イタリア料理業界で活躍する話題の料理人の半生と、思い入れの深い一皿にまつわるストーリーをご紹介します。今回は千葉県志津市にあるTripperia IL RAZZOの小山裕之(こやま・ひろゆき)さん(50)にお話を伺いました。女性もはまる、ランプレドットのパニーノ

店内に一歩入ると、どこからか旅の気配が漂ってくる。壁にはフィレンツェの街並みや食材のスケッチが。小山さんが31歳のとき、半年間を過ごしたフィレンツェで描いたものだという。「あの情景を自分の表現で残しておきたくて。独立したら店に飾りたいなと思っていました」と照れながら笑う。
当時、既に料理人として10年近い経験のあった小山さんだが、先輩たちが口をそろえて絶賛していたランプレドットのパニーノを食べたのは、このときが初めてだった。「Vespaの三輪トラックで親子が営む屋台で、味もおいしくて、佇まいもカッコいい。すっかり惚れ込んでしまったんです」いつかこういうのをやってみてもいいなぁと、漠然と想像したという。
帰国後は千葉市の名店「トラットリア・アルベロ」の料理長として18年間務め上げた。「厨房にこもりきりでしたが、お客さんとは料理を通じて会話をしていると思ってやっていました」小山さんは、こうして料理と食べてくれる人に、ひたむきに向き合い続けてきた。
そして2025年10月、念願叶ってついに自身の店を構えることとなった。看板メニューはあのランプレドットにしよう。でもこれまでのレストランの経験も生かしたい。そこで小山さんが思い付いたのは、コース料理内の選べるメニューにランプレドットを組み込むという、斬新なアイディアだった。
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これがランチで女子会をする客たちの目に留まった。「ランプレドット? 食べてみようかな」そのおいしさに魅せられた女性たちが、家族や知人を連れてまた来てくれるのだという。
小山さんにとってはホールを切り盛りする妻・昌代さんの存在も大きい。「誰よりも信頼できる最強のパートナーです」と言い切る小山さんに、屈託のない笑顔を見せる昌代さん。そんな温かい空間で味わうランプレドットのパニーノ。おいしさと幸せに浸ってしまった。
〈レシピ〉
がぶりと頬張るわんぱく感とは裏腹に、ランプレドットのふるふるな軟らかさと、素朴なうま味に驚く。サルサ・ヴェルデがさわやかに香り、後味もあっさり。イメージとのギャップに心を掴まれる!材料
★要確認 食材の内容&おおよその分量【ランプレドット】(約10人分)
・ギアラ 1kg
・タマネギ 2個
・ニンジン 1本
・セロリ 1本
・ローリエ 1枚
・水 材料が浸かる程度
・白ワイン 水の1/5程度
・原塩(普通の塩でもOK) 大さじ3
【サルサ・ヴェルデ】(約10人分)
・イタリアンパセリ 約1束(100g程度)
・アンチョビ 8〜10切れ(100g程度)
・ゆで卵の白身 1個分
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル 200ml
・ワインビネガー 20ml
・パン 20g
【ロゼッタパン】
・ロゼッタパン(バケットで代用もOK) 食べる人数分
※作り方は割愛。
ランプレドットの作り方
1)香味野菜を切る。タマネギは皮を剥き輪切り方向に1/2に、ニンジンは1/4程度のざく切りに、セロリは葉も含め鍋に入る程度の大きさにする。
2)1とギアラ、ローリエ、原塩を鍋に入れ、材料がひたひたに浸かる程度に水とワイン(4:1の割合)を入れたら、強火にかける。
3)アクを丁寧に取る。
4)アクが出なくなってきたら、弱火にして3〜4時間程度煮込む。鍋肌に材料がこびり付かないように、時々かき混ぜる。水分が少なくなったら水とワインを少しずつ足す。

5)最終的にギアラに菜箸がスッと入るくらいの軟らかさになったら火を止める。(全体量は半分程度になっている)

※店ではこのあとさらに、スープを漉して味を調えている。
サルサ・ヴェルデの作り方
ランプレドットを煮込んでいる間にソースを作る。1)イタリアンパセリの葉を枝からちぎり取る。
2)パンにワインビネガーを浸しておく。
3)1、2、その他の材料をミキサーにかける。
パニーノの作り方
1)ロゼッタパンを半分に切る。下半分を中身を軽くくり抜いて器のようにする。
2)ランプレドットを取り出して、食べやすい大きさにカットする。
3)2を1のロゼッタパンに盛り、塩コショウ(分量外)をし、さらにサルサ・ヴェルデを載せる。(お好みでトウガラシオイルを少量振り掛けてもよい)
4)ロゼッタパンの上半分の断面を、ランプレドットの鍋のスープに軽く浸し、パニーノに蓋をして完成!
ポイントギアラは鮮度が命!臭みが少なく、食感も軟らかく仕上がります。ギアラを茹でこぼすレシピもありますが、小山さんのレシピは始めからギアラと香味野菜を一緒に火にかけることで、一度スープに溶け込んだうま味を逃さずに凝縮させることで、素材の味を最大限に生かしています。
サルサ・ヴェルデはパセリの香りとビネガーの酸味のバランスが大切で、パニーノのいいアクセントになりますよ!
Tripperia IL RAZZO
千葉県佐倉市上志津1660-35 中村第一ビル1F
043-308-8814
https://www.instagram.com/tripperia_il_razzo/
京成志津駅から徒歩1分。ゆったりとしたのギャラリーのような空間で、肩肘張らずにコース料理を楽しめる。トスカーナの内臓料理のほかに、リゾットや手打ちパスタなど、親しみやすい料理もそろう。
文:宮丸明香 写真:遠藤素子
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