ジェノヴァからこんにちは。

「イタリア好き」の皆さま、こんにちは。ジェノヴァ在住の赤沼恵です。

今、晴れた空を見ながらこれを書いています。カモメが優雅に飛んでいます。

カモメは、実際は獰猛な鳥なのですが、空を飛んでいる時はとても美しく、この鳥を見る度に海のそばに住む喜びを感じます。

私は特に夕暮れ時の空を見るのが好きです。

日本の真っ赤な夕焼けも美しいですが、このジェノヴァの海と山の上に広がる空は絶景です。

薄く紫色に染まっていく雲、黄金色の光が海に手を差し伸べ、その光を反射して輝く建物。やがてゆっくりと顔を出す星々…


そんな空を見ているとあの海の向こうになにがあるのだろう、と心を躍らせた旅人たちに思いは飛んでいきます。

ジェノヴァはアメリカ大陸を発見したコロンブスを生んだ街、捕らえられたマルコ・ポーロが牢獄の中で「東方見聞録」を囚人仲間に語った街、音楽界のさすらい人パガニーニが生まれた街。

デ・アミーチスの子供用小説「クオーレ」に出てくるマルコ少年はアルゼンチンに渡った母を探しに一人ジェノヴァの港から旅立ちます。


未知の世界への憧れは人一倍強いのに、ジェノヴェーゼ達は自分の心をさらけ出すことが苦手です。この街にある宝も大切に守り、本当に価値のわかる人にしか見せないようにしている感を受けます。

一説に、ジェノヴァの名前の語源はローマ神話のヤヌス(Janas)だと言われています。

ヤヌスは前と後ろに2つの顔を持つ神です。ジェノヴァは山と海という2つの顔をもつことからこの名前が付いたと言われています。

2つどころか、沢山の顔を持つこの街の魅力をご紹介していきます。

 

コロンブスの像
珍しく降った雪にも負けず、遠い彼方を見つめるコロンブスの像

パンテッレリア島の小さな木達


ちょっと季節外れとはなりますが、、、。

前回の「火山島パンテッレリーアが生んだ名産品、カッペリとオレガノ」に続いて、パンテッレリア島の紹介をしたいと思います。

パンテッレリア島は火山島であり、この火山によりもたらされた土壌が非常に多くのミネラルと養分を含み。
この島を代表するケッパーとオレガノという島食材が世界中のシェフに愛されている事は前号でもお伝えしました。

パンテッレリア島は火山島であると共に「風の島」としても知られています。
1年中、全方向から強い風が吹くこの島は、それにより無農薬栽培がしやすい、という利点もありますが、風が強すぎて木に実る作物が落ちちゃう!という難点もあります。

そこで島民が思い付いたのが「低木に保つ栽培方法」。

一番上の写真、何の木だかわかりますか?
答えはこれ!


オリーブの木なのでした!

地面を這うようにして育つパンテッレリア島のオリーブの木。
始めてみた時には、オリーブの木と気が付きませんでした。

 


こちらはトマト。

 


そしてブドウ。

どんな植物も地を這っています。

そしてこちらがケッパー。


収穫は膝をついて腰をかがめて、、、非常に辛い体制。
しかもケッパーはお花の蕾で、とってもちっちゃい。
摘んでも摘んでも大きなバケツはいっぱいになりません。


これだけ摘むのにいったいどれだけの時間がかかることか。

本当に生産者の方々に感謝感謝です!

こうして丁寧に摘まれたケッパーはトラーパニ産の塩の中で、数か月間熟成されて、私達が目にする「塩漬けケッパー」となります。

ミネラルと養分豊かなパンテッレリア島で育ったケッパーとオレガノは、「シチリア産」よりも香り高い逸材です。
昨年、パンテッレリアから日本に直送された「2018年出来立てケッパーとオレガノ」は好評につき残り3セットとなりました!
日本にはまだ届いていないであろう2018年の新物、この機会に是非お試し下さいね!

※今回のエントリーの写真は全て夏季に撮影したものです。

 

マリザおばあさんのブルネッロ

今回は、トスカーナ州モンタルチーノでたった一人でワイナリーを営む86歳のおばあさん、マリザさんをご紹介します。

モンタルチーノ中心街の北側の城壁を抜けてしばらく坂を下ると、地元銘柄ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワイナリーの案内看板が見えてきます。


右には『イル・パラディーゾ・ディ・マンフレーディ』、左に『イル・マッロネート』と小さな造り手でありながら日本のイタリアワイン愛好家にもその名が知れたワイナリーたちが。

さらに森の小道を下り、奥まで進んでいくと小さな一軒家がありました。

『モリナーリ・カルロ ポデーレ・レ・フォンティ』

知られざるブルネッロ生産者の一社で、マリザさんのご自宅兼ワイン醸造所です。

畑は目の前にある1ヘクタールにも満たない畑のみ。


マリザさんは、現在この家に一人で暮らしながら畑管理とワイン造りをごく少数のオペレーターと一緒に行っています。


マリザさんは北部ロンバルディア州の出身。20歳の頃にトスカーナの海で知り合った同じロンバルディア州出身のカルロさんと結婚、同州ヴァレーゼで長く暮らしたのち1971年にトスカーナ州へと越してきました。モンタルチーノにその後家を建て、カルロさんのワインへの情熱から1980年にブドウの苗(ブルネッロ種)を一緒に植えました。

1993年がマリザさんたちにとってブルネッロ・ディ・モンタルチーノの初ヴィンテージ。


そのブルネッロ・ディ・モンタルチーノが5年の熟成を経て、ようやく完成した1998年にカルロさんは病に倒れ帰らぬ人になりました。

彼らの一人娘であるエレナさんはサルデーニャ州の家に嫁いでいることもあり、マリザさんは彼と愛したワインを一人で守り抜くことを決意。長年の夢を実現したカルロさんの意思を引継いで今も一人でワイン作りを行っています。

 

マリザさんと猪

このエリアの森にはかつて3匹の大きな猪が住んでいたそうで、収穫のシーズンには甘くて美味しいブドウを食べて畑を荒らしてしまっていたのだとか。


畑を守らなければならないマリザさんにとってブドウを食べてしまう猪たちはまさに天敵です。

そんな中、偶然このエリアに人間のハンターが猪の狩りに来ました。食用にするためで時期によって狩猟解禁となるのです。

しかしマリザさんはその危険を猪たちに知らせ、その場から逃がしてあげたそうです。

いつもは憎い猪たちでも、もしいなくなったらと思うと寂しかったのかもしれませんね。

マリザさんと車

マリザさんはご高齢であるのですが買い物には車ででかけます。数年前に単独の衝突事故をしてしまった時のこと。その時にしていたシートベルトが事故の衝撃で急に締まり胸が非常に苦しかったそうで、それ以来シートベルトはしないことにしたそうです。笑

実際、その後2回目の小さな追突事故がありましたが、シートベルトをしていなかったおかげでケガがなかったと言い放つ始末。地元のおまわりさんも苦笑いです。くれぐれも運転には気を付けてくださいね。

マリザさんとメディア

マリザさんは、商業的なマーケティングやジャーナリストやメディアをあまり信用していません。いかに人々が情報化社会の中で真実を見失い、誘導されてしまうか。

ある時、訪問後帰り際にマリザさんから1本ワインをプレゼントされました。彼らのブルネッロ・ディ・モンタルチーノでヴィンテージは『2002年』。

2002年というのは、業界では言わずもがな、非常に雨が多かった年でイタリアでは不作とされるヴィンテージです。

バッドヴィンテージのワインを渡す際に一言、『飲んでみな』と言われました。

後日ボトルを開けてみると、驚くことに極めて完成度の高いワインがそこにはありました。ハッキリした力強い輪郭と凝縮感。ゆるやかでまとまりのある果実味と、こなれたタンニンで芳醇なワイン。嫌味のない不作の年とは想像ができないようなブルネッロでした。

一般的には評価が低かったとしても試してみなければわからない。はなから決めつけてしまう先入観を持ってしまうのは良くないことだと教わりました。

実際、2002年のように『不作の年』というのは多くのワイナリーで非常に難しいワイン作りを強いられる年であるのは事実ですが、場所や状況によっては被害を逃れた、または最小に抑え対処できたというケースもあるのです。

メディアや世の中の情報に踊らされ過ぎないようニュートラルに物事をみれたらいいですね。



それでは、また次回もお楽しみに!

鈴木暢彦

Instagram @toccaasiena

HP 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com

サルデーニャの細工パン

 前回、職人さんの仕事をご紹介しましたが、今回はその職人さんが作ったものを使っての
 これまた職人芸をご紹介します。
 
 サルデーニャはパンの種類がたくさんあり、どれもみんなすごーく美味しいです。
 硬質小麦のセモリナ粉を使ったパンが多いんですが、その中でも芸術的なのはコッコイと
 呼ばれる細工パン。
 
 コッコイにはいろいろな形があり、簡単にハサミやナイフで切り込みを入れたカタツムリや
 カルチョフィ(アーティチョーク)のような形のものから、王冠やハート型に花びらや葉っぱ、
 鳥など、作る人の想像力でかなりデコラティブにバージョンアップ(笑)したものまであります。

 
 
   
 
 
 
   
 
 
 デコラティブなコッコイは宗教的なお祭りのときに教会に奉納されたり、結婚式などのイベントや
 お葬式にも作られます。もちろん食用にもされますが、奉納用に作られるときは日持ちが
 するように塩を多く入れ、ラッカーなどで固められます。
 日常的に食べられるコッコイはというと、嚙めば嚙むほど滋味深~い味わいがあります。
 
 
 
   
 
          左はパスクア、右は結婚式のときに作られるパン
 
 飾りパンの集結がパンで作られたプレゼピオ!
 

 細工パン、見るだけでも良し、味わうだけでも良し、ですが、レッスンもしてます。
 ぜひサルデーニャに細工パン作り、習いにお越し下さいませ〜!
 
 
 

イタリア好き、郷土料理を楽しもう! エミリア・ロマーニャ州

ご覧いただきありがとうございます。
定員に達しましたので、参加申し込みを締め切らせていただきます。
次回は5月に開催予定です。お楽しみに!



\イタリア郷土料理を巡る食事会 第5回/

2月1日発行vol.36エミリア・ロマーニャ/モデナ特集の制作がほぼ終了し、
皆さまの手元に届くまではあと少し。
本誌の特集をテーマとした食事会も5回目となります。

戸羽シェフ
今回は大井町にある「NIDO」にて開催します。

オーナーシェフの戸羽剛志さんは、以前「アンティキ・サポーリ」で開催した、
集まれ!イタリア好き~イタリア冬料理とパニーニを楽しもう~ にもゲストシェフとして参加してくれ、エミリア・ロマーニャ州ピアチェンツァのアグリツーリズモでの修行時代に習ったピアディーナのパニーニを披露してくれました。
▼その時のイベントの様子はこちらから
https://italiazuki.com/?p=19939

「NIDO」に初めて行ってその料理を口にした時に、この人料理が本当に好きなんだなと感じました。それが料理を通して自然に伝わってきたのでした。そして戸羽シェフに「料理すごく好きでしょ?」と聞いたら、うれしそうな顔で「はい」と答えてくれました。それ以来、僕は戸羽シェフのファンになりました。
今回は、そんな戸羽シェフの料理を存分に味わっていただきたいと思います。


◆+◆+開催概要+◆+◆

■日時:
2月11日(月・祝)12:00~(11:45受付開始)
■会場:
NIDO
東京都品川区大井1-55-12 ベルフルーレ1F
(大井町駅より徒歩4分)
https://hitosara.com/0006068686/
■会費:
<会員> 11,000円(税別)/<非会員> 13,000円(税別)
*ドリンクなどすべて込み! 
イタリアズッキーニクラブズッキーニパートナーズ会員+1名まで有効)   
■形式:
着席式
■定員:
18名



3連休の最終日の午後の一時をおいしい料理と楽しいおしゃべりで過ごしませんか。
皆さんの参加をお待ちしています。

■11月に開催したリグーリア食事会のレポートはこちらから
https://italiazuki.com/?p=31164
■8月に開催したカラブリア食事会のレポートはこちらから
https://italiazuki.com/?p=30424

《お申込み方法》
以下の「カートに入れる」ボタンをクリックしてお進みください。

*参加条件はイタリアズッキーニクラブズッキーニパートナーズ会員様とそのお連れ様1名のみとさせていただきます。

※ズッキーニクラブ、ズッキーニパートナーズ会員の方は、ログインすると会員価格でご購入いただけます(未ログインでは、非会員価格でカートに価格が表示されます)。



在庫なし

ミラノ料理 Al’ Less

みなさま、明けましておめでとうございます。毎年恒例、年末年始のミラノのライティングも、そろそろ終わりを迎える頃となりました。

(左下)ミラノの南・ナビリオ運河のライティング(右下)ミラノの北・ガエ・アウレンティ広場のクリスマスツリー




(上)ソルフェリーノ通りのライティング

年末年始はガラン、としていたミラノもやっと通常の顔が戻ってきました。ミラノの80%はプーリア人、というジョークをよく聞きますが、クリスマスは故郷に帰る人が多く、また山の家や海外旅行に行く人も多く、街はいたって静か。最近、急に観光客で賑わうようになったドゥオモなどの街の中心部はまた別ですが。

今年の大晦日は友人の家で、お決まりの年越しの一皿”Cotechinoコテキーノ”と”Lenticheレンティーケ(レンズ豆)”をいただいた後、新しい年が訪れると同時にミラノ中で鳴り響く花火の音を聞きながら、みなでスプマンテで乾杯をしました。

年越しの縁起もの料理コテキーノは、豚の皮やパンチェッタを豚肉に混ぜて作った太めのサラミで、火を通していただくもの。食感は、極めてこってり。イタリアの北部フリウリ・ヴェネツィア・ジュリアで生まれたと言われていますが、いかにも北のお料理ですね。

コテキーノと並んで大晦日から新年にかけていただくのが、”Zamponeザンポーネ”。モデナ生まれの豚足で、コテキーノと同じ中身を詰めたもの。一緒にお皿に盛るレンズ豆は、古代ローマの時代から金貨を象徴し、豚足がお金をかき集めるという一皿で、新年に開運を、という訳です。日本の熊手と同じですね。

さてこの休暇中、ミラノに里帰りしている友人を囲み、初めて訪れるミラノ料理屋「Al’ Lessエル・レス」で集うことに。”Al’ Less”とはミラノ方言で、”Lessoレッソ=茹で肉” の意味。メニューを開くと、その名のとおりミラノ料理が充実。ワインやプリモ(パスタ料理)にはピエモンテのものも。



ミラノ料理といえば、”Cotoletta Milanese コトレッタ・ミラネーゼ”(オイルでなく、バターで揚げるってご存知でした?)が有名ですが、この季節は”Cassoeulaカッスーラ”という豚の煮込み料理も名物。これにも豚の皮が入り、そしてちりめんキャベツがたっぷり。その昔、11月から12月に豚を屠殺した際に、最後の最後まで無駄なく使い切る知恵だったのでしょうね。そして安い部位を他の安価な素材と組み合わせて、どうやって美味しくいただくかを考えて考えてきっと生まれ、そして伝えられた伝統なのでしょう。

今回はこのカッスーラはちょっと重すぎるということで、お店の名前を冠したレッソと、”Risotto Milaneseミラノ風リゾット”と” Osso Buco オッソブーコ”を皆でチョイス、分け合って堪能しました。



さてミラノ方言。文字で見るとイタリア語とフランス語の間のようなところにある言語のような気がしますが、耳にすると発音も言葉も独特すぎて、さっぱりわからないのです。スペイン、オーストリア、フランスなど様々な文化の支配下を生きてきた都市・ミラノ。その歴史が育んだ言葉ですから、当然でしょうが、それにしてもチンプンカンプン。

同世代のミラノ出身の友人から聞いた話。彼のおじいさんはBIANCHIビアンキという自転車工場で工員をしていて、ミラノ語しか話せないそう。つまりイタリア語が話せない、ということ。ほんの三世代前に遡れば、イタリア語は大学に行くような人たちが話す言葉だったそうで、、。ミラノ事情、まだまだ知らないことがたくさんあるなあ、と実感したのでした。

さて、ふと思いついて、LessoレッソとBollitoボッリートは、何が違うのかしらん、とネットで検索してみたところ、お湯が湧いてからお肉を入れたのがボッリートで、レッソは水からお肉を茹でる、と書いてありました。本当??今や区別せずに一緒に使っているような気がしますが、、。エミリアやヴェネトの人にぜひ機会があれば、ぜひ聞いてみたいと思います。

”Al Less”、私のような昔ながらのトラットリア好きには最高でした。お料理も丁寧に作られていて美味しかったし、お値段も手頃。レトロな雰囲気で、居心地がよい店でした。こういう昔ながらのトラットリアがミラノから激減している中、貴重な一軒を見つけた気分。ぜひ機会があればお試しください!

「AL’ LESS アル・レス」http://www.alless.it/

Viale Lombardia, 28 – 20131 Milano
Tel. 02.70635097

寒い冬に恋しくなるあったかメニュー①

寒い冬。

暖炉の前の特等席を陣取ってハフハフ頬張りたいひと皿と言えば、ポレンタです。

トウモロコシの粉で作るポレンタは、北イタリア料理のイメージがありますが、アブルッツォでも冬の定番料理に数えられます。

北イタリアに見られる粒の食感が残る粗挽きのものに比べ、アブルッツォでは比較的細かく挽いたものを用い、なめらかな触感に仕上げます。

最近はレトルト製品も多く出回ってはいますが、昔ながらの調理法は冬でも汗をかきながら行う様な、根気と体力を要する重労働。それだけに、たまに登場するとテンションが上ります。

まず、深鍋(アブルッツォでは伝統的に銅製の鍋を使っていました)にお湯を沸かし、ポレンタの粉をダマにならないよう木べらや泡立て器でよく混ぜながら加えていきます。

しばらくすると粉が水を含んで膨らんでくるので、あとは鍋肌に焦げ付かない様約40分かけてピュレ状になるまでひたすら混ぜていくのですがこれがとにかく大変。

水分が飛んで混ぜるのもやっとになるほどどっしりとした粘りが出て来るので混ぜ終わるころには腕はパンパンです。


ようやくなめらかなピュレ状に仕上がったポレンタ。

サルシッチャや豚・牛肉で煮込んだトマトソースで食べるのが定番です。平らなお皿にのばしたポレンタの上にたっぷりトマトソースを掛け、仕上げにチーズをすりおろします。


通好みなのは、唐辛子の入ったピリ辛のレバーソーセージ(Salsiccia di fegato)をほぐし、たっぷりのオリーブオイルで加熱したものを掛けたビアンコ。


それにしてもこのオイルの量・・!

私も初めはこのオイルの量にぎょっとしたものですが、ソーセージに入っているニンニクやハーブも効いて、ピリ辛と相まってすっかりクセになってしまった一品。


冷めると固くなってくるので(これはこれで美味しいのですが)是非アツアツのうちに。

テーブルに出来たてのポレンタが並ぶと、皆よーいドンで自分の器に取り分け、大きなスプーンを使って一気に頬張ります。

粘度のあるアツアツのポレンタが、食道から胃を温めながら、ゆっくりと落ちていくのが分かります。

合わせるワインはもちろん、モンテプルチャーノ・ダブルッツォ。程よい赤ワインの酸味がさらに食欲を誘います。

ただこのポレンタ、なめらかなピュレ状に仕上げてあるので、ほとんど噛む必要がなく、ほぼ「飲む」様にどんどん口に入れてしまい、つい食べ過ぎてしまうので要注意。。

 

しっかりお腹に溜まったポレンタが時間差で胃の中で膨らみ身動きが取れない・・なんてことになりますので(経験者談)。

それでも、寒い日は懲りずに食べたくなるのですが・・・

プーリアの涼しい丘のワイン リヴェラ社 Presented by モンテ物産

イタリア半島を長靴に見立てたときにちょうどヒールの部分に当たるプーリア州に、世界遺産にも登録されている名城がある。カステル・デル・モンテと呼ばれる城だ。八角形を象徴的に取り入れた城で、八角形の外壁には八角形の小塔が連なり、その荘厳さは見ると圧倒されるものがある。
一方でこのお城の名前を冠した格付けワインがあることはまだあまり知られていない。カステル・デル・モンテDOC。(※リゼルヴァタイプはDOCG。)まさにこの世界の名城を臨むなだらかな丘陵地帯のエリアで生産されるワインだ。

このエリアに、プーリア州を代表するワイナリーがある。名はリヴェラ社。創業は1950年だ。

「プーリアのワインと言われて一般に思い浮かべられるワインと、我々のいるこのカステル・デル・モンテエリアのワインは少し違うんだ。」
そう切り出したのは、リヴェラ社会長のカルロさん。綺麗に整った白髪と上品な物腰が、地元の名士であることをうかがわせる。

「プーリアというと暑い気候で糖度が上がり、アルコール度数も高くなったワイン、というイメージが先行している。しかし、プーリア州の中でもこのカステル・デル・モンテエリアは、レッチェやブリンディシなどのプーリア平野部に比べると少し冷涼な気候でね。特に昼夜の寒暖差は非常に大きく、そのためにブドウに綺麗な酸が残るんだ。この酸のバランスが取れたエレガントなワインが、リヴェラ社のワインの特徴なんだよ!。」

カルロさんはそう言いながら、畑を案内してくれる。
「このエリアが涼しいのは、少し小高い丘になっているからなんだ。“ムルジェの丘”、と呼ばれているよ。」

「私がこの土地に注目し始めた数十年前、まだ畑を作る前のこの丘に何度も足を運んだのさ。来てみるとわかるだろう?標高は300mほど。常に涼しい風が吹き、昼夜の寒暖差も申し分ない、ブドウ栽培には最適な場所なんだ。でももともとここに畑は一つもなかったんだよ。なぜだかわかるかい?」

カルロさんはそう言って、持参した古いアルバムを見せてくれた。
「ここに畑がなかった理由は、この土壌のせいさ。これが昔のこの丘の写真。手前の丘の土壌をごらん。岩だらけだろう?この岩石土壌のせいで、ここは昔から植物もほとんど自生しない丘だったんだよ。」
▲大きな岩が地面からむき出しになっていた、当時のムルジェの土壌

カルロさんはこう回想する。
「私は当時、この岩だらけのムルジェに来ては考えたんだ。もしここにブドウ畑を作ったらどんなに素晴らしいだろう、とね。土壌の岩石以外、このムルジェには、ブドウ栽培のための全てが揃っていたから。そこで私は、無理やりにでもここに畑を作る方法を考えたんだよ。」

カルロさんは丘に重機を入れ、岩石を無理やり掘削したそうだ。
そうやって壊した岩石を、今度はさらに細かく小石大にまで砕いていく。
その後砕いたムルジェの元岩石を撒きなおし、リヴェラ社はついにムルジェの丘の上にブドウ畑を作ることに成功したのだ。
▲細かく砕かれた岩石
▲きれいに整えられた現在のリヴェラ社のブドウ畑

リヴェラ社を語るには、やはりトップワインのイル・ファルコーネは外せない。
南イタリアを代表する一本といっても過言ではないこの傑作を飲んでみると、リヴェラ社が他のプーリアのワイナリーから一線を画していることが良くわかる。香りにはブドウ本来の凝縮した果実香があり、重心の低さを感じさせると同時に、冷涼なミクロクリマからもたらされるエレガントなアロマがある。
味わいには熟した果実と粗さが取れた滑らかなタンニンが感じられ、複雑なスパイスや土の香りとともに長い余韻が残る。特にアフターに残る酸は、暑いプーリアのワインのイメージを覆す上品さをこのワインに与えている最たる要素と言えるだろう。

しかし、リヴェラ社をプーリアのワイナリーの中でも特別たらしめる最も重要な点は、このような傑作を作り出すために決して諦めることなく、最良の環境を模索しプーリア屈指のブドウ畑を作り上げた、リヴェラ社の飽くなき品質へのこだわりであることを、最後にひとこと言い添えたいと思う。

▲『イル・ファルコーネ』。ラベルにはカステル・デル・モンテを建設した王家の紋章、“ファルコーネ”=鷹があしらわれている


モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼リヴェラ社についてはこちら↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/rivera.html