vol.23 パンテッレリーア

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風を纏って旅をする

5月27日。
僕らはエキサイティングなパレルモの取材を終えて、パンテッレリーア島へ向かった。
プロペラ機に乗り込み、シチリア島から約1時間弱。小さな空港に降りた。
地中海の小さな島。6月に入れば学校も夏休みになるオンシーズン目前。島もそろそろ浮き足立っている頃だろうと、こちらもウキウキバカンス気分で上陸したのだけれど、空港はいたって静かで、浮かれた様子は無い。
少し曇りがちな空から差し込む陽差しと、乾いた風が心地良い。
パンテッレリーア島は、1周約50kmの小さな島で、海岸線はほとんどが岩場で黒い印象だ。島の人はあまり海には入らないだとか。それは海がいつも近くにあるからだと言う。分かるような、分からないような。なぜならこの島の様子は、6月に入ってもやっぱりリゾート気分満点の浮かれ模様にはならなかったし(少なくても僕らが滞在していた間は)、とにかく地味な印象だ。でも、その地味さが僕には魅力的だった。おそらくこれから先もさほど変わらないのだろうと思う。とにかく落ち着くのだ。
島民はほぼ自給自足に近い暮らしをしている。
風が強く吹くこの島では、植物は低く地面を這うように育つ。そんな植物のように、地に足の着いた島民の暮らしっぷりが、当然この島の表情に現れているのではないだろうか。
77歳のおばあさんが言っていた。「この島では、良い事も悪い事も風が全てを吹き飛ばしてくれるんだよ。だから、皆島に戻ってくるのさ」
島を離れ一度は街に出る、でもそこで起きた全ての事は、島に戻れば忘れられる。そしてまた家族や幼馴染みと共に島での生活を続けていく。
そう言えば23歳のシェフ、ダリオもやっぱり島がいいと修行を終えて戻ってきていた。
島ってそういうところなんだ。
さあ、風を纏ってパンテッレリーアの旅に出よう。

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