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熱闘バトル!フィレンツェ・ストリートフード通りの熱き戦いを攻略する方法


「ストリートフード通り」そんな名の通りは、フィレンツェにはありません。しかし、現地の人にそう言えば、「ああ、あそこね!」とすぐ思い浮かぶ通りがあります。
本当の名前は 「ヴィア・デイ・ネリ(Via dei Neri)」、ウフィツィ美術館のすぐ裏手にある通りです。

この通りがストリートフードで有名になったきっかけは、通りにはみ出すほどに行列ができる、あるテイクアウトのパニーノ(イタリアのサンドイッチ)屋。あまりにもたくさんの人が押し寄せ、みんな道路でそのパニーノを頬張るものだから、通りは混雑をきたし、市の条例で「食べ歩き禁止令」まで出たほど。それに対抗するように、この通りにはカジュアルで、コスパ高で、テイクアウト可能なグルメが出現! 

そうしてここに、フィレンツェ・ストリートフードの熱き戦いが幕開けしたのです。今回は、今熱い、フィレンツェ・ストリートフード通りを攻略する方法をご案内します。

伝説のパニーノ屋はココ!

「食べ歩き禁止」の市の条例ができるきっかけになった、もはや伝説と言っても過言ではない人気のパニーノ屋、「アッラアンチーコ ヴィナイオ(All’antico Vinaio)」。その魅力は、おいしさ×ボリューム=コスパ! たった5ユーロで、約15cm四方の特大パニーノが出てきます。大きさだけじゃないの? そう疑うかたもいるかもしれません。しかし、大きさだけでは、行列などにはなりえない。そう、おいしい具がたんまり詰まってこその行列のパニーノ屋です。

パニーノはオーダーごとに作られますので、できたて!イタリア語でのオーダーは難しいというかたも心配要らず。入り口には、メニューが大きくイタリア語と英語で書かれています。順番待ちをしているときにメニューを見て決めておいて、その名前を大きな声で言えば大丈夫です。混雑はしていますが、お店の人もそれに慣れて、明るくテキパキ対応してくれるので、ためらわず突入してみてください。

追記ですが、「食べ歩き禁止令」が出たのは、決してお店のせいではなく、その後食べ歩きしゴミなどを散らかし続けたお客のマナーが原因です。せっかくおいしいパニーノですから、ゆっくり食べられるように広場のベンチなどで座って味わい、ゴミは残さず持ち帰るようにしたいですね。
All’Antico Vinaio(アッラアンチーコ ヴィナイオ)
https://www.allanticovinaio.com/firenze/

●住所:Via Dei Neri 65r/74r/76r/78r, (FI)
●営:10:00〜22:00
●休:なし


ストリートフードの王道ハンバーガー、イタリアのおいしい食材で作るとこうなる!

ストリートフードで誰もが思いつくであろう食べ物、ハンバーガー。それをイタリアのおいしい食材で本気で作ったら、ハンバーガーのイメージを超えるおいしさになります。たくさんの具とパンに挟まれているのに、「この肉、おいしい!」と感じる肉汁は、ぜひ 実物で味わっていただきたいおいしさです。

こちらにはイートインスペースがあります。写真は席で食べる用の盛り付けですが、通りに面してテイクアウト用のカウンターがあるので、テイクアウトしたいときはそちらから気軽にオーダーできます。着席した場合は、もちろんグラスワインや前菜や副菜など他のメニューもありますので、ゆっくり味わうことができます。
Officina Streetfood(オフィッチーナ ストリートフード)
https://www.instagram.com/officinastreetfood/
●住所:Via dei Neri, 22r, (FI)
●営:11:30〜23:00
●休:なし


なんと、ラザニアがストリートフードに参戦!

イタリア料理の中でラザニアが好き!というかたも多いかと思いますが、イタリアでもラザニアはソールフードで、みんな大好き。ただ、イタリアでは気軽に食べる、例えばピザやパニーノなどの軽食というカテゴリーではなく、ちゃんと席について食べる食事というカテゴリーになるため、それをストリートで提供するというアイディアには今まで結びついていませんでした。それを発想の転換でくつがえしたのが、こちらのお店。

「イタリアのソールフードであるラザニアをこの通りに集まる観光客の人にも気軽に食べ てもらいたい」そんな思いから生まれたこのお店は、まさにイタリアの美食魂こもったおいしさ。ラザニアの種類も、肉や海鮮、日替わりなど数種類揃っており、幅広く、また大 きさも大小選べるので、ちょっとずつ味見したい食いしん坊のかたや、たくさん食べられない少食のかたもいろいろ楽しむことができます。こちらもイートインもテイクアウトも両方可能なので、それぞれの都合にあわせて利用できます。
Sgrano(ズグラーノ)
https://www.sgranoglutenfree.it/succede-da-sgrano/menu-primaverile/
●住所:Via dei Neri, 49r, (FI)
●営:11:30〜23:00
●休:なし

(2020年3月)

秋のイタリアでやりたいこと3選

青い空、青い海、太陽の国というイメージのイタリアですが、四季折々の情緒にあふれた国でもあります。そんなイタリアの秋は、美しい秋色の景色と、美味しいものにあふれた魅力的な季節です。

トスカーナ州、キャンティ地方の秋の風景
イタリア大好き、主要観光地はほぼ行った、というイタリア通の方に、そしてたまたま秋に旅行するという方にも参考にしていただきたい「秋のイタリアでやりたいこと3選」をご紹介します。


美しい秋色の景色を堪能する!
日本で紅葉といえば、赤いモミジを想像しますが、イタリアの紅葉は赤色ではなく、黄色や茶色に色づくものがほとんどです。ちょっと地味かなと思いますが、いえいえ、秋の爽やかな光に照らされて、黄金色に輝く紅葉は、それはされでえもいわれぬうつくしさです。

カステルベッロ=チャルデス(トレンティーノ=アルト・アディジェ州ボルツァーノ自治県)を走る列車
紅葉がみられる場所でおすすめは、やっぱり山岳部。雄大なドロミテ山塊のあるボルツァーノや、アルプス山塊のアオスタは電車でも行けるので、レンタカーをしない観光客にもオススメです。


収穫祭へ出かける!
収穫の秋、美食天国イタリアでも獲れたての美味しいものがたくさんです。ぶどう、オリーブ、ポルチーニ茸、栗、トリュフなど、など、など。
各地でそれぞれの特産物にまつわるお祭が行われます。お祭りでは、直売所にイートインコーナー、また楽しいイベントなども行われるので、かなり楽しめます。

開催情報はネットに出ていますので、お祭りを意味する「Sagura」または「Fiera」と入れて、あと場所名と年、例えば「Firenze 2023」などと入れると情報がヒットすると思います。英語での案内も多く出ていますので、検索も便利です。

ワインの名産地グレーベ・イン・キャンティで行われたワイン祭りの様子
ワインが好きな方なら是非行ってみたいのがワイン祭り。その土地のワイナリーが集まって、試飲会をします。有名ワイナリーから小さなワイナリーまで集まりますので、市場には出回らない、その土地ならではの掘り出し物のワインや、また飲み比べができますので、自分好みのお気に入りワインに出会えますよ。


今しか味わえない絶品、一番搾りのオリーブオイルを味わう!
旬の味覚はたくさんありますが、中でも、収穫の季節、現地だけで味わえる特別な美味しさといえば「オリーブオイル」を一番に挙げたいと思います。

収穫を待つオリーブの実
イタリアのオリーブオイルの美味しさをご存知の方も多いかと思いますが、摘みたてのオリーブから絞ったオイルの美味しさは格別なのです。まず、色、とても美しい緑色をしています。そして、香りと味わい、まるで緑のブーケのように爽やかでありつつ、ほんのり辛味を伴うコクのある旨味。べったりとしたオイルらしさはなく、サラサラと滑らかなのです。

どうして、この一番搾りが現地だけで味わえるのかというと、オリーブの実は摘み取られた時から酸化を始めます。ですので、摘み取ってすぐに搾油したものは、特に新鮮で、オリーブらしさをしっかり残した味わいたっぷりの美味しさなのです。イタリアの人はみんなこの一番搾りの美味しさを知っていて、家庭では毎年出始めの頃に買いだめしたりします。

収穫時期は地方によって違いますが、大体11月に入ってから。その年始めのオリーブオイルは「Olio Nuovo」として、季節になると各所で売り出されますので、その時期にイタリアにいかれたら是非チェックしてみてください。

(2018年10月)

芸術の原点を探して

はじめまして!藤原亮子、フィレンツェ在住、カメラマンをしています。

イタリアに住むきっかけは短期留学です。撮影の仕事の基盤アップのために美術の基礎を学びたいと思い、学校を探していて見つけたのが、芸術の都フィレンツェで、本物に触れながら学ぶルネッサンス芸術史のコースでした。ルネッサンス!文化復興、古典芸術を見直し、原点に立ち戻ることで新しい文化芸術が花開いた時代、そこを学ぶことは、美術の基礎を知りたい私にピッタリなのでは?と、心惹かれるままに住みはじめたフィレンツェ。

ルネッサンス芸術が花開いたフィレンツェの街並みは悠久の美しさ

毎日見上げる大聖堂に毎日感動して、角を曲がる度に出会う中世の美しい建造物、芸術に毎度感激して、そしてその上に注ぐ日の光の美しさに感嘆する日々。そうする間にこちらで仕事のご縁が繋がって、気がつけば10年以上住んでいますが、フィレンツェの美しさに、毎日毎度、初めて見た時のように感心します。

トスカーナはワインの名産地。街を出ると葡萄畑が広がります

コロナの都市封鎖をきっかけにフィレンツェの中心街から郊外へ引越し、今はキャンティワインの葡萄畑の真ん中に住んでいます。

何気ない風景。でもその時々にハッとするような美しさを見せてくれます

市内から車でたった30分ですが、ところどころに集落と畑はあるものの、主に雑木林。見所を聞かれても特に上げるものはないのです。

ひまわり畑が咲けばいつもはのどかな田園風景が一気に華やぎます

でも、四季折々に違った景色を見せてくれる自然の美しさは何にも代え難いものです。

生を謳歌する生き物たちの姿はエネルギーに溢れています

そしてその中で怏々しく生きる野生動物たちの姿も見ることができます。野うさぎが原っぱを駆け抜け、イノシシが道を遮り、鹿が庭先を渡り、狐が家の窓を覗く、そんな楽しい環境です。

トスカーナでよく見られる糸杉は叙情的な景色をつくりだしてくれます

巡る季節をここで何度か過ごして、その美しさが心に染み渡った今思うのですが、ああ、こんなに芳醇な美しさを持つ自然環境に恵まれているから、ルネッサンス芸術をはじめ、イタリアの圧倒的な芸術センスが生まれるのではないかと。

春には野原をひなげしの花が彩ります

そんなイタリアの日々に溢れる美しさ、ガイドブックに取り留めるようなことでもない、でも胸に留まり心を豊かにするようなイタリアの美しさを切り撮って、少しづつ紹介していけたらと思います。