揚げ物大好き&自家製はちみつたっぷりな、カラブリア州コゼンツァ市のクリスマス郷土菓子。

去年もご紹介した()カラブリア州北部・コゼンツァ県コゼンツァ市のクリスマス郷土菓子。
私が住むコゼンツァ市(Cosenza)では、はちみつたっぷりな伝統菓子を大量に作り、クリスマス期間中にゆっくり消費します。

今年は昨年から始めた養蜂の成果・自家製ハチミツで作るクリスマス菓子とあって気合も変に入っておりまして、そんな南伊の片隅のクリスマス菓子事情などを鼻息荒く、字数相当オーバーな勢いでお伝えします。結果、2600字超になっちゃっております。スイマセン・・


まずは購入する物からご紹介しましょう。
北イタリアの郷土菓子的存在、パネットーネとパンドーロは大量に購入します。あ、日本でも大人気のシチリアのメーカーさんのも見えますね。

クリスマス用、大みそか用、××さん達を招待した日用、××さん家にお邪魔するときお土産用などと用途ごとに購入していくんですが、お会計の際にひっくり返るような額になるのも毎年のことです(笑


さらに、カラブリア州南部・レッジョカラブリア県のクリスマス郷土菓子であるトローネも忘れず購入します。

ローストしたアーモンドを使ったよくあるトローネは自家製するんですが、レッジョカラブリアのトローネは海峡を挟んでお隣のシチリアの影響を強く受けていて、カラブリア州内でも異質の存在。すっごくアラブな雰囲気で素敵に美味なんです(笑

カラメルで閉じ込めたアーモンドをさらにチョコレートコーティングしたり、スパイスで包み込んだリッチバージョンが我が家のお気に入りです。


今年は乾燥いちじくも購入しました。こちら、コゼンツァ県のDOP食材・ドッタート種です。

こちらも本来は自家製する物なのですが。。。夏から秋にかけて忙しくて作っていられなかったんですよね。。。大失敗。。

乾燥イチジクはクリスマス時期に常に食卓に出して置くもの、というのが義母の教え。
クリスマスの挨拶にいらっしゃる方やお茶の時間におススメする定番アイテムで、相当地味な食材なんですが、これが無いとクリスマスの雰囲気が出ないこの時期ならではの重要食材だったりします。

それでは、ここからどこかで見たことがあるような気もするかもしれない、自家製するお菓子たち~
こちら、Ciccitieddri(チチティェッドゥリ)。ひよこ豆大の大きさの簡単な生地を揚げてハチミツを絡めるお菓子です、ナポリのStruffoli(ストゥルッフォリ)由来のお菓子で、一粒食べ始めると永久に食べ続けちゃう危険な仔。

ちなみにこのお菓子にこの名前を使うのは、コゼンツァ県コゼンツァ市とその周辺だけですのでご注意ください。
他地域だとチチェラータの方が通じやすいんですが、The・方言の呼び方ってなんだか愛着が150%増しになって好きです♡


一見良くわからない形状をしているこちらがScalilli(スカリッリ)。アニス入りの生地を揚げて、こちらは贅沢に砂糖たっぷりのアイシングです。

野生のアニスは黄金よりも単価が高い超高級スパイス。コゼンツァ市の裏山・シラ国立公園内に自生している場所があって、アニスハンターによって収穫されています。
アニスを手に入れることが出来、高価だった砂糖を使うことが出来た、リッチ階級の家庭に伝わる伝統菓子で、こちらも州内で場所が変わると名前が同じながらも形状が変わるお菓子です。
コゼンツァ市のはサクサク生地なんだけれど、一般的なのはパン生地を揚げたもの、かな。

アニスハンター。名前がダサいけど、本当にお仕事にされている方たちがいるんですよ。。。


こちらはモスカートを入れた生地をニョッキ状に成型し揚げてハチミツ掛けするTurdiddri(トゥルディッドゥリ)。イタリア語だとTurdilli(トゥルディッリ)ですね。

本来は栗のハチミツを使うのでかなーり黒い仕上がりになります。日本のかりんとうみたいなお菓子で、モスカートとハチミツの質が出来上がりを左右します。

 

この他、ナッツたっぷりのカカオ&チョコクリームを半月状の生地で閉じ込めたChinuliddri(キヌリッドゥリ)も作ります。Chinuliddri(キヌリッドゥリ)については、去年の記事()をどうぞ。

そして・・コゼンツァ市民に絶対欠かせないのがこちら!

 


Pitta ‘mpigliata(ピッタンピリャータ)です。
たいへん日持ちがするので、大きさや形状を変えてたくさん作ります。
シラ国立公園内のサンジョバンニフィオーレ村が元祖で、シラ国立公園域一帯で色々な形状で作られていますが、
  • はちみつたっぷり
  • ナッツ類たっぷり
  • スパイスたっぷり
というのは不変のルール。くれぐれもカラブリア州カタンツァーロ県のピッタンキューザ(Pitta nchiusa)と混同しないでね♡

ってこれ、去年も言ってる(笑

さらにさらに、


デコレーションが楽しいMostacciolli(モスタチョッリ)。
コゼンツァ県内の山間部に行くと、未婚の女性にデコレーション方法を伝授するお教室やデコレーションの美しさを競う会なども開催されている伝統菓子です。

豊かになった現代では色々なキラキラデコレーションが可能ですが、つい最近までは生地だけを使っていかに美しく装飾を施すか、が腕の見せ所だったお菓子。
生地を作るのも実は大変なんですが、教会への奉納菓子に使う村もあるお菓子です。

ま、このあたりを数日かけてだだーっと作りまして。
ついでに番外編で、


揚げドーナツのようなこちらのcuddrurieddru(カタカナ表記は難しいんですが、強いて言うならクッドルゥルリェデドゥ。書いている本人もはやナゾ)も作ります。

コゼンツァ県内ではCrustoli(クルストゥリ)って言えばまず間違いなく通じます。イタリア語ではCiambella calabrese(チャンベッラカラブレーゼ)。
マンマのレシピvol115()でもご紹介したこちらの揚げドーナツは、いわゆる「イブ=大切な祭日の前日」に食べるものです。

さんざんクリスマス用のお菓子作っているのに、大切な日の前日には絶対作り、仕事場に持って行ったり、振る舞い菓子にも使うし、砂糖バージョン・シンプルバージョン両方作るべき日っていうのもあります。
コゼンツァ人、揚げ物好きすぎでしょ。。
この時期は露店もいっぱい出て、旅行者でも気軽に楽しめますよ♪

さて。今年もいよいよクリスマスシーズン到来。
皆さま、素敵なクリスマスシーズンをお迎えください。

 

ウマニ・ロンキ社マッシモ会長が語る“Pelagoペラゴ”誕生秘話 Presented by モンテ物産

日本に輸入されて40年以上が経つ、イタリア中部マルケ州のワイナリー、ウマニ・ロンキ社。
現会長マッシモさんの義父の友人が創業したワイナリーを1950年代に受け継いだのが始まりだ。

創業以来、マルケ州の地ブドウであるヴェルディッキオ種とモンテプルチアーノ種を主体に様々な高品質ワインを造り続けているだけでなく、約20年前からアブルッツォ州にもブドウ畑を持ち、マルケ州とアブルッツォ州を代表するリーディングワイナリーである。
▲現会長のマッシモさん
▲右端がマッシモさん、左端がマッシモさんの義父。真ん中が創業者のジーノ・ウマニロンキさん
訪問日の11月20日は、マッシモ会長が自ら出迎えてくれ、ワイナリー設備の案内からテイスティングワインのコメントまで熱心に語ってくれた。
「ちょうど一昨日84歳の誕生日を迎えたんだ。息子のミケーレ(現社長)は今週出張だから、こないだの日曜日に家族みんなでお祝いをしてもらったよ。マルケ州産の白トリュフをタリオリーニのパスタにかけてね、美味しかったよ。」
そう嬉しそうに語るマッシモ会長は、その年齢を感じさせないくらいお元気で、ワイナリー内を歩き回る足取りも軽やか。
また、ワイナリーの礎を作り上げた人だけに、その話は興味深いものばかりだ。その中からスーパーマルケと言われる同社のトップワイン、ペラゴの誕生秘話をご紹介しよう。
▲ペラゴ
「ある時私のマルケの知人から、サッシカイアを生み出したかの有名なエノロゴ、ジャコモ・タキスが休暇でマルケに来るからと紹介してもらい、親交を深める機会に恵まれたんだ。
私が釣り上げたスズキをレストランに持ち込んで一緒に食事をしたなんてこともあったよ。

彼のマルケ滞在中に、私たちは良好な関係を築くことができた。
私は彼にウマニ・ロンキ社のコンサルタントになることをお願いしたんだが、その時彼はすでに年金生活に入っていたので、最初は断られてしまった。それでも粘り強く依頼を続けたところ、引き受けてもらえることになり、それから彼は結果的に10年もの間ウマニ・ロンキのコンサルタントを務めてくれたよ。

そんな中生まれたのが、土着品種モンテプルチアーノと国際品種のメルロー、カベルネソーヴィニョンを合わせた“ペラゴ”さ。当時すでに国際品種の造り手として実績をあげていたジャコモ・タキスがうちのモンテプルチアーノのワインを試飲してこのブレンドを提案してくれたんだ。」

マッシモ会長は次のように続ける。

「このワインはワイナリーの歴史を変えた。ファーストヴィンテージの1994年がいきなりロンドンのインターナショナルワインチャレンジ(※1)で最優秀赤ワイン賞を受賞したんだ!
その受賞の知らせを受けたとき、私と息子のミケーレ(現社長)はボルドーのワイン展示会に出展中だった。具体的に何の賞を獲得したかは知らされず、とにかくロンドンの授賞式に来いと言うので、すぐさまロンドンに飛んで、受賞パーティーに参加したんだ。約500人の参加者の中には、アンジェロ・ガヤやアンティノリなどの有名ワイナリーもいたよ。そしてパーティーの最中に突然会場の照明が落とされ、最優秀赤ワイン賞の発表。パッと壇上のワインラベルにスポットライトが当てられ、ペラゴのボトルが現れたのさ。

この受賞のすごいところは、世界5,600本のワインから選ばれた1本であるということ。それからファーストヴィンテージでいきなり最優秀を勝ち取った初めてのワインだったってことだよ。
イタリアに帰ってきたときの反応はすごかったね。イタリア国営放送のRai1が取材に来てたくらいさ。そしてワイナリーにはペラゴを売ってくれという電話がひっきりなし。ある時は、世界的に有名な車メーカーのフィアットグループの社長から、20ケース欲しいと言われたこともあったよ。でもね、その時言ってやったのさ、現地の酒屋から買ってくれってね。
これほど大きな賞を受賞した後でも、うちはそれまでの取引先や値段を変えることは一切しなかった。今まで築いてきたお取引先やお客様との信頼関係を大切にしたかったからね。」

ウマニ・ロンキ社の歴史を大きく変えたこのペラゴは、重厚なタンニンと凝縮した果実味が造り出すしっかりとした骨格が特徴で、単に力強さだけでなく、エレガントさも持ち合わせたまさに逸品。
ファーストヴィンテージすら若いと感じさせるその計り知れないポテンシャルに、このワインの偉大さを感じずにはいられない。

▲ペラゴの歴代のラベル。(現在は1番手前)

古いイタリア語で「大海原」を意味する「Pelago(ペラゴ)」。
ラベルには青と水色のグラデーションの3本ラインが筆ですっと引かれている。これはまさにアドリア海の海の色を表したものだ。美しいグラデーションが日の光に映え、クロアチアやギリシアからの船がアンコーナの港に入ってくる光景はずっと眺めていたくなる。
そんなアドリア海の大海原を思わせるふくよかな飲み口のペラゴ。
豊かな気持ちで1年を締めくくるための、年末の特別な1本にぜひおすすめしたい。

▲コーネロ山とアドリア海
※1イギリス・ロンドンで毎年4月に開催される権威あるワイン品評会

モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼ウマニ・ロンキ社についてはこちらから↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/UR.html