トラーパニの黒パン

Pane per sempre
パーネは永遠に

さて、いよいよ南イタリアのパン特集である。北イタリア、中部イタリアと巡ってきて、南イタリアは、バジリカータやプーリア、カラブリアと、パンの有名どころにスポットが当たると思われた方も多いと思うが、今回はシチリア。古代小麦と、主にトラーパニの黒パン(pane nelo)に注目してみた。お楽しみに!

シチリアの小麦とパン

先日、日本のあるイタリアレストランで、顔見知りの読者の方にお会いした。イベントや、マッシモツアーにもいらしたことがある、ベテラン読者の方だ。その方が、「マッシモ、次の号もパンなの?」と少し訝しげな顔をしておっしゃるので、僕は「そうですよ」と涼しげに。するとその方「また、パン〜」「めくっても、めくってもパン、パン、パンでさぁ〜。私、会員更新のタイミングなんだけど、どうしようかしら?」と。「それはぜひお願いしたいですが、でもご判断はお任せしますよ。なんせフリーマガジンなので」と言うと、「そうね、ちょっと考えるわ」と、その場は和やかな笑いに包まれた。

さて、パン特集である。北イタリア、中部イタリアと巡ってきて、南イタリアではバジリカータやプーリア、カラブリアなどパンの有名どころが焦点となると思われた方も多いと思うが、今回はシチリア。しかも主にトラーパニの黒パン(pane nelo)に注目してみた。
内容は本誌の特集をじっくり読んでもらいたい。なんでシチリアかというのは、単純にトラーパニに行って黒パンとクスクスを食べたかったからだと言うと、読者の皆さんに怒られそうだ。本土の南部を巡ったうえでシチリアまでを入れた特集を組むのが日程や費用面から厳しいという現実的な問題と、僕自身がいつもシチリアのパンをおいしいと感じていたこと、今までの取材でシチリアの小麦の話を何度も聞いていたことがいちばんの理由だ。
 
生活に密着したパン

果たして、これまでイタリアのパン屋へ何軒くらい行っただろうか? いちばん北はヴォルツァーノ。小麦のあまり育たないこの地域では、ライ麦や雑穀を混ぜたパンが多く、厳しい冬を乗り越える工夫がパンの形や素材に現れていた。水分をほとんど含まない平たいシュッテル・ブルットは、気温が低く発酵の難しい地方の知恵から生まれた、保存食としてのパンだ。マントヴァ辺りの皮がカリッとしていて、中がフワフワのパンは、それだけだと軽くてそっけないし、正直さほどうまくもない。でも、これをソプレッサのような粗挽きのサラミなどと合わせると抜群に威力を発揮する。中部の塩無しパンは、塩気の強いこの地域の料理に合っている。また、固くなったパンを混ぜてひとつの料理にするのもこの塩無しパンならでは。そして、搾りたてのオリーヴオイルをたっぷりかけて食べるブルスケッタは、最高の贅沢だ。

プーリアのアルタムーラやバジリカータのマテーラでは、硬質小麦のパンを、大きな窯で、5キロ以上の塊を焼くのが当たり前のようだった。一度にできるだけ多くのパンを焼くために、一つのパンの形をだるまのような形に高くして、少しでもスペースを有効活用できるように工夫もされていた。でも生活スタイルの変化と共に、大きなパンはだんだんと少なくなってきているようだ。

こうやってイタリアのパンは長い間、人々の暮らしの中に息づいてきた。特に輝くスポットを浴びるようなことも少なく、そして、食事処では席に着けば当たり前のように籠に入ったパンがポンと置かれ、料理と共に食べられている。

とりあえず、パンの旅は終わる

イタリアには日本人にも馴染みのおいしい食べ物がたくさんあって、イタリア旅行に行って、わざわざパンに注目する人は少ないだろう。「あっ、そういえばレストランの籠の中にあった」と気づいても、お腹がいっぱいになるから手をつけない人もいるのではないか。でも、僕は必ず食べる。2、3種類あったらすべて食べてみる。そうすると意外にもその店の実力が分かったりする。パンを軽く見ている店は、サービスも味も今ひとつと感じることも多い(あくまでも個人的感想)。だからと言って、重く考えなくてもよいが、多くのイタリア人は、日常の生活の中で当たり前に存在するパンを、大切に考えていることを理解していれば、自然とそれは豊かな食卓になるのだと思う。パン特集でイタリアパンに少しでも興味を抱いていただけたら、次にイタリアに行く時には少し注目してみてはどうだろうか。

本当はまだまだ入口にやっと辿り着いたくらいでしかないが、今回をひと区切りとして、パン特集は終わる(正直なところ、かなりヘビーな特集だった)。パンにはあまり興味を抱けなかった方は次の特集に期待していただきたいし、プーリアやバジリカータ、カラブリアに期待を寄せられていた方は、次に僕の気が向くまでの間、少々お待ちいただければ幸いだ。パーネは永遠だから。

かく言う冒頭の読者の方は、ありがたいことに更新していただけたようだ。今回の特集で満足してもらえるのかは分からないけれど、『イタリア好き』はこの方のような多くの読者の皆さんに支えられていると思うと、感謝の気持ちでいっぱいである。

では、シチリア、トラーパニの黒パンの旅へどうぞ。
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天然のスパークリングウォーター『フェッラレッレ』 Presented by モンテ物産

7月よりモンテ物産が新たに取り扱いを開始することになったイタリアを代表する天然ミネラルウォーター、『フェッラレッレ』、そしてペアリングするスティルウォーター『ナティーア』についてご紹介したい。

フェッラレッレのエチケットを見るとイタリア語で“Acqua Minerale Effervescente Naturale”と書いてある。これは、天然のスパークリング・ミネラルウォーターを意味するもの。この希少な天然の炭酸水、フェッラレッレ。イタリアにおいて天然の炭酸水を採水する主要ブランドは同社を含めたったの4社だけである。


▲ カゼルタ県リアルドの採水地
フェッラレッレの採水地は、イタリアカンパーニャ州カゼルタ県のリアルドという町のそばにある。モンテ物産でも取り扱いのあるワイナリー、ヴィッラ・マティルデ社のワイン畑のある、ロッカモンフィーナ山(古の火山で標高1006m)から、その畑とは反対側、東に15km離れた場所がフェッラレッレとナティーアの採水地だ。

フェッラレッレは30年の歳月を経て、ロッカモンフィーナ山から様々な地層を通り、天然の炭酸ガスを得て、地上に噴出する。ロッカモンフィーナ山に降り注いだ雨が、火砕岩にろ過されながら火山岩の部分を通り、シリカ、フッ化物、ナトリウム、カリウムなどのミネラルを得る。その後、地下にある古代の石灰地層に到達し、マグネシウム、カルシウム、重炭酸塩を得て、最後に石灰地層の更に下から上がってくる二酸化炭素(炭酸ガス)と出会い、天然の炭酸水が誕生するのだ。自発的に地上に上がってくるため、ポンプで汲み上げる必要はない。 

そして、スティルウォーター「ナティーア」。
10年の歳月を経て、ロッカモンフィーナ山の火山岩を通り、採水される。ちなみにナティーアは、フェッラレッレの採水が1893年に始まったのに対して、1990年代からの採水である。同じ採水地であれば、同ブランドで発泡性、無発泡性の商品を作れることがイタリアの法律で認められているが、フェラレッレとは異なる個性を持つため、あえて“ナティーア”と名付けたそうだ。 
ユニークなミネラルのバランスは、『フェッラレッレ』、そして『ナティーア』のおおきな魅力のひとつでもある。

フェッラレッレとナティーアの採水地は、ボトリング工場と隣接した場所にある。170ヘクタールの敷地は、品質の良い小麦や野菜、果物、ハチミツに、オリーブなども栽培されている自然が豊かなエリアだ。
▲採水エリアの入口

Casetta(小さな家)と呼ばれる採水施設がフェッラレッレで8つ、ナティーアで5つ、合計13棟ある。採水した水に関しては、615に及ぶチェック項目があり、毎日の厳しい検査に合格したものだけが出荷される。
採水施設内部には、蛇口があり、まさに地下から沸いてくる水を試飲させてもらった。
フェッラレッレの水の泡は、本当に細かくて柔らかい。イタリア人が“Micro Bollicineミクロ・ボッリチーネ(きめ細やかな泡立ち)”と呼ぶ、やさしい泡の口当たりの素晴らしさに感動した。

先月、パレルモのリストランテで食事をしていた時に、カメリエーレにこう聞かれた。
「Acqua Naturale o Gassata, o Ferrarelle?」
「お水はガスなし、ガスあり、あるいはフェッラレッレ、どれになさいますか?」
ガスなし、ガスあり、それに加えて天然スパークリングウォーター「フェッラレッレ」という選択肢。
この聞き方はとても面白いなと感じ、いろいろなイタリア人に聞いたところ、80年代に流行ったCMでこの台詞があり、大半のイタリア人が知っているそうだ。

1982年TVコマーシャル
https://www.tecata.it/index.php/categorie/mediaitem/2509-ferrarelle-sogg-monna-lisa-1982?category_id=13

1988年TVコマーシャル(モナリザ)
https://www.youtube.com/watch?v=BVJbXBfgz5M

「Acqua Naturale o Gassata, o Ferrarelle?」
ぜひ日本のみなさんにも3つ目の選択肢を試していただきたい。

モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
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