神から祝福の口づけを受けた畑-カンヌービ・バローロ  Presented by モンテ物産

神から祝福の口づけを受けた畑-カンヌービ・バローロ
ビオ農法で畑を守るキアラ・ボスキス


ピエモンテ州のアルバの町から南西に15分ほど車を走らせると、バローロ村に到着する。ピラー社はまさにバローロ村の入り口に位置するワイナリーで、1990年からは現オーナーでありエノロゴ(醸造家)のキアラ・ボスキスさんがほぼ一人で切り盛りしている。

▲キアラ・ボスキスさん
▲キアラ・ボスキスさん
2015年1月に紹介したラ・スピネッタ社のジョルジョ・リヴェッティさんとも親交が深く、キアラさんもジョルジョさんと同じく、大樽での長期熟成型バローロの伝統に革新をもたらしたバローロ・ボーイズの一人であり、唯一の女性だ。

「私は言ってみれば“バローロ・ガール”ね。あの当時、まだ世間がバローロ・ボーイズの挑戦に好奇の目を向け、まだそのもたらしうる結果を理解してもらえていなかった頃から、私はこの“バローロ・ガール”であることに誇りを持っていたし、それは今も変わらずに感じていることよ。」
穏やかで落ち着いた見た目の印象とは違って、とても明るく快活で、常に畑仕事に行ってはてきぱき働き泥だらけで帰ってくるという、ブドウへの愛情で動き続ける情熱的な人だ。

キアラさんは、複数の畑のネッビオーロを使用した“ヴィア・ヌオーヴァ”、クリュ(単一畑)の“モスコーニ”、同じくクリュの“カンヌービ”という3種類のバローロを造っており、なかでも最後に挙げたカンヌービはバローロを語る上では一度飲んでおくべきワインだろう。

▲カンヌービの畑
▲カンヌービの畑
法改正により、伝統的なカンヌービの畑の周囲にある畑(ヴァッレッタ、ムスカテルなど)も、“カンヌービ”(もしくは“カンヌービ・ヴァッレッタ”、“カンヌービ・ムスカテル”でもよい)とラベルに記載できるようになり、ラベルを見ただけではどこのカンヌービなのかが判別できなくなってしまった(逆に元々あるカンヌービの畑が“カンヌービ・カンヌービ”と記載することはできず、単に“カンヌービ”としか書けない)が、彼女のカンヌービはまさに「悪魔に魂を売ってでも手に入れたい畑」と呼ばれるほど名高い、昔からあるカンヌービの畑だ。
畑で剪定作業をしていたセルジョさんは、この畑で仕事ができるのは「偉大なる名誉」だと言っていた。カンヌービの畑は、斜面の角度と方角(最高の日あたり)、土壌、地中深くにある水源など、素晴らしい条件がそろっている。これにキアラさんの畑へのひたむきな姿勢と細やかな手入れ、経験をフル活用した醸造が加われば、美味しいワインができないはずがない。

▲キアラさんのカンヌービの畑のネッビオーロ
▲キアラさんのカンヌービの畑のネッビオーロ
「すでに良いワインが造れているとは思うけど、もっと美味しいワインにするために、ここしばらくはより自然なブドウ造りに向かっているわ。ビオ農法を行って、出来る限り畑の中で一つのサイクルが完成するように手を貸す、というように心がけているの。そしてビオ農法からさらに一歩踏み込んだ取り組みもしているわ。例えばボルドー液には銅が含まれているけど、自然界に存在しているからという理由で、ビオ農法では化学薬品の代用として認められているの。とは言ってもやはり銅は金属だし、畑には蓄積されてしまうわ。だから出来る限りこういう物質の使用を控えるようにしているの。こういう畑へのなるべく優しい手入れの仕方には特に気を使っているわ。もしかしたら女性的なやり方なのかもしれないわね。」

baroloこういったこだわりから生み出される“カンヌービ”バローロは、バローロらしい骨格やしっかりしたタンニンはあるが非常にエレガントで繊細でもある、まさにキアラさんをそのまま表現しているような印象を受けた。

「父はカンヌービの畑のことを、あれは神から祝福の口づけを受けた畑だ、って私によく言っていたわ。」
キアラさんの渾身のバローロ、“カンヌービ”をぜひ皆さんにも味わっていただきたい。