堂々たる田舎
アブルッツォ州とプーリア州に挟まれたアドリア海に面した小さな州モリーゼ州。人口わずか30万人足らず。州都はカンポバッソ。イタリア人ですらその存在を詳しく知らない人も多い。「そんな州どこにあるんだ?」「アブルッツォの街だろ」なんて軽口を言うイタリア人もいる。
ローマからバスでアブルッツォ州のペスカーラまで行き、そこでレンタカーを借りてモリーゼ州に入った。ローマからテルモリ行きのバスもあるようだったが、レンタカーの都合もあり、この日このタイミングでモリーゼ州に入るにはそれがいちばん良い方法だった。 レンタカーを借りて高速道路A14を南下して行きテルモリに着いた。アドリア海に面したテルモリの6月の空は、飛び抜けた青をしていてとても気持ち良かった。浜辺では夏の準備の真っ最中で。立てられたばかりのカラフルなパラソルがこれから来る夏を待っていた。
モリーゼでは何人もの農民に会った。ゴツゴツした手と皺や爪に残る土が、働いている人の象徴だ。誰もが最初はぶっきらぼうで、日本人が何しに来た?と不思議そうな顔つきでこちらを見てくる。でも時間が経つに連れて和んでくると、がっちりと組み合える懐の深さを感じた。そして彼らに共通していたのは、人が生きる強さを持っていたことだ。山がちな田舎の州ではあるが、豊かな土地では作物が育ち、その恵を充分に味わうことができる。モリーゼという地味な州には、他にはないすばらしい自慢できる土地があることを彼らは良く分かっていたのだ。
“堂々たる田舎”モリーゼ州、ほんの1週間足らずの取材ではこの州の魅力は伝え切れない。今度はじっくり腰を据えてここの魅力の奥深さをもっと感じてみたい。
あーまた直ぐに行きたいモリーゼだ。
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