居心地が悪〜い夕食会?!トスカーナでジビエづくし

トスカーナでジビエづくし料理

先日、イタリア人の友人たちに誘われてカッチャトーレ(猟師)たちが狩って自らが料理するという「イノシシ他ジビエづくしディナー」に参加してきました。フィレンツェを州都とするトスカーナ州ではイノシシや鹿、子鹿などのジビエ料理はポピュラーで多くのレストランで食べられます。ちなみに日本で浸透している”ジビエ”はフランス語、イタリア語ではselvaggina(セルヴァッジーナ)といいます。ついでにイノシシはcinghiale(チンギアーレ)、鹿はcervo(チェルヴォ)やノロジカはcapriolo(カプリオーロ)です。

ジビエ料理はそんなに得意ではない私は、「ジビエづくしの夕食会は少々厳しいかも・・」と思ったのですが、久しぶりに会う友人たちも参加することから、とりあえず行ってみることにしました。日本の今年の干支は亥ですし、イノシシ料理はなにかご利益があるかもと願いつつ。。。

 

なんとも居心地の悪〜い夕食会?!


場所はフィレンツェから車で1時間ほどの、アレッツォ近くのポンティチーノという街。この日はミラノやローマなど遠方から来る人達もいて総勢50人ほどが集まりました。途中の車中で、今回誘ってくれた友人に「実はそんなにジビエって得意ではないんだよねえ・・。」と打ち明けると、「私もなのよ〜」と友人も料理内容には少々不安な様子。「食べられそうなものを食べようねえ」と言いながら会場に入りました。


しか〜し、建物内に入って驚愕。壁中にイノシシやら鹿の剥製の首、なにかよくわからない動物の頭蓋骨がこれでもかっていうほどたくさん・・。しかも壁中にはカラー写真が多数貼られているのですが、遠目に見ても撃ち殺した動物を手に抱え持ち上げている類の写真ということがわかり・・・。


全ての壁がこうしたもので覆われているので、どの席に座ってもどれかの動物と目があってしまうという・・。「悪趣味すぎる〜〜〜(涙)こんなところでジビエ料理を食べるの〜!?」と入り口で固まってしまいました。隣を見ると、友人も絶句している様子。


生まれて初めて食べる驚きの料理は〇〇の生肉!

鹿の頭の剥製はあまりに巨大なので「それほど現実味がない、偽物っぽい」と自分に言い聞かせながら、鹿の頭を前方に見る席に座りました。既に並んでいるアンティパスト(前菜)は見るからにお肉づくし。


内容は、イノシシのプロシュート各種、イノシシのサラミ各種、イノシシのラグー(ミートソース)のブルスケッタ、イノシシのSoprassata(ソープラッサータ)=頭部分をゼラチンで固めたもの、トマトソースのブルスケッタなど。イノシシのプロシュート&サラミはさすがのハイクオリティ。周りのイタリア人たちも絶賛しておりました。

これらは過去にも食べたことがありましたが、イタリア人もびっくりの一品が紛れ込んでいました。それは、「ノロジカ(バンビ)のタルタル=生肉のタタキ!」上の写真の左上のお肉の山がそれ。

そもそも生肉は苦手な上にバンビの生肉とは・・・。これにはなかなか手をつける勇気が出ず、躊躇していたのですが、周りが「美味しいよ〜。すごくデリケートな味だよ、絶対問題無く食べられるって!」とあまりに勧めてくるので、これで口にしないのも場が白けるしなあ〜と、急にNOの言えない日本人状態になって思い切って口にしました。感想は・・・確かにデリケート。癖がなく味そのものが薄い。美味しくもまずくもないというのが正直なところ。

ただ、ねっとりした口当たりがどうにもいかにも生肉という感じがして、二口でギブアップ。残りは前に座っていた大食いの友人のお皿にこそっと移しておきました。


アンティパストを食べている時に、猟師さん登場。「この人、どのくらいのイノシシを狩ったんだろうか・・」などとそんなことが頭をよぎりましたが、白いいんげん豆を添えたブルスケッタを手渡ししてもらいました。


プリモピアット(一皿目)はイノシシのラグー(ミートソース)のパスタ。イノシシの肉は牛肉より味が濃いというか、甘みがあるというか、どっしりした味わい。濃厚なミートソースです。


セコンドピアット(二皿目、メイン料理)の1つめは鹿肉の煮込み。写真で黒いのはオリーブ、白いのはポテトです。人参や玉ねぎの甘みがしみわたった味わい深い一品なのですが、なにしろこの料理にたどり着くまでに既に生肉を含めた大量のお肉を消費しているわけで、「う〜ん、重そうな料理・・」という印象。とても美味しいけど実際なかなかヘビーな一品でした。


もうお肉はおなかいっぱい!というところへ、さらにもう一品お肉料理が。ノロジカのコトレッタ(フライ)でした。私は小さい一切れだけ頂きましたが、周りのイタリア人たちは何枚もぺろりと食べていました。やっぱりイタリア人は良く食べるなあと見ているだけでさらにお腹がいっぱいに。ヘビーなお肉料理で疲れた胃に優しそうなサラダを食べたら、悲しいかな、オイルがたっぷりからめられたサラダで野菜までヘビーとは・・撃沈。


既にお腹いっぱいになっており、また胃もたれも感じ始めており、デザートには全く期待しておらず、フルーツでも出してくれないかなと思っていたのですが、これまた見た目にヘビーそうなデザートが登場。しかーし!これが超美味しかった!写真左はナッツとチョコレートのケーキ、右はリコッタチーズケーキでしたが、このリコッタチーズケーキが絶品。デザートは別腹とばかりにぺろりと頂いてしまいました。


食事の最後は食後酒。グラッパ(ブドウの蒸留酒)かヴィン・サント(トスカーナの甘いワイン)を選べましたが、消化促進にはグラッパがいいとはわかっていながらヴィン・サントを。もちろん自家製で、とっても美味しく頂きました。

やはり、美食の国イタリア。この国にはまだまだ色んな料理があるものだと感心させられた夕食会でした。さんざんヘビーだの書いてしまいましたが、どの料理も素材を生かした美味しい料理でジビエ料理好きな方にはたまらないディナーだと思いました。

ただ・・・料理の内容はともあれ、壁の動物たちからなんだか責められているような気がしながら食事をするという、罪悪感のあるちょっぴり居心地の悪い夕食会ではありました。この日の夜は大量のお肉の消化ができず胃もたれでなかなか寝付けなかったのですが、これはもしや動物たちの呪いかも・・なんてちょっと思ったり・・・。夕食会の最後にみんなから「来年もまた来ようね〜!」と言われましたが、正直少し懲りたかな。。。

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世界で最も美しい広場、シエナ・カンポ広場の1年

皆さん、こんにちは!

今回はトスカーナ州の中世都市シエナの町の中心にあるカンポ広場(Piazza del Campoピアッツァ・デル・カンポ)を写真とともにご紹介します。


イタリアでは、大なり小なりどのような町に行こうともその中心には人々が集う広場があります。

数多くあるイタリアの美しい広場の中でも、世界遺産シエナの中心街にある『カンポ広場』は世界で最も美しい広場の1つともいわれています。

独特のフォルム

カンポ広場を価値づける大きな特徴の一つがそのデザインです。

9つのラインが引かれるお扇形をした全体のフォルムというのも独特ですが、さらにそこへ傾斜が加わります。


世界の多くの広場は、平面の作りとなっていることが通常ですが、カンポ広場は向い正面のマンジャの塔及びパラッツォ・プッブリコ(市庁舎美術館)を囲むように緩やかな傾斜のある広場となっているのです。

この傾斜は、当時のシエナの貴重な水源として雨水を集める役割があったと言われています。


人々が腰を下ろしたり、恋人同士が寝そべって日向ぼっこしたりとリラックスしやすいのもこの絶妙な傾斜の心地が良いからにほかなりません。

一般的な平地の広場で地べたに座ったりすることには抵抗があるものですが、カンポ広場は不思議なことに人々がいとも簡単に腰を下ろしてしまうのです。


カンポ広場の1年を写真とともにご紹介しましょう。

メルカート・ネル・カンポ

こちらはメルカート・ネル・カンポ(カンポ広場の市場)で通常4月と12月に催される市場です。(初旬2日間ほど)

野菜やサラミ類やペコリーノチーズ(羊のチーズ)などの地元生産者たちが直売しにカンポ広場に集まります。


傾斜がある分、会場作りも大変そうです。笑


ミッレミリア

5月には国際的にも有名なクラシックカーレース『ミッレミリア』がシエナへもやってきます。

北部のロンバルディア州ブレシアから南へ下り、ローマから再びブレシアへと北上します。



2019年(予定)は5月15日(水)ブレシア発

18日(土)に再びブレシアでゴールです。

シエナへは大会3日目の5月17日(金)、ローマ~ボローニャ間でカンポ広場を経由することになります。

毎年、参加されている堺正章さんもシエナを駆け抜けます。

パリオ

シエナといえば伝統行事パリオ!

毎年7月2日と8月16日に行われます。※それぞれ独立したパリオとなります。

中世から続くこのイベントへは世界中からたくさんの観戦客が訪れ、このカンポ広場にてまさしく『伝統』を目撃します。



→イタリア好き通信記事『シエナの伝統行事パリオ!』

年末コンサート


毎年大晦日に行われるカンポ広場のライブコンサートです。

国内の著名アーティストが招かれ、無料でライブが行われます。

その他にも、国内のチョコレートメーカーが集まるイベント『CiocoSI』やクッキングショー、カーニバル、パリオ優勝地区のパレードなどが行われ、カンポ広場はまさにシエナの人々の生活の中心となっている広場です。

また、去年はNETFLIX映画のダイナミックなカーチェイスの撮影も行われました。(今年2019年配信予定 6アンダーグラウンド原題)


600年以上にわたってシエナの中心であり続けるカンポ広場。皆さんも訪れた際にはぜひ横になってシエナの歴史に想いを重ねてみてはいかがでしょうか?

それでは、また次回もお楽しみに!

鈴木暢彦

Instagram @toccaasiena

HP 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com

寒い冬に恋しくなるあったかメニュー②

前回はからだの芯まで温めてくれる、熱々のポレンタを紹介しました。

今回の料理は冬以外も登場はしますが、暑い夏より寒い冬に食べたくなる2皿です。

その2つに共通するのは、”スープ仕立て”であること。

日本でもあったかいおうどんやお蕎麦、粕汁に鍋料理など”お汁もの”が恋しくなるのと同様、寒い季節はこのスープ仕立てにして食べるショートパスタがたまりません。

イタリア語ではこういう”汁多め、つゆだく”のことを”brodoso(ブロドーソ=スープ量の多い)”というのですが、今回はいずれも普段のトマトソースにパスタの茹で汁を多めに入れて延ばしてスープ仕立てにして作ります。

※反対にお汁の少ないスパゲッティ用のパスタなどはpastasciutta , pasta asciutta(アシュッタ=水気のない、スープ状でない)と呼びます。

私が”イタリアのマンマ”と慕うアンナマリアは、若い頃手打ちパスタ店を経営していた程のパスタ名人。彼女が作る手打ちパスタ料理の中でも1,2を争う私の好物である今回の2皿。

1つ目は「羊飼い風指輪のパスタ(anellini alla pecorara)」。

羊の移動放牧が長く経済を支えてきたアブルッツォ。長い間家を空けて羊と共に生活をする羊飼いのために、早く食べられ且つ、紐などに通して持ち運びやすいようにと指輪型にしたとされるパスタです。


トマトソースとたっぷりのリコッタチーズを入れた鍋に茹でたてのパスタを加え、味を見ながら茹で汁を足していきます。仕上げには羊のチーズを振りかます。

このパスタに関しては、スープ仕立てである以上に比較的冬に食べる理由があります。それは手間のかかるパスタ作り。暑い夏はできるだけ短縮したい台所仕事。冬なら長い夜の時間、暖炉の前に陣取ってゆっくりおしゃべりを楽しみながら作ることができます。


小麦粉に卵、水、塩を加えた生地を短い棒状に切り分け、


それをひとつひとつくるりと指に巻き付けて指輪状にしていきます。その際、指の腹をつかって少しねじりを加えるのがポイントです。


パスタに独特の弾力が加わり、チーズがたっぷりはいった重めのソースとも相性が抜群です。

そして2皿目。こちらは正直年中食べてしまう大好物「豆のショートパスタ(sagne e fagioli)」。夏場はasciuttaで食べることも多いのですが冬場は断然brodosoでいただきます。


こちらは日本のうどんに似た、小麦粉と水、塩だけでつくるシンプルなsagneと呼ばれるパスタを使います。


トマトソースにホクホクに炊いたうずら豆を加え、こちらも茹で汁で延ばしたスープを和えていただきます。出来たて熱々の上にたっぷりのチーズに加え、唐辛子を刻んで少し味にアクセントを足すことも忘れません。


休日のお昼などは友人や家族が集まり、皆でテーブルを囲んでいただきます。大きなスプーンいっぱいに掬って熱々をハフハフと頬張ると少し汗ばむほど。この、スプーンでパクパクいけるのが、ショートパスタの魅力でもあります。

あったかいスープが五臓六腑に沁み入って寒さも吹き飛びます。

 

 

2019年、マテーラが「ヨーロッパの文化の首都」に?!

欧州文化首都って何だ?

欧州文化首都制度は、EU統合より随分前の1985年から続く、ヨーロッパ最大級の文化の祭典です。

おもしろいのは、首都は1年の持ち回り制なこと。首都に選出されると、EUレベルでその都市らしい芸術文化のイベントが繰り広げられます。

2019年の首都は、なんとマテーラなのです。

昨1月19日、マテーラ2019のオープニングセレモニーが、伊大統領と首相を迎えて賑々しく開催され、マテーラは晴れて「ヨーロッパの首都」になりました。笑

オープニングセレモニーは世界遺産サッシ(洞窟住居)地区のメインステージから、全国に中継された


2019年ワキワキのマテーラから、セレモニーのダイジェストと、内部事情通から届いたばかりの(笑)、2月8日現在、ホットなマテーラ2019の公式プロジェクトをご紹介します。

 

オープニングセレモニーを時系列で

当日、2020年の首都ゴールウェイ(アイルランド)やドイツ、フィンランドなどヨーロッパ各地から音楽隊がマテーラ入り。住宅地を含む複数の地域で同時多発的に音楽隊のパレードが見られました。

音楽隊は、ヨーロッパのどの国にも共通する伝統なのだ ©Matera2019


午後4時半から2時間のあいだ、一斉に消灯した世界遺産サッシ(洞窟住居)地区には、住人の手で無数のキャンドルが灯されました。

サッシ地区を夜空に、キャンドルの灯を星に見立てた「マテーラ満天の星プロジェクト」©Matera2019


青くライトアップされた大聖堂の上空には、星空に見立てたサッシ地区を背景に、発光するバルーンの月が昇りました。

©Matera2019


セレモニーのフィナーレには、花火ショーがムルジャ渓谷上空を彩りました。

©Matera2019


セレモニー終了後は、舞台を中央広場に移して、「首都」前にはまずお目にかかれなかった類のパレードやショーが、繰り広げられました。

仏ラ・コンパニ・デ・キダムの「光の馬」のパレード ©Matera2019


仏コンパニ・トランス・エキスプレスの「空中オルゴール」©Matera2019



オープニングセレモニーのハイライト ©Matera2019

続いて、内部事情通から届いた(笑)、2月8日現在、ホットにしておすすめの公式プログラム3つをご紹介します。

 

6人のアーティスト × 6つホテル 個性あふれるホテルにおじゃまして現代アート鑑賞

マテーラ・アルベルガプロジェクトでは、6人の現代アーティストが、6つのホテルの特別な空間に、永久展示のインスタレーションを製作。作品を旅人にも市民にも、無料で公開しています。

このプロジェクトのテーマは、歓待、出会い、共存。サッシ(洞窟住居)地区の住民の間で育まれた「隣組の互助」の伝統を、アートを媒体に再構築しようという試みなのです。

2月現在、断然の一押しは、洞窟住居地区の都市構造の華地下貯水槽を使った作品。このホテル地階には、稀有な連結した8つの貯水槽が残っており、アートの鑑賞がてら、実際に中に入ることができるようになっています。

A.ピッリの“IDRA(水または心を探求する場)”。細工を施した鏡を張った貯水槽は、まるで水をたたえよう。ウユニ湖のような鏡映しが楽しめる ©Matera Alberga


通常、宿泊客しかアクセスできないホテルが、マテーラ市民と「マテーラ滞在中の臨時市民」が出会って、交流する場に。展示スペースだけとはいえ、ホテル巡りができるのも一興ですよね。建物探訪好きにもおすすめです。

 

マテーラ・アルベルガ 開催カレンダー

注目 2019年1月18日~毎日11:00~21:00
ホテル:Corte San Pietro/サッシ地区
アーティスト: Alfredo Pirri “IDRA Istituto di ricerca anima(水または心を探求する場)”

2019年1月18日~毎日11:00~21:00
ホテル:Dimore dell’Idris/サッシ地区
アーティスト: Dario Carmentano “FONTE DEL TEMPO(時の泉)”

2019年1月18日~毎日11:00~21:00
ホテル:Locanda San Martino/サッシ地区
アーティスト: Filippo Riniolo

2019年2月23日-毎日11:00~21:00
ホテル:Hotel del Campo*マテーラ新市街。バスまたはタクシーが必要
アーティスト: Giuseppe Stampone

注目 2019年3月16日~毎日11:00~21:00
ホテル:Hotel Sextantio/サッシ地区
アーティスト: Georgina Starr
※ 内部情報によると笑、これも期待度、大。

2019年4月20日~毎日11:00~21:00
ホテル:Casa Diva/サッシ地区
アーティスト: Salvatore Arancio

Matera Alberga 詳細はこちら

 

「CIRCUS+」現代サーカス・パフォーマンス

未完のトラモンターノ城址公園に、2月8日現在、絶賛特設中のサーカスの大テントでは、バレンタインズデーから毎週末、5週間に渡って、南イタリアで未だかつて見たことがないという触れ込みで、現代サーカスのパフォーマンスが開催されます。大いに期待しましょう。

2月14日
19:00~ペティ・シャピトゥー
21:00~ Flavia Mastrella and Antonio Rezza(イタリア)『7 – 14 – 21 – 28』

2月15日
19:00~ペティ・シャピトゥー
21:00~Flavia Mastrella and Antonio Rezza(イタリア)『Anelante(息せききって)』

2月16 日
18:00 ~ 20:00 シネ・サーカス
21:00 ~El grito(イタリア)『Johann Sebastian Circus(ヨハン・セバスティアン・サーカス)』

2月17 日
17:00 ~ ペティ・シャピトゥー
21:00 ~El grito(イタリア)『Johann Sebastian Circus』

2月20日~24日
出演:Phia Menard(フランス) /Ziya Azazi(トルコ)

2月28日~3月3日
出演:Cecile Mont Reynaud(フランス )/Martina Nova(イタリア)/Jörg Müller(ドイツ)/Okidok(ベルギー)

3月7日~10日
出演:Groupe Acrobatique de Tanger(モロッコ)/Forum italiano nuovi circhi(イタリア)

3月14日~17日
出演: The Black Blues Brothers(ケニヤ)/ヒサシ・ワタナベ(日本)

場所はすべて
Gran Chapiteau, Parco del Castello, Matera
マテーラ市カステッロ公園、特設グラン・シャピトゥー(サーカスの大テント)

「CIRCUS+」カレンダーはこちら

CIRCUS+の入場には、マテーラ2019年間パスポートと、予約が必要です。CIRCUS+の予約は1週間前からのみの受け付けです。

 

マテーラ2019年間パスポート

年間パスポート(一般19€)を購入すると、アルゼンチン出身のTomàs Saraceno がムルジャ渓谷に仕掛ける、超絶インスタレーションなど超目玉となる5つの特別展をはじめ、公式プログラムのすべてに入場できます。

予約コード記載の年間パスポート(左)と、おまけのパスポートを模したスタンプラリー帳(右)


パスポートはマテーラ市内インフォポイントか、オンラインで購入します。

インフォポイント
住所Via Lucana, 125-127
毎日09:00~20:00

パスポートのオンライン販売はこちら

Matera 2019 EVENTSでは、イベントリストの閲覧、イベントの検索ができます。要予約のイベントは、該当するイベントの詳細ページのBOOKから予約します。※その際、年間パスポートに記載された「予約コード」が必要です。

公式イベントカレンダーMatera 2019 EVENTS はこちら

 

おまけ 年間パスポートを買ったらぜひ!期間限定の洞窟コンプレックスに入ってみよう

2014年、首都に決定して以降、マテーラでは地道に再評価と修復、再開発が進み、これまで眠っていた場所に、アクセスできるようになっています。

マテーラの旧市街では、なにげない石畳の通りの下や、「建物」の地階にも、洞窟空間が広がっているんです。アルス エクスカヴァンディ展のハイライトでは、そんな洞窟コンプレックスの一つに、実際に入ってみることができますよ。

15分間の洞窟探訪への入口。おお、こんな所が地下洞窟に通じていて、こんな所に出るのか~と新鮮な発見


ここでちょっとマテーラ建物のお約束をば。
例えば、イタリアのどこの町にもある「アッシジの聖フランチェスコ教会」。小鳥にも説法することでお馴染み、今も昔もイタリア人の信仰を集める聖フランチェスコは、イタリア共和国の守護聖人でもあります。

マテーラの聖フランチェスコ教会(14世紀)が、他の町のそれと一味違うのは、地階に12世紀に遡る岩窟の聖堂が存在すること。

マテーラでは大聖堂(13世紀)しかり、聖アゴスティーノ教会(16世紀)しかり、旧女子修道院アンヌンツィアータ館(18世紀)しかり。地の利のいい場所に建つ「物件」は、古くからそのうま味を生かすべく、はっきり目的をもって掘られた洞窟の上に、上書きするように建設されています。

ご多分にもれず、旧神学校ランフランキ館(17世紀。現、国立バジリカータ中世近代美術館)のどっしりとした建物の地階にも、ワイン醸造所、ワインセラー、雪室、倉庫として利用した複数の洞窟が眠っていて、今回見学できるのがここ。

ランフランキ館(黄色線)の地階に広がる洞窟空間の平面図:V.Baldoni著”Palazzo Lanfranchi”(出版IEM editrice)3ヶ所の赤塗りつぶし=人が入れる状態にある洞窟コンプレックス。見学できるのは、最右のランフランキ館地下を貫く洞窟コンプレックス。


ランフランキ館の東西を通る道を繋ぐ、まさに洞窟のパサージュは、洞窟ファン(?)と、夏季は避暑にもおすすめなのです。

「Ars Excavandi」展の詳細はこちら
2019年1月20日~7月31日
月曜 14:00~20:00
火曜~日曜 09:00~20:00
国立リドラ考古学博物館 Museo Archeologico Nazionale
住所 Via Domenico Ridola, 24
※ 入場にはマテーラ2019年間パスポートが必要です。

 

シルクロードがカラブリア州にもたらした物。州の静かな誇り・養蚕業

シルクロードを行き来していたキャラバン隊が到達していたカラブリア州。州の中東部~北部にその名残は今も残っていて、その最たるものが養蚕業です。

養蚕の歴史は古く、中世初期には同業者協会が作られ、出荷される絹糸に対した厳しい品質基準も作られていました。
絹糸加工の技術も進み、現在のコモ湖周辺地域に絹糸加工の技術を伝えたのはカラブリア州の技術者たちだと言われています。

北部への技術者の移動や戦争による工房の破損などの影響で、70年ほど前に州内の工業的な生産は一旦停止しましたが、一般家庭で細々と続いていた養蚕業。

この生き残ったお蚕さんたちの数を増やし、カラブリア州の伝統工業復興を目指しているのは、かつて一大養蚕地域として名をはせたカラブリア州カタンツァーロ県の小さな村・サンフローロの有志達です。

こちら、染色していない糸。カラブリアではお蚕さん自身の色によって、4種類の糸を得ることが出来ます。

この中で、最も高価なのが「淡いグリーン」の糸。生産数が大変少ない貴重な物。

こちらも生産数の少ない黄金色の糸と合わせて、カラブリア州の誇りの絹糸、なんだそうですよ。

機織りの道具も、それこそ「おばあちゃんちに眠っていた」ものを引っ張り出してきて使えるように修理しました。

州の誇りを継承するには、この70年の間に失われてしまった知識や散逸した文献を丁寧に集めてまとめ、これを次の世代に伝えること。

このため、サンフローロ村では小さな郷土資料館も出来上がり、北部コセンツァ県・アクリ村では養蚕業復興活動が発足。各地で忘れられてしまった州の伝統工業を復活させようという活動が活発化しています。

 

NinoNegri“ヴァルテッリーナ”の魅力 Presented by モンテ物産

今、スイス国境近くのある渓谷で作られるロンバルディア州のワインが熱い。
その渓谷の名は“ヴァルテッリーナ”。
今回はその“ヴァルテッリーナ”でワインを造るニーノ・ネグリ社について、昨年就任したばかりの新しいエノロゴの話しを交えながら特集したい。
▲高い山々が連なるヴァルテッリーナ渓谷

車でミラノ市内から約2時間。同じロンバルディア州とはいえ、スイス国境にまたがるアルプスを間近に見るエリアにヴァルテッリーナ渓谷がある。周りを高い山々に囲まれており、ブドウ畑が山の急斜面に広がっているのもこのエリアならではの景色だ。
ひと昔前の車の無い時代は、本当に陸の孤島ともいえる場所であっただろう。

このエリアの郷土料理で有名なものは、そば粉のショートパスタ“ピッツォッケリ”。そば粉といえばヘルシーなイメージがあるが、合わせるソースはちりめんキャベツとじゃがいもに地元のチーズとバターをたっぷりと使ったもの。栄養満点の、今でというと少々高カロリーな一品だ。寒い冬に食べると格別で、じんわりと温まる。
そしてそこに合わせるのが、地元ヴァルテッリーナ地方の赤ワインだ。重すぎず奥行きがあり、身体にすんなりと入っていく。
▲ピッツォッケリ

ニーノ・ネグリ社は、そんなヴァルテッリーナ地方のキウロという小さな町にある。
1897年創業。ワイナリー敷地内にはキウロ城があり、オフィスと熟成庫がその風情ある城と一体となっている。
出迎えてくれたのはエノロゴのダニーロ・ドロッコさん。実は、彼は1年前までバローロの造り手として世界的に有名なピエモンテ州のワイナリー、フォンタナフレッダ社で統括エノロゴを務めていた。
フォンタナフレッダ社で1年前に会って以来久しぶりに会う彼は、とても精悍な顔つきをしていた。
元来山好きで、スキーが大の趣味。それもヴァルテッリーナに移ってきた理由かもしれないが、本当のところを聞いてみた。

「一体なぜ、世界的に有名なバローロ生産者から、このヴァルテッリーナの地に赴いたんですか?」
▲ニーノ・ネグリ社のオフィスがある建物の外観とダニーロ・ドロッコさん

「フォンタナフレッダでは、バローロをはじめ多岐にわたるワイン造りに取り組んできたこの30年の間に、畑から醸造まで大きな改革を行い、品質を更に向上させることが出来たと思っている。その経験をバローロエリアと同じく高品質なネッビオーロの生産地として注目されているヴァルテッリーナ地方で活かして、新たな挑戦をしてみたいと思ったんだよ。
それから、ここヴァルテッリーナのワインは、昔はやせた印象のワインだったが、今ではしっかりとした果実味を持ちながら繊細さとフレッシュさを持つとても飲み心地の良いワインになった。世界的なワイン傾向は、“エレガンス”。そこにヴァルテッリーナの可能性を感じたのさ。間違いなくヴァルテッリーナのワインは将来成功を収める。これに貢献したいんだ!」
とても生き生きとした表情で話すダニーロさん。まだまだ世界的に有名ではないヴァルテッリーナのワインで世の中を驚かしてやろうとする気概を感じとることができた。そして、ネッビオーロのスペシャリストのこの言葉を聞き、今後のニーノ・ネグリ社のワインへの期待が高まった。

ところでヴァルテッリーナで造られている赤ワインには、2つのDOCG(※1)がある。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレとスフルサート・ディ・ヴァルテッリーナだ。
ニーノ・ネグリ社が作る最高級のスフルサートDOCGのワイン名は、“チンクエ・ステッレ”。
収穫したキアヴェンナスカ種(ヴァルテッリーナエリアでのネッビオーロの呼称)の房を陰干ししてブドウ果の水分を減らしてから造るワインで、凝縮感があり、果実味、酸味、骨格、タンニン、余韻、全ての要素が高いレベルで調和した偉大なワインだ。
その陰干しの現場に案内してもらった。
▲フルッタイオに並べられたブドウ

「我々が“Fruttaio(フルッタイオ)”と呼ぶここ陰干しの場所は、標高500メートルに位置する。なぜこんなにも高い場所で行うかというと、自然の風で陰干しするため、風がよく乾燥していないといけないからだ。高地の風はよく乾燥している。
こうして窓から自然の風を吹かせているんだ。分かるかい?風が室内に入ってきているのが。」
たしかにフルッタイオ内では、心地良い乾燥したそよ風が吹いているのが感じられた。

「朝は山側から、昼はコモ湖から風が吹くんだ。この状態で9月中旬に収穫したブドウを自然の風で3ヶ月間陰干しをすると、ブドウの重量はだいたい30%落ちる。そうして上品な甘みの凝縮した陰干しブドウができるわけだ。
また、“チンクエ・ステッレ”に使われるブドウの収穫は通常より10日~15日前に行い、陰干しによってアルコール度が上がり過ぎないように配慮しているんだよ。」

ダニーロ・ドロッコさんが実際に陰干し中のブドウの房を見せてくれた。
約2ヶ月半の陰干し状態だ。香りを嗅いでみるとブドウのフレッシュ感を保ちながら深い果実の香りが感じられる。
「香りだけで質の良さが分かる。」とダニーロさん。
口に含むと、よく熟したプルーンのような味わい。とても健全なブドウだ。
▲陰干し中のブドウを見せてくれる、ダニーロさん

「この房は粒が大きくて粒同士が少し離れているだろう。これは特殊なクローンのブドウで、陰干しに最適な果汁の多さと風通しのよさを兼ね備えているんだ。」

陰干しワインではヴェネト州のアマローネが有名だが、この“チンクエ・ステッレ”スフルサート・ディ・ヴァルテッリーナは、それに比べ凝縮した果実味の中に冷涼感と、ミネラルを感じる。

ヴァルテッリーナの気候風土と急斜面での過酷なブドウ栽培作業、丁寧なワイン醸造、陰干しブドウへのこだわり、それらすべてが一体となって、ヴァルテッリーナらしさを表現した素晴らしいワインをニーノ・ネグリ社は造りだしている。

今後ニーノ・ネグリ社では、単一畑のクリュワインを増やしていく、とダニーロさんは話す。
「ヴァルテッリーナの特徴の異なる栽培エリアの中にも更に細かく見ると、独特のキャラクターを持つ素晴らしい畑があるからね。それを表現するワインを作りたいんだ。」

ダニーロ・ドロッコさんとニーノ・ネグリ社の今後の活躍と、ヴァルテッリーナのワインから目が離せない。

▲“チンクエ・ステッレ”


※1:DOCG…統制保証原産地呼称。イタリア全国にあるワインの銘柄・タイプを限定し、その品質を守ることで、古くから続くワイン造りの伝統と名誉を保護する「イタリアワイン法」のもと制定されたカテゴリーの一つ。DOCGはその中でももっとも厳しい基準を満たし、特に歴史のあるワインが分類されるカテゴリー。

モンテ物産
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