時期は、栗の美味しい季節。
トレヴィーゾ県のコンバーイ(Combai)という、プロセッコの里に隣接した山の地域では、産地呼称であるI.G.P.を冠する栗の産地としても有名だ。

その地で毎年10月には、栗の収穫祭が開かれる。ここに辿り着くまでには、プロセッコのブドウ畑の並ぶ急勾配の道を、車でズンズンと登っていく。紅葉の始まりかけた周囲の素晴らしく美しい風景を横目に、目的地へ。石造りの家の立ち並ぶ小さな集落。標高約400mに位置する町だ。
コンバーイはプロセッコの畑を見下ろす場所に位置する街に近ずくにつれて人も車も多くなり、会場から少し離れたところに車を止めるように交通整理員に誘導されて、徒歩で街の中心へ。普段は静かなこの小さな集落は、一年に一度のこの季節となると、車が渋滞するほどの賑わいとなる。

集落の入り口には大きな垂れ幕!


街全体がお祭り会場へ

集落内は全体がお祭り会場と化している。道端には、土地の製品を売る屋台が出店している。美味しそうな地元チーズやヴェネトの太いサラミ、ソプレッサの山は非常に魅力的…。

地元の食料品店の店先。簡易の即売所となる


柔らかく太いヴェネトのサラミ、ソプレッサ


そしてメイン会場へ到着。お昼どきには、ラザニアやニョッキ、スペッツァティーノ(肉の煮込み)などが振舞われており、大混雑の雑踏のなかで食べるそれらはこれまた格別。並べられたテーブルに座ると同席のお隣さんとも親しくなったりする。

牛肉のスペッツァティーノ。付け合わせはお決まりのポレンタで


祭りの目玉、焼き栗を食す!

別会場となる仮設テントは、焼き栗の大きな実演販売と飲食コーナーとなる。
テントの脇には、大きな大きな鉄鍋が設置されており、焼き栗が準備される。このお祭りの名物シーンでもある。チェーンで動作させるほどの大きな鉄鍋は、大量の薪を燃やして栗を焼く。煙がすごいが、気温の下がるこの時期には、暖をとるのにもちょうど良く、周囲には多くの人々が集まる。実際に焼いている人たちは大汗をかきながら作業しているのだが…

大きな鉄鍋で大量の焼き栗をつくる風景は、このお祭りの名物


食券販売所の列に並び、焼きたての焼き栗を注文。食券を持ってカウンターに行くと、焼き栗の袋と交換してもらえる。
熱々の焼き栗を囲んで、手先を真っ黒にしながらとにかく栗を食べる、食べる。食べる…食べ続ける。

真っ黒に焼けた栗。中はホッコリ。旨し!


会場内はテーブルが並べられていて、栗は立ち喰い


焼き栗のお供は…トルボリーノ

そして、焼き栗に欠かせないのが、「トルボリーノ(torbolino)」だ。「トルボリーノ」とは、この時期に飲むワインの前身のようなもの。収穫して間もないぶどうの果汁は、発酵過程を経てアルコールへと変わっていくが、その発酵がまだ完全になされていないこともあり、糖が残りアルコール度数が低い。当然のごとく、澱引きしていないことから、濁っている。「トルビド(=濁った)」であることが、「トルボリーノ」と通称される所以だ。

栗の収穫時期には、ちょうどこの段階のコレが季節的にも、そしてほんのりと残る甘い微発泡のコレが焼き栗に非常に合うことから、焼き栗とトルボリーノとはきってもきれない関係なのだ。
ワインになりきっていないぶどうの果汁という意味で、この会場ではあえて”モスト”と呼んでいる。

濁り酒のトルボリーノ


会場は、地元の子供たちも焼き栗や飲み物の提供をお手伝い。焼き栗の袋詰めやカウンターでワインを注いでくれる子供たちの姿がなんとも可愛くありながら大人びていて、見ていると思わず顔がほころぶ…。

注文のバンコ(カウンター)を守るのは、地元の子供たち


山間の小さな小さな街の大イベントだから、迎える人も訪れる人も喜びを一緒に分かち合う。この季節とこの季節だからこその味覚を皆で大いに楽しむ、そんな楽しいイベントだ。

コンバーイの街の上から。集落内はスパヴェンタパッセリ(かかし)が道案内


 

新しいワインの貯蔵タンク、コッチョ・ペーストとは。その2

皆さんこんにちは!

今回は前回の記事<新しいワインの貯蔵タンク、コッチョ・ペーストとは。その1>の続きとして、いよいよコッチョペーストタンクの全貌を明らかにしていきたいと思います。

前回記事

古代レシピのセメント

まずコッチョペーストというのは、もちろん素材のことなのですがその起源は2000年以上前の古代ローマ時代にまで遡ります。

当時、家の外壁や道路工事、レンガのつなぎに使われたりしていたセメント、それがコッチョペーストです。

ローマ人は現地で調達することができた自然環境の砂や石、岩を砕き調合して程よいバランスのセメントを作っていました。

その素材レシピを現代にワイン用タンクとして蘇らせたのが、トスカーナ州ピサ県のポンテデーラのドランクタートル社。世界で唯一の“コッチョペースト”タンクの製造者です。


 

コッチョペーストのセメントレシピをベースに強度を加える配合をし、ゆったりと酸化熟成を促すタンクを作りあげました。

醸造・貯蔵タンクは効率・機能性をもたらすため、天井部分と底の部分はステンレスの金具で接続してあります。


単なる“アンフォラ”のタンクではなく、アンフォラの素材要素を加えた近代的醸造のためのタンクと言えます。土器のアンフォラは得てして酸化が激しく進むものが多いのですが、このコッチョペーストはモダンで上品さを纏うワインでありながら通常のステンレス・セメントタンクや木樽では成し遂げなかったような酸化熟成を実現しています。

酸化のスピードは素材の密閉性(密度)によるところが大きいですが、一般的なアンフォラとコッチョペーストとの大きな違いを挙げるとすると、アンフォラが仕上げに火を使用して固めるのに対し、コッチョペーストは自然に冷やし固める方法を取っています。火を使わないことで土素材に密閉性がより保たれるのです。

このことで、木樽のようなミクロの隙間を持っていながら、よりニュートラルな素材であることで、ブドウ本来の資質を素直に熟成によって引き延ばすことができるユニークなタンクとなりました。

この新しいムーヴメントはじわじわと国内外の有数のワイナリーたちの目に留まることに。


地元ワイナリーのカイアロッサ  http://www.caiarossa.com/ja/


同じくドゥエマーニ http://www.duemani.eu/


テヌータ・ディ・ギッザーノ http://www.tenutadighizzano.com/


ダヴィヌム  http://www.davinum.it/site/en/


 

ヨーロッパ各国をはじめ、アメリカ、チリ、オーストラリアなど、コッチョペーストはすでに世界のワイナリーへ輸出されています


チリのディストリビューター


ルーマニアワイナリー、トハニ

その他にも北はリヴィオ・フェッルーガ、中部サンジミニャーノのモルモライアも試験的にコッチョペーストを導入しています。

イタリアワイン界では、今までも時代の移り変わりにより、フレンチオークのバリック樽やステンレスタンクなど色々な醸造・貯蔵設備が導入されてきましたがこのコッチョペーストも時代の支持を獲得するのでしょうか?はたして!?

それでは工房とショールームの写真をご覧ください。













右がコッチョペーストのプロデューサーのエンツォ・ブリーニ、ピサで醸造を学びトスカーナはモンテプルチアーノのワイナリーではプロとして醸造家をしていました。またクラフトジン“ジネプライオ”の造り手でもある若手実業家!

世界で唯一のコッチョペーストタンク、今後もその動向を追っていきたいと思います!

それでは、また次回もお楽しみに!

鈴木暢彦

Instagram @toccaasiena

HP 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com

ロザーティ家のオリーブ収穫 Presented by モンテ物産

イタリア半島の尾根ともいえるアペニン山脈の麓をローマから北上すると、ラツィオ州サビーナDOPエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルの栽培エリアにたどり着く。この栽培エリアに位置するロザーティ社を訪問したのは、つい先日の10月末のことだ。


古代ローマ時代から、このサビーナのエリアは高品質オリーブオイルの生産地として有名だった。
ローマからも車で1時間ほどのこのエリアからは、オリーブオイルがアンフォラ(2本の持ち手があるつぼ型陶器)に入れられてローマの街に運ばれ消費されていたという。実際、サビーナDOPのロゴマークに描かれたアンフォラが、ローマ時代から愛され続けているこのサビーナ・オリーブオイルの歴史を今に伝えている。
▲赤い壺のイラストが古代ローマ時代に使われていたアンフォラを表している
ロザーティ社はサビーナの地で200年以上前からオリーブオイルを作り続けている家族経営のオリーブオイルメーカー。現在はイタリア屈指のオリーブオイル鑑定士である兄のフランチェスコさんと、オリーブ栽培のエキスパート、弟のエルマンノさんによって営まれている。兄のフランチェスコさんの厳しい鑑定・選別とともに、このエルマンノさんのオリーブオイルへの情熱がロザーティ社の品質を支えている。
▲今回案内してくれたエルマンノさん
この日エルマンノさんが案内してくれた先は、ロザーティ社が所有する畑でも最も樹齢の高いオリーブの木が立ち並ぶ畑だ。
「この辺のオリーブの木は樹齢600~700年のものだよ!すごいだろ!一本一本の木がまるで生き物のような特徴的な形をしていると思わないか?長年の歴史の中で、オリーブの木は寒害などに対応しながらこうやって変化していくものなんだよ。」
まるで霊気が宿るかのような偉大なオリーブの木に圧倒される。
エルマンノさんはその古木にたくさん生っているオリーブの実のうちの一粒を取って、こう説明を続ける。

「見てくれ、このオリーブの実を。緑色から黒く変わりかけているところだ。こうやってオリーブの実は、徐々に色が変わっていくんだ。でも全て完熟した黒のオリーブの実を使うとオリーブオイルが甘くなりすぎてしまう。適度に緑のオリーブの青さと苦味が入った方が、よりバランスの良い繊細な風味になるんだ。」

確かに、実際に収穫したオリーブの実が入った収穫かごには、緑と黒のオリーブが半分ずつ。

「オリーブの収穫は、例年10月中旬から12月いっぱいまで続く。10月は緑半分、黒半分。11月は黒多め。12月は熟成が進んだ真っ黒なオリーブが収穫の中心となる。それぞれのオリーブを収穫後、別々に搾油しておき、最終的に全てのオリーブオイルをブレンドしている。こうやって苦味と甘みのバランスの取れた繊細なロザーティのオリーブオイルができるんだよ。」
「当然、収穫の時からこのバランスを考えなくておかなくてはいけない。これには長年のオリーブオイル造りで培ってきたロザーティ家のノウハウが不可欠なのさ!」
 まくし立てるように話すエルマンノさんからは、オリーブオイルへの情熱がほとばしるかのようだ。
実際ロザーティ社のオリーブオイルのバランスは素晴らしい。シンプルにグリルしただけの野菜、シンプルなトマトソースのパスタにかけるだけで、バランスはそのままに、その料理の味をワンランク上げてくれるかのようだ。
「俺の毎朝の朝食は、2切れのパンにフレッシュトマトをのせ、オリーブオイルをたっぷりかけたもの。それだけで最高に美味しいのが俺のオリーブオイルの自慢だよ。」
 エルマンノさんはそう言って、自慢げに微笑む。

皆様にも、ロザーティ社のオリーブオイルを見かけたら是非シンプルに味わってみていただくことをお勧めしたい。数あるオリーブオイルの中でも、ロザーティ社のオリーブオイルのバランスは群を抜いている。シンプルな料理に合わせてこそ、きっとその真骨頂を感じて頂けることだろう。

▲エルマンノさんご夫婦

モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼ロザーティ社についてはこちらから↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/foods/rosati.html