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トスカーナの素晴らしさを発見する週末旅行、モンテ・アミアータへようこそ


美食で有名なトスカーナ州は、沢山の美味しいものであふれている州です。そんなトスカーナ州南部にモンテ・アミアータ(アミアータ山)がありますが、この付近には決して有名な観光地では味わえないゆったりした穏やかな時間の流れを楽しめる村がいくつもあります。トスカーナの田舎の魅力がたくさん詰まったモンテ・アミアータの村々で過ごす週末旅行をご紹介します。

トスカーナの素晴らしさを発見する週末旅行、モンテ・アミアータへようこそ

モンテ・アミアータはフィレンツェから約170キロ、ローマから約180キロほどの位置にある地域です。今回ご紹介する23日のツアーは、この地域の良さをもっと広く知ってもらいたいという思いからトスカーナ州が企画しました。誰よりも州の良さを知り尽くしているトスカーナ州プレゼンツのこのプレスツアーには、フランスやイタリア各地から招かれたジャーナリストたちが参加しました。

アルチドッソのこぢんまりしたアットホームな雰囲気のトラットリアで最初のディナー

今回の旅ではカステル・デル・ピアノの小さな町にあるホテル「インペロ 」に2連泊し、ここを拠点に各地を巡りました。 最初に訪れたのは、ホテルから近いアルチドッソという可愛らしい村にあるトラットリア「バスタルダ・ロッサ」。


こぢんまりとしたアットホームなトラットリアに入ると、トラットリアの人たちは満面の笑みで私達を温かく迎え入れてくれました。心の底から私達を受けて入れてくれるような、そんな暖かい地元の人たちのホスピタリティに触れ、終始とても和やかな雰囲気の中で食事を楽しめました。
バスタルダ・ロッサ
住所 Via Talassese 98, Arcidosso
URL https://www.facebook.com/BastardaRossa

世界で一番受賞歴の多いペコリーノ工房「イル・フィオリーノ」でチーズ造りを見学

翌日、私たちはロッカルベーニャに向けて再び出発しました。目的地は世界で最も多くの受賞数を誇るペコリーノ(羊のチーズ)工房「イル・フィオリーノ」。「イル・フィオリーノ」の起源は1812年に牧羊を始めたことに遡り、その後1957年に乳製品工場の設立がスタートしました。現在は、工場を設立したアッティリオ・フィオリーノの娘のアンジェラさんと夫のシモーネ・サルジェントーニさんが25人の従業員とともに厳格な生産ルールに沿ってチーズをつくっています。


工場でのチーズづくりの見学後は、工場に併設されたショップにてチーズの試食会が開かれました。チーズにあわせて提供されたのはサンジョヴェーゼのワイン。試食では熟成期間の異なるペコリーノを食べ比べましたが、濃厚でミルキーな味わいは絶品でした。


壁一面に所狭しと飾られた世界中の受賞の数々が誇らしく輝いており、このチーズがいかに世界中から認められているかが実感できました。


工場を後にすると、昔ながらの方法でチーズを熟成させている洞窟熟成をしました。ひんやりした洞窟は天然の冷蔵庫、ここで熟成されたペコリーノも購入することが出来ます。

カゼイフィーチョ・イル・フィオリーノ
住所 Loc. Paiolaio 58100 Roccalbegna (GR)
URL https://www.caseificioilfiorino.it/en/(英語サイトあり)

岩に囲まれ、山の空気に包まれたロッカルベーニャのレストラン「ラ・ピエトラ」でランチ

そびえ立つ岩に囲まれ、自然豊かで山の清々しい空気に包まれたロッカルベーニャ。



ランチは、ここにある宿泊施設つきレストラン「ラ・ピエトラ」。


このレストランでは地元の環境に優しい製品を使用することを明記したマニフェストに署名する必要があるというユニークな掟があります。レティツィア・シレンツィさんは、この村の生活や地域協同組合の活動などを語ってくれました。


レストランではトスカーナの山の伝統と結びつきながらも、若いシェフの新たな息が吹き込まれたモダンな料理が提供されます。 ひよこ豆のクリームにバカラ(タラの塩漬け)のムースが添えられたミルフィーユから、ミートソースのポテトのトルテッリ。


ベジタリアンには栗、ネギ、ベーコンのニョッキ。そしてデザートにはリンゴジャムとリコッタチーズが添えた栗粉のクレープ「ネッチ」や、ロッカルベーニャの典型的なビスケットなど。

料理には、オレンジ色が美しいワイン、アルマンチョーネ 2019(ウーゴ・コンティーニ・ ボナコッシ・ワイナリー)があわせられました。
アンティカ ロカンダ レストラン「ラ・ピエトラ」
住所Via XXIV Maggio 69A-B 58053 Roccalbegna
URL: https://www.albergolapietra.com

黄金に輝くオリーブオイル、セッジャーノのオリーブオイル生産所を見学&試食

昼食後に向かったのは「オリーブオイルの村」セッジャーノ。ここではオリーブオイルの収穫とオリーブオイル生産過程を見学しました。



ここで作られているオリーブの品種は標高の高いアミアータ火山の斜面に生育する「オリヴァストラ・セジャネーゼ」です。セッジャーノのオリーブオイルは厳しい審査基準をクリアしないと認定されないD.O.P.(保護原産地呼称)に認定されている、高品質のエキストラヴァージンオリーブオイルで、風味はほのかな甘みがあり、中程度から低いレベルの辛さと苦味があります。


セッジャーノオイルのコンソーシアムのルチアーノ・ジリオッティ会長は、満面の笑顔で私達を迎え入れてくれ、村自慢のオリーブの収穫の様子を見せてくれました。


その後は、近くのオリーブオイル精油所にてどのようにオリーブオイルが生成されるか説明しながら、その過程を案内してくれました。
続いてセッジャーノの村の中心地へと移動し、チェッキリーニ・オリーブオイル地下搾油所跡へと案内されました。1800年代終わり頃から1900年台半ば頃まで、この村のオリーブオイル生産に使われていた搾油所で、当時としては最先端の技術が活用された機材が並んでいます。


セッジャーノではとても神秘的な場所も訪れました。地上で見ると広場に普通に生えている一本のオリーブの木なのですが・・・


実は広場の下は大きな貯水槽になっていて、根の部分が空中に浮かんでいる用に見えるのです。これは有名な植物学者のステファノ・マンキューソ教授によって考案された「浮遊根」の実験プロジェクトで、貯水槽の栄養を含んだ蒸気によってオリーブの木が育つという仕組みになっています。入場は予約制ですが、唯一無二のユニークな空間なので、セッジャーノを訪れた際には是非立ち寄ってみてください。


セッジャーノ訪問の最後は、記念碑ともなっているこのオリーブの木が中心に位置し、アミアータ山の最高峰が望めるテラスで、地元セッジャーノオイル保護協会によるオリーブオイルと地元ワインの試食試飲会の温かいおもてなしを受けました。この日は満月の夜で、夕暮れでピンクに染まるパノラマから、まん丸の月が登って暗闇が広がるまでの間、地元の音楽団の人たちが昔の名曲などの歌を披露してくれ、どこか懐かしいような音楽に包まれながらセッジャーノの夜を楽しみました。
アミアータの人たちの心からの温かいおもてなしに触れ、観光客で溢れかえる人気観光都市では決して味わえない穏やかな心地よさを体験し、イタリアの田舎の良さを再認識することとなりました。

長い歴史を持つ郷土料理「ラ・スコッティリア」とは?ペッシーナでお肉づくりディナー

二日目の晩餐は、ペッシーナにあるレストラン「ラ・スコッティリア・レストラン」にて。 地元の伝統的と新しい感覚が融合された料理された洗練された食事が楽しめるレストランです。
レストランの名前は、動物のメインではない部分を使用して作られたメインディッシュのスープ「スコッティリア」に由来しています。 仔牛肉、豚肉、ウサギ、子羊肉、鶏肉、鴨、ホロホロ鳥など多種のお肉を煮込んだスープで、タマネギと一緒にお肉をソテーし、ワインやトマトソースと、ハーブを加え、弱火で約8時間煮て仕上げ、最後に固くなったパンに乗せて完成。 唐辛子と地元のセジャーノオイルをかけて仕上げました。

ディナーはスコッティリアの他、牛肉のタタキ、ゆっくりと時間をかけて低温調理した高級チンタ・セネーゼ 豚などが出され、素晴らしいモンテクッコのワインが料理の味をさらに引き立てていました。
ラ・スコッティリア・レストラン
住所 Località Pescina, 29, 58038 Seggiano GR
URL https://www.lascottiglia.it/

最終日はモンテアミアータの栗の収穫と栗の乾燥所を見学

ツアーの最終日は、モンテアミアータでIGPに認定されている栗について学びました。栗の収穫真っ盛りの栗林で、機械で収穫する様子を見せてもらった他、栗生産者のミルコ・ファッツィさんから自身の山での生活や栗生産の苦労などが語られました。



モンテ・アミアータ地域の栗生産は古い起源を持ち、14世紀には既に栗が収穫されていたことを示す文献があるほどです。ジャガイモが到来するまで何世紀にも渡って、栗はここの山岳地帯の人々にとって重要な食材であったそうです。
栗の収穫を見た後は、セッジャーノに戻って栗の乾燥室を見学しました。この乾燥室では栗を完全に乾燥させるために24時間火が焚かれています。

その後、近くの栗のお祭りで栗がふんだんに使われたランチを楽しんでアミターアの盛り沢山の週末ツアーは終了しました。


トスカーナ州が企画するプレスツアーへの参加は今回で3回目となりましたが、今回もまた沢山の出会いとまだまだ知らない美味しいトスカーナの食べ物を発見することができました。インスタ映えする華やかなイタリアの観光地に良くも悪くも観光客が集中している現状ですが、地元の人たちのホスピタリティに癒やされる田舎のイタリアの旅も本当にいいものだということを再認識する旅となりました。日本での慌ただしく忙しい生活から抜け出し、こんなゆったりした時間の流れる旅をしてみてはいかがでしょうか。

 

素敵なツアーを企画し招待してくれたトスカーナ州の取り組み

トスカーナ州では毎年秋頃に、州の特産物の生産者と世界中のバイヤーを直接結びつけるプロジェクト”BUY FOOD TOSCANA(バイ・フード・トスカーナ)”を開催しています。このプロジェクトにはもちろん日本人バイヤーも直接参加することができます。このプロジェクトにちなんで、トスカーナ州では毎年ジャーナリストたちを招いてトスカーナの良さを知ってもらうプレスツアーを企画しています。今年もまたBUY FOOD TOSCANAは開催予定ですので、イタリアの美味しいものを買い付けたいバイヤーの仕事をされている方がいましたら、直接トスカーナの生産者たちから買い付けができるこのプロジェクトに申し込んでみてはいかがでしょうか。

”BUY FOOD TOSCANA”(英語サイトあり)
https://www.buyfoodtoscana.it/en/

また、今回のプレスツアーで訪れた食事場所はすべて、トスカーナ州が地元の食材を使用したレストランや食料品店を厳選してネットワークを広げている観光&食品プロモーションプロジェクト、”ヴェトリーナ トスカーナ”によって選ばれました。レストランからアグリツーリズムまでトスカーナ州おすすめの情報が満載のサイトになっているので、旅行の参考にどうぞ。

 

”VETRINA TOSCANA”(英語サイトあり)
https://www.vetrina.toscana.it/en/

 

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4月21日(日)J-WAVEラジオ「ACROSS THE SKY」出演

FMラジオJ-WAVEの番組「ACROSS THE SKY」に出演します。

番組ナビゲーターの女優の小川紗良さんとフィレンツェで対談し、伝統を守るイタリアの価値観やフィレンツェで深刻化しているオーバーツーリズムに対して日本人ができる対策などについて色々話しました。

放送日: 421日(日)午前9:209:40
https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/


※タイムフリーで聴く場合は以下のリンクからどうぞ。
https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/connectors/

(収録裏話を少しだけ・・・)実際にお目にかかった小川さん、透明感があってそれはそれは可愛かったです!フィレンツェの私のお勧めのレストランで一緒にランチをさせて頂きましたが、とても気に入ってくださって「美味しい!」とニコニコ沢山食べている姿が本当に可愛らしかったです。細〜い方なので、あんまり食べないのかなあなんて思っていたのですが、意外に沢山食べるところも素敵でした!


ご興味ある方は聞いてみてください♪

イタリア最北東、フリウリのオリーブ収穫

イタリア北限のオリーヴオイル

スロヴェニアやオーストリアとの国境となるイタリア最北東のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州。良質のワインの産地であることは知られているが、オイルの生産地でもある、ということはあまり知られてはいない。

ここは、ウーディネ県、チヴィダーレ・デル・フリウーリにあるVenchiarezza(ヴェンキアレッツァ)というオーガニックのワイナリー。8月後半から約1ヶ月をかけてのヴェンデンミア(ブドウ収穫)を終え、その後に続くのがオリーヴの収穫だ。

ブドウ収穫はそのタイミング及び醸造の過程でかなり気を遣うものである。白品種の多いこの地区はなおのことだ。その収穫期をようやく終了して気を緩めたいところにオリーヴ収穫が始まることもあり、生産者にとっては、精神的にも肉体的にも疲労の溜まるところ。

とはいえ、ここはもう一踏ん張り!と収穫を迎えた。

この土地ならではの土着品種「ビアンケーラ(Bianchera)」

同農家では、約3ヘクタール分のオリーヴの畑に1000本弱の樹をもつ。特徴的なのは、これらのオリーヴのうちの1/3ほどを占めるビアンケーラという品種。この地の土着品種である。

オリーヴ畑は神聖な雰囲気がある


少し大きめな淡い緑色の実の表面にはよく見ると白い薄い斑点がある。これが「ビアンケーラ」という名称の由来でもあると聞いたことがある。

この品種は他品種に比べて最後の収穫となる晩成型。厳しい北東イタリアの冬に、そして海岸側からの冬季の強い風、ボーラにも耐えうる非常に強い生命力を感じさせる品種だ。

そして、その味わいも非常に個性的。それの持つ透明感とフレッシュ感はフルーツや野草のような風味、喉に残るアーティチョークのような程よい苦味の印象は、ポリファノールの高さを示している。

オリーヴの収穫スタート!

オリーヴの収穫のタイミングを決めるのは、実の状態を見極めつつ、まずはフラントーイオ(搾油所)の予約からスタートする。というのも、同地にてオリーヴを収穫する者は、そのほとんどが自家にて搾油用の機材を持ち合わせていないため、地域のフラントーイオを利用する。オリーヴ収穫後はすぐに搾油の作業に入る必要があるが、収穫のタイミングは何処もほぼ同時期。

ということでフラントーイオでは、日時及び量を調整し予約制をとる。この時期は、フラントーイオはフル稼働。各農家はそれに合わせて日々の収穫を計画する必要がある。

さあ、10月中旬の晴れた朝、収穫がスタートした。収穫の見極めは、オリーヴの樹になる実の熟成具合。ここでは、全体的に緑色のオリーブの中に40%ほど色が黒色に変わり始めた頃を見極めている。黒色までしっかり熟したものは、油の搾油率は高くなるものの、フレッシュ感が乏しく、また酸化がしやすい。ここは各作り手の判断となるが、同農家の生産者は、フレッシュ感のある風味が目指すところであるため、緑色の実の方がかなり目立つ段階で収穫する。

実の色づきを見計らって収穫のタイミングを決める


収穫作業は、まずは一本の樹の周囲に大きなネットを敷く。2枚を利用し、樹の左右を隙間のないように。

そして、取手の長い電動の熊手を持ち、枝を振動させて実を落としていく。枝先の一粒も逃さないように、丁寧に…。一本の樹が終われば、予め敷いておいたネットを次の樹へ移動し、同様の作業が続く。

一本一本、一枝一枝を丁寧に…


何本かの樹を通過すると、ネットはもう動かせなくくらいまで重くなるため、ビンズと呼ばれる農業用の大きなカセットの中へ一気に投入。この時点で男性2名でも持ちきれないくらいの重量となっている。

こうして一本一本の樹の実を収穫していく。作業は非常に単純だが、かなりの重労働だ。

ビンズの中いっぱいになったオリーヴ。とても美しい


この農家のアイドルは葉っぱの上が気持ちいい!と嬉しそう


収穫後はフラントーイオ(搾油所)

朝から始まる収穫は、同夕方にその日の収穫量に達するところでフラントーイオへ運ぶ。この日の1日の収穫の目安の割り当ては10クインターリ(1,000kg)。大抵はそれよりも無理やりでも多めに作業すルことが多く、この日も15クインターリ分ほどを持ち込んだ。

フラントーイオへ到着。これから重量を量る


重さを計り、あとの作業はフラントーイオへ任せる。オーガニックの農家のものは、扱いも特別になるため、毎回、作業前には機械の洗浄が施される。

フラントーイオ内は搾りたてのオリーヴの香りが充満。洗浄→低温圧搾を経て最終的に絞り出された果汁(オイル)はなんともいえない深い緑色の液体。色も香りも味わいも濃厚。

フラントーイオでの搾油作業


洗浄された実は、この後圧搾へ


搾りたて!


翌日、次の収穫物を運び込むときには、前日の作業したオイルを受け取ることができる。収穫した実に対して、絞り出されるオイルはその重量の10%にも満たない。かなりの重労働であるため、新しいオイルを目の前にした喜びの反面、現実も堪えるところ、でもある。

とはいえ、持ち帰ったそれをパンにたっぷりとかけていただく幸せは、労働の後の何よりのご褒美だ。

新オイルはこのステンレスの缶の中でしばらく静置し不純物を時間をかけて下に移行させ、1-2ヶ月後にフィルターにかけて瓶詰めにされる。

新鮮なオリーヴ果汁はこのまま静置


昨年の収穫はゼロだったこともあり、今年のオイルの出来上がりを楽しみに待っている。


作業はもうしばらく続く…

 

Venchiarezza

via Udine, 100 33043 Cividale del Friuli (UD)

https://www.venchiarezza.it

 

 

フリウリの土着品種オリーブオイル「ビアンケーラ」

イタリア国内で生産されるオリーブの産地としては、少々意外かもしれない。イタリア最北西に位置するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の土着品種として、ごく僅かではあるが生産される品種がある。それが「ビアンケーラ(Bianchera)」だ。

ウーディネからトリエステ方面を中心に、クロアチアのイストリア及びダルマチア地方にて生産される。
この地の冬の厳しい寒さに耐えるがゆえ、頑丈なたくましさを持つ品種でもある。太い幹にしんなりと長い枝をつけるが、その生命力の強さからか、剪定をしっかりしてあげないと、上方まで高く高く枝を伸ばしすぎてしまうこともある。

地域的には、トリエステで有名な突風ともいえる「ボーラ」の影響を受ける土地だ。このしなやかな枝を備えたオリーブの樹の並ぶオリーブ畑は、植わっている樹が全体的に風のふく方向に傾いている、という光景を目にすることもある。

イタリア北部のこの環境だからこその生産物


「ビアンケーラ」という品種の名の通り、「白い」という意味合いを含んでいるが、その理由は実の表面に白い小さな斑点が見られることから。小さめで密な実をつける、このたくましい品種は、オープンではないが内に秘める強さを持つ、この地方の住人の気質を表しているかのようでもある。

2018年はオリーブも当たり年!たくさん実をつけました


収穫は全体的に遅めであり、通常は10月中旬以降から。収穫のタイミングとしては、樹全体になる実の色の変化がひとつの目安。オリーブの実は緑からだんだんに熟して黒くなっていくが、それらが一本の樹に半々になりかける頃合いを見計らう。フレッシュ感と完熟感の、それぞれの良さを逃さないようにするためだ。

現在最も新しいオイルである2018年産のものは、実の生育期に気温が高く日照時間も多くあったために少し早めの収穫時期を迎え、品質、量ともに非常に良い年であった。

収穫作業には、一本一本の木の下に大きな大きな網のシートを敷くことからスタート。樹の両脇を2枚のシートを重なるように並べ、一粒の実も取りこぼさないように注意する。そして、電動の熊手を用い、それを上下に揺らしながら実をシート上に落としていく。一本の樹が終わると、そのシートを次の樹の下へとひっぱって移動し、作業続行。シートに落ちた実が溜まり、その重さのために、移動するのが困難なくらいになったら、その集めた実を都度大きな容器に移す。

摘みたてのビアンケーラ。愛おしい‼︎


収穫は、一粒一粒を丁寧に無駄なく摘み取るように注意する


それを収穫後すぐに搾油所に運び、搾油作業へ。収穫した実はその時点から酸化が始まるため、即日搾油はよいオイルの必須要素だ。

搾油したばかりのオイルの香りは、びっくりするほどの芳醇さ。いわゆるオリーブジュースだ。これをこのまま静置しておくと不純物が底に溜まってくる。オイル全体にもそれを残しておくと酸化の原因にもつながるため、一定期間の静置後はフィルターにかけ、その後に瓶詰め作業となる。

絞った直後のオイル。香りがすごい。この場で見ているだけでバケット1本食べられる


フィルターにかける作業中


できあがったオイルの特徴は、とにかく品種的にポリフェノール含有量が高いことから、苦味と辛味を十分に感じる決然とした味わいだ。うまくできたこのオイルの清らかできっぱりとした強い風味は、格別なものといえる。

パンに絞りたてのオイルを浸るほどかけて食べる…このうえない幸せ


使い方としては、生野菜のサラダに…というよりも、焼いた肉や魚の調味料として。温かいミネストラの仕上げに加えれば最高の調味料に。そして、シンプルなトマトソースのパスタの仕上げにスッと一筋加えることでその一皿は一段と味わい豊かに。また、全粒粉などのクセのあるパスタとこのオイルとの相性は非常によい。

シンプルなミネストラにこのオイルを一筋かけて…格別な一皿


とにかく一度お試しいただきたい希少価値のあるオイルだ。