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イタリア流の栗料理。トスカーナの栗の名産地マッラーディで栗づくしイベント

秋冬にイタリアを旅行したことがある人なら、きっとどこかの街で「焼き栗」を目にしたことがあるのではないでしょうか。私も初めてのイタリア旅行の際にミラノで「焼き栗」を買って食べてみたのですが、その美味しさに感激したことは今でも忘れられません。どこの街でも「焼き栗」を見かけるほど、栗はイタリアの秋冬を代表する味覚の一つとなっています。

※季節外れの栗の話題で恐縮ですが、その理由は前回の記事「本日から公開!GWに観たいおすすめイタリア映画「帰れない山」」をご覧ください〜。

 

トスカーナで栗の名産地と言えば真っ先に挙げられるのが「マッラーディ」

トスカーナ州では各地で栗が収穫されますが、その中でも特に有名なのがマッラーディ。ここの栗はIGP(保護指定地域表示)認定を受けている、ステータスあるブランド栗のような存在。

※詳しくはマッラーディが含まれるムジェッロ地方の栗についたこちらの記事「マンマのレシピ掲載「カスタニャッチョ」に欠かせない”栗の粉”について、栗生産者に聞きました」をあわせてお読みくださいませ。


マッラーディはフィレンツェから約60キロほど離れた、車で約1時間半ほどのところにある山間にある街です。ここでは先述した通り、名産品の栗をブランド化することに力を入れ、栗が町興しや観光客招致の役割を担っています。


そんなマッラーディの街の可愛らしい劇場で1月半ば、マッラーディ市長やマッラーディのあるムジェッロ地方のホテルやレストラン、生産者や食品販売店らが一堂に会した栗づくしイベントが開催されました。


今回はプレスとして招待してもらい、招待客はフィレンツェから送迎車でマッラーディまで往復したのですが、この日は大雪に見舞われ、道中の景色がフィレンツェとはまるで異なる銀世界となっていて、それはそれは美しかったです。


到着したマッラーディの街も大雪で一面銀世界が広がり、マッラーディ市民たちも「昨日まで全く雪も無かったんだけどねえ、今日はすごいね!」とみんな写真撮影をするほどはしゃいでいました。

 

栗のプリン、栗のトルテッリ、栗粉のオレッキエッテ・・・まさに栗づくし!

イベントでは最初に栗のトルテッリづくり教室が開かれました。参加した市長や商工会議所、トスカーナ州関係者、ジャーナリストたちがパスタづくりに挑戦。

撮影:Giorgia Baluganti



撮影:Giorgia Baluganti


その後、料理の準備が進められている間に、市長たちが生産・商業・観光が一丸となってマッラーディやムジェッロ地方の観光誘致に取り組み、さらに栗の知名度や栗を使った郷土料理などの周知を広める大切さを参加者たちに話していました。

撮影:Giorgia Baluganti


会合が終わり、食事会場に移動すると、栗を使った商品の展示が行われており、さらに栗づくしランチの準備が進められていました。どれもこれも目移りしそうなほど美味しそうなものばかり。

撮影:Giorgia Baluganti



用意されたワインももちろん地元のワインです。イタリアのイベントではたいてい美味しいワインがついて回るのでワイン好きにはたまりません(^^)


イタリア流栗づくしブッフェはこんな感じです!

提供者(レストラン名と料理人名とレストランURL)と料理の一覧は以下の通り:

Il Caminohttps://www.ristoranteilcamino.net/)– Simona Sartoni
オリーブオイルとチーズをかけた栗のトルテッリ、栗のケーキ

撮影:Giorgia Baluganti



撮影:Giorgia Baluganti


Antica Porta di Levante https://www.anticaportadilevante.it/)– Cristian Borchi
ムジェッロの蜂蜜でマリネしたチンタ・セネーゼ(豚の種類)のプルドポーク、ワインビネガーでマリネしたキャベツを古代の穀物粉とフィレンツェの丘のサフランで作ったフォカッチャ


Il Cantuccio (https://icantuccio.eatbu.com/?lang=it)– Francesco Cappelli
栗のジャムを添えたペスケ(スウィーツの名前)、マロングラッセを添えたチーズケーキ、栗粉のドーナツ


Il Casolare (https://www.ristoranteilcasolaremarradi.it/)– Carlo Carzaniga
栗のプリン


La Colombaia (http://www.agriturismocolombaia.com/ita/ristorante.php)– Lubiana Vinci
栗とカリカリラードを添えたラディッキオのサラダ、ポテトのトルテッリ・ミートソースがけ、栗のケーキ


La Torre Osteria et Bottega (https://www.latorreosteria.it/)– Lorenzo Dugheri
栗粉を使った甘くないマリトッツォ、栗粉のパン


Palazzo Torriani (https://www.palazzotorriani.it/it/)– Annamaria Tagliaferri e Mariaemilia Donati
バターとペコリーノチーズの栗粉のオレキエッテ、栗のトルテッリーニのフライ


日本と同様に、栗はスイーツだけでなく料理にも使われており、食事からデザートまで栗づくしのランチビュッフェでしたが、こんなにも栗の楽しみ方があるんだなと感心させられた内容で全く飽きずに栗づくしを楽しめました。日本人も栗好きですが、イタリア人の栗好きも相当なもの。いつか日本とイタリアの栗ざんまい対決などが実現されたら面白いかもと思いました。

撮影:Giorgia Baluganti


食事後はマッラーディにある栗の博物館へ。この博物館には様々な種類の栗や、栗を使った商品、栗を使った伝統料理の写真などが展示されています。



日本の高校の文化祭っぽい雰囲気の展示でほのぼのとしていましたが、「君、日本人でしょ?これ見てよ!」と勧められて見に行ったら、日本の栗の加工品の展示までありました。


ゴールデンウィーク中でまだ次の旅行のことまで考えられないかもしれませんが、次に秋冬にイタリア旅行を計画しようとしている読者がいましたら、マッラーディでの栗ざんまいを旅行に組み入れてとことんイタリアの栗を楽しむのもユニークな体験になるかと思います!

さて今回のイベントはトスカーナ州などが手がける”VETRINA TOSCANA(ヴェトリーナ・トスカーナ)”という食とワインの観光を促進する地域プロジェクトが主催したものなのですが、VETRINA TOSCANAはサイトがあり、トスカーナ州のお墨付きの厳選されたレストラン、ワイナリー、アグリツーリズム、ホテル、地域の特産物を日本にいながらチェックすることができます。とても便利なサイトになっているので、トスカーナへの旅行を考えている人は旅の計画の参考に覗いてみてはいかがでしょうか。

VETRINA TOSCANA(ヴェトリーナ・トスカーナ)
https://www.vetrina.toscana.it/

 

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トレヴィーゾ郊外の栗祭り 「フェスタ・デイ・マローニ」

トレヴィーゾ郊外の山間、コンバーイ(Combai)

すっかり秋らしく、冬の足音が聞こえてくるこの時期は、栗の美味しい季節。
トレヴィーゾ県のコンバーイ(Combai)という、プロセッコの里に隣接した山の地域では、産地呼称であるI.G.P.を冠する栗の産地としても有名だ。

その地で毎年10月には、栗の収穫祭が開かれる。ここに辿り着くまでには、プロセッコのブドウ畑の並ぶ急勾配の道を、車でズンズンと登っていく。紅葉の始まりかけた周囲の素晴らしく美しい風景を横目に、目的地へ。石造りの家の立ち並ぶ小さな集落。標高約400mに位置する町だ。
コンバーイはプロセッコの畑を見下ろす場所に位置する街に近ずくにつれて人も車も多くなり、会場から少し離れたところに車を止めるように交通整理員に誘導されて、徒歩で街の中心へ。普段は静かなこの小さな集落は、一年に一度のこの季節となると、車が渋滞するほどの賑わいとなる。

集落の入り口には大きな垂れ幕!


街全体がお祭り会場へ

集落内は全体がお祭り会場と化している。道端には、土地の製品を売る屋台が出店している。美味しそうな地元チーズやヴェネトの太いサラミ、ソプレッサの山は非常に魅力的…。

地元の食料品店の店先。簡易の即売所となる


柔らかく太いヴェネトのサラミ、ソプレッサ


そしてメイン会場へ到着。お昼どきには、ラザニアやニョッキ、スペッツァティーノ(肉の煮込み)などが振舞われており、大混雑の雑踏のなかで食べるそれらはこれまた格別。並べられたテーブルに座ると同席のお隣さんとも親しくなったりする。

牛肉のスペッツァティーノ。付け合わせはお決まりのポレンタで


祭りの目玉、焼き栗を食す!

別会場となる仮設テントは、焼き栗の大きな実演販売と飲食コーナーとなる。
テントの脇には、大きな大きな鉄鍋が設置されており、焼き栗が準備される。このお祭りの名物シーンでもある。チェーンで動作させるほどの大きな鉄鍋は、大量の薪を燃やして栗を焼く。煙がすごいが、気温の下がるこの時期には、暖をとるのにもちょうど良く、周囲には多くの人々が集まる。実際に焼いている人たちは大汗をかきながら作業しているのだが…

大きな鉄鍋で大量の焼き栗をつくる風景は、このお祭りの名物


食券販売所の列に並び、焼きたての焼き栗を注文。食券を持ってカウンターに行くと、焼き栗の袋と交換してもらえる。
熱々の焼き栗を囲んで、手先を真っ黒にしながらとにかく栗を食べる、食べる。食べる…食べ続ける。

真っ黒に焼けた栗。中はホッコリ。旨し!


会場内はテーブルが並べられていて、栗は立ち喰い


焼き栗のお供は…トルボリーノ

そして、焼き栗に欠かせないのが、「トルボリーノ(torbolino)」だ。「トルボリーノ」とは、この時期に飲むワインの前身のようなもの。収穫して間もないぶどうの果汁は、発酵過程を経てアルコールへと変わっていくが、その発酵がまだ完全になされていないこともあり、糖が残りアルコール度数が低い。当然のごとく、澱引きしていないことから、濁っている。「トルビド(=濁った)」であることが、「トルボリーノ」と通称される所以だ。

栗の収穫時期には、ちょうどこの段階のコレが季節的にも、そしてほんのりと残る甘い微発泡のコレが焼き栗に非常に合うことから、焼き栗とトルボリーノとはきってもきれない関係なのだ。
ワインになりきっていないぶどうの果汁という意味で、この会場ではあえて”モスト”と呼んでいる。

濁り酒のトルボリーノ


会場は、地元の子供たちも焼き栗や飲み物の提供をお手伝い。焼き栗の袋詰めやカウンターでワインを注いでくれる子供たちの姿がなんとも可愛くありながら大人びていて、見ていると思わず顔がほころぶ…。

注文のバンコ(カウンター)を守るのは、地元の子供たち


山間の小さな小さな街の大イベントだから、迎える人も訪れる人も喜びを一緒に分かち合う。この季節とこの季節だからこその味覚を皆で大いに楽しむ、そんな楽しいイベントだ。

コンバーイの街の上から。集落内はスパヴェンタパッセリ(かかし)が道案内