新時代のシェフを訪ねて1 presents by 亀屋食品株式会社

Vol.55よりスタートした新コーナー「新時代のシェフを訪ねて」(提供:亀屋食品株式会社)
これからの日本のイタリア料理業界を担ってゆく若手シェフの半生と、思い入れの深い一皿にまつわるストーリーをご紹介していきます。

今回訪ねたのは「VIA DEI PEPI」岡本紘明さん(34)です。
フィレンツェでの滞在経験を生かしながら、既成概念にとらわれずに、料理とお客様に向き合い、イタリア料理のおいしさと楽しさを伝えています。

型にはまらず、おいしさを届けて
屈託のない笑顔で、岡本シェフは完成したリゾットを差し出した。
駆け出しの頃に師匠の作ってくれたリゾットが忘れられず、改良を重ねながら作り続けること15年以上。今ではすっかり自分の味となり、出された皿からは自信が覗いていた。
イタリアへ渡ったのは21歳のとき。東日本大震災直後の不穏な日々のなか、「せっかくなら今行こう!」と思い立った。そこからフィレンツェで約3年間。目的は修業ではなく、楽しむこと。
「キツイ思いをして料理を嫌いになりたくない」という素直な思いがあった。
当時のフィレンツェには若い日本人料理人がわんさか、一緒にあちこち出かけて食べ飲みしながら過ごす時間がとても楽しかったと言う。
オーナーシェフ岡本絋明さん(34)。少年時代、共働きの両親を待ちながら自然とキッチンに立つようになった。イタリアで身につけた地産地消の考えを大事に、“日本でできるイタリア料理”を探求している。
帰国後は、イタリア料理店で働きつつ独立を見据えて準備を重ねた。コロナ禍で独立を決意し、2022年3月にこのヴィア・デイ・ペピをオープンした。
頭にリストランテやトラットリアと付けないのは、料理の格について先入観を持たれたくないから。「大切なのは、料理とどれだけ向き合えるか。おいしいものを作って、それを価値として認めてくれる人がいればそれでOK。今いちばんうれしいのは、常連さんが足繁く通ってくれることです。10年先にも、おいしいイタリア料理を残せたらいいなと思います」
ピンチをチャンスと捉えて前向きに乗り越えてきた岡本シェフ。自信の源は、そんな経験とお客さんに応え続ける姿勢から生まれたのかもしれない。
パンチェッタとポルチーニ茸のリゾット。
うま味の凝縮された乾燥ポルチーニをたっぷり使い、パンチェッタは揚げることで塩味を和らげ、食感を残すのが岡本シェフ流。

〈レシピ〉

材料
(1人前)
・生米 60g
・パンチェッタ 25g
・エシャロット 10g
・乾燥ポルチーニ 戻した状態で70g程度
・ブロード(タマネギとチキン使用) 250ml程度
・バター 10g
・グラナ・パダーノ 適量
・パルミジャーノ・レッジャーノ 適量
・生クリーム 20cc
・トリュフ・オイル 10cc
・(装飾用)トレヴィス 1枚
・(装飾用)タイム 小一枝 


下ごしらえ
1)乾燥ポルチーニは2時間程水に浸した後、一度濾して砂などを落とし、30分程形が崩れない程度まで煮る。
2)生米を約2分間炒めておく。

作り方
1)パンチェッタを1㎝×2㎝程の大きさに切る。
2)パンチェッタを揚げる。(食感を生かすため、カリカリになる2歩手前くらいまで)
3)エシャロットを香りが立つまで炒める。
4)あらかじめ炒めておいた米を加え、米が浸る程度までブロードを入れる。
5)グツグツしてきたら煮戻ししたポルチーニを入れて、8分程煮込む。(うま味と食感をここで調整する。目安として6割くらい火が通るまで)
6)パンチェッタを入れて混ぜる。
7)生クリームを加える。適宜ブロードを加えて調整する。
8)装飾用のタイムを揚げる。
9)火から下ろして、バター、グラナ・パダーノを入れ、よく混ぜる。
10)仕上げにトリュフ・オイルをかけ、トレヴィスとタイムを添えて完成。


VIA DEI PEPI
東京都港区高輪2-1-62パネーラ伊皿子1A
https://viadeipepi.owst.jp/

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文:宮丸明香 写真:日高奈々子