ヴェネトの冬!トレヴィーゾ産ラディッキオ タルディーヴォ種 IGP
「ラディッキオ ロッソ・ディ・トレヴィーゾ・タルディーヴォ」
ヴェネトの冬の食卓を語るのに、この食材無しにはあり得ない。どの独特の形状とその風味、そして食感。野菜としては美しすぎ、そして個性的すぎる。他のどんなものにも代用は不可なのではないだろうか。
ラディッキオとは、チコリの仲間の野菜である。イタリア国内でも、ヴェネト州のトレヴィーゾ県を中心に、ヴェネツィア県、パドヴァ県の認証地域で栽培される。地区ごとに、その地域性にあった品種が存在し、生産及び出荷期間も冬季限定とはいえ、微妙に異なる。
そのなかでも、特に同素材を他地域にての生産を真似されることなく、この地域ならではの生産物としての誇りとその存在を保っているのが、トレヴィーゾ産赤ラディッキオ、タルディーヴォ種(ラディッキオ ロッソ・ディ・トレヴィーゾ・タルディーヴォ=Radicchio Rosso di Treviso Tardivo)。「タルディーヴォ」とは、「晩生」という意味を持ち、それは、生産・出荷時期がラディッキオの他種に比べて時期が遅めなことからくる。
それに対して早生種である「プレコーチェ」種というのもある。こちらはタルディーヴォ種に比べると、生産方法も単純で、産地呼称であるIGPにこだわらなければ、気候さえ適合すれば、比較的、生産実現が可能とされている。
生産・出荷時期の違いは、IGP認定マークが許可されるのにも目安となるが、毎年平均してプレコーチェ種は9月末、タルディーヴォ種は11月中旬以降となる。
さて、このタルディーヴォ種、なかなかの偏屈もので、生産までの工程には非常に手間がかかる。
その特異な生産工程とは?
植苗は7月後半から8月にかけて行われる。IGP認証を取得するには、苗間の間隔にも規定があるる。夏場の太陽の力をかりて2ヶ月以上畑で生育した苗は、その後冬の訪れがくるとともに寒さから自らを守るかのごとく、外葉が内葉をやや覆うような形になる。生産者は、季節の変わり具合、気候の変化を、畑の変化を感じながら時をじっと待つ。
ヴェネトの冬は寒い。
ラディッキオにとっては、この寒さが不可欠なのだ。葉は成長するが、成長しずぎてもいけない。寒さにじっと耐えるためには適度さが必要。そしてその寒さが深くなるにつれ、畑に並ぶラディッキオの葉は、赤く色付き始める。
11月ともなると、冷え込む朝は氷点下まで気温が下がり、畑のラディッキオには一面に真っ白な霜がおりる。キンと冷える薄暗い朝、夜明けとともにキラキラと朝焼けに光る畑は非常に美しい。そして、この霜がおりることによって、産地呼称のIGPが認証され、畑からの収穫が許される。
近年は、気候の変化が顕著であり、今シーズンのIGP認証は、11月の中旬をとうに過ぎた後半期であった。生産物の出来が遅くなることは、現実的には生産農家にとっても非常に痛手でもある。
さて、畑から収穫した株は、これで出荷準備に入るわけではない。この後は、一株ずつを小さなカセットに縦詰めにし、それらを地下水の流れる貯水池にて株の根を浸水させる。水は必ず流水でなくてはならず、この地の地下水でなければならないのも規定として定められている。
同地区は、地下から自然に湧き出る清澄な水が豊富な地域。イタリアを旅行した方ならば必ず一度は手にしたことがあろう、「サン・ベネデット」というイタリア国内最大級の飲料水メーカーのある場所でもあることからも、清澄な水に恵まれている地域であることがお解りいただけると思う。
この水がこのラディッキオを育てる必須要素なのだ。この自然水プールは、日光を遮断され、いわゆる株を軟白させる工程にもあたる。同工程では、収穫により切り落とされた株の根から新根が生え、そこから水を吸い上げることで、株のごく中心部に向けて水から得られるミネラル分を吸収させ独特の甘みを与え、クロッカンテな食感を生み出すのに役立つ。
さらには、暗所に静置することで、葉の持つクロロフィルが後退し、ラディキオ特有の純白な茎と、アントシアニンから発する紫がかった鮮やかな赤色を生み出す。そして、寒さなどの条件を満たすことにより葉が内側に向けてかたく、密に閉じてくる。
約2週間ほどの軟白工程を得た株は、作業場に運ばれ、外葉を大胆に除かれる。真っ黒に腐ったような大きな株は、驚くほど鮮やかで、しかも小ぶりなその美しい姿を露わにする。
とにかく一株一株を人の手によりいくつもの工程を経る必要のある、手間のかかる野菜なのだ。
美味しくラディッキオ料理を食べたい!
実際に手にしたら、どんな料理に合うのか…というと。それがどんな調理法にもオールマイティなのだ。
生でサラダに、縦割りにしてグリルに、衣にくぐらせ油で揚げてフリットに、肉やパンチェッタを巻いてフライパンで焼き付ける、等。サルシッチャと合わせてパスタにしたり、リゾットなどは、冬の定番メニュー。
ボルレッティ種やラモン種のインゲン豆を柔らかく煮てから漉して作るヴェネト風の「パスタ・エ・ファジョーリ」には、このラディッキオの葉先を乗せ、少し赤ビネガーをたらして食べるのが、地元風だ。
ヴェネトの冬の食卓を語るのに、この食材無しにはあり得ない。どの独特の形状とその風味、そして食感。野菜としては美しすぎ、そして個性的すぎる。他のどんなものにも代用は不可なのではないだろうか。
ラディッキオとは、チコリの仲間の野菜である。イタリア国内でも、ヴェネト州のトレヴィーゾ県を中心に、ヴェネツィア県、パドヴァ県の認証地域で栽培される。地区ごとに、その地域性にあった品種が存在し、生産及び出荷期間も冬季限定とはいえ、微妙に異なる。
そのなかでも、特に同素材を他地域にての生産を真似されることなく、この地域ならではの生産物としての誇りとその存在を保っているのが、トレヴィーゾ産赤ラディッキオ、タルディーヴォ種(ラディッキオ ロッソ・ディ・トレヴィーゾ・タルディーヴォ=Radicchio Rosso di Treviso Tardivo)。「タルディーヴォ」とは、「晩生」という意味を持ち、それは、生産・出荷時期がラディッキオの他種に比べて時期が遅めなことからくる。
それに対して早生種である「プレコーチェ」種というのもある。こちらはタルディーヴォ種に比べると、生産方法も単純で、産地呼称であるIGPにこだわらなければ、気候さえ適合すれば、比較的、生産実現が可能とされている。
生産・出荷時期の違いは、IGP認定マークが許可されるのにも目安となるが、毎年平均してプレコーチェ種は9月末、タルディーヴォ種は11月中旬以降となる。
さて、このタルディーヴォ種、なかなかの偏屈もので、生産までの工程には非常に手間がかかる。
その特異な生産工程とは?
植苗は7月後半から8月にかけて行われる。IGP認証を取得するには、苗間の間隔にも規定があるる。夏場の太陽の力をかりて2ヶ月以上畑で生育した苗は、その後冬の訪れがくるとともに寒さから自らを守るかのごとく、外葉が内葉をやや覆うような形になる。生産者は、季節の変わり具合、気候の変化を、畑の変化を感じながら時をじっと待つ。
ヴェネトの冬は寒い。
ラディッキオにとっては、この寒さが不可欠なのだ。葉は成長するが、成長しずぎてもいけない。寒さにじっと耐えるためには適度さが必要。そしてその寒さが深くなるにつれ、畑に並ぶラディッキオの葉は、赤く色付き始める。
11月ともなると、冷え込む朝は氷点下まで気温が下がり、畑のラディッキオには一面に真っ白な霜がおりる。キンと冷える薄暗い朝、夜明けとともにキラキラと朝焼けに光る畑は非常に美しい。そして、この霜がおりることによって、産地呼称のIGPが認証され、畑からの収穫が許される。
近年は、気候の変化が顕著であり、今シーズンのIGP認証は、11月の中旬をとうに過ぎた後半期であった。生産物の出来が遅くなることは、現実的には生産農家にとっても非常に痛手でもある。
さて、畑から収穫した株は、これで出荷準備に入るわけではない。この後は、一株ずつを小さなカセットに縦詰めにし、それらを地下水の流れる貯水池にて株の根を浸水させる。水は必ず流水でなくてはならず、この地の地下水でなければならないのも規定として定められている。
同地区は、地下から自然に湧き出る清澄な水が豊富な地域。イタリアを旅行した方ならば必ず一度は手にしたことがあろう、「サン・ベネデット」というイタリア国内最大級の飲料水メーカーのある場所でもあることからも、清澄な水に恵まれている地域であることがお解りいただけると思う。
この水がこのラディッキオを育てる必須要素なのだ。この自然水プールは、日光を遮断され、いわゆる株を軟白させる工程にもあたる。同工程では、収穫により切り落とされた株の根から新根が生え、そこから水を吸い上げることで、株のごく中心部に向けて水から得られるミネラル分を吸収させ独特の甘みを与え、クロッカンテな食感を生み出すのに役立つ。
さらには、暗所に静置することで、葉の持つクロロフィルが後退し、ラディキオ特有の純白な茎と、アントシアニンから発する紫がかった鮮やかな赤色を生み出す。そして、寒さなどの条件を満たすことにより葉が内側に向けてかたく、密に閉じてくる。
約2週間ほどの軟白工程を得た株は、作業場に運ばれ、外葉を大胆に除かれる。真っ黒に腐ったような大きな株は、驚くほど鮮やかで、しかも小ぶりなその美しい姿を露わにする。
とにかく一株一株を人の手によりいくつもの工程を経る必要のある、手間のかかる野菜なのだ。
美味しくラディッキオ料理を食べたい!
実際に手にしたら、どんな料理に合うのか…というと。それがどんな調理法にもオールマイティなのだ。
生でサラダに、縦割りにしてグリルに、衣にくぐらせ油で揚げてフリットに、肉やパンチェッタを巻いてフライパンで焼き付ける、等。サルシッチャと合わせてパスタにしたり、リゾットなどは、冬の定番メニュー。
ボルレッティ種やラモン種のインゲン豆を柔らかく煮てから漉して作るヴェネト風の「パスタ・エ・ファジョーリ」には、このラディッキオの葉先を乗せ、少し赤ビネガーをたらして食べるのが、地元風だ。