カラブリア取材日記 5日目 牛とチーズとジャガイモ

出発前は微妙な空模様で、途中の山道は雪が多く残るところもあったが、

目的地に着くと、雲は多いものの、きれいに山並みが見える気持のよい日になった。

シーラ山の麓で酪農と、その生産物を提供するレストラン経営する兄弟を訪ねた。



チーズは『イタリア好き』では欠かせないネタのひとつ。

フォトグラフォ萬田はいつも牛のふんを踏む。

ここもまた牛や羊の育て方からこだわったところ。

自分のところで使う分だけを搾乳して、毎日新鮮なチーズを作る。

彼は元々ミラノの銀行でシステムの仕事をしていた。

その後家業に戻り、現在の仕事を続けている。



従前の仕事の経験が酪農に活かされ、新しいチャレンジも始めている。

そしてなんと言っても試食はできたてのチーズ。

この日はカチョカバッロのチーズをもとに作ってくれた“引き裂かれた布”という意味のストラッチャータ(Sarazz(cc)ata)

これ系のフレッシュなチーズはなかなか日本では味わえない。

いくらでも食べられる。





他にもトーマ(Toma)※北のピエモンテの方でも食べられるのもとは違うようだ は、



ウンカータ(Juncata)になる前のチーズ。味も食感も豆腐のようだ。

この後はお昼だというのに、チーズとワインでお腹が膨らむ。



またこの付近はジャガイモも産地だ。



こちらに来てから、何度もジャガイモを食べているが、

味がしっかりあってほんとに美味しい。品種も20種類以上。

お肉料理や、葉物の野菜とも良く合わせて出てくる。もちろん単品でも。

そして、お昼に食べたジャガイモとマッシュルームのスープ。



甘いジャガイモとマッシュルームの香りが合わさってこれが最高においしい。

このお店は、やはりこの地方の産物を活かして伝統を重んじながらも、

革新的な面も持ち合わせる。

アペリティーボはカンティーナでワインを選びながら楽しむ。

田舎の避暑地にありながら、遠くからグルマンがやってくる人気店。

夏の観光シーズンはいつも予約でいっぱいだという。

この日、本当は取材するはずだったシェフが体調を崩し、

急きょその代役となったのは19歳の息子。



取材対象としては実は少し心もとない、まだまだ修行の身。

セカンドシェフのアドバイスも受けながら、味を調えていく。

でも彼の心意気は素晴らしい。

インタヴューを聴いていても前のめりな感じが逆に気持ちがいい。

未来のシェフに期待したい。