『イタリア好き』ウンブリア州 取材日記1 カステッルッチョのペコリーノ

今回のウンブリアで、一番印象的だったのは、やはりカステッルッチョのペコリーノ。 カステッルッチョは、ウンブリアでも東側のはずれにある村です。 もうほとんどすぐ隣はマルケ州です。 取材の時は、ここへは深夜到着しました。 話によると、オオカミが見れるかもしれないと言うことだったのですが、 そんなことも忘れるくらい、夕食をお腹いっぱい食べ、ワインもたくさん飲んでいたので、 車の中で熟睡して、着いたらそのままベッドですぐに寝てしまいました。 着いた時に、とても寒かったことだけは覚えています。 翌朝、目覚めて、外を眺めると、なんとそこは雲の上でした。
<カステッルッチョの夜明け>
薄らと遠くに光が見えて、そろそろ夜明けという時間。 とても幻想的な風景が目前に広がっていました。 着替えて、ホテルの外に出ると、吐く息が白い。なんと8度。 まだ9月10日なのに… 宿のすぐ下に、ペコリーノを生産しているところがありました。 小さな小さな作業場で、夫婦二人で作っていました。 昔から使っている銅の鍋。 150リットルの羊乳をゆっくりゆっくりかき混ぜているご主人。
<ゆっくり温めていきます>
Windows Vista Home Premium SP2 64-bit 奥さんは、リコッタサーラにひとつひとつ丁寧に塩をまぶしていました。
<時間をかけて水分を抜いていきます>
そうこうするうちに夜もすっかり明けて、雲海が晴れると、そこには広い平野が広がっていました。 眼下に広がる風景は、今にも映画の撮影でも始まるかのような風景でした。 遠くには羊飼いが、羊の群れを操っています。
<雲海が晴れると現れるピアングランデ>
本誌内にも紹介されていますが、毎日その羊から搾りたての羊乳が届きます。 それを丁寧に濾してから、32度~37度くらいまで温め、 そこにレンニンという子羊の胃袋を乾燥させたものを溶かし入れて固めていきます。 これも他のところでは、薬品を使ったりします。 でも、ここではこういうものまでも、自然のものにこだわっています。 で、このレンニンの絞りかすはとっても臭いですぅ~~。
<レンニンの搾りカス。決して嗅がないでください>
約10分~15分程度そのままにしておくと、固まってきます。 それを、大きな鍋底から持ちあげて、切り分け木枠の中にいれ、 均一に力をかけて形成しながら、水分を抜いていきます。 この作業がとても大事です。ゆっくり体重をかけながら、均一に力をかける。 手作業でなくてはできない、経験を積んだ感覚。 機会作りでは絶対に出せない食感はここで決まると思います。
<きれいに形成されています>
ご主人も、奥さんも自分の方が上手だし、美味しいと言い張っていましたが… どちらが作った方かは分かりませんが、中はしっとりと柔らかく、ミルクのほんのりした甘さがあり、 ほんとに美味しかったです。こう書いているだけでも食べたくなります。 この場所の素晴らしさと、ペコリーノの美味しさ。 ぜひ一度、カステッルッチョを訪れて欲しいものです。
<夫婦の力の結晶。絶品ペコリーノ>
マッシモ松本