マンマのレシピ

マンマの紹介

  • カルメラ・ディピエッリ(Calmera Dipierri)さん
  • トスカーナ州フィレンツェ在住
  • 【得意料理】カンネッローニ

お料理説明・背景

バジリカータ州の山間の小さな町で、両親、祖父母と11人兄弟に囲まれて育ったカルメラさん。人をもてなすことが好きだった祖父のおかげで、親戚や知人がよく集まる家だったそう。そして、人が集まるときには必ず作ったというのがこのポテトコロッケ。小さめに作って、食事前のアペリティーボとして振る舞ったのだそう。

お母さんを手伝って、コロッケの成形、卵液につける、パン粉をまぶす、揚げる、の各工程を姉妹が一人ひとつずつ担当し、流れ作業のようにしてみんなで作った、カルメラさんにとって楽しい思い出の料理だ。「揚げたてのコロッケはホクホクで特においしいから、揚げる側から兄弟につまみ食いされちゃってたの。みんな大好きですぐなくなってしまうからたくさん作ったのよ。」当時を思い出し、楽しそうに笑顔で話してくれた。

そんなことを話している間に息子のドメニコさんが現れて、横から揚げたてコロッケをつまみ食い。「まっ! ここにもネズミさんがいるわっ!」ちょっと呆れ顔で、でも楽しそうに声をあげる。

昔は今のように、フレッシュチーズであるモッツァレラはどこでも手に入るものではなかったので、郷土チーズのカッチョカバッロやペコリーノなどをコロッケの中に入れていたのだとか。「中に入れるチーズは好きなチーズでいいのよ、でもとろけるチーズの方がきっとおいしいわよね。」とカルメラさん。モッツァレラがどこでも手に入るようになった今はそれを使っているそう。アツアツ、ホクホクの揚げたてコロッケから、とろりと糸を引きながら溶け出すチーズ、まさに至福のおいしさだ。

このレシピには具のチーズ以外にも料理好きのカルメラさんならではの工夫がある。それは衣のつけ方。たっぷりと衣をつけてしまうと、たくさん油を吸って重くなってしまうので、衣がつきすぎないように、本来なら小麦粉、卵、パン粉と順につけるところを、卵液につけた後、小麦粉とパン粉を和えながらつけるようにしているそう。本当にそれでいいのかと思ってしまう手順だが、実際やってみると程よく薄づきの衣がカリッと揚がって、脂っこさもなく実にいい感じに仕上がる。

簡単シンプルだけど、カルメラさんのアイディアと楽しい思い出が詰まったポテトコロッケは、食べた人をあっという間に幸せにするおいしさだ。

レポート:藤原 亮子(Ryoko Fujiwara)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。

材料

ポテトコロッケ(4人分:約15個分)

・ジャガイモ中4~5
・パルミジャーノ・レッジャーノ大さじ2~3粉末
・イタリアンパセリ大さじ1刻んだもの
・卵2個
・モッツァレッラ200g
・塩、コショウ適量
【コロッケの衣】
・薄力粉適量
・小麦粉適量
・卵1個

作り方

下ごしらえ

  1. モッツァレッラを2㎝くらいの大きさに切っておく。
  2. 大き目の皿の半分に小麦粉を、もう半分にパン粉を出しておく。
  3. 深皿に衣用の卵をといておく。

作り方

  1. ジャガイモを柔らかくなるまでゆでたら、熱いうちに皮をむいて、フォークやマッシャーなどで潰す。(写真a,b 参照)
  2. 1にパルミジャーノ・レッジャーノ、イタリアンパセリ、卵2個を入れよく混ぜ合わせ、塩コショウを加え味を調える。(写真c 参照)
  3. 大さじ2程度のポテトを手に取り、モッツァレッラが中心になるようにポテトで包んで俵形に成形する。(写真d 参照)
  4. 俵形にしたポテトを溶き卵に軽くつける。(写真e 参照)
  5. 小麦粉とパン粉のちょうど境目あたりに置き、両方が程よく付くように満遍なく転がす。(写真f 参照)
  6. 約170℃の揚げ油できつね色になるまで揚げたら、よく油を切り、キッチンペーパーの上に一旦おいて余分な油を吸わせておく。(写真g,h 参照)
  • a. マッシャーを使う
  • b. ジャガイモをつぶす
  • c.パルミジャーノ、パセリ、卵混ぜを合わせる
  • d. ポテトにチーズを包んで成形する
  • e. 溶き卵をつける
  • f. 薄力粉とパン粉を転がしながら付ける
  • g. 油で揚げる
  • h. キッチンペーパーの上で油を切る

お料理ポイント

揚げ油は熱すぎるとこげてしまうし、低すぎるとべたっとなるので、170℃くらいで揚げるとちょうどよく揚がる。