タグ別アーカイブ: トスカーナ

「貧しい料理」こそ、実は最高の贅沢だった話。〜トスカーナの心温まる美食の夜〜

「イタリア料理」と聞いて、みなさんはどんな風景を思い浮かべますか?
今回の舞台は、フィレンツェから少し西へ。なだらかな丘が続く美しい村、モンタイオーネ(Montaione)です。

「貧しい料理」こそ、実は最高の贅沢だった話。モンタイオーネで愛され続けているレストラン「I' Ciampa(イ・チャンパ)1

ここで先日、ちょっと特別なディナーイベント「Locale, di Gusto!(ロカーレ・ディ・グスト)」が開かれました。これは「美味しいお店」という意味と、「地元の(ローカルな)味」という意味をかけたネーミングで、その土地の美味しいものを丸ごと味わおう!というプロジェクトなんです。ただ美味しいものを食べるだけじゃない、トスカーナの食のルーツに触れる素敵な一夜だったので、その様子をリポートします。

おじいちゃんの味を守る、兄弟のレストラン

会場になったのは、モンタイオーネで愛され続けているレストラン「I’ Ciampa(イ・チャンパ)」。

ここは、1956年から続く老舗で、今は、フィリッポさんとレナートさんという二人が、おじいちゃんの代からの味と伝統をしっかり守っています。「昔ながらの味」が恋しくなったらここに来れば間違いない、そんなお店です。

「貧しい料理」って、どういうこと?

この夜、私たちをナビゲートしてくれたのが、フランチェスカ・ピノキ(Francesca Pinochi)さん。
彼女はジャーナリストであり、食とワインのプロフェッショナル。しかも、このモンタイオーネの文化担当の評議員も務めているという、まさにこの土地の「語り部」のような女性です。

フランチェスカさんが熱く語ってくれたのが、トスカーナ料理の根っこにある「クチーナ・ポーヴェラ(Cucina Povera=貧しい料理)」のお話。

「“貧しい”なんて名前だけど、決して味が劣るわけじゃないのよ」と彼女は言います。

「それは、食材を一切無駄にせず、ありあわせのものから最高の美味しさを引き出す、農民たちの知恵と愛情のことなの」

硬くなったパンをスープにしたり、余ったお肉を別の料理に変身させたり。そう、トスカーナ名物の「リボッリータ」など、まさにその代表格。今でいう「サステナブル」や「フードロス削減」を、トスカーナの人々は何百年も前から、当たり前の「美味しい日常」としてやってきました。


地元の食材を使うことの「本当の豊かさ」

そしてもう一人、この夜の大切なキーパーソンがいました。このイベントのプロジェクト「ヴェトリーナ・トスカーナ(Vetrina Toscana)」を担当している、ダニエラ・ムニャイ(Daniela Mugnai)さんです。

フランチェスカさんが「知恵」の話をしてくれたのに対し、ダニエラさんが語ってくれたのは「食材」への愛でした。

「近くの畑で採れたものを、その土地のやり方で料理して食べる。シンプルだけど、それは本当の贅沢だし、この美しい風景や地域を守ることにもつながるのよ」

彼女の言葉からは、地元食材を使うことが単なる消費ではなく、土地への敬意であることが伝わってきました。そんな二人の話を聞いてから料理に向き合うと、ひとくちの重みが変わってくる気がします。


優しくて力強い、伝統の味のフルコース

さて、お待ちかねの「貧しい料理」のご紹介です!

まずは、トスカーナの食卓の定番「レバーペーストのクロスティーニ」。そして冬の味覚、「黒キャベツとラルド(豚の背脂)」のクロスティーニ。素朴だけど、地元の素材の力がみなぎっていて、ついついワインが進んじゃう味です。

続いて出てきたのが「パッパ・アル・ポモドーロ」。イタリア好きな皆さんならご存知のトスカーナの名物料理。硬くなったパンとトマトを煮込んだスープなんですが、口に入れた瞬間、ホッとするような優しさが広がります。まさに、代々受け継がれてきた家庭の温もりそのもの。


そしてパスタは「カサレッチェのイノシシソース」 。「カサレッチェ」は、ソースがよく絡むようにねじれた形をしたショートパスタのこと。ここに、トスカーナの森の恵みであるイノシシをじっくり煮込んだ濃厚なラグー(ミートソース)を合わせます。力強いお肉の旨みをパスタがしっかり受け止めていて、噛み締めるたびに幸せな気分!

リコッタチーズとほうれん草のニョッキ「ニューディ」も、優しい味わいです。

そしてメインディッシュは、「フランチェジーナ(Francesina)」
これぞクチーナ・ポーヴェラの傑作! 前日にスープを取るために茹でたお肉(Lesso=レッソ)を、たっぷりの赤玉ねぎとトマトで煮込み直した料理です。「残り物」が、じっくり炒めた玉ねぎの甘みで、極上のご馳走に生まれ変わります。この玉ねぎの甘みがきいた料理は、まさに日本人好みです。付け合わせはこちらもトスカーナ料理に欠かせない白インゲン豆のトマト煮「ファジョーリ・アル・ウッチェレット」です。

合わせるワインはもちろん地元のものを。提供される料理の味を引き立てるよう厳選された3種類のワインとのペアリングが行われました。もちろん、ソムリエであるフランチェスカさんからワインの詳しい説明を聞くこともできました。




前菜とともにCingalino – Rosso di Toscana 2024 (Villa Pillo)/プリモとともにBorgoforte – IGT 2023 (Villa Pillo)/セコンドとともにBordocampo – IGT 2022 (La Rimessa)

食後酒には、レストランの自家製ヴィンサントを堪能。


 

市長も一緒にテーブルを囲む、温かい夜

この特別なディナーには、モンタイオーネのパオロ・ポンポーニ(Paolo Pomponi)市長も駆けつけ、市長自らがテーブルを囲んで、地元の人など参加者たちと一緒にワイワイ食事を楽しみました。この街でもやはり「食」は誇りであり、みんなを繋ぐ絆なんだなぁと実感しました。


この魅力的なイベントですが、トスカーナ州のプロジェクト「Vetrina Toscana(ヴェトリーナ・トスカーナ)」の一環として開かれました。このプロジェクトが目指していること、それは単なるグルメイベントではありません。トスカーナが持つ豊かな「食とワインの遺産」を、もっと旅の楽しさに繋げていこうという試みなのです。

畑で野菜を作る人、それを運ぶ人、料理するシェフ、そしてそれを楽しみに来る旅行者……。「生産から観光まで」に関わるすべての人たちが手を取り合って、トスカーナの美味しい伝統を守り、その価値をみんなで分かち合おう。そんな温かい想いが込められた連携プロジェクトなんです。

ミシュランレストランなど派手な高級料理もいいけれど、こういう土地の歴史を噛みしめるような食事もまた、最高の「贅沢」なのかもしれません。

みなさんもトスカーナに行くときは、フィレンツェから少し足を延ばして、ぜひモンタイオーネへ出かけてみては。そこには、心もお腹も満たされる、とびきりリッチな「貧しい料理」が待っていますよ!


レストラン:Ristorante I’ Ciampa (Montaione) 住所: Via Chiarenti, 46, Montaione, Italy https://www.facebook.com/ristoranteiciampa

Vetrina Toscana(ヴェトリーナ・トスカーナ)のURL:  https://www.vetrina.toscana.it/

【次回の予告】

さて、トスカーナの美味しい旅はまだまだ続きます。
今回は「おじいちゃん」から受け継がれたレストランの味でしたが、次回は「おばあちゃんの味」をそのまま大切に守り続けている、ある“とっておきの商品”についてお伝えしようと思います。昔ながらの知恵と愛情がぎゅっと詰まったその逸品が一体何なのかは……次回の更新までのお楽しみ!

【お知らせ】

私からひとつお知らせがあります。
この度、J-WAVEの日曜朝の人気番組『ACROSS THE SKY』に、3度目となる出演が決まりました!


いよいよ開催が近づく「ミラノ・コルティナ冬季オリンピック」にちなんで、開催地の一つであるコルティナ・ダンペッツォやミラノの魅力について番組ナビゲーターの女優の小川紗良さんと語ります。コルティナが持つ独特の歴史や文化、美しい街の雰囲気、そしてオリンピックとの深い繋がりについて。もちろん、コルティナで飲みたい「お酒」やおすすめスポットなんかもお話しする予定です。日曜の朝、コーヒー片手にぜひラジオ(またはradiko)を聴いてみてくださいね!

J-WAVE 81.3FM『ACROSS THE SKY』

出演日時: 2月1日(日)AM 9:20〜9:40頃

テーマ: ミラノ・コルティナダンペッツォ特集(歴史、文化、五輪、おすすめスポットなど)

★今年こそは(今更ですが・・)インスタグラムもなるべく発信していこうと思っていますので、良かったらフォローしてください↓↓更新の励みになります!https://www.instagram.com/makokobayashi_firenze/

トスカーナ発の極上チョコレート「NOALYA(ノアルヤ)」日本上陸!【FOODEX KANSAI登場】

FOODEX KANSAIにて、日本のチョコレートファンとプロフェッショナルに向けて登場

高級チョコレートというと、日本ではベルギーやフランスのブランドを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実はイタリアにも職人技と美意識が光る、洗練されたチョコレートブランドが存在しています。

その中でも、美味しいものが大好きな私が個人的に“恋している”と言っても過言ではないブランドが「NOALYA(ノアルヤ)」。イタリア・トスカーナ生まれのこのブランドが、【FOODEX KANSAI】に出展!日本のチョコレートファンに是非味わっていただきたい!

※この内容は、私のブログ「AmicaMakoイタリアスタイル」でも詳しくご紹介しています!

■ NOALYAとの出会い

NOALYAに出会ったのは、フィレンツェで行われたグルメイベント。創業者のALESSIO TESSIERI(アレッシオ・テッシエリ)氏から説明を受けながら一口試食した瞬間、なめらかな口どけと、カカオの芳醇な風味に心を打たれました。以来、様々なイベントでNOALYAを味わう度に虜になりました。


もともと、チョコレートは甘さが控えめな方が好みなので、ここの甘さが抑えられたチョコレートは上品な味わいで本当に好み。


■ NOALYA(ノアルヤ)とは?

トスカーナ州ポンサッコという街で誕生したNOALYAは、「Tree to Bar(ツリートゥバー)」を掲げ、カカオ栽培から製造まで全工程を一貫管理。まるでワインのように“テロワール”を大切にし、チョコレートを文化として伝える姿勢が魅力です。

創業者のアレッシオ・テッシエリ氏


創業者アレッシオ・テッシエーリ氏は、30年以上にわたりカカオの栽培からチョコレート製造に至るまで、品質と卓越性を追求してきました。ベネズエラ(自社農園あり)、ホンジュラス、メキシコ、コロンビア、ベトナムなど、世界中の生産地を巡り、カカオを厳選しています。



テッシエーリ氏は、親日家でもあり、今回の来日にも強い思いを寄せているそう!過去に4度日本を訪れており、しかも毎朝飲むのは日本の緑茶なのだとか!

FOODEXのブースでは、彼から直接お話を聞ける貴重な機会もあります。

■ 味わいは“旅”──チョコレートで世界を巡る

NOALYAのラインナップには「Venezuela」や「Mexico」など、産地名が冠された商品が並び、まるでカカオの旅をしている気分に。低温焙煎により引き出されたアロマは、果実やスパイスの香りに通じ、味わいが奥深く続きます。


アフリカ、中南米、東南アジアを網羅する契約農園や協力農家から仕入れた希少なカカオ豆は、収穫後すぐに発酵・天日乾燥され、品質を保つためにジュート(麻袋)に詰められイタリアへ運ばれます。


到着後は、NOALYAの最新鋭ラボで徹底したトレーサビリティ管理のもと、低温焙煎。種類ごとに最適な温度と時間が調整され、果実のような香りからローストナッツ、スパイスやタバコの余韻まで、奥深いアロマが丁寧に引き出されます。

 

■ プロフェッショナルも信頼の品質

パティシエやショコラティエと共同開発するアカデミーでは、使用目的に応じた“カスタムチョコレート”も製造。まさに「オートクチュール」のチョコです。有名パティシエたちとのコラボにも積極的です。

■ ラインナップ紹介(ほんの一部のみ紹介。まだまだラインナップはたくさんあります!)

 

メキシコ産 Almendra Blanca(80%):€13.50
ベネズエラ産 Criollo Merideño(70%):€13.50
スプレッドやドラジェも充実:€10〜18
ギフトセットもあり!

■ FOODEX KANSAI 出展情報

関西上陸!NOALYAのチョコレートを味わえる貴重な機会。
ぜひ、その深い味わいと物語を、会場でご体感ください!

📍 NOALYA Cioccolato Coltivato(ノアルヤ・チョコラート・コルティヴァート)
🌍 公式サイト

トスカーナの素晴らしさを発見する週末旅行、モンテ・アミアータへようこそ


美食で有名なトスカーナ州は、沢山の美味しいものであふれている州です。そんなトスカーナ州南部にモンテ・アミアータ(アミアータ山)がありますが、この付近には決して有名な観光地では味わえないゆったりした穏やかな時間の流れを楽しめる村がいくつもあります。トスカーナの田舎の魅力がたくさん詰まったモンテ・アミアータの村々で過ごす週末旅行をご紹介します。

トスカーナの素晴らしさを発見する週末旅行、モンテ・アミアータへようこそ

モンテ・アミアータはフィレンツェから約170キロ、ローマから約180キロほどの位置にある地域です。今回ご紹介する23日のツアーは、この地域の良さをもっと広く知ってもらいたいという思いからトスカーナ州が企画しました。誰よりも州の良さを知り尽くしているトスカーナ州プレゼンツのこのプレスツアーには、フランスやイタリア各地から招かれたジャーナリストたちが参加しました。

アルチドッソのこぢんまりしたアットホームな雰囲気のトラットリアで最初のディナー

今回の旅ではカステル・デル・ピアノの小さな町にあるホテル「インペロ 」に2連泊し、ここを拠点に各地を巡りました。 最初に訪れたのは、ホテルから近いアルチドッソという可愛らしい村にあるトラットリア「バスタルダ・ロッサ」。


こぢんまりとしたアットホームなトラットリアに入ると、トラットリアの人たちは満面の笑みで私達を温かく迎え入れてくれました。心の底から私達を受けて入れてくれるような、そんな暖かい地元の人たちのホスピタリティに触れ、終始とても和やかな雰囲気の中で食事を楽しめました。
バスタルダ・ロッサ
住所 Via Talassese 98, Arcidosso
URL https://www.facebook.com/BastardaRossa

世界で一番受賞歴の多いペコリーノ工房「イル・フィオリーノ」でチーズ造りを見学

翌日、私たちはロッカルベーニャに向けて再び出発しました。目的地は世界で最も多くの受賞数を誇るペコリーノ(羊のチーズ)工房「イル・フィオリーノ」。「イル・フィオリーノ」の起源は1812年に牧羊を始めたことに遡り、その後1957年に乳製品工場の設立がスタートしました。現在は、工場を設立したアッティリオ・フィオリーノの娘のアンジェラさんと夫のシモーネ・サルジェントーニさんが25人の従業員とともに厳格な生産ルールに沿ってチーズをつくっています。


工場でのチーズづくりの見学後は、工場に併設されたショップにてチーズの試食会が開かれました。チーズにあわせて提供されたのはサンジョヴェーゼのワイン。試食では熟成期間の異なるペコリーノを食べ比べましたが、濃厚でミルキーな味わいは絶品でした。


壁一面に所狭しと飾られた世界中の受賞の数々が誇らしく輝いており、このチーズがいかに世界中から認められているかが実感できました。


工場を後にすると、昔ながらの方法でチーズを熟成させている洞窟熟成をしました。ひんやりした洞窟は天然の冷蔵庫、ここで熟成されたペコリーノも購入することが出来ます。

カゼイフィーチョ・イル・フィオリーノ
住所 Loc. Paiolaio 58100 Roccalbegna (GR)
URL https://www.caseificioilfiorino.it/en/(英語サイトあり)

岩に囲まれ、山の空気に包まれたロッカルベーニャのレストラン「ラ・ピエトラ」でランチ

そびえ立つ岩に囲まれ、自然豊かで山の清々しい空気に包まれたロッカルベーニャ。



ランチは、ここにある宿泊施設つきレストラン「ラ・ピエトラ」。


このレストランでは地元の環境に優しい製品を使用することを明記したマニフェストに署名する必要があるというユニークな掟があります。レティツィア・シレンツィさんは、この村の生活や地域協同組合の活動などを語ってくれました。


レストランではトスカーナの山の伝統と結びつきながらも、若いシェフの新たな息が吹き込まれたモダンな料理が提供されます。 ひよこ豆のクリームにバカラ(タラの塩漬け)のムースが添えられたミルフィーユから、ミートソースのポテトのトルテッリ。


ベジタリアンには栗、ネギ、ベーコンのニョッキ。そしてデザートにはリンゴジャムとリコッタチーズが添えた栗粉のクレープ「ネッチ」や、ロッカルベーニャの典型的なビスケットなど。

料理には、オレンジ色が美しいワイン、アルマンチョーネ 2019(ウーゴ・コンティーニ・ ボナコッシ・ワイナリー)があわせられました。
アンティカ ロカンダ レストラン「ラ・ピエトラ」
住所Via XXIV Maggio 69A-B 58053 Roccalbegna
URL: https://www.albergolapietra.com

黄金に輝くオリーブオイル、セッジャーノのオリーブオイル生産所を見学&試食

昼食後に向かったのは「オリーブオイルの村」セッジャーノ。ここではオリーブオイルの収穫とオリーブオイル生産過程を見学しました。



ここで作られているオリーブの品種は標高の高いアミアータ火山の斜面に生育する「オリヴァストラ・セジャネーゼ」です。セッジャーノのオリーブオイルは厳しい審査基準をクリアしないと認定されないD.O.P.(保護原産地呼称)に認定されている、高品質のエキストラヴァージンオリーブオイルで、風味はほのかな甘みがあり、中程度から低いレベルの辛さと苦味があります。


セッジャーノオイルのコンソーシアムのルチアーノ・ジリオッティ会長は、満面の笑顔で私達を迎え入れてくれ、村自慢のオリーブの収穫の様子を見せてくれました。


その後は、近くのオリーブオイル精油所にてどのようにオリーブオイルが生成されるか説明しながら、その過程を案内してくれました。
続いてセッジャーノの村の中心地へと移動し、チェッキリーニ・オリーブオイル地下搾油所跡へと案内されました。1800年代終わり頃から1900年台半ば頃まで、この村のオリーブオイル生産に使われていた搾油所で、当時としては最先端の技術が活用された機材が並んでいます。


セッジャーノではとても神秘的な場所も訪れました。地上で見ると広場に普通に生えている一本のオリーブの木なのですが・・・


実は広場の下は大きな貯水槽になっていて、根の部分が空中に浮かんでいる用に見えるのです。これは有名な植物学者のステファノ・マンキューソ教授によって考案された「浮遊根」の実験プロジェクトで、貯水槽の栄養を含んだ蒸気によってオリーブの木が育つという仕組みになっています。入場は予約制ですが、唯一無二のユニークな空間なので、セッジャーノを訪れた際には是非立ち寄ってみてください。


セッジャーノ訪問の最後は、記念碑ともなっているこのオリーブの木が中心に位置し、アミアータ山の最高峰が望めるテラスで、地元セッジャーノオイル保護協会によるオリーブオイルと地元ワインの試食試飲会の温かいおもてなしを受けました。この日は満月の夜で、夕暮れでピンクに染まるパノラマから、まん丸の月が登って暗闇が広がるまでの間、地元の音楽団の人たちが昔の名曲などの歌を披露してくれ、どこか懐かしいような音楽に包まれながらセッジャーノの夜を楽しみました。
アミアータの人たちの心からの温かいおもてなしに触れ、観光客で溢れかえる人気観光都市では決して味わえない穏やかな心地よさを体験し、イタリアの田舎の良さを再認識することとなりました。

長い歴史を持つ郷土料理「ラ・スコッティリア」とは?ペッシーナでお肉づくりディナー

二日目の晩餐は、ペッシーナにあるレストラン「ラ・スコッティリア・レストラン」にて。 地元の伝統的と新しい感覚が融合された料理された洗練された食事が楽しめるレストランです。
レストランの名前は、動物のメインではない部分を使用して作られたメインディッシュのスープ「スコッティリア」に由来しています。 仔牛肉、豚肉、ウサギ、子羊肉、鶏肉、鴨、ホロホロ鳥など多種のお肉を煮込んだスープで、タマネギと一緒にお肉をソテーし、ワインやトマトソースと、ハーブを加え、弱火で約8時間煮て仕上げ、最後に固くなったパンに乗せて完成。 唐辛子と地元のセジャーノオイルをかけて仕上げました。

ディナーはスコッティリアの他、牛肉のタタキ、ゆっくりと時間をかけて低温調理した高級チンタ・セネーゼ 豚などが出され、素晴らしいモンテクッコのワインが料理の味をさらに引き立てていました。
ラ・スコッティリア・レストラン
住所 Località Pescina, 29, 58038 Seggiano GR
URL https://www.lascottiglia.it/

最終日はモンテアミアータの栗の収穫と栗の乾燥所を見学

ツアーの最終日は、モンテアミアータでIGPに認定されている栗について学びました。栗の収穫真っ盛りの栗林で、機械で収穫する様子を見せてもらった他、栗生産者のミルコ・ファッツィさんから自身の山での生活や栗生産の苦労などが語られました。



モンテ・アミアータ地域の栗生産は古い起源を持ち、14世紀には既に栗が収穫されていたことを示す文献があるほどです。ジャガイモが到来するまで何世紀にも渡って、栗はここの山岳地帯の人々にとって重要な食材であったそうです。
栗の収穫を見た後は、セッジャーノに戻って栗の乾燥室を見学しました。この乾燥室では栗を完全に乾燥させるために24時間火が焚かれています。

その後、近くの栗のお祭りで栗がふんだんに使われたランチを楽しんでアミターアの盛り沢山の週末ツアーは終了しました。


トスカーナ州が企画するプレスツアーへの参加は今回で3回目となりましたが、今回もまた沢山の出会いとまだまだ知らない美味しいトスカーナの食べ物を発見することができました。インスタ映えする華やかなイタリアの観光地に良くも悪くも観光客が集中している現状ですが、地元の人たちのホスピタリティに癒やされる田舎のイタリアの旅も本当にいいものだということを再認識する旅となりました。日本での慌ただしく忙しい生活から抜け出し、こんなゆったりした時間の流れる旅をしてみてはいかがでしょうか。

 

素敵なツアーを企画し招待してくれたトスカーナ州の取り組み

トスカーナ州では毎年秋頃に、州の特産物の生産者と世界中のバイヤーを直接結びつけるプロジェクト”BUY FOOD TOSCANA(バイ・フード・トスカーナ)”を開催しています。このプロジェクトにはもちろん日本人バイヤーも直接参加することができます。このプロジェクトにちなんで、トスカーナ州では毎年ジャーナリストたちを招いてトスカーナの良さを知ってもらうプレスツアーを企画しています。今年もまたBUY FOOD TOSCANAは開催予定ですので、イタリアの美味しいものを買い付けたいバイヤーの仕事をされている方がいましたら、直接トスカーナの生産者たちから買い付けができるこのプロジェクトに申し込んでみてはいかがでしょうか。

”BUY FOOD TOSCANA”(英語サイトあり)
https://www.buyfoodtoscana.it/en/

また、今回のプレスツアーで訪れた食事場所はすべて、トスカーナ州が地元の食材を使用したレストランや食料品店を厳選してネットワークを広げている観光&食品プロモーションプロジェクト、”ヴェトリーナ トスカーナ”によって選ばれました。レストランからアグリツーリズムまでトスカーナ州おすすめの情報が満載のサイトになっているので、旅行の参考にどうぞ。

 

”VETRINA TOSCANA”(英語サイトあり)
https://www.vetrina.toscana.it/en/

 

****************************

4月21日(日)J-WAVEラジオ「ACROSS THE SKY」出演

FMラジオJ-WAVEの番組「ACROSS THE SKY」に出演します。

番組ナビゲーターの女優の小川紗良さんとフィレンツェで対談し、伝統を守るイタリアの価値観やフィレンツェで深刻化しているオーバーツーリズムに対して日本人ができる対策などについて色々話しました。

放送日: 421日(日)午前9:209:40
https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/


※タイムフリーで聴く場合は以下のリンクからどうぞ。
https://www.j-wave.co.jp/original/acrossthesky/connectors/

(収録裏話を少しだけ・・・)実際にお目にかかった小川さん、透明感があってそれはそれは可愛かったです!フィレンツェの私のお勧めのレストランで一緒にランチをさせて頂きましたが、とても気に入ってくださって「美味しい!」とニコニコ沢山食べている姿が本当に可愛らしかったです。細〜い方なので、あんまり食べないのかなあなんて思っていたのですが、意外に沢山食べるところも素敵でした!


ご興味ある方は聞いてみてください♪

熱闘バトル!フィレンツェ・ストリートフード通りの熱き戦いを攻略する方法


「ストリートフード通り」そんな名の通りは、フィレンツェにはありません。しかし、現地の人にそう言えば、「ああ、あそこね!」とすぐ思い浮かぶ通りがあります。
本当の名前は 「ヴィア・デイ・ネリ(Via dei Neri)」、ウフィツィ美術館のすぐ裏手にある通りです。

この通りがストリートフードで有名になったきっかけは、通りにはみ出すほどに行列ができる、あるテイクアウトのパニーノ(イタリアのサンドイッチ)屋。あまりにもたくさんの人が押し寄せ、みんな道路でそのパニーノを頬張るものだから、通りは混雑をきたし、市の条例で「食べ歩き禁止令」まで出たほど。それに対抗するように、この通りにはカジュアルで、コスパ高で、テイクアウト可能なグルメが出現! 

そうしてここに、フィレンツェ・ストリートフードの熱き戦いが幕開けしたのです。今回は、今熱い、フィレンツェ・ストリートフード通りを攻略する方法をご案内します。

伝説のパニーノ屋はココ!

「食べ歩き禁止」の市の条例ができるきっかけになった、もはや伝説と言っても過言ではない人気のパニーノ屋、「アッラアンチーコ ヴィナイオ(All’antico Vinaio)」。その魅力は、おいしさ×ボリューム=コスパ! たった5ユーロで、約15cm四方の特大パニーノが出てきます。大きさだけじゃないの? そう疑うかたもいるかもしれません。しかし、大きさだけでは、行列などにはなりえない。そう、おいしい具がたんまり詰まってこその行列のパニーノ屋です。

パニーノはオーダーごとに作られますので、できたて!イタリア語でのオーダーは難しいというかたも心配要らず。入り口には、メニューが大きくイタリア語と英語で書かれています。順番待ちをしているときにメニューを見て決めておいて、その名前を大きな声で言えば大丈夫です。混雑はしていますが、お店の人もそれに慣れて、明るくテキパキ対応してくれるので、ためらわず突入してみてください。

追記ですが、「食べ歩き禁止令」が出たのは、決してお店のせいではなく、その後食べ歩きしゴミなどを散らかし続けたお客のマナーが原因です。せっかくおいしいパニーノですから、ゆっくり食べられるように広場のベンチなどで座って味わい、ゴミは残さず持ち帰るようにしたいですね。
All’Antico Vinaio(アッラアンチーコ ヴィナイオ)
https://www.allanticovinaio.com/firenze/

●住所:Via Dei Neri 65r/74r/76r/78r, (FI)
●営:10:00〜22:00
●休:なし


ストリートフードの王道ハンバーガー、イタリアのおいしい食材で作るとこうなる!

ストリートフードで誰もが思いつくであろう食べ物、ハンバーガー。それをイタリアのおいしい食材で本気で作ったら、ハンバーガーのイメージを超えるおいしさになります。たくさんの具とパンに挟まれているのに、「この肉、おいしい!」と感じる肉汁は、ぜひ 実物で味わっていただきたいおいしさです。

こちらにはイートインスペースがあります。写真は席で食べる用の盛り付けですが、通りに面してテイクアウト用のカウンターがあるので、テイクアウトしたいときはそちらから気軽にオーダーできます。着席した場合は、もちろんグラスワインや前菜や副菜など他のメニューもありますので、ゆっくり味わうことができます。
Officina Streetfood(オフィッチーナ ストリートフード)
https://www.instagram.com/officinastreetfood/
●住所:Via dei Neri, 22r, (FI)
●営:11:30〜23:00
●休:なし


なんと、ラザニアがストリートフードに参戦!

イタリア料理の中でラザニアが好き!というかたも多いかと思いますが、イタリアでもラザニアはソールフードで、みんな大好き。ただ、イタリアでは気軽に食べる、例えばピザやパニーノなどの軽食というカテゴリーではなく、ちゃんと席について食べる食事というカテゴリーになるため、それをストリートで提供するというアイディアには今まで結びついていませんでした。それを発想の転換でくつがえしたのが、こちらのお店。

「イタリアのソールフードであるラザニアをこの通りに集まる観光客の人にも気軽に食べ てもらいたい」そんな思いから生まれたこのお店は、まさにイタリアの美食魂こもったおいしさ。ラザニアの種類も、肉や海鮮、日替わりなど数種類揃っており、幅広く、また大 きさも大小選べるので、ちょっとずつ味見したい食いしん坊のかたや、たくさん食べられない少食のかたもいろいろ楽しむことができます。こちらもイートインもテイクアウトも両方可能なので、それぞれの都合にあわせて利用できます。
Sgrano(ズグラーノ)
https://www.sgranoglutenfree.it/succede-da-sgrano/menu-primaverile/
●住所:Via dei Neri, 49r, (FI)
●営:11:30〜23:00
●休:なし

(2020年3月)

秋のイタリアでやりたいこと3選

青い空、青い海、太陽の国というイメージのイタリアですが、四季折々の情緒にあふれた国でもあります。そんなイタリアの秋は、美しい秋色の景色と、美味しいものにあふれた魅力的な季節です。

トスカーナ州、キャンティ地方の秋の風景
イタリア大好き、主要観光地はほぼ行った、というイタリア通の方に、そしてたまたま秋に旅行するという方にも参考にしていただきたい「秋のイタリアでやりたいこと3選」をご紹介します。


美しい秋色の景色を堪能する!
日本で紅葉といえば、赤いモミジを想像しますが、イタリアの紅葉は赤色ではなく、黄色や茶色に色づくものがほとんどです。ちょっと地味かなと思いますが、いえいえ、秋の爽やかな光に照らされて、黄金色に輝く紅葉は、それはされでえもいわれぬうつくしさです。

カステルベッロ=チャルデス(トレンティーノ=アルト・アディジェ州ボルツァーノ自治県)を走る列車
紅葉がみられる場所でおすすめは、やっぱり山岳部。雄大なドロミテ山塊のあるボルツァーノや、アルプス山塊のアオスタは電車でも行けるので、レンタカーをしない観光客にもオススメです。


収穫祭へ出かける!
収穫の秋、美食天国イタリアでも獲れたての美味しいものがたくさんです。ぶどう、オリーブ、ポルチーニ茸、栗、トリュフなど、など、など。
各地でそれぞれの特産物にまつわるお祭が行われます。お祭りでは、直売所にイートインコーナー、また楽しいイベントなども行われるので、かなり楽しめます。

開催情報はネットに出ていますので、お祭りを意味する「Sagura」または「Fiera」と入れて、あと場所名と年、例えば「Firenze 2023」などと入れると情報がヒットすると思います。英語での案内も多く出ていますので、検索も便利です。

ワインの名産地グレーベ・イン・キャンティで行われたワイン祭りの様子
ワインが好きな方なら是非行ってみたいのがワイン祭り。その土地のワイナリーが集まって、試飲会をします。有名ワイナリーから小さなワイナリーまで集まりますので、市場には出回らない、その土地ならではの掘り出し物のワインや、また飲み比べができますので、自分好みのお気に入りワインに出会えますよ。


今しか味わえない絶品、一番搾りのオリーブオイルを味わう!
旬の味覚はたくさんありますが、中でも、収穫の季節、現地だけで味わえる特別な美味しさといえば「オリーブオイル」を一番に挙げたいと思います。

収穫を待つオリーブの実
イタリアのオリーブオイルの美味しさをご存知の方も多いかと思いますが、摘みたてのオリーブから絞ったオイルの美味しさは格別なのです。まず、色、とても美しい緑色をしています。そして、香りと味わい、まるで緑のブーケのように爽やかでありつつ、ほんのり辛味を伴うコクのある旨味。べったりとしたオイルらしさはなく、サラサラと滑らかなのです。

どうして、この一番搾りが現地だけで味わえるのかというと、オリーブの実は摘み取られた時から酸化を始めます。ですので、摘み取ってすぐに搾油したものは、特に新鮮で、オリーブらしさをしっかり残した味わいたっぷりの美味しさなのです。イタリアの人はみんなこの一番搾りの美味しさを知っていて、家庭では毎年出始めの頃に買いだめしたりします。

収穫時期は地方によって違いますが、大体11月に入ってから。その年始めのオリーブオイルは「Olio Nuovo」として、季節になると各所で売り出されますので、その時期にイタリアにいかれたら是非チェックしてみてください。

(2018年10月)

【トスカーナ州】世界が恋したスクーター「Vespa」の美術館があった!


往年の名画『ローマの休日』で、オードリー・ヘップバーン演じるアン女王が乗っていた小さなスクーターは「ヴェスパ(Vespa)」。イタリアのメーカー「PIAGGIO」のもの。コロンと丸い形がかわいらしく、世界中で愛されるスクーターです。

そんな人気のヴェスパを集めた美術館があります。キュートなフォルムの歴代ヴェスパが並ぶ館内は、車やバイクが好きな方なら垂涎もの。バイクにそんなに興味がない方も、イタリアンデザインの変遷や、工業発展の歴史を追うことができる興味深い美術館です。

ちょうどフィレンツェとピサの間にあり、ちょっと足を伸ばして観光に立ち寄りやすい場所でもある、こちらの「ピアッジョ美術館」をご紹介します。


名車「ヴェスパ」の誕生

ヴェスパを作るPIAGGIOは、今はスクーターを中心に作るメーカーですが、前身はジェノバの造船業者でした。

その後、鉄道の発展に伴い造船の技術を活かし、電車の車体を作るようになります。そして戦争が始まると、軍事用の車両やモーターの生産をするようになりました。戦後、軍事用に開発していたモーターの技術を活かして、一般の人が足代わりに気軽に乗れる小型バイク、スクーターの開発を手がけます。

そうして生まれたのがヴェスパ。
独特のエンジン音が蜂の羽音に似ていることから、イタリア語でスズメバチという名前がつけられました。


世界で愛されるヴェスパの理由はここにある

それからスカートを履いた女性も乗れるようにと、足をそろえてのせられる車体へと改良されたヴェスパ。今でこそ足をそろえて乗るスクーターは当たり前ですが、当時は画期的なものでした。戦後の経済成長とも相まって、庶民の足として爆発的な人気を得ます。
時代のニーズに合った規格もさることながら、何より軽くて強いエンジンでどこまでも私たちを運んでくれる強さが、人々に支持された理由でもあります。

その後も時代に合わせ常に新鮮なデザインを提案し、ターゲットをうまく捉えつつ変遷してきたことで、この小さなスクーターは永く人々に愛されるようになりました。歴代のヴェスパが並ぶこちらの美術館では、その変遷を一目で見ることができます。


もっと広がるヴェスパの世界

人々の生活の中で愛されてきたヴェスパ。丸いかわいらしいフォルムもまた人々に愛される理由の一つです。その見た目のかわいらしさから、映画や芸術のワンシーンに登場することもたくさん。そういった貴重な資料も、こちらの博物館に展示してあります。

写真のものは、映画『007』でジェームス・ボンドが使用した、水陸空兼用の夢のヴェスパ。もちろんそれは映画の中のお話で、実際に飛べたり水の上を行けたりするわけではありません。ですが、そんな夢が広がるインスピレーションを与えてくれる魅力にあふれているところが、ただのスクーターにとどまらない世界で愛される理由なのかもしれませんね。


●名称:ピアッジョ美術館(Museo Piaggio)
●住所:Viale Rinaldo Piaggio, 7, 56025 Pontedera (PI)
●TEL:058-727-171
●公式ホームページ:https://www.museopiaggio.it/
●instagram:https://www.instagram.com/museopiaggio_official/

芸術の原点を探して

はじめまして!藤原亮子、フィレンツェ在住、カメラマンをしています。

イタリアに住むきっかけは短期留学です。撮影の仕事の基盤アップのために美術の基礎を学びたいと思い、学校を探していて見つけたのが、芸術の都フィレンツェで、本物に触れながら学ぶルネッサンス芸術史のコースでした。ルネッサンス!文化復興、古典芸術を見直し、原点に立ち戻ることで新しい文化芸術が花開いた時代、そこを学ぶことは、美術の基礎を知りたい私にピッタリなのでは?と、心惹かれるままに住みはじめたフィレンツェ。

ルネッサンス芸術が花開いたフィレンツェの街並みは悠久の美しさ

毎日見上げる大聖堂に毎日感動して、角を曲がる度に出会う中世の美しい建造物、芸術に毎度感激して、そしてその上に注ぐ日の光の美しさに感嘆する日々。そうする間にこちらで仕事のご縁が繋がって、気がつけば10年以上住んでいますが、フィレンツェの美しさに、毎日毎度、初めて見た時のように感心します。

トスカーナはワインの名産地。街を出ると葡萄畑が広がります

コロナの都市封鎖をきっかけにフィレンツェの中心街から郊外へ引越し、今はキャンティワインの葡萄畑の真ん中に住んでいます。

何気ない風景。でもその時々にハッとするような美しさを見せてくれます

市内から車でたった30分ですが、ところどころに集落と畑はあるものの、主に雑木林。見所を聞かれても特に上げるものはないのです。

ひまわり畑が咲けばいつもはのどかな田園風景が一気に華やぎます

でも、四季折々に違った景色を見せてくれる自然の美しさは何にも代え難いものです。

生を謳歌する生き物たちの姿はエネルギーに溢れています

そしてその中で怏々しく生きる野生動物たちの姿も見ることができます。野うさぎが原っぱを駆け抜け、イノシシが道を遮り、鹿が庭先を渡り、狐が家の窓を覗く、そんな楽しい環境です。

トスカーナでよく見られる糸杉は叙情的な景色をつくりだしてくれます

巡る季節をここで何度か過ごして、その美しさが心に染み渡った今思うのですが、ああ、こんなに芳醇な美しさを持つ自然環境に恵まれているから、ルネッサンス芸術をはじめ、イタリアの圧倒的な芸術センスが生まれるのではないかと。

春には野原をひなげしの花が彩ります

そんなイタリアの日々に溢れる美しさ、ガイドブックに取り留めるようなことでもない、でも胸に留まり心を豊かにするようなイタリアの美しさを切り撮って、少しづつ紹介していけたらと思います。

本日から公開!美しい大自然を堪能できるおすすめイタリア映画「帰れない山」

ゴールデンウィークまっただ中、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はトスカーナ州のピエトラサンタビーチに行ってきたのですが、こんな光景を見ました。



「鯉のぼり!」

・・にちょっと見えませんか?!海岸で凧揚げのカイトを売っていただけなのですが、連なっている感じが遠目に見るとちょっと鯉のぼりっぽくて、ちょうど55日こどもの日に近かったので、そんな風に見えてなんだか嬉しくなりました。


イタリア風鯉のぼりを眺めていてふと、男の子たちの素晴らしい友情を描いたイタリア映画を思い出しました。イタリア好きの皆さんには特におすすめしたい映画「帰れない山」です。

 

イタリア映画祭で多数ノミネート、原作はイタリア文学最高峰の賞を受賞「帰れない山」が公開

イタリア映画「帰れない山」は本日55日から日本で公開されますが、この映画は昨年イタリアで公開されてかなり話題となった作品で、第75回カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞しています。

出典:映画「帰れない山」オフィシャルサイト


舞台はイタリア北部のヴァッレダオスタの雄大なモンテ・ローザ山麓。この村に住む少年ブルーノと夏の間だけトリノからこの村へ来る少年ピエトロの二人の壮大な友情物語で、対象的な二人が成長していく過程で生まれる葛藤や苦悩などからは様々なことを考えさせられる内容です。

出典:映画「帰れない山」オフィシャルサイト


対象的な二人を好演しているのはイタリアで大人気の若手俳優二人ルカ・マリネッリとアレッサンドロ・ボルギ。私は「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(2017年公開)で初めてルカ・マリネッリを知ったのですが、その時の凄まじい目力と強烈なオーラを封印して悩める好青年を演じていたのが新鮮で、新たなマリネッリの魅力を堪能することが出来ました。

出典:映画「帰れない山」オフィシャルサイト


さて、気になるイタリアでの評判ですが、私の周りのイタリア人たちに観た感想を聞くと、みんな口々に「Bellissimo(ベリッシモ)=めっちゃいい!」と即答。

私は完全にピエトロ派(ひとつのところにとどまらずさまよい続けるタイプ)なのですが、映画を観た友人たちとピエトロ派かブルーノ派(ひとつのところにとどまるタイプ)か、などと感想を言い合えるのも映画を観た後の楽しみだったりします。

510日にイタリアで開催される、イタリアのアカデミー賞「David di Donatello 2023(ダヴィッド・ディ・ドナテッロ)」では作品賞、監督賞、そして主演の二人がともに主演男優賞にノミネートされるなど、主要部門で多数ノミネートされており、今年のドナテッロの大本命とされている注目作品です。

原作はイタリアを代表する作家パオロ・コニェッティがイタリア文学の最高峰「ストレーガ賞」を受賞した「帰れない山で、日本を含む39言語に翻訳された世界的ベストレラー小説。なにからなにまで話題が盛り沢山の作品となっていて、私も観る前からとても楽しみにしていた映画でした。

出典:映画「帰れない山」オフィシャルサイト


イタリアの原題は「Le otto montagne(レ・オット・モンターニェ)=8つの山」ですが、タイトルにあるようにこの映画の主役はなんといっても雄大な山。この美しいイタリアの自然と雄大の圧倒的な映像美は映画館の大きなスクリーンで観てこそ良さが引き立つので、映画館で観ることをおすすめします。ちなみに、会話もそれほど難しくないイタリア語が使われている場面も多いので、イタリア語を学習している人にもおすすめしたい映画です。



新宿ピカデリーほか全国公開されているので、是非最寄りの映画館で雄大なイタリアの自然を堪能いてください!次回のイタリア旅行にイタリアの美しい山脈ハイキングを組み込みたくなること間違い無しの作品ですよ。

映画「帰れない山」(配給:セテラ・インターナショナル)
URL: http://www.cetera.co.jp/theeightmountains/

映画「帰れない山」で雄大な山の雪景色を眺めていて、ふと今年の冬に訪れた雪山の景色が素晴らしかったマッラーディのことを思い出しました。そんなわけで、3ヶ月半ほど前の内容になってしまいますが、マッラーディやトスカーナ州などから招待してもらって参加してきた栗のイベントについて次回ご紹介したいと思います。この秋冬にイタリア旅行を計画されている方に是非おすすめしたい可愛らしい街&美味しい栗づくし料理・スイーツを沢山ご紹介するので、お楽しみに!