イタリア好き委員会 のすべての投稿

【お知らせ】お世話になったマンマの訃報

先日一通のメールが届きました。

Vi devo purtroppo comunicare che il 10/04/2015 è venuta a mancare la Signora
Glori Gontier dell’Agriturismo Les Ecureuils
Ballauri Piero

一昨年、葉山で開催した「イタリアマンマの料理フェスタ」この時に来日してくれた、
ヴァッレダ・アオスタのマンマ、グローリ・ゴンティエーさんが亡くなられました。

mamma

取材した時に、とても優しく包んでくれるような人柄に惹かれて、
イベントへの参加をお願いしました。
その時は少し足を痛めていたにも関わらず、
ご主人のジョゼッペ・モニオットさんと来日してくれました。

成田に到着した時には車イスで出国ロビーに出てこられてビックリしたのですが、
その後はとても元気に、精力的に料理をつくり、
参加者の皆さんにアオスタの食事を楽しんでいただこうと、がんばってくれていました。

▼マンマの料理フェスタ2013 葉山 ヴァレダ・アオスタ州マンマの食事会の模様はこちら
https://italiazuki.com/?p=5759


取材の時も、来日の時もいつもそっとそばに寄り添って支え合っていた、
ご主人のペペさんの悲しむ姿も目に浮かびます。
町の生活から、山のアグリツーリズモへの生活に転換してから、
大変な時もずっとふたりで歩んできたと聞きました。

Hayama_276

この出会いと、素敵な思い出に感謝して、
心からご冥福をお祈りします。

Hayama_264

ありがとう。

Vol.21ローマ取材 1

11036039_789653591119728_3163059638018199232_o


ローマは快晴。気温は低く、冬のような冷たい風が吹いています。
昨日はマンマのレシピの撮影にローマの郊外のお宅で取材。
パスクエッタということもあり、親戚たちが大集合の賑やかな雰囲気での撮影でした。
写真はもうそろそろ旬が終わろうとしているカルチョーフィの下ごしらえをするジネちゃん(もうすぐ10歳)とマッシモ編集長(もうすぐ。。歳)。取材は始まったばかりです。/萬田康文

古代ローマ時代の銘譲地ファレルノのワインを復活させたヴィッラ・マティルデ Presented by モンテ物産

ナポリから海岸線に沿って北へ1時間ほど車を走らせると、ブドウ畑に囲まれたヴィッラ・マティルデ社に到着する。大体ローマとナポリの中間にあたる場所だ。

サルヴァトーレ・アヴァッローネさん 「このあたりで造られているファレルノ・デル・マッシコDOCは、今我々がいる“ファレルノ”という土地の名前に由来しているんだ。古代ローマ帝国の時代から“Ager Falernus(アジェル・ファレルヌス=ファレルノの大地)”という名前で知られていて、オリーブオイルや野菜、そしてなんと言っても高品質ワインの産地として有名だったんだよ。」
そう語ってくれたのはオーナーのサルヴァトーレ・アヴァッローネさんだ。自ら「カンパーニャ州出身だというのを自分でも疑う時があるよ。」と冗談めかして言うほど物静かで、穏やかな話し方が印象的だ。
「かつては野外劇場がある大きな町や、各地に輸出するための非常に栄えた港もあった。古代ローマ帝国の歴代皇帝たちはカプリ島やソレント半島に別荘を持っていたが、ローマからそこに向かう中継地点としてこのファレルノの土地で美味しいワインを飲み、調達して旅を続けたんだ。その後いつしか大きな町や港も影を潜め、ファレルノという銘壤地も過去の栄光になってしまった。こういった文献を読んだ私の父はこの土地のポテンシャルを信じ、2000年前の高品質ワインを復活させようと一念発起してブドウ栽培を始めたんだ。」
昔話を語り聞かせるように優しくゆっくりと話しているが、父親の話となると口調に熱がこもる。

「色々と調べてみると面白いことがわかった。ファレルノの土地は西側が海に面しており周りを3つの山に囲まれているんだが、北の一部分だけ山が途切れている。その隙間から吹き込む涼しい風と海から吹き込む暖かい風がぶつかり、上昇気流ができる。そのためファレルノの上空には雲ができにくくなり、豊富な日照量に恵まれ、雨に悩まされることも少なくて済んでいるんだ。」
ワイン畑
▲奥左の山並みがモンティ・アウルンチ、右側に見えるのがロッカ・モンフィーナ。
涼しい風は山に挟まれた隙間から海に向かって吹いてくる。


ワイン畑
▲地形がもたらす恩恵により、雨に悩ませられることが少ない。

「さらに乾いた土地だからこそブドウの木は水分を求めて地下深くまで根を伸ばし、地表には少ないリンやカリウムなどのミネラルを吸収することができる。このミネラルは、北東のロッカモンフィーナ山が大昔の火山活動により生み出した火山性石灰質土壌からもたらされる。これらの事実はこの土地が特殊で、ブドウ栽培にとって恵まれた環境だということを示している。やはり昔から良いブドウができるのには理由があったんだ。父の目に狂いはなかったということだね!」
ワイン作りに適した土壌
▲大昔の火山活動に由来する火山性石灰質土壌。
乾いた土壌で、ブドウは水分を求めて地下深くまで根を伸ばし、リンやカリウムなどのミネラルを吸収する。


父親を尊敬する子供の眼差しで、誇らしげに説明をしてくれたサルヴァトーレさん。ファレルノの土地とワインへの情熱が受け継がれているのは疑いようがないだろう。

こうしたヴィッラ・マティルデ社の努力と功績が認められ、1989年にファレルノ・デル・マッシコDOCが誕生した。なんと同DOCワインの85%をヴィッラ・マティルデ社が生産しているとのことで、まさに彼らのために認められたDOCと言っても過言ではないだろう。
同じ土地でできたワインを飲んでいた古代ローマ人に思いを巡らせながら、ヴィッラ・マティルデ社の情熱と努力の結晶、ファレルノのワインを味わってみてはいかがだろうか。

CA’MONTE[カ・モンテ]
モンテ物産が輸入・販売しているイタリアワインやイタリア食材の中でも、厳選されたこだわりの商品を取り扱うWEBショップです。
市場に出回っていないワイン等楽しいことがいっぱいあります。
CA’MONTE



ヴェネツィア料理を楽しむ会 開催します!

浜松町のイタリアン”Osteria La Cantinetta”にて、
ヴェネツィア料理を楽しむ会を開催します!

今回は、ヴェネツィア番長で『イタリア好き』の連載でもおなじみの、篠利幸さんを招き、
ヴェネツィアらしくバーカロ(立ち飲み酒屋)気分を味わえる会にしたいと思います。

当日は、Osteria La Cantinettaの小清水シェフが、イワシのマリネ、
イイダコの墨煮、ポレンタにタラのヴィツェンツァ風 などなど、
おつまみ系からパスタやリゾット、メインのレバーや魚介料理など
ヴェネツィア料理を披露してくれますよ♪
image02image03image04image05

小清水シェフは、1999年からイタリアに渡り、ヴェネト州のみで修行を重ね、帰国後は、ヴェネツィア料理「アルドジェ」をはじめ数点の都内イタリア料理店を経て、2012年江ノ島に「サポーレイタリアーノ・オンブラ」を開店。
2014年11月からは拠点を都内に移し、現在「オステリア・ラ・カンティネッタ」のシェフに。

IMG_4458 一緒にわいわいと賑やかに楽しみましょう!

【開催概要】

◆開催日時:4月18日(土) 17:00~20:00頃

◆開催場所:Osteria La Cantinetta(東京都港区芝大門1-16-11)

◆参加費:ヴェネツィアバーカロ風 立食形式/ワンドリンク付き
<イタリアズッキーニクラブ&パートナーズ会員>
5,500円(税込 5,940円)
(イタリアズッキーニ・パートナーズ会員+1名様まで)
<非会員>6,500円(税込 7,020円)

◆定員:30名
※お申込み多数の場合は抽選とさせていただきます。

◆申込期間:3月11日(水) ~ 3月27日(金)

◆申込方法:info@italiazuki.com にメールにてお申し込みください。
===============================================
タイトル:【ヴェネツィア料理を楽しむ会 参加希望】を記載してください。
<本文>
●お名前
●ズッキーニクラブ&パートナーズ会員の方のみ:会員番号
 ※お分かりにならない方はその旨記載下さい
●参加人数
 ※会員価格でのご参加は、ご本人と1名様までとなります。
===============================================

◆参加について:申込み締切後、4月3日以降に直接ご本人にメールにて
お知らせします。 その後に参加費をお振込いただきます。

お申込みお待ちしています♪

職人技と最新技術の融合した極上の味わい、プロシュット・ディ・パルマD.O.P. Presented by モンテ物産

パルマから南に向かってパルマ川沿いを30分ほど車を走らせると、プロシュット・ディ・パルマD.O.P.の生産地として有名な、ランギラーノの町が見えてくる。町周辺には約200もの生産者が集まっている一大生ハム生産地だ。その町の中心からさらに川に沿って10分ほど南に下ったところに、プロシュット・ディ・パルマD.O.P.やサラミ類のブランド“モントルシ”の製造工場がある。

12製造責任者のマッシミリアーノさんが笑顔で迎えてくれた。
「モントルシは1880年創業の老舗の会社で、後にヴェロネージグループという大きなグループの傘下に入ったんだ。その大きな利点は、同グループが飼料メーカー、畜産農場、屠殺場も持っているため、良い豚を育てるために不可欠な良い飼料作りから最終的な加工・販売までが全てグループの管理下で行えることだ。グループ会社に質の悪いものを売ったり、高く売りつけたりなんて当然しないだろう?だから健全で高品質な原材料が適正価格で手に入るんだ。」
話をしながら向かった先では原料肉の荷受けをしていた。
「あの肉を一つ一つチェックしている担当は、相当な経験を積んだ人しかできないんだ。この道20年や30年のベテランばかりだよ。なぜなら入荷した肉がプロシュット・ディ・パルマD.O.P.に最終的になれるかどうかはここにかかっていると言っても過言ではないからなんだ。形、大きさ、サシの量と入り方、骨の内部破損の見極め、血だまりがないかなど、非常に多くのチェックポイントがある。でもすでにこの工場に売る前に一度出荷前チェックが行われているおかげで、何百本と届いても数本しか規格外にならないよ。」
なるほど、ここでグループ会社の強みが出ているわけだ。外されたものでも品質に問題がない場合は、D.O.P.が付かないただの“プロシュット・クルード(生ハム)”として売られる。

「この工場では肉の重量を自動で測り、表面の非食用部分に日付などを刻印し、縦長の可動式の棚に自動的に整然と乗せられていく。作業が効率良く進むとともに計測、印字忘れなどの人為的なミスも防げる。その後の工程でも、肉全体にまんべんなく塩をかけるのは機械が行う。でも骨や血管の周りなど塩を多くつけたほうがいい部分はその作業専門の担当者が塩をすり込んだりかけたりするんだ。これも目利きの職人が必要ということだよ。」
この塩付けの作業の後に冷蔵室で寝かせるという工程を2回繰り返し、塩を取り除いて1回目の塩漬けから数えて3ヶ月目まで再度寝かせ、ようやく熟成工程に入る。
「熟成庫に入れる前に、皮に覆われていない肉の部分の乾燥を防ぐためにスンニャ(sugna)という豚のラードをベースにしたものを塗るんだが、これも部分的に取り除いて空気の通り道を作ったり、内部の水分が抜けやすいように骨の周りを薄くしたり、と人の経験と手が必要になる。」
生ハム倉庫慣れた手つきでスンニャが塗られていく光景を横目に熟成庫に一歩足を踏み入れると、どこまでも果てしなく続く、ジャングルさながらの熟成中プロシュットに圧倒された。
「驚いただろう?ここには約12万本あるんだ。」
この12万本全てを職人がチェックし、塩をすり込み、スンニャを塗って、と考えただけで気が遠くなりそうだった。
「ここで9ヶ月熟成し、1回目の塩漬けから数えると12ヶ月経った段階でD.O.P.協会の検査員がやってきて、D.O.P.として認められるかどうかが判断される。判断基準は大きさ、形などはもちろんだが、とがった馬の骨を肉の5箇所に刺して香りを嗅ぎ、全体がばらつきなく中まで良い熟成をしているかもチェックするんだ。これも職人技だね!」
彼らも自分達用にチェックを頻繁に行っているので、非常に慣れた手つきで同じ手法で香りを嗅がせてくれた。熟成したいい香りだ。ここから15ヶ月目、あるいはさらにそれ以上熟成されるものもある。
「生産者によってはひどいところだと5%や10%もこの検査で落とされてしまうんだが、我々は常に0.5%以下に抑えているんだ。原料肉の良さと最初の職人によるチェックが肝心だって言っただろ?様々な新しい機械を使いながらも、結局肝心なところは職人に任せる。上手く伝統と技術を融合させ、安全で美味しいものをより多くのお客様に食べてもらう、これが我々の望んでいることなんだ。」
そう言うと、マッシミリアーノさんは誇らしげににっこり笑った。

生ハム料理プロシュット・ディ・パルマD.O.P.には原料豚の種類、地域、製法、品質などに非常に細かい規定が数多くあり、必然的に値段も普通のプロシュットより高くなる。だが味の良さは厳しいD.O.P.協会のお墨付きだ。
みなさんも一度、プロシュット・ディ・パルマD.O.P.とそれ以外のプロシュットで食べ比べてみてはいかがだろうか?