新しいワインの貯蔵タンク、コッチョ・ペーストとは。その1

皆さんこんにちは!

ご無沙汰しております。今回はイタリア・世界のワインメイキングの新たな試みとしてトスカーナ州に登場したコッチョ・ペーストというワイン用貯蔵タンクをご紹介したいと思います。

皆さんなんのことやら、サッパリ。。ですよね。

ということで、今回はコッチョ・ペーストという貯蔵タンクの話題を取り扱う前に、ひとまずは現代のワイン造りにおける基本的な醸造設備・タンク類についてクローズアップし、お勉強していきましょう。

 

ワインは、ボトリングされるまでは大容量の液体です。

つまりは、ブドウを絞ってできたモスト果汁(伊語、果汁・果皮など)がアルコール醗酵したのち、“ワイン”となってボトリングされるまでは、当然ながら醸造所には、それを収める大きな容器が必要なわけですね。

容器なんて何でもいいのでは?と考えるほどワインの世界は単純ではありません。


こちらはグロッセート県、チェレスティーナ・フェ社の醸造タンク

ところ狭しとステンレス製のタンクが並んでいます。


サンジミニャーノのヴァニョーニ社はステンレスタンクが右側にあり、奥にはセメント製のタンクも確認できます。


モンタルチーノのレ・ラニャイエ社の伝統セメントタンク。

タンクに記載の“HL54”というのは、54ヘクトリットルと読みます。すなわち5400リットル分。ワインとして換算すると7200本(1本750ml)くらいの量です。


トスカーナは海沿い、新鋭フォルトゥッラ社でもステンレスの他、近代的セメントタンクで醸造を行います。


こちらはサンジミニャーノのコロンバイオ・ディ・サンタキアラ社のセメントタンク。使い込んだような古き良き時代のセメントタンクですね。

ワインに関して、一般的には“樽で寝かせる”というイメージが常にありますが、ワイン造りに必要なものは樽だけではありません。

むしろ、木の樽というのはワインを造ったあとに熟成をさせて仕上げていく工程で使用するというようなもの。

つまり、ワイン造りにおいてブドウ収穫後の最初のプロセスである醸造には、得てしてセメントタンクやステンレスタンクが使われることが慣例なのです。

醸造のあと、木の樽に移され熟成させるタイプのワインもあれば、そのままセメントやステンレスで貯蔵され、木の樽での熟成プロセスを踏まないままボトリングされるワインも多くあります。

これらセメントやステンレスといった2つの種類は、単純に素材の違いもありますが、ワイナリーのしっかりとしたワイン造りのヴィジョンのもと、それぞれ理由があってその素材を使っているということを理解しましょう。

2つの共通した特徴は、まずその素材が無機質の要素を持っているところ、つまりニュートラルな素材で素材自体はワインにはどんなエフェクトも与えないということです。

そして、温度を醸造上の適温に抑えることができるところも重要なところです。

アルコール醗酵の際、モストの温度は上がっていきますが、熱はワインにとっては良くない要素ですので冷やしながら醸造を行っていくことが良いワイン造りの基本となります。

温度が高くなってしまうと、酵母がうまく働かず醗酵に障害がでたり、綺麗なブドウ由来のアロマが失われたりと問題を生じてしまいます。(赤ワインは25~28℃前後、白、ロゼは15~18℃前後に調整することが多いようです。)

近代化に伴い導入された醸造用ステンレスタンクというのは、通常温度調整が可能なオプション機能が付いているものが多く、今ではワイン醸造の基礎的設備となっています。外面が2重構造になっていて冷水を巡らせて冷やす方法や、タンクの中に鉄板のような冷却装置を入れて冷やす方法など様々ですが醸造施設に設置された管理機器ですべてのタンクの温度が把握できるようになっています。

余談となりますが、古代ローマ人もワイン造りにおける熱を抑えることの重要さを理解していて、ワイン造りの際はモストの入った土器に水を流しあてながら醸造していたという話もあるようです。

セメントタンクに関しては、元々トスカーナの醸造において広く使われていたタンクの種類で、ニュートラルな素材であり、外部からの影響がない。低温を留まらせる強さのある素材。セメントのしっかりした厚みがある分、外気による温度変化の影響もないという特色があります。かつては温度を下げるために、温度が高くなるごとにワインを別のタンクに移し替えて戻す(デレスタージュする)ことにより温度をある程度下げていたようです。現在は、伝統的なセメントタンクでも温度調整のできる機能を後付けしたところも多くあります。

セメントタンクとステンレスタンクとの違いを一つ挙げるすると、セメントに関してはミクロの単位で酸素が届くことになり、ワインがいわば小さな“呼吸”をすることできるという点です。

※ゆっくりした微量の酸化は、とがったタンニンを柔らかくする効果もあり心地よさにつながります。

つまり、ステンレスと比べ、まったくもって影響のない0ゼロというほど密閉されていない素材ということになります。

そこには、本当に小さな、ワインの成長を促す“変化”を見出すことができるのです。

ステンレスはワインのフレッシュ(新鮮)さやアロマなどを閉じ込める長所的効果がある分、酸化によるワインの進化、成長を期待する容器とは言えません。

それに比べるとセメントタンクはゆったりとした極小さなワインの呼吸による熟成効果も期待できる、ということになります。

これは、どのようなワインを造りたいか、生産者の哲学や好みもあるので、ワイン造りにおいてはこのような手段があるのだという理解に留めるので十分でしょう。

少し長くなってしまいますが、今回はあと一つだけ

モンタルチーノのラ・マジャ社のセラー


同じくモンタルチーノ南部のポッジョ・ディ・ソット社の醸造施設。

これは木の素材の醗酵槽です。前者のラ・マジャ社では、トップラベルであるブルネッロ・ディ・モンタルチーノに関してのみ木の醗酵槽で醸造。

ポッジョ・ディ・ソット社ではロッソ・ディ・モンタルチーノ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノともに木の醗酵槽にて醸造していきます。(先にワインを造ってから数年後試飲を経てロッソとブルネッロに分けるというやり方)

これは、もともとのワインとなるサンジョヴェーゼ種とそのモストの力強さから、醸造の段階で“より深い呼吸”を促しながらワイン造りを行っていくという一つのテクニックとなります。当然コストや、温度変化による対応もよりマニュアルとなる部分もあるので(ルモンタージュを行いつつ温度を下げるなど)より贅沢で手間のかかる手法ですが、しっかりと熟成を見据えた種類のワインを造っていく上では、近年しばしば見られる種類の醸造設備と言えます。

おまけ


トスカーナはルッカのヴィッラ・サントステファノ社のステンレスタンク。“マイクロ・オキシジェネーション・システム”というミクロの酸素供給(オキシジェネーション)システムにより、タンク内のワインの呼吸強度を設定できるようです。

色々な生産者、色々な醸造設備。ワイン造りも一筋縄ではいきませんね!

次回はいよいよタイトルにありました“コッチョ・ペースト”のタンクの登場です。

それでは、また次回もお楽しみに!

鈴木暢彦

Instagram @toccaasiena

HP 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com

【会員限定プレゼント】正真正銘Made in Italyの機能的でおしゃれなサンダルプレゼント

たくさんのご応募ありがとうございました!
受付終了させていただきました。当選された方へは7月上旬までに商品のお届けをさせていただきます。


イタリアズッキーニクラブ、イタリアズッキーニパートナーズ会員限定!
2019年の夏を素敵に過ごしてもらうため、Made in ItalyのSENSI社が提供するサンダルを各2名、合計4名様にプレゼント!


イタリアの緑のハートと呼ばれるウンブリア州。
更に緑豊かなこの州のほぼ中心に位置するのが、モンテスパジオ山の斜面に広がる小さな町アシッジ。
2000年ユネスコ世界遺産になったこの地で、半世紀前から頑なに自社製造工場を構えるのがSENSI社。

SENSI社が手掛ける主な製品はサンダル。
革!?……と思われがちですが、素材はPVC(ポリ塩化ビニル)。

創業者であるLorenzoさんが、57年前に試行錯誤、研究に研究を重ね、中空2層の構造とフットベッド*を開孔にすることにより、サンダルでありながら抜群の衝撃吸収性と、水に入っても蒸れない空気循環・排水のシステムに成功しました。

この履きやすさと快適により、70年代、イタリアの社会の教科書に写っている夏の姿ではSENSIを履いている人ばかり。それどころか、特徴的なデザインと相待って、イタリアを代表する様々なファッション・ブランドとのダブルネーム。
イタリア軍の公式シャワーサンダル、1984年ロサンゼルス五輪では米国の競泳チームにも採用されました。最近ではあのお騒がせ大統領の恋人(?!)がスクープされた時に履いていたのが……

《 プレゼント&お申込みについて 》
■プレゼント内容:[1]MONTECARLO BUMPS CITY(2名様)[2]Amalfi Azuteca(2名様)
■応募期間:2019年6月5日~6月20日
■商品のお届け:6月末~7月上旬
※応募時にお届け先ご住所(ご登録住所)のご確認をお願いします。当選時にご登録住所へお届けさせていただきます。

[1]Montecarlo Bumps CITY
SEVCIの顔とも言うべき人気の定番商品。ビーチへ!
プレゼントカラー:NERO / サイズ:42/43(26.0~26.5cm)
応募受付終了



[2]Amalfi Azuteca
イタリア限定、日本未発売品。アマルフィを歩きたくなる。
プレゼントカラー:BORDEAUX / サイズ:38/39(24.0~24.5cm)
応募受付終了

皆様のご応募、お待ちしています!

SENSI社
若き鋳型技術者Mr.LorenzoSensi。経済と市況の影響を受け、ポリウレタン系材料は突如として彼の手元に、一切届かなくなった。唯一入手できるのは、誰もが重たいと敬遠していたPVC(polyvinyl chlorideポリ塩化ビニル)。研究熱心な彼は何とか軽量化する施策は無いかと、日々研究を重ね、中空にすることを考察。
更に二層・張り合わせにすることで、弾力性と耐久力、その上、通気性と排水性にも富むことを考案しSandalの商品化に成功。
逆境の中で考案された機能に留まらず、デザインとカラーリングをも融合させ、1962年、SENSI sandalはデビューしました。
▼sensi WEB/SNSサイトこちら↓↓▼
https://www.sensi.jp/
https://www.instagram.com/sensi_sandal_japan/
https://www.facebook.com/SENSI.Japan/

ある日、森の中で牛さんに出会ったら。~ドライブ中の牛との遭遇。対処法~

 

車を借りてイタリアの田舎を旅行する方にお馴染みなのが「ヤギ・ひつじ渋滞」。牧童に連れられ、道路を横断したり、道路わきを歩くヤギやひつじさんを見かけることはまだ珍しくありません。

のんびりしていて「これぞイタリアの田舎!」な光景ですね。

カラブリア州でも街から出たとたんにヤギ・ひつじ渋滞が発生することもありますが、特にコセンツァ県のシラ国立公園やポッリーノ国立公園内では公道で牛に遭遇するケースもあります。

しかも、牧童が同行していない完全放牧。つまり、牛さんが勝手にウロウロしているところに遭遇することもあるんです。(稀に馬に乗った牧童が同行していることもあります)

どう見ても牛の群れ。びっくりするけど、カラブリアでは2019年でもこんな光景が繰り広げられています。
実は、彼らは「いつもの道」を行ったり来たりしているだけ。群れのボス(一番年上の牝牛)が群れを引き連れ、その時期の美味しい草のある場所・水場・ねぐらを行ったり来たりしています。

彼らにとっては、いつも道に今日はなんだか車がいるぞっていう認識らしいですが、問題はその巨体。

特にシラ国立公園内には「ポドリカ牛」という古代品種の牛が多く飼育され、体の大きなポドリカさんは角も立派。性格が荒い個体も多く、特に子牛を連れたグループは比較的簡単に「お怒りモード」に入ると言われています。
公道で牛に出会ったらまず心掛けたいのは、むやみに刺激しないこと。

特に大きな角を持つポドリカは、その気になれば大きなトラックでも簡単にひっくり返せる力があります。(しかもスイッチが入りやすい難儀な性格💦)

牛の近くでクラクションを鳴らしたり、大きな声を出すのは厳禁。間違っても窓を開けて牛を触ろうとしたり、「きゃー!可愛いー♡」などと大きな声を出さないようにご注意を。牛さんがびっくりしちゃいます。

牛さん達はいつもの道を行きたいだけ。見慣れない車に驚いて警戒しているだけで、危険が無いと判断すればそのまま通り過ぎて行ってくれます。なので、彼らとすれ違う際は静かに超徐行、もしくは彼らが通り過ぎるまで停車が正解です。

一本道で牛が通せんぼしていて全く動く気配が無かったら。最悪、引き返すぐらいの気持ちの余裕を持っていないと危険です。
基本的に優しい生き物ですが、その気になれば車程度はひとたまりもない相手だっていう事をくれぐれもお忘れなく。

草原に駐車して近くを散策して帰ったら、車が牛さんに囲まれていることもあります(笑
牛は臆病な動物なので、人影を見ると離れます。なので、こんな時はゆっくり車に近づくのが正解。
草を食むのに一生懸命で人影に気が付かないうっかりさんも稀にいますが、「人がいますよー」的なアピールを静かにすると大抵移動してくれます。

放牧されている牛にはカウベルが付いていることが普通です。遠くに聞こえていたカウベルが近づいてきたら、ご用心を。
牛に遭遇したら慌てず・騒がず。時間の許す限り彼らのペースで行動することをお勧めします。
道端で牛に遭遇、というのも楽しい経験ですけれど、ね。

催行決定! 第11弾 編集長マッシモと行く バルバレスコマラソンとエミリア・ロマーニャ伝統の美食の旅10日間

このツアーの催行が決定しました!
秋のピレモンテ、バルバレスコと、エミリア・ロマーニャのモデナ、ブリジゲッラ、いい季節にイタリアを巡ります。

まだ若干名の余裕がございます。ご興味のあるかたはお問い合わせください。


『イタリア好き』編集長マッシモと行く!マッシモツアー第11弾の詳細決定!
10月25日(金)〜 11月3日(日)10日間

今年も行きます!バルバレスコマラソン。
昨年は前日までの雨で畑の中は泥々でしたが、またそれがおいしいワインを造る土、土地であると実感できるいいチャンスでした。
そしてそんな悪コンディションの中を走ることで、
参加者の方々の絆をしっかり結び、その後も仲良く楽しい旅になりました。
ラン後のレセプションでは、バルバレスコワイン飲み放題でフルコースを楽しめる、
イタリアらしい魅力的な大会です。
走らなくても10kmウォークでの参加も大歓迎。
翌日からは、伝統、美食のエミリア・ロマーニャを巡ります。
本誌で取材した生産者とレストラン、そしてマッシモがとってもお気に入りのブリジゲッラにお連れします。
クラテッロ・ディ・ジベッロ、パルミジャーノ・レッジャーノ、アチェート・バルサミコ、ランブルスコなど知りたい、見たい魅力溢れる食に出会える旅です。
マラソンと美食、ぜひご一緒に!
ポイント1 バルバレスコの丘を走り、おいしいワインと郷土の味を一緒に堪能

ポイント2 Vol.6とVol.36で取材した魅力的な生産者やお店を訪ねる
ジベッロの「Trattoria La Buca」の名物クラテッロ


チーズ工房「Caseificio Reggianibio」のマリアさんの深い愛情を受けて熟成するパルミジャーノ・レッジャーノ


旧貴族の館にあるマッシミリアーノさんとあかねさんのアチェタイアを見学


モストコットの入った樽がずらりと並ぶアチェタイア


バルサミコ/ランブルスコ生産者「Azienda Agricola Pedroni」では本物を味わう。ジュゼッペ25年(左)、イタロ12年(右)と親子の名前がつけられている


Tortelloni di ricottaにバルサミコ酢を少しかけて味のアクセントに。あまりかけ過ぎてはいけない。ほどよくかけることで味に深みが出る


父親のイタロさん(左)息子のジュゼッペさん(右)が、今のペドローニ家の看板を背負っている


バルサミコ酢造りには欠かせない樽。その若き樽職人「M.G.di Thomas Raimondi」のトーマスさんの仕事ぶりを見学




ブリジゲッラ、塔の上からの眺め。緑に囲まれた旧市街。魅力的な美しく、小さな村


 



ブリジゲッラにある農産物協同組合の店内。地元の人はワインもオイルもこんな風に買っていく。これがいちばんうまい! 地元の特権だ


縦穴の洞窟でチーズを熟成するフォッサ・チーズ。魅惑の香りと、旨味が調和する。「Fossa Pellegrini」




ロマーニャ地方アドリア海チェルビアの海の幸


DOPのノストラーノ・ディ・ブリジゲッラ種のオイル。「Tenuta Pennita」


サンジョベーゼ100%のワインを造り続ける名門ワイナリー「Fattoria Nicolucci」

ポイント3 地元をよく知る料理人の講習会と体験
こだわりのイケメン出張料理人ミルコさん


土地の素材と旬を活かした料理。アチェートバルサミコ酢との相性もよし


出張料理人ミルコさんの郷土料理講習会。体験も



旅行概要◆旅行代金:イタリアズッキーニクラブ会員、ズッキーニパートナーズ会員 348,500円
※非会員360,500円
*日程内の宿泊費(2人1部屋)、食事(毎朝食・昼食5回・夕食1回)、マラソン参加費、訪問料・講習費・通訳費・交通機関・現地手配費用が含まれます。
*上記費用には、航空代金、燃油特別付加税、空港税、航空保険料などが含まれておりません。別途、お手配、費用が掛かります。

◆1人部屋追加代金:59,000円(8泊分)
*ツインより部屋が小さくなる場合もございます。
※相部屋の方がいらっしゃらない場合は一人部屋追加代金が掛かります。

◆ホテル:4つ星クラス

◆10名様限定!

◆申込期間:8月20日(火)まで。
*定員になり次第締め切らせていただきます。

★お問合せ・お申込み先
TEL : 03-5772-8338
FAX : 03-6438-9990
アマテラス・イタリア
(株式会社フォルトゥーナ)
担当:桃井祐美子、松家いくみ
〒106-0045
東京都港区麻布十番1-5-29-205
E-mail:italia@fortuna.ne.jp

★航空券お問合せ先:
株式会社エイチ・アイ・エス トラベルワンダーランド新宿本社
アメリカ・オセアニア・ヨーロッパ 自由旅行専門営業所
TEL:03-5360-4831  担当:柏原 健太
「イタリア好きツアーの件」とお伝えください。
e-mail:003info1@his-world.com

 

“イタリア好き” 郷土料理とワインを楽しもう! ロンバルディア・ミラノ

\イタリア郷土料理を巡る食事会 ロンバルディア・ミラノ/

Vol.40(2月1日発行)ミラノ特集に合わせて、恒例の食事会を開催します。
今回の取材で少しだけミラノの懐に入り込めたような気がしました。
そしてもっと深追いしてみたいというミラノへの思いの丈を、「タンタローバ」の林祐司シェフの料理に委ねるのです。


お茶目な林シェフ。

〈予定メニュー〉
ロンバルディア州前菜盛り合わせは、ブレザオラ、サラミマントヴァーノ、カプラチーズ、モンデギーリ、シャットゥ
写真はイメージで実際の料理とは異なります。ご了承ください。

プリモはソバの産地でもあるロンバルディアを代表する一品ソバ粉のパスタ、ピッツォケッリ

セカンドはもちろん、リゾット・アッラ・ミラネーゼとオッソブーコ

ドルチェの盛り合わせは、トルタ パラディーゾ、ズブリゾローナ

これらの料理に合わせたロンバルディアのワインもご用意しています。
*メニューは予告なく変更することもありますのでご了承ください。

◆+◆+開催概要+◆+◆

■日時:3月15日(日)12:00~(11:45受付開始)
■会場:TantaRoba(タンタローバ)
東京都文京区小石川4-18-7
http://www.tantaroba.jp/
■会費:〈会員〉12,000円(税別)(13,200円:税込)
〈非会員〉14,000円(税別)(15,400円:税込)
*ドリンク込み!
イタリアズッキーニクラブズッキーニパートナーズ会員+1名まで有効)
■形式:着席式
■定員:20名

《過去の食事会レポート》
■2019年11月に開催したサルデーニャ食事会のレポートはこちらから
■2019年6月に開催したヴェネト食事会のレポートはこちらから
■2019年2月に開催したエミリア・ロマーニャ食事会のレポートはこちらから
■2018年8月に開催したカラブリア食事会のレポートはこちらから
■2018年11月に開催したリグーリア食事会のレポートはこちらから

《お申込み》

以下に「カートに入れる」ボタンが表示されます。そちらをクリックしてお進みください。

*参加条件はイタリアズッキーニクラブズッキーニパートナーズ会員様とそのお連れ様1名のみとさせていただきます。

※ズッキーニクラブ、ズッキーニパートナーズ会員の方は、ログインすると会員価格でご購入いただけます(未ログインでは、非会員価格でカートに価格が表示されます)。

ミラネーゼが待ちわびていた週末

雨が降ったり止んだり。天気には恵まれませんでしたが、今週末はミラネーゼが楽しみにしているイベントが目白押しでした。

そのまず第一弾が、 ORTICOLAオルティコラ。

“Scuire milanesi シューレ・ミラネージ”(ミラノ方言でマダムの意)たちが年に一度開催するイベントで、毎年ポルタ・ベネツィア近くの公園で行われます。

庭やテラスを飾るための草花、それに関するおしゃれなグッズを販売するテントが軒を連ねます。入場料を支払って入らなくてはいけないのですが、美しい花々を眺めながら歩くだけで、とても幸せな気持ちになるイベントです。



ワークショップ用のテントも準備されていたり、ジェラート屋さんや、コーヒーを飲めるテントがでていたり、鳥小屋や庭用の家具を専門に扱うテントがあったり、見ているだけでうっとり。天気に恵まれずとも、結構な人出がありました。





下はフェルトで作った、野菜のブローチ等のアクセサリー屋さん。とっても可愛らしかったです。







4月にはミラノ・サローネがあり、デザイン関係の方々や建築関係の方々が世界中から来て街が賑わいましたが、実際にミラノに住んでいる人々には、あまり関係はありません。もちろん興味深いイベントはあちこちでFuori Salone(フオリ・サローネ=メイン会場以外の街中で行われているイベント)として開催されて楽しいことは楽しいものですが。

ミラノの人たちに向けたイベントとしてはこのオルティコラとほ他にも素敵なイベントが重なった週末となりました。続きはまた次回ご紹介させてください!

ペーストジェノヴェーゼがユネスコ登録申請!

先日、ローマのモンテチトーリオ代議員議事堂でジェノヴァ市とリグーリア州の代表がペストジェノヴェーゼの試食会を行い、ユネスコ登録への申請を発表しました。
バジリコを使ったペースジェノヴェーゼはパスタのソースとして、世界で2番目に使われているのだそうです。

登録への申請要請のために25.000 人もの署名が集められました。実はペーストジェノヴェーゼのユネスコ初申請は2015年に遡ります。2018年の4月1日に、ペーストジェノヴェーゼではなく、クルミのソースがユネスコ登録された、とのニュースが流れましたが、エイプリルフールのネタでした。

右からトーティ リグーリア州知事, コンテ首相、ブッチ ジェノヴァ市長。エプロンを付けているのがパニッツァ氏


昨年のペーストジェノヴェーゼ世界チャンピオン大会の際に、大々的に署名活動が行われ、今回の代議員議事堂での試食会でイタリア中に登録申請活動を強調したというわけです。

申請には、リグーリア州知事であるジョヴァンニ・トーティ氏、ジェノヴァ市長のマルコ・ブッチ氏、そしてペーストジェノヴェーゼ世界チャンピオン大会の会長であるロベルト・パニッツァ氏らが自らペーストを作って、その素晴らしさをアピールしました。

味見するサルヴィー二副首相


試食会にはジュゼッペ・コンテ首相やマッテオ・サルヴィーニ副首相も参加して、出来立てのペーストに舌鼓を打っていました。美味しいものを食べている表情は全国共通ですね。


ペーストジェノヴェーゼ世界チャンピオン大会にはエプロン姿で参加していたリグーリア州知事のトーティ氏。この試食会にはバシッとスーツで出席。しかし、出来立てのペーストを指ですくうのを止めることは出来なかったようで・・・ とてもお茶目です。

2018年のペーストジェノヴェーゼ世界チャンピオン大会でペーストを作るトーティ知事


ジェノヴァ市長とトーティ知事。


最近のペーストジェノヴェーゼ人気の仕掛け人であるロベルト・パニッツァさんはジェノヴァの中心地で IL GENOVESEhttps://www.ilgenovese.com/le-nostre-foto/ というトラットリアを経営しています。



とびっきりのペーストは言わずもがな、美味しい郷土料理を味わえる他、デザートが充実しているのも嬉しい限り。特にジェノヴァ産のチーズPRESCINSÊUAを使ったチーズケーキは絶品です。


ジェノヴァにお越しの際は是非、お立ちより下さい!

 

今回のイタリアファッションのお勧めは夏のメンズスーツです。

最近は、フォーマルな場所でも”ネクタイを締めない”という選択が出てきました。

「礼儀は忘れないけれど、自分の意見をはっきり述べる」というタイプの男性のステータスとなっているようです。

首相のコンテ氏はネクタイを締めていますが、賛否両論の議論を巻き起こす発言が多い副首相のサルヴィーニ氏はノーネクタイです。

でも、ノーネクタイはスーツがしっかりしていないと只のズボラになってしまうようです。

食でもファッションでも「伝統に基づいた遊び心」というのは人の心を惹きつけますね。

 

https://www.ikrix.com/jp/blue-wool-jacquard-three-piece-suit-emporio-armani-108480?utm_source=referral&utm_medium=italiazuki

次回はオリーブオイルとオリエンターレ市場に出来たフードセンターからのニュースをお伝えします。

短い春先のヴェネツィアのお楽しみ、モエーケを食す

「モエーケ(moeche)」とは、ヴェネツィアのラグーナで漁れる脱皮ガニのこと。グランキオ・ヴェルデ(ミドリガニ)と呼ばれているカニの脱皮したてのものを指す。

今やヴェネツィアの季節の食材として知られているが、実はヴェネツィアにおいても食の歴史としては近年のもので、戦後にブラーノの漁師によってその捕獲のノウハウを得ることで、ヴェネツィアの珍重食材として知られるようになったとか。

魚屋の店先のモエーケ


とにかく、脱皮してから数時間のうちに捕獲しなければならず、またそれに至るまでにも非常に手間のかかる大変にデリケートなものである。そして、その季節も限られていて、3-4月にあたるクアレージマ(quaresima)と10-11月にあたるフラエーマ(fraèma)がそれにあたる。ただし、それらはオスに該当するもので、メスはクレアージマの終りにあたる時期以降のみに脱皮をするので、捕獲時期がずれ、5月ごろとなる。
ちなみにその時期以降のメスは産卵するため脱皮はせず、夏以降のものは殻が固くなる。そうなるともう「モエーケ」とは呼ばず、「マゼネーテ(masenete)」と呼ばれるようになるが、それもまたヴェネツィア人の大好物の食材のひとつとなっている。

モエーケの捕獲には、ラグーナにて捕獲用の箱が仕掛けられる。その中にあらかじめ選別されたカニが網に入れて集められる。1日のうちに何度かそれらを観察し、脱皮が近いものはさらに選り分けられ、脱皮したてのものだけを捕獲し、出荷される。

捕獲場はラグーナの北部側が最も盛んな場所ではあるが、ヴェネツィアの漁港の町、キオッジャ周辺なども盛んに行われている。この辺りは、アサリやムール貝の養殖もされている場所だ。

ヴェネツィアでは、モエーケは生きた状態の超新鮮なもののみにその利用価値があるため、そのほとんどはすぐに料理店に運ばれる。もちろん市場に運ばれるものもあるが、そこで入手するものも、やはり生きたもの。足をゴソゴソとさせたのが、発泡スチロールの箱に山積みされている。値段もそれなりなので、この場合には、重量ではなく数を伝えて購入。

ヴェネツィアのリアルト市場は魚市場で有名だが、キオッジャには朝3時半と午後2時半から開かれる業者用の卸市場(業者証保持者のみ入場可)と、カナーレ(運河)沿いの赤いひさしが目印の一般向け市場との2箇所の魚市場がある。

卸市場内。写真はコウイカ専門業者


一般開放のものは、ヴェネツィアのそれに比べるとさらに庶民的な雰囲気。モエーケの漁獲場とはいえ、キオッジャの市場には、1㎏あたり約60ユーロほどの値がつけられる高価なモエーケは意外と少なかったりもする。

キオッジャの魚市場入り口


新鮮な魚介が並ぶ。”ノストラーニ”はラグーナで獲れた魚介をさす


さて、モエーケの調理法は、油で揚げる、いわゆるフリットだ。この場合、モエーケはやはり生きているものである必要がある。

なぜなら、揚げる前の数時間、卵液に漬け、カニに卵液を吸わせるため。卵液を十分に吸い込んで腹の中が卵液でいっぱいになったら、表面に粉をまぶして高温の油でカラリと揚げる。

揚げたてのアツアツをいただくべし


殻ごと揚げて周囲がカリッ、中は卵でふっくりと膨れてジュワッとし、濃厚な味わいがモエーケのフリットの美味しさ。

他にはない美味しさ。一度食すべし!の食材だ。

【イベントレポート】マンマの料理フェスタ2019代官山

3月29日、30日、31日に開催された「マンマの料理フェスタ2019代官山」
南イタリアはカラブリアから来日してくれたアンナさんの料理とイタリア関連商品が並んだメルカートで大いに盛り上がった3日間でした。


アンナマンマの来日〜 お供は兄のコズモさん
初海外がなんと日本。このフェスタのためにパスポートも新しく取得してーー

自分が大きなポスターになっていてびっくり!

手打ちパスタ”フィレイ”は何キロ作っただろう





仕込み、仕込み、ひたすら仕込み〜
予定の到着日より1日遅れたので、準備は大変でした。

意外と箸づかいが上手なアンナ

労働の後は、準備した皆んなで近くでお疲れさま〜
ショーケースにはアンナの料理が並びます。

さあ、いよいよ本番。アコーディオン演奏は大塚さん。演奏が始まると会場も雰囲気満点。

フリッタータ。ンドィヤ(カラブリア、スピリンガ特産トウガラシを練りこんだサラミ)入り卵焼き。家庭の味、マンマの味


手打ちパスタフィレイの赤タマネギとンドィヤソース。タマネギの甘さとンドィヤの辛みとこくが絶妙にうまし


ポルペットーネ。豚と牛のひき肉に、パンチェッタにプロシュットコット、ホウレン草、ゆで卵を巻き込んでローズマリーで香りづけ


マッシュポテトにチーズやハーブを混ぜて揚げたヴィラショーレ。皆んな大好き!



本当にたくさんの方に来ていただきました。
予想以上な展開に、食材が間に合わなくなってしまいご迷惑をおかけした点もあったと思いますが、アンナはできるだけ多くの方に食べていただきたいと、フィレイを打ち続けていました。ありがとう〜

〈オフショット〉
リクエストのトンカツを食べるアンナ


満開の目黒川の桜も満喫


やっぱりお寿司も。廻ってなくてスミマセン……


イベント翌日は東京見物


皇居の乾門までを散策。この時に「令和」の発表があって歴史的瞬間を日本で⁉︎


やっぱり行きたい浅草、合羽橋。たくさん買い物してました


最後の買い物は成田空港で、娘さんへぬいぐるみ


別れ際アンナは「ありがとう、ありがとう」を繰り返してイタリアへ帰って行きました。
素敵な笑顔と心のこもった料理をありがとう。

そして、今回一緒にイベントを盛り上げてくれた出展者の皆様!

▲BANCHINI(バンキーニ)/ARANCIA ROSSA
▲CA’MONTE
▲ITALICO JAPAN
▲パシフィック洋行
▲リモーネリモーネ
▲SAKURAGUMI
▲シチリア食材専門店 Siciliamore(シチリアモーレ)
▲ゴープレミア
▲生パスタ専門店 Pastificio Sugino
▲イタリア食材輸入のイマニシ
▲SANTA CHIARA DAVINO
▲帽子屋BARコッポレッタ
▲フードライナー
▲APEROL(アペロール)

最後に、ご来場いただいた皆さん、ご協力いただいたヒルサイドパントリーのスタッフの皆さん、関係者の方々に心から感謝します。
ありがとうございました。