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カラブリア州でトレッキング。どんなカンジ?

40℃を超える日が続き、記録的な酷暑だったイタリア。
カラブリア州も7月中旬~下旬に州内最高気温記録を更新する酷暑となりました。

こうなると、暑さ確定の海に行くよりちょっと涼しそうな山でバカンスしようかな? という人も増え、2023年のカラブリア州は山間部訪問が大ブーム。それぞれが山間部を擁するカラブリア州内の3つの国立公園では、野外アクティビティをする人で賑わいました。

数ある野外アクティビティの中で、絶大な人気を誇るのがトレッキング。専用アプリも充実し、州内の国立公園内には初級者向けコースもたくさんあるので、気軽に出かける人が多かったように思います。

ところで、カラブリア州のトレッキングコースってどんなカンジ?
完走者0の年もあった過酷な冬期トレラン(250㎞)大会やマウンテンバイクの大会なども開かれるシラ国立公園内のとあるトレッキングコースをメインに、カラブリア州内でのトレッキングの様子をご紹介します。

 

トレッキングに行ってみよう


トレッキングコース自体の情報は、トレッキング専用アプリやトレッキング専門サイト、CAIのページなどから入手できます。コース番号と一緒に大抵は所要時間か総距離の情報もあるので、無理のないコースを選んだら、さぁ出発!

トレッキングコースの入り口には、写真の様な案内があります。これはCAI(Club Alpino Italiano)が設置するもので、コース番号、辻・折り返し地点・名所などまでの所要時間が記載されています。

ここで、コース番号が事前に調べた情報と合致していればOKです。矢印が示す方向に進みましょう。

コース上にある看板の様式はイタリア中どこでもほぼ同じ。各地のCAIボランティアや、有志がコースの整備などにもあたっています。


一旦コースに入ってしまえば、あとはオリエンテーリングの要領で、赤と白の目印を目安にコースを進めばOK。腰ぐらいの高さの石や、樹の幹に印がつけられています。

 

コースの様子はどんなカンジ?


トレッキングコースは基本的に整備されていて、中にはThe農道!なコースもあります。農道コースは道に迷うことも無くて安心ですが、ちょっとトレッキングの醍醐味に欠けるかな。


人気なのは、森林の中を行くコースや、薄っすら轍が見えたり、人が通過している跡があるかな…という草原コース。他人と会うことが稀なコースがほとんどなので、地図を見ながらぽつりぽつりとあるコースの印を探しながら歩く、トレッキングの楽しさを味わえます。


中級者向けコースになると、足場の悪い場所もあります。こういったコースは、州の北・ポッリーノ国立公園内のコースに多い印象。


中には、休憩できるところや、給水スポットのあるコースも。給水スポットは、湧き水源泉のキンキンに冷えた美味しい水(管理された飲料水です)を補給できるので、ぜひ立ち寄ってみてください。

 

標高の高い山の無いシラ国立公園内のコースは、大きな高低差も無く、就学前の子供でもOKなコースも多いです。どなたでもすぐ楽しめそうなのですが…それでもちょっと注意が必要かな?というところを以下にご紹介していきます。

 

カラブリア的難所(?)その1


コース上、高い確率で牛がいます。

北イタリア・アルプス界隈の人懐っこい牛と異なり、カラブリア州の牛はかなりワイルド。シラ国立公園内はポドリカ牛を始めとする酪農が盛んで、ワイルドな方たちが普通に、あちこちに、いっぱいいます。


道の真ん中でノンビリしているワイルドさんもいるけれど、そっと近づけば、牛の方が動いてくれます。

ここで大きな声を出したりするのはかえって危険。仲間を守ろうと、群れのボス格の牛などがすっ飛んで来ます。牛が近くにいたら、大きな音をたてないように、そっと通過しましょう。

あちらもニンゲンを興味津々で見ていたりするので、ちょっと不思議な気分になります。イタリア語であいさつすると、耳をパタパタする牛もいたりしてカワイイ。

 

カラブリア的難所(?)その2


突然現れる通せんぼ。

これ、私はアルプスのトレッキングコースで見たことが無いのですが、カラブリア州内のコース上には稀に柵があります。しかも大抵閉まってる。

これは土地の境界に立てる柵で、酪農家が隣り合っているとこういった柵がありがちです。で、コース上に柵があると進めないので、これをどうするのかというと、


柵には必ずこのような簡易扉みたいなのがあるので、有刺鉄線に気をつけながらぐいっと…


開けます。通過したら、また元の通りに戻しておきましょう。止め輪の部分が固いことが多いので、できればグループ内で最も力のある方が行うと良い作業です。

 

カラブリア州的難所(?)その3


風に揺れる道案内。

稀に、案内の建付けが悪くて風に揺れていることがあります。こうなっていると進むべき方向が分からない! これ、地味に困るヤツ!

実は、シラ国立公園内でも毎年遭難事故が発生しています。大抵は遭難から2日以内に無事に保護されることが多いのですが、道に迷わない準備も必要。

コース概要を把握してくと共に、最近はGPS機能付きのトレッキング用のアプリも沢山あるので、携帯に入れておくと安心ですね。

 

必要な道具や服装は?


シラ国立公園内でのトレッキングなら、本格的な道具は必要ないコースも多いですが、運動靴、動きやすい服装と防寒着、飲み水は最低限準備しましょう。(持ち歩くべき水分量(ml)は、体重体重 × 行動時間 × 5 × 0.8でざっくりと計算できます)

乾燥した草で皮膚が切れたりするので、盛夏でも長ズボンが良いですよ。

涼しくても日差しは強烈なので、帽子もあるとなお良いですね。チョコレートやエネルギーバー、塩味の強い物などの行動食もあると安心です。

一方、カラブリア州北部のポッリーノ国立公園内でトレッキングをするのなら、しっかりした準備やガイドをお願いして向かうのがデフォ。2000m超級がそびえるポッリーノ山系で遭難すると、命の危険が伴います。

欧州最大の一枚岩も見ることが出来る州の南、アスプロモンテ国立公園はシラとポッリーノの間位の難易度で、基本的に平易なコースが多め。でも、場所によっては本格的な装備が必要なコースもあるので要情報収集です。

トレッキングポールなどの道具もあると、さらにGood。ただし、道具をレンタルできる場所は無いで、自前で用意する必要があります。

※ガイド付きツアーの場合、必要な道具はガイドが用意してくれます。

 

歩いて行かないと見れない光景へ


トレッキングの醍醐味は、普通に観光していたのでは出会えない光景に出会えること。

そして、カラブリア州でのトレッキングはほんっとーーーーーに人に出会わないので、コース独り占め感や大自然に浸ってる感をとても強く感じられます。

シラ国立公園内のコースは、全体的に難易度が低めで、ビーチ沿いのリゾート地や都市部から気軽に行ける距離感も人気の理由。
観光のついでにトレッキングできる気楽さも、本年の大ブームの理由かなと思います。


最近は、日本からいらっしゃる方でもトレッキングを体験してみたい!という方がそれなりにいて、カラブリア州での滞在の仕方も変わってきているのかな、という印象。

観光地巡りも良いですが、半日ほど、どっぷりと自然を楽しむのも良いものですよ。

 

ところで…


トレッキングコースは冬場にスノーシュー用コースとなるのですが、これはまた、別の機会に。

 

小麦の香りに包まれるパンミュージアム& アルベロベッロが提案する滞在スタイル

再始動!小麦の香りに包まれるアルタムーラのパンミュージアム


2019年、プーリア州の内陸にあるパンの町アルタムーラに誕生したパンミュージアム。コロナ禍で休館していたが、ようやく昨夏より盛り返してHOTな観光スポットとして人気に。

地元産原材料にこだわるこの町のパンは、2003年にイタリアでDOP認定を受けた最初のパンとなり、今では州の誇る名産品だ。一般的に1kgとどっしり重く、外皮は硬いが中身はモッチモチの黄金色で1週間ほどおいしく食べることができる。材料は小麦、水、天然酵母、塩のみとシンプル。
シンプルな材料
大きい!

博物館に一歩踏み入れると香ばしいパンの匂いに包まれる。それもそのはず、ここでは1300年代のパン窯が利用され、さらには毎週、地域で焼き上げられた本物のパンが持ち込まれ、館内のあちこちに展示されているからだ。
見学は担当者の解説つきで誰でも無料。材料や作り方にとどまらず、アルタムーラでパンがどのように人々の生活に関わってきたのかを知ることができる。今では地元の子供たちの食育ともなるなど、後世に伝える貴重な町の遺産となっている。
説明員が解説してくれる
外観も素敵

Museo del Pane Forte
●HP:https://www.museodelpaneforte.it/
※48時間前までに予約が必要


アルベロベッロが提案する 地元の人とつながる滞在スタイル


世界遺産に登録された1996年以降、プーリア州アルベロベッロではここを訪れる人たちへ土地の習慣や文化を知ってもらう滞在スタイルを提案している。

伝統家屋トゥルッリの宿泊施設、郷土料理の提供、体験型プログラムなど、言葉が通じなくても触れあいで生まれる人とのつながりの大切さを伝えることに重きを置くことで、世界遺産の町並みを保護しながら、新たな学びの場を作り出している。
野菜の収穫体験
農民体験と地元民の演奏披露
特に食文化への啓蒙活動が活発で、いちばんの魅力である「人」を介して土地への理解を深めてもらうため、マンマの料理レッスンなど体験型滞在に力を入れている。

さらに町の飲食店では昔からの地産地消文化を伝えるだけではなく、食品廃棄ロスをなくす取り組みも。例えば、マンマ直伝の野菜料理を振る舞うトラットリア「テッラ・マードレ」では、自社の畑で採れ過ぎた野菜は保存食へ加工以外に経済的弱者へ無料配布する。
マンマのパスタ作り実演
素敵な雰囲気!
できる範囲で地球と地域が豊かになるように貢献する持続可能な社会づくりへ向けた一つの姿勢だ。

Museo del Pane Forte
●HP:https://www.trattoriaterramadre.it/

次の旅行に連れてって!                 「ナポリとアマルフィ海岸周辺へ」発売


皆さまご無沙汰しております!お元気ですか?
この度
「魅惑の絶景と美食旅 ナポリとアマルフィ海岸周辺へ」をリリースさせて頂きました。

コロナ禍で世界が一変した2020年。「イタリア好き」のナポリ取材を2月末に完了してすぐ、ロックダウンが始まりました。そんな中、有り難くもこの本のお話を頂きました。
実は二度目のオファーでした。何と言っても総180ページというボリュームで、当時の私にはとてもとても腰が引けてしまったのですが、この状況はある意味、運命的なタイミングだと思いました。そして、初めてのロックダウンが終了した初夏から、少しずつ、少しずつ、取材に赴き撮りためた写真と取材情報。11月に日本に帰国し、日本でまとめて納本させて頂きました。

イタリア好きな読者の皆さまには周知の話が多いかもしれませんが、
ガイドブックではありますが、写真も大きく、文字も大きくゆったり。
細かい情報を集めるというより、その場所の雰囲気とか、ちょっとした旅のヒントなどを楽しんでいただけたらと思います。
そして、表紙は2022年イタリア文化都市に選ばれているプロチダ島ですね。

特に…私の好みで、イスキア島だけで贅沢にも16ぺージ使っています。
恐らく?イスキアでこのページを割いているガイドブックは今、日本にないんじゃないかな?
もともと海底火山なイスキア島。
肥沃な火山土壌で濃厚な味の野菜を作るカルメラさんや、日本人シェフも登場しますヨ。


そして…カンパニア州のお料理やお菓子などもたくさん紹介しています。
こんな海辺の特等席で、ボンゴレのパスタが食べたいですね~♪

現在日本に滞在しておりますが、真夏にイタリアへ戻る予定です。
イタリアはワクチン接種がかなりのスピードで進み、夏に向けバカンスの予約も順調だそうです。
日本からの渡航者も隔離期間なしで(条件付き)で受け入れ始めました。
少しづつですが、明るいニュースも出始めた2年目。
安心して渡航できる日が早く戻ることを祈りましょう。