vol.33 魅惑のマルケ

魅惑のマルケ

3月後半~4月前半、まだシッビリーニ山脈の頂にはしっかりと雪が残っていたが、パスクアを迎え、日を追うごとに春が近くなってくるのを感じながら、魅惑のマルケを訪ねた。

初めてマルケを訪れたのが確か2000年だった。特にイタリアを行き尽くして辿りついた場所でもなく、旅行博で知った情報に興味を持ち、へそ曲がりで、人と同じことを好まない僕は、メジャーな都市よりも裏イタリアのマルケに行きたい衝動に駆られたのだ。

ウルビーノ、マチェラータ、アンコーナ他、海岸線の小さな村などを回った。ウルビーノももちろんよかったが、特にその時に印象的だったのは、マチェラータだった。旧市街に面してあるスフェリステリオ競技場は、夏はオペラ劇場として盛大なイベントが行われると知った。季節は冬で閉鎖中だったのだけれど、インフォメーションの女性が親切で、特別に開けて中を案内してくれた。ベローナにも行ったことのない僕は、誰もいない大きな古代競技場がオペラ劇場に変身するのを想像してゾクゾクしたのを覚えている。そこから城門をくぐり、城壁で囲まれた小さな旧市街は、すぐに歴史的空間に誘ってくれた。そこにオペラ歌手も訪れる1952年から続く「ダ・セコンド」という名店があり、着任したばかりの女性美人シェフが笑顔で対応してくれ、初めて食べたオリーヴェ・アスコラーナや、ヴィンチスグラッシが印象的だった。女性がらみの思い出は廃れない。

それからしばらく経った2005年、以前勤めていた出版社からマルケとアブルッツォの特集を組んだ旅行情報のムックを企画、出版した。その白地の表紙には、「イタリア好き、次はアドリア海へ」という、なんとも無謀かつ大胆なキャッチコピーを掲げていたから、それだけ魅力を感じていたのだろう。が、しかし残念ながらこのムックはほとんど売れなかった。でも既にこの時〝イタリア好き〟という単語は世に出ていたのだ。

あれからもう幾度となくマルケを訪れている。そこには、海も、山も、そして歴史的建造物や街、職人、食と、観光のフックになる素材は数多く揃っているのに、今ひとつメジャーにならない。だけどマルケは、裏切ることなく、いつもその魅力を存分に見せつけてくれる。特に今回は、ディープマルケにばかり連れ回してくれたコーディネイターの林さんのお陰で、さらに違ったマルケを体験できたし、素晴らしい人々に会うこともできた。そして、いい意味でマイナーイタリアは、メジャーイタリアとは違うステージで戦い、挑戦していることを知ったのだった。そんなマルキジャーニの挑戦と魅惑するマルケを存分に感じてもらい、次は裏イタリア、ディープマルケにアンディアーモ!

編集発行人 マッシモ松本
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