堂内あかね のすべての投稿

モデナのソールフードザンポーネとスーパーザンポーネ

イタリアの街は12月に入るとクリスマスの飾り付けが一斉に点灯します。クリスマス気分満載の街並みですが、家族や親戚、お友達のためにクリスマスプレゼント探しに奔走し、師走のなんだか気ぜわしい雰囲気は日本と同じような感じです。

さて、今回はエミリアロマーニャからお正月のイタリアの食卓の定番をご紹介します。
今や北イタリアを中心にイタリア全土でお正月には欠かせない食材のザンポーネ、実はモデナ県が発祥の地です。ザンパとはイタリア語で動物の足という意味。オーネという大きいことを表す接尾辞つくので大きな足というような意味になります。
16世紀にモデナ県はミランドラ市のピーコ一族のお抱え料理人が考えたと言われています。当時フランス軍が押し寄せてきていたモデナ一帯において、自分たちの食いぶちを守るために、軍隊が到着する前に屠殺をした大量の豚の前足に、大量のミンチ肉を詰め込んで保管し、敵の搾取を免れたのがザンポーネの始まりと言われています。
まず、豚の前足から中身を抜き、うら返して塩と胡椒、肩ロースなどの脂身が少なめの肉や、豚の皮、バラ肉を細かく切ったものに、塩、胡椒で下味をつけ、アニス、ナツメグ、メース(ナツメグの仮種皮)、シナモン、クローブなどスパイスで味をつけます。このスパイスの配合は各家庭や、肉屋、メーカーによってその配合は少しづつ違うそうで、モデナの人たちはご贔屓のザンポーネを12月に入るといそいそと買いに出かけます。スーパーにはもう調理されて、真空パックになったものがたくさん並んでいますが、地元お肉屋さん特製のザンポーネを一晩ゆっくりと水で戻し、皮を柔らかくし、余分な塩分を抜いた後、白い布で包み(破裂などを防ぐため)ごくごく弱火で3時間ほど煮たものは絶品。塩気が強いので、味は付けません。
レンズ豆の煮込みや、ファジョーリ コローナという大ぶりインゲン豆の煮込み、マッシュポテトなどと食べるのがモデナの定番。皮を食べるのか食べないのか悩むところですが、残すとザンポーネは皮も食べるものだよ。コラーゲンがいっぱいだから、お肌ツヤツヤになるよ。などとたしなめられます。もちろん普通のお鍋では入りませんのでザンポーネを茹でる長いお鍋が欠かせません。
さて、そんなザンポーネですが、毎年12月の第1週目の日曜日、モデナ県のカステルヌオーボ市でスーパーザンポーネ祭りが行われます。
Superzamponeのサイト掲載写真より

今年は12月2日、話には何度か聞いていたのですが、第30回目のお祭りを初めて見に行ってきました。今回が30回目のお祭り。巨大コテキーノ今回の重量は769kg!2014年にはギネスブック登録のため、1038kgというとんでもなく大きなものを作ったようです。
壇上の司会者によれば、2014年以降は量より質にこだわってますとのこと。この巨大ザンポーネ風呂桶のようなステンレスのお鍋で煮る事48時間以上、お鍋から引き上げられた後、手すりつき台に乗せられ、しっかりと固定された後、クレーン車でゆっくり巨大まな板の上へ。

Superzamponeサイト掲載写真より

地元の著名人によって包丁が入れられた後、お祭りに来た人々へ無料で振舞われます。無料とあっては物凄い数の人、ひと、ヒト!通常は広場の真ん中に鎮座しているブロンズの豚像も今日は影を潜めていました。
やっとの思いで、頂いたのはザンポーネ、ファジョーリ コローナのトマト煮、パン、これに水かランブルスコが一杯。ヨーロッパではプラスティック製容器を2020年までに無くそうという動きがあり、お皿も紙製、コップ、フォーク類に至るまで、自然に還る素材が使われており、ゴミの分別に対してもアナウンスがあったのには感心しました。
街の中にはクリスマスの飾りを売るお店、特産品のサラミやチーズ類、サラミ輪投げなどの屋台が所狭しと出ており、楽しいお祭りでした。
皆さんも来年、出掛けてみてはいかがでしょうか?

スーパーザンポーネサイトはこちらより。

http://zampone.com/

それでは皆様良いお年をお迎えください。


伝統的バルサミコ酢と郷土料理について知りたいという方は見学、バルサミコ酢の試飲会、郷土料理教室を開催しています。(事前予約必須)

ご興味のある方は私のFacebookページ

https://ja-jp.facebook.com/balsamicland/Akane in Balsamicland

にてメッセージをお待ちしております。

 

 

モデナのかぼちゃ

ここ数日ぐっと気温が下がってきた、晩秋のイタリアはモデナ。
今朝はアッペンニン山脈にも雪が降り、地元ラジオニュースでも大げさに報道しているのが耳に入りました。
秋の農作業もひと段落、暖炉や薪ストーブに火が入り、冬支度へ向かいます。日本の秋とは異なり、太陽の国のイメージが強いイタリアですが、モデナの周辺は雨や、霧が多く深々と冷えてくるようなそんな気候です。
秋の初めから、今の時期モデナのスーパーや市場には色々なかぼちゃが並んでいるのが見られます。モデナはイタリアでも屈指のかぼちゃの産地。
娘の小学校では4年生になると地元の農家の協力で、生徒たちが夏休み前に種を植え、新学期が始まってすぐ収穫したかぼちゃ9月下旬の町のお祭りで作ったかぼちゃがを売り出します。色や形も様々。
夏の終わりに収穫されたかぼちゃ、かと言って日本のかぼちゃと比べると、水分が多いタイプが多いのです。日本風に煮物にするとベチャベチャとあまり美味しくなかったり。しかし、所変われば調理法も変わる。地元の八百屋さんに教わったのは、まず半分に切って、またそれを半分に。そして種や皮がついたまま、丸ごと柔らかくなるまでオーブンで焼く。と言うものこうすることによって水分が蒸発し、甘さが増します。


このまま皮と種をむいて付け合わせとしても良いし、マッシャーで潰してスープにするも、かぼちゃのトルテローニにするもよし。バルサミコ酢をかけて食べるのもおすすめ。
水分の少ないかぼちゃは炭火で焼いてつけあわせに、揚げて、お酢とオイルでマリネにしたり、と活躍します。
そしてこの時期、サボールという伝統的なコンフェトゥーラ(ジャム)を作ります。ジャムのようなものですが、ここにも水分が飛んで甘さが増したこの時期のかぼちゃと、完熟したフルーツが入ります。
我が家では庭にたわわに実ったカリンや、マルメロを使い、洋梨、りんご、プルーンなどを入れ、モストコット(葡萄ジュースを煮込んだもの)をたっぷり加え、ゆっくりゆっくり薪ストーブの上で煮込みます。お砂糖は一切加えず、フルーツの糖分だけで煮込むとても優しい味のサボール。三日間煮込んでやっと出来上がりました。
流石にかぼちゃの産地はかぼちゃを比喩にした方言もたくさん
Zócca busa ( Zucca bucata) 穴の空いたかぼちゃ-あんた忘れっぽいよ。
Zócca da vèin (zucca da vino)ワインを入れる下が膨らんだフラスコ型のガラス容器。ただしZóccaが Zóccheと複数形になると胸が大きい女の人を指すそうですが…。

秋本番モストコット造り

本当に暑い暑い日本の夏を過ごされた、イタリア好き委員会読者の皆様いかがお過ごしでしょうか?ここエミリア ロマーニャ州、モデナではブドウの収穫が始まりました。
伝統的な製法でのバルサミコ酢造りをする我が家にも怒涛の時期が始まろうとしています。
我が家にはトレビアーノエミリアーノ種、ランブルスコ種、、サラミーノ種のブドウの木があり、ランブルスコ ソルバーラ種認定の葡萄畑になっています。
基本的に我が家でバルサミコ酢に使う葡萄の種類はトレビアーノ種。黒いバルサミコ酢からは想像できないかもしれませんが、白葡萄なのです。このトレビアーノを使って、バルサミコ酢の唯一の原料となるモストコットを作ります。イタリア語でモストとは葡萄の絞り汁、コットとは煮るという意味で、その名の通り葡萄の汁を煮詰める作業をご紹介します。

まず、手摘みで収穫されたブドウは

間髪おかず除梗機にかけ、半潰しにし、圧搾機にかけ、500Lの大釜の中に入れます
圧搾の状態は、あまり圧をかけすぎると、苦味や雑味が出るので、8分目 くらいにとどめておきます。これはモストフィオーレとも呼ばれ、いわゆる葡萄の一番搾りとでも言うところでしょうか?
そして翌日早朝に大釜に火を入れます。沸騰 直前まで沸かすこと2時間、しっかりとアクを取ります。
そして弱火でゆっくりと沸騰させずに煮詰めること12時間。漆黒の液体モストコットが出来上がります。量にして葡萄100kgからは約350Lのモストコットが出来上がる計算です。伝統的なバルサミコ酢の製法にはこのモストコット屋外で、直火で煮詰めることという規定があり、葡萄の熟成具合や、天気と相談しながら、我が家では約3トンの葡萄からモストコットを作る作業を約一週間かけて進めていきます。
モデナにはバルサミコ酢造りを商売にしておらず、個人でバルサミコ酢の樽を 所有している人が沢山あり、農家であれば、自分の家でモストコットを作る人たちもいます。農家でない人たちは葡萄の場合、明日程度の生産量になると勝手に植えたりすることが法律で禁じられているため、モスト(葡萄の絞り汁)を買って、自分のうちで煮詰めるもしくはモストコットの全ての作業を委託して作ってもらうと言う場合が大半を占めています。
葡萄の出来から、葡萄の収穫、搾る作業は本当に重労働。しかしながら、葡萄の圧搾具合、煮詰め具合や味まで自分たちでコントロールできるのは最終製品にも大きな違いとなって現れるので、大事な作業です。

この時期モストコットを作るお祭りがモデナ近隣では沢山ありますので、もしお近くにいらっしゃる方は見に行かれるととても楽しいと思います。
二つほどご紹介を
モデナノナントラ市
第20回ソーギ、サバ、サボール祭り
9月29日ー30日
日曜日には伝統的な製法で作られた本物のバルサミコ酢の試飲が何十種類も出ておススメ。

10月6ー7日
スピランベルト市
マスト コト祭り
モデナ県にある伝統的なバルサミコ酢づくりを継承する人々が集うバルサミコ酢愛好者協会の各支部が一堂に会してモストコットを作ります。同協会が運営するバルサミコ酢博物館の見学も要予約でできます。

太古からの天然甘味料サバ

日本は例年にないほど早い梅雨明けと猛暑。イタリア好きの皆さまいかがお過ごしですか?

エミリア・ロマーニャ州にも本格的な夏が来ています。

毎年7月上旬には小麦の刈り取りが行われ、

葡萄畑には若いぶどう日に日に実を大きく実らせていきます。


時季としては気が早いのですが、今回は実ったぶどうで作る天然の甘味料サバのお話を紹介します。


9月の中旬から下旬にかけて収穫される完熟のぶどう、ワイン造りはもちろん、バルサミコ酢作りに使うモストコット(ぶどう果汁煮詰め液)、それをもっと煮詰めたサバという天然甘味料を作ります。ワイン同様その歴史は大変古く、古代ローマ時代から大量に採れるぶどうの加工品として、蜂蜜と並ぶ貴重な甘味料として珍重されてきました。現在でも家庭で作る方が結構いらっしゃるのです。


まずは収穫したぶどうを果粒と果梗に分け、実を潰してモスト(ぶどうの汁)をとります。写真上は古い木製のモストを取る農工器具、ない場合家庭ではタライの中で足踏みで。


それを鍋に入れ、沸騰直前まで温めて灰汁をしっかり取った後、

ゆっくりと沸騰させないように煮詰めて行きます。


写真は約12時間後くらい煮詰めた所。もう漆黒の艶のある液体に変わっています。このように直火で、屋外においてぶどうの絞り汁を12時間ほど煮詰めたものがモデナではモストコットと呼ばれ、伝統的なバルサミコ酢の唯一の原料として使います。秋に作ったこのモストコットは大きな容器に入れられ、酵母によるアルコール発酵を行います。それをバデッサと呼ばれる大きな木ダルにおいて酢酸発酵させた後、大きさ、木の材質の違う樽のセットへと移し替え最低でも12年、毎年の液体の移し替え作業を行いながら熟成を行います。


写真はレオナルディ社の伝統的な製法で作られるバルサミコ酢の醸造室の様子。

横道に逸れましたが、今回ご紹介するサバは天然の甘味料として使いますので、アルコール発酵しないように、モストコットをさらに24時間合計36時間ほど煮詰め、それを熱いうちに容器に移し、保存したものです。すると、熟成されている間、瓶内で化学変化が起き、澱が瓶の底に貯まります。家庭で作ったものは、クリスマスのお菓子に使ったり、お料理に使ったり、次のぶどうの収穫まで大事に使われます。


レオナルディ社のサバは、厳選されたバルサミコ酢の醸造に使用するぶどうを使用し、ゆっくりと煮詰めた後、なんと一年しっかりと熟成させて、澱をしっかり沈殿させた後、フィルターを通したものを瓶詰めしているので、ぶどうの香りはもちろん、熟成段階でゆっくりと発生した有機酸の香りが混ざり合い味の点でも、香りの点でも素晴らしい製品です。とてもぶどうだけで作られたとは思えないお味です。


伝統的な製法で作られたバルサミコ酢は、お値段もさることながら、なかなか流通しませんので、日本はもちろん、イタリア国内でもなかなか手に入らない希少品。私からのちょっと変わったサバの使い方のオススメは、ワインビネガーとサバを一対一で混ぜ合わせ、即席バルサミコ酢を作ること。カラメル色素や濃縮還元ぶどう果汁を使ったようなバルサミコ酢より、ずっと上質で上品な味になること請け合いです。
余談ですが、我が家ではみりんがないときに、みりんの代わりに使ったり色々重宝しています。


レオナルディ社

http://www.acetaialeonardi.it/

リミニ ウリッセフェス


イタリア好きの皆さん、いかがお過ごしでしょうか?イタリアはついに小学校が夏休みに入ってしまいました。新学期が始まるのは、9月15日!日本の小学生の倍の長〜い夏休み。どこの親も子供たちに海に山にどうやってこの長い夏休みを過ごさせるか、悩みの種なのです。今回の記事はちょっと嗜好を変えて、私がイタリアで関わった日本の紹介のお話です。


イタリア屈指のリゾート地である、エミリアロマーニャ州のリミニにて、旅行ガイドブックのシェア世界一のロンリープラネットが、旅行フェスタ ウリッセフェスというイベントを6月の8、9、10日に開催しました。テーマは「海の向こう」。


リミニの海岸沿いを始め、リミニの街のあちこちにも色々なスタンドが準備されていました。


全世界から参加があり、今回のテーマ国の1つは日本。日本政府観光局の方から、私が10年顧問をしているトリノの日本料理レストランJaps!を通じ、8日のオフィシャルオープニングパーティー「ガーラディナー」にて、日本紹介のビュッフェをお願いされました。場所はリミニ5つ星ホテル Grand Hotel


ロンリープラネットの創業者、トニー ウィーラー夫妻はもちろん、リミニの市長、報道関係者、ブローガー、スポンサー各社などなど150人が参加。

グランドホテルクラウディオ ディ ベルナルド エクゼクティブシェフ   はマスカルポーネのトルテッリを(カラフルなソースで仕上げてます。

ラ ブカリストランテ のステファノ バルトリーニシェフはハマチのカルパッチョ

スペインはカタルーニャのルイス フェルナンデス プンセトシェフはタコのカタルーニャ風を

私は鰹節と出汁ということで、お好み焼き風卵焼きと冷やしたぬきそばをお出ししました。日本人が普段食べているものを星付きレストランのシェフのお料理に混ぜても遜色がないのは、日本のお料理の底力だと本当に思いました。


冷やしたぬきそば、各国関係者にかなり人気で、トッピングもこれはなんですか?と質問ぜめ。シェフの皆さんも後で味見させてね。と興味津々。本当に日本への興味の高さを感じた1日でした。海外にいると、日本に興味を持っていただけるのは日本人として、とても嬉しいこと。またこういう機会があったらいいなぁと思った次第です。

ウリッセフェスオフィシャルページ

http://www.ulissefest.it/

トリノ日本料理レストラン Japs!

http://www.japs.it/

JNTO 日本政府観光局

https://www.jnto.go.jp/

 

5月の行事

緑が眩しい5月、エミリア・ロマーニャ州、みなさんいかがお過しですか?ぶどうの新芽も芽吹き、花芽も付いてきました。


この時期は毎年色々忙しい時期でもあります。イタリアの小学校は6月10日前後から年度が終わる(9月始業式、6月終業式)ので、習い事の発表会、年度末のクラスの担任の先生を囲んで夕食会(大体がピッツエリーアでピザというパターン)などなどに加え、結婚式、洗礼式、聖体拝領式などなど宗教がらみの行事も盛り沢山なのです。


特に5月は聖母マリアの月、教会、普段は開けない個人所有の礼拝堂などを開帳して、ロザリオを行います。その歴史は古く、中世からあった習慣であるとか。我が家でも5月は毎晩、礼拝堂を開けて、ロザリオをしています。


そして、この時期多いのが聖体拝領式。

地域によって多少違いがあるものの、小学校4年生でミサの時に配られるキリストの体を象徴するイーストの入っていないお祓いをされているパンいわゆる聖体を拝領できることができます。

ここまでくるには約一年半ほど、毎週日曜日に教会に通い、キリスト教徒として知らなくてはならないことを勉強し、前週までに懺悔をして式に臨みます。

イタリアは宗教と政治は切り離している国とはいえ、カトリック総本山バチカンのお膝元、かなりの割合でこの聖体拝領式をします。日本でいう七五三のような感覚に近いかもしれません。ミサには子供達の晴れ姿を見ようと、両親はもちろんのこと、親戚一同が押しかけて教会はまたとない大混雑。


そして聖体拝領式の時には、ここの辺りではズッケリーニという直径2cmのリング状になったクッキーを食べる習慣があるのです。材料は小麦粉、砂糖、卵、バター、ベーキングパウダーで作られたシンプルなお菓子です。


イタリアの母の日も日本と同じ5月の第2週の日曜日。聖母マリアの月の真ん中にあるのです。

ランボルギー ニミュージアム

すっかり初夏の様相のエミリア・ロマーニャ州モデナですが、

皆様いかがお過ごしですか?

モデナといえばフェラーリですが、もう一つ高級車メーカーランボルギーニもモデナの街に隣接したサンタアガタボロニェーゼ市にはランボルギーニミュージアムがあることは意外と知られておりません。

2001年にオープン後、2016年にリニューアルしたミュージアム

畑の中の一本道に突如現れた感じの外装、工場とともにミュージアムが併設されています。


ランボルギーニの始まりはトラクターを作る会社で、

スーパーカーのイメージが強い今でも、こんなトラクターを製造しているんです。


ランドルギーニの創設者フェルッチオ ランボルギーニがフェラーリの創設者エンツオ フェラーリに工業機械メーカーのオーナーらしく、彼の考えた改善案を書簡を送ったが、採用は丁重にそのため、それならせっかくなので自分で商売としてやってみようと、高性能、高級GT(グランツーリズモ)作成に乗り出した、という話は有名。

さてさてミュージアムの中に入っていきますと


気分も浮き立つようなパネルが受付手前にあり、受付嬢が迎えてくれます。予約をすると、ガイドもつけていただけるそうです。


Countach カウンタックLP400 イタリア語ではクンタチ(コンタチ)と発音され「素晴らしい」という意味にピエモンテ方言だそう。

発売当時(1974-78)としては画期的なデザイン、と機能性でスーパーカーの火付け役になったとか。


12気筒エンジンも展示されてます。


こちらの白いLamborghini Huracán RWD 

フランシスコ教皇に寄付され、2018年5月18日にサザビーズのオークションにかけられることになっており、売り上げは全額 ACSという教会附属の慈善団体に寄付されるそう。

フランシスコ教皇の直筆サインが入っていました。


このランボルギーニ博物館、公式ページではボローニャ駅からの行き方しか出ていませんが、時間的にも距離的にもモデナ駅からの方が断然近くて早いので参考にしてみて下さい。

モデナ市バスステーションより552番のバスで30分

ボローニャ市バスステーション576番のバスで55分

工場見学、ガイド付き見学は要予約

ランボルギーニミュージアム公式サイト

https://www.lamborghini.com/it-en/experience/museo

 

復活祭とその裏側

エミリア・ロマーニャ州からBuona Pasqua!復活祭おめでとうございます。桜はまだですが、やっと桃や、プルーンの花が咲き始めグッと春めいてきました。「イタリア好き」の読者の皆さんは、復活祭の食事についてはきっと馴染みがあると思いますので、あえて今回は復活祭を待つまでの宗教的な習慣と食事の制約という美食の国の裏側にレポートしてみたいと思います。


日本では馴染みの薄い行事ですが、キリスト教ではキリストが死後、3日後に復活をしたことを祝う日で、宗教上ではキリストの生誕を祝うクリスマスよりも重要な意味があるそうです。毎年日にちが変わるのは、春分の日後、最初に来る満月の後の日曜日という決まりがあるからだそう。そこから逆算して、カーニバルから復活祭までの日にちが決まるのです。

今年は2月14日が灰の水曜日から40日間クワレーズイマ(四旬節)に入りました。四旬節の間イタリアでは伝統的に食事の制約、祝宴の自粛が行われ、特に金曜日には肉を断つという習慣があるのです。え、いまだにそんなとをやっているの? と思われるでしょう。ええ、案外多いのです。結婚式などのお祝い事を控えるのはもちろん、周りのイタリア人の友達に聞いたら、案外若い世代でも、四旬節の間は甘いものを断つわ。とか、今年はワインを断つぞ。とか、ソーシャルネットワークを控えるとかそういう節制をしている方もいました。


金曜日の肉を断つ。厳格に守っているお年寄りは多く、灰の水曜日のミサでも「金曜は肉を断つ。これにはサラミや、ハム類も入っていますから、気をつけるように。」との注意が神父様のお説教の中に、それに激しく頷くお年寄り…。これぞイタリア屈指の豚肉加工品の産地エミリア・ロマーニャを垣間見た気分でした。そんなわけで、金曜は肉断ちの日。仏教ではないので、魚は大丈夫。お魚屋さんの店頭の魚の種類も増えます。


40日後は四旬節の最後の日はドメニカ デッラ パルメ(枝の主日)。キリストが、エルサレムに入場した日、そして大受難の週の始まりのミサがあり、イタリア語では椰子を意味するパルメが使われますが、ミサの後には祝福されたオリーブの枝が配られます。ちょうど、この時期イタリアではオリーブの剪定が行われるのでオリーブの枝。勿論エミリア・ロマーニャ州ではオリーブは育たないので、トスカーナ州あたりから、トラックいっぱいの枝が運ばれてくるようです。普段ミサに行かないような人も、この日は教会に枝をもらいに行きます。


この週はキリストが十字架に磔になった日に当たる聖なる木曜があり、大きな十字架を掲げてキリストがゴルゴダの丘に十字架を担いで登るシーンを再現するような、市中を十字架を持って練り歩きながらのセレモニーがあります。ちなみにこのみミサ、一年の中で一番長いミサでもあり、2時間以上かかる場合もあります。

復活祭直前の金曜日はキリストの死を悼むので、絶食に近い最小限の食事をします。そして教会ではミサは行われません。


我が家では土曜日には神父さん、を呼び、家族全員が揃って家の祝福(お祓いみたいなもの)、復活祭に使う羊と、生命の象徴である卵なども合わせてオリーブの枝と聖水(水と塩が入っていて、お祈りさせた水)で邪気を払います。もちろん我が家のバルサミコ酢醸造室もお祓いしてもらっています。


そして待ちに待った4月1日復活祭!もちろん大昼食会の前にはミサに行き、復活祭のウサギが持ってきてくれた(?)巨大なチョコレート卵を探したり、夜遅くまでお祝いが続くそんな復活祭。

このレポートはあくまで、敬虔なクリスチャンの家庭の場合で、全てのイタリア人の家庭がミサに行き、四旬節を実践しているわけではありませんが、こうやって待つ準備の期間は復活祭の楽しみを倍増させてくれるなと思ったのでした。

 

本物のバルサミコ酢とは?

伝統的製法のバルサミコ酢


やっと春らしくなったと思ったら、また週末から気温が下がりそうな、エミリア・ロマーニャ州ですが、皆さんいかがお過ごしですか?
今日は伝統的製法で作られるモデナのバルサミコ酢(ABTM Aceto Balsamico Tradizionale di Modena)のお話をしたいと思います。

伝統的製法で作られた本物のバルサミコ酢を口にした事がありますか?


この写真の棚の中には1つも伝統的製法で作られたバルサミコ酢がありません。日本の方で、伝統的製法で作られた本物のバルサミコ酢を口にした事がある方はいったい何人いらっしゃるでしょうか?イタリア人でもほんの一握りの方しか口にした事がないと思います。
「バルサミコ酢」という名前のついたお酢は世界中に流通していますが、伝統的な製法で作られているバルサミコ酢は、現在流通しているバルサミコ酢の0.01%です。これだけ名前が知られているのに本物を口にした事がないという食品も珍しいと思います。

伝統的製法で作られているバルサミコ酢に見分け方


見分け方は、実はいたって簡単。
原料と価格をみてください。
原料モストコット(ぶどうの絞り汁を直火で煮て濃縮したもの 写真)、樽での熟成期間が12年以上である事。価格はイタリアモデナで100mlの瓶が、12年もので40ユーロ前後、25年もので90ユーロ前後。勿論日本に入ればこの3倍近くの値が付くことは必須です。

フィアットかフェラーリか?


例えていうならば、フィアット社の赤い車、フェラーリ社の赤い車。同じ四つのタイヤの道路を走る赤い車ですが、かたや世界中の工場で大量生産された大衆車、もう一方は全てモデナの工場にて一台づつ手作りされた超高級車。バルサミコ酢も同じ事工場で大量生産されたものか、原料を吟味し、手作業で何年もかけて熟成されたものでは自ずと価格にも跳ね上がってくる。同じことです。

バルサミコ酢の試飲鑑定士(バルサミコ酢のソムリエ)


日本にはあまり知られていないのですが、伝統的なバルサミコ酢にはモデナ県スピランベルト市にある「バルサミコ酢博物館」を併設する愛好者協会公認の試飲鑑定士の資格が存在し、私はそのマエストロ試飲鑑定士資格を取るために試飲鑑定会に参加し、勉強をしているところです。試飲鑑定士の資格はまず、年に一回行われる10回の理論講習会の受講、年間40種の試飲を4年間続けたあと試験を通りAクラスへ、その後年間80種の試飲鑑定をコンスタントに続けた後、試験を通り晴れてマエストロ鑑定士に昇格するというバルサミコ酢醸造年数並みの時間がかかる資格です。9月から3月下旬までモデナ県にある各支部で鑑定会が催されています。4月からは6月下旬の協会が行う品評会に向けて教会に持ち込まれたサンプルの鑑定会が毎日行われ、鑑定士はボランティアで2000種ものサンプルを鑑定し品評会の勝者を選びます。私は年間80から100種のサンプルを鑑定するように心がけています。

バルサミコ酢の鑑定


バルサミコ酢の鑑定はテーブルに5-6名の試飲鑑定士がかけ、理化学分析され基準値を通ったサンプルを先ずは蝋燭の炎にフラスコをかざし、先ず視覚検査の色、濃淡、粘度を、次にフラスコを回しながら香りを4指標に点数化、そしてさらに味の奥行き、広がり、糖度酸味、バランスなど5指標を点数にして400点満点で採点します。その後各テーブルの話し合いと平均値を出し1サンプル20-30分の時間をかけて鑑定します。
鑑定対象は伝統的製法で作られるバルサミコ酢。原料はモストコット(葡萄の絞り汁を直火で煮詰めたもの)のみですので、酢の市場に出回っているほとんどのバルサミコ酢が試飲鑑定の対象にもならないというのが現実です。

バルサミコ酢の醸造伝統と継承


鑑定会に参加している方は生粋のモデナ人が多く、皆さんバルサミコ酢の醸造室をお持ちで、ほとんどの方が自家用なのです。
日本で酒や酢を作るという事は、原料が穀物でがあるために複雑な作業工程を経なければなりませんが、ヨーロッパにおいて葡萄を原料にして作るお酢やワインは家で作るものという歴史があり、その昔からモデナの貴族や土地の有力者など余裕のある階級では、バルサミコ酢は各家で作られるものでした。
それは今でも変わらず、モデナ人の間で、アチェタイア(バルサミコ酢の醸造室)を持つこと、バルサミコ酢の樽を所有することはステータスシンボルでもあり、代々続いたアチェタイアを並々ならぬ情熱を持って継承しているのです。

 

 

バルサミコ酢愛好者協会会長と


昨日はカステルフランコ市支部の最後の鑑定会の日でしたので、グランマエストロ(バスサミコ酢愛好者協会 会長)のマウリッツイオ フィーニ氏とお話ができました。
Akane以下A:試飲鑑定会いつもながら盛況ですね。ボランティアで無償で鑑定会を企画してくださる方たちにはいつも頭が下がります。(私が今回参加した試飲会は全5回 80名ほどの参加でした)
Fini氏以下F:そうだね。貴方も含めて、協会の会員みんな熱心に参加してくれるからね。
A:日本を含めて外国にはなかなか伝統的製法で作られる、バルサミコ酢の事、モデナの家庭で守られて来たバルサミコ酢が知られていないことは、すごく残念で歯がゆいのですが…
F:バルサミコ酢という名前で生産されているうち、伝統的な製法のバルサミコ酢は0.01%。DOP商標をつけて出したモデナの全アチェタイア(バスサミコ酢の醸造所)の合計ボトルが去年は20万本。東京の人口は?
A:約1400万人です。なるほど、数字にすると希少さが明白です。しかもこの数全世界に向けての数な訳ですから、本当に一握りの人しか味わった事がないわけですね。私は愛好者協会の一員ですし、婚家に継承されているバルサミコ酢の樽があるのでこういう伝統を日本に紹介しなくちゃならないという使命感に駆られているんです。愛好者協会の会長としては、どう思われます?
F:もうどんどん紹介して下さい。スピランベルト市のバルサミコ酢博物館、ホームページも含めぜひ日本の方にも見に来て頂きたいね。
A:ぜひ紹介させてください。お時間頂きましてありがとうございました。

フィーニ氏は今年で会長就任2年目ですが、もう何十年もバルサミコ愛好協会の評議委員としてボランティアをされており、バルサミコ酢を愛してらっしゃる方。細やかな気遣いで、会員の信頼もとても厚いのです。


スピランベルト市にあるバルサミコ酢博物館はこちら

http://www.museodelbalsamicotradizionale.org/ita/index.htm
バルサミコ酢の試飲テスト(要予約)も可能です。

 

バルサミコ酢醸造の話を紹介している私のFacebookページはこちら

https://ja-jp.facebook.com/balsamicland/

 

エミリア・ロマーニャ州よりご挨拶

ご挨拶

皆さん、はじめまして、堂内あかねと申します。
エミリア・ロマーニャ州を代表して、この度記事を書かせていただくことになりました!

 

エミリア・ロマーニャ州ってどこでしょう?


エミリア・ロマーニャ州は北イタリアに位置し、イタリア最大のポー川が流れ、広大なパダーナ平原があります。私が住んでいるモデナは州のほぼ中心です。


 

食の宝庫、イタリアの台所と呼ばれる所以

伝統的バルサミコ酢作りが発祥した地であり、この地域だけを取ってもランブルスコワイン、生ハムに、パルミジャーノレッジャーノチーズの生産が盛んです。
古代ローマ時代の記述にも、農作物の豊富さの記述が残っており、現在でもエミリア・ロマーニャ州は小麦、大麦、バルバビエトラ(砂糖大根)、米、フルーツ、ワインの生産量がイタリア一位。
まさに食の宝庫、イタリアの台所です。
また皆さんもご存知の様に、フェラーリや、ランボルギーニなど世界に誇る名車の生産地です。

 

バルサミコ酢にかける情熱


伝統的製法で作られるバルサミコ酢の醸造に関わる様になって約10年。
初めて本物のバルサミコ酢を味わった時の事は忘れられません。
その後夫となる人の両親を初めて彼から紹介された事より、衝撃的だったかも…そのくらい衝撃的だったんです!
今から15年近く前ですから、日本には一番安い価格帯のバルサミコ酢が入ってきて間もない頃で、本物のバルサミコ酢のことなど微塵も知らなかったのです。薄暗い屋根裏部屋の扉を開けた瞬間、真っ黒い樽から漂う香りは「芳香Balsamo」と呼ぶのに相応しいものでした。味見をさせてもらった瞬間、私の知っているお酢という食べ物とは全く違う未知の食材だ。と思った事それがすべてのはじまりでした。
詳しいお話はまた次回。

悠久の昔から今へ続く食と文化のレポートをバルサミコ酢にかける情熱と共にお届けしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

2018年3月1日朝から珍しく雪のモデナより


 

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