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魅惑のマルケ

魅惑のマルケ

3月後半~4月前半、まだシッビリーニ山脈の頂にはしっかりと雪が残っていたが、パスクアを迎え、日を追うごとに春が近くなってくるのを感じながら、魅惑のマルケを訪ねた。

初めてマルケを訪れたのが確か2000年だった。特にイタリアを行き尽くして辿りついた場所でもなく、旅行博で知った情報に興味を持ち、へそ曲がりで、人と同じことを好まない僕は、メジャーな都市よりも裏イタリアのマルケに行きたい衝動に駆られたのだ。

ウルビーノ、マチェラータ、アンコーナ他、海岸線の小さな村などを回り、ウルビーノももちろんよかったが、特にその時に印象的だったのは、マチェラータだった。旧市街に面してあるスフェリステリオ競技場は、夏はオペラ劇場として盛大なイベントが行われると知った。季節は冬で閉鎖中だったのだけれど、インフォメーションの女性が親切で、特別に開けて中を案内してくれた。ベローナにも行ったことのない僕は、誰もいない大きな古代競技場がオペラ劇場に変身するのを想像してゾクゾクしたのを覚えている。そこから城門をくぐり、城壁で囲まれた小さな旧市街は、すぐに歴史的空間に誘ってくれた。そこにオペラ歌手も訪れる1952年から続く「ダ・セコンド」という名店があり、着任したばかりの女性美人シェフが笑顔で対応してくれ、初めて食べたオリーヴェ・アスコラーナや、ヴィンチスグラッシが印象的だった。女性がらみの思い出は廃れない。

それからしばらく経った2005年、以前勤めていた出版社からマルケとアブルッツォの特集を組んだ旅行情報のムックを企画、出版した。その白地の表紙には、「イタリア好き、次はアドリア海へ」という、なんとも無謀かつ大胆なキャッチコピーを掲げていたから、それだけ魅力を感じていたのだろう。が、しかし残念ながらこのムックはほとんど売れなかった。でも既にこの時〝イタリア好き〟という単語は世に出ていたのだ。

あれからもう幾度となくマルケを訪れている。そこには、海も、山も、そして歴史的建造物や街、職人、食と、観光のフックになる素材は数多く揃っているのに、今ひとつメジャーにならない。だけどマルケは、裏切ることなく、いつもその魅力を存分に見せつけてくれる。特に今回は、ディープマルケにばかり連れ回してくれたコーディネイターの林さんのお陰で、さらに違ったマルケを体験できたし、素晴らしい人々に会うこともできた。そして、いい意味でマイナーイタリアは、メジャーイタリアとは違うステージで戦い、挑戦していることを知ったのだった。そんなマルキジャーニの挑戦と魅惑するマルケを存分に感じてもらい、次は裏イタリア、ディープマルケにアンディアーモ!

編集発行人 マッシモ松本
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イタリア好き、郷土料理を楽しもう! マルケ州

\イタリア郷土料理を巡る食事会 第2回/

前号より再び始まった郷土料理を巡る食事会、2回目はVol.33のテーマになったマルケ州。取材した地、そこで食べた料理をベースに、マルケ州での修行経験もあり、イタリアをこよなく愛する料理人、小池教之シェフのこだわりの詰まった料理でお楽しみいただきます。

小池教之シェフ、広尾の「インカント」から独立し、伝統の食文化をクラシックカーやアンティーク家具のように「護り」、「磨き」、「そして未来へ」をコンセプトに、時代を超えた価値観を表現し、作り上げていくことを目標として、今年3月、四谷に「Osteria dello Scudo」(オステリア・デッロ・スクード)を開業しました。店名には、“scudo”(盾)文字通りイタリアの伝統を“護る”ことを象徴に掲げ、イタリア全土を巡った経験を踏まえ、季節、地域の独自性をテーマに、じっくり、ゆっくりとイタリアを旅する気分にさせてくれる料理で小池ワールドを展開しています。

◆+◆+開催概要+◆+◆

■日時:
2018年6月2日(土) 19:00~(18:30受付開始)
■会場:
Osteria dello Scudo(オステリア・デッロ・スクード)
東京都新宿区若葉1−1−19 Shuwa House 014 1F
http://osteriadelloscudo.net/
■会費:
<会員> 12,000円(税別)/<非会員> 14,000円(税別)
*ドリンクなどすべて込み! 
イタリアズッキーニクラブズッキーニパートナーズ会員+1名まで有効)   
■形式:
着席式
■定員:
16名

◆+◆+当日予定しているお料理+◆+◆

当日のお料理は、本誌掲載の料理(これは本誌発行後のお楽しみに!)のほか、「オリーヴェアスコラーナとフリットミスト(カスタードクリームのフリット含む)」や、「ヴィンチスグラッシ(マルケ風ラザーニャ)」、ウサギ料理などマルケ州らしい料理を提供します。そしてマルケのワインと言えば、ヴェルディキオとロッソ・ピチェーノ、皆様の参加をお待ちしています。


《お申込み方法》
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*参加条件はイタリアズッキーニクラブズッキーニパートナーズ会員様とそのお連れ様1名のみとさせていただきます。
*銀行振込をご希望の方は1週間以内にお振込み願います。
*キャンセル受付は5/28までとなります。

※ズッキーニクラブ、ズッキーニパートナーズ会員の方は、ログインすると会員価格でご購入いただけます(未ログインでは、非会員価格でカートに価格が表示されます)。
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シチリア人の日常に根付く、マルサラワイン(フローリオ社)” Presented by モンテ物産

パレルモ空港から右手にシチリアの海を眺めつつ、南西へ車で1時間半ほど行くとマルサラという街が見えてくる。紀元前から存在する歴史ある街だが、それ以上にこの街と同じ名前の名産品で有名な場所だ。
琥珀色に輝く、うっとりするような甘美な味わいが特徴的なシチリアの伝統酒、マルサラワイン*。ワインにブランデーを加えて作る酒精強化ワインで、スペインのシェリー酒やポルトガルのポートワイン、マディラワインと並ぶ世界4大酒精強化ワインのひとつ。日本でもティラミスなどの隠し味に良く使われている。(*マルサラワインの作り方等の詳細は記事の最後を参照)

マルサラワインを代表する造り手にフローリオ社がある。創業1833年。
▲ライオンの紋章が目を引くフローリオ社のロゴ

実は今回シチリアに来た目的は180年以上の歴史を誇るこのフローリオ社の訪問だったが、マルサラの街に立ち寄ったところ昼下がりのバールでまさにフローリオのマルサラを美味しそうに飲んでいるおじいさん3人組に出会った。

3人のおじいさんの前にはマルサラ・スーペリオーレ・リゼルヴァ”タルガ”のボトルが置いてある。フローリオ社が7年以上熟成させて作るリゼルヴァタイプのマルサラだ。思わず立ち止まって眺めていると、おじいさんの1人が唐突に「マルサラが料理酒だけだと思っているなら大間違いだよ!」とシチリア訛りで話しかけてきた。

「私の息子が日本に旅行に行った時に、レストランではマルサラは料理に使われているだけで飲まれていないと言われたそうだ。いいかい?マルサラは、冬は常温でゆっくり香りを楽しみ、夏は冷蔵庫で冷やしてキュッと飲むんだ。マルサラの美味しさを知らないなんて、日本人は損をしているよ!」
そう言うと近くにあったグラスに”タルガ”を注いで飲ませてくれた。

すると隣のおじいさんがすかさず反論をする。
「だめだめ、美味しいマルサラは夏でも常温でこの複雑な香りと余韻を楽しまないと!」
間髪入れずに3番目のおじいさんが、
「私はいつでも氷を一つ入れて、、、」
と割って入る。

こうなると止まらないのがイタリア人だ。
それからしばらく喧々諤々の議論が続いたが、最終的には、
「とにかく、まずはいいマルサラを手に入れること、そして自分が一番美味しいと感じる飲み方を見つけることだな!」
ということで話がまとまった。

私がお礼を言ってテーブルを離れようとすると、
「君たちもマルサラを飲んでいれば私たちのようにいつまでも元気だぞ!もう50年以上私たちは飲み続けているんだ!」
と最初のおじいさんが笑いながら言う。

そして、空になった3つのグラスに、もう何杯目になるかわからない”タルガ”をなみなみと注いでいった。

1800Lの木樽で5年以上熟成させた、マルサラ・スーペリオーレ・リゼルヴァ”タルガ”。(かつては5年熟成だったが、現在は熟成期間を7年に延ばし、より深みのある味わいとなっている。)
輝きのある美しい琥珀色で、アプリコットや煮詰めたプルーンなどの複雑で甘美な香りが特徴、というのは、このマルサラを知らない人に説明するためには有用な言葉かもしれない。

▲エレガントなボトルと綺麗な琥珀色が特徴的な“タルガ”


ただ、あのおじいさんたちにとっては、若いころからずっと飲んでいる“美味しいお酒”でしかない。

なぜマルサラをよく飲むんですか?という質問は無粋だろう。
もちろん美味しいのは大前提として、それが彼らの日常だからだ。
そしてそれは、シチリアの歴史ある食文化の一端を担っている。

この一件以来、フローリオのマルサラを飲んだことがない方には、
「50年以上飲み続けるシチリアの熱烈なファン3人のお墨付きです」
と言って勧めるようにしている。

これから夏にかけての暑い日にイタリアンレストランに行った際には、
「冷えたマルサラはありますか?冷えていなければロックで。」
と、通な頼み方をしてみてはいかがだろうか?

▲街中でマルサラワインを楽しむ男性。




モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼フローリオ社ワイナリーページはこちら↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/florio.html