30号記念企画!「20州30食を楽しむ食事会」@incanto レポート

30号。
2010年から7年半、まあよく続いていると自分でも感心しています。
その30号を記念して9月3日に広尾の「incanto」で食事会を開催しました。

小池教之シェフとは2016年の“集まれイタリア好き”や、“伊勢丹イタリア展 マンマの料理フィスタ”でのマンマのサポートシェフとして参加してもらい、その時に改めて小池シェフのイタリア愛、イタリア郷土料理への造詣の深さを感じました。そのこともあり今回の食事会は小池シェフにお願いしました。

30号を記念して“イタリア20州30食” 簡単に依頼してしまったのだと思ったのは、開催を2週間後に控えメニューリストがあがってきた時でした。
メニューを見て、このコースを組み立てに相当な苦労があっただろうと想像するのは難しくありませんでした。
イタリアを北部、中部、南部の3つの地域に分けて、アンティパストからドルチェまでをその地域の州の料理で展開していく。それぞれの皿には地域で特徴のある料理が3種載ってきて、3種を食べることで地域性がよく分かる仕組みになっていました。
結果的にドルチェまで入れて33種という恐ろしことになりました。

会は、ゲストとしてお招きした株式会社文流会長の西村暢夫先生のお話からスタートしました。
「ルッカの市庁舎にある壁画には、1年を通して農民の働きをモチーフにしたレリーフが月ごとに施されている。
 古くから食の重要性を認識し、それに対する思いは強く、働くことの喜びを感じていたのではないか」
 という考察とともに、
「イタリア人のナマの姿をずっと表現してきた『イタリア好き』にも通じるものがあると感じた」
という西村先生の話は、とても嬉しく、ありがたく受け止めました。

そして先生は最後に、
「イタリア人を表現する“マンジャーレ” “カンターレ” “アモーレ” に
もう一つ“ラヴォラーレ” をつけ加えたい」
と締めくくられました。
取材の特性もあるとは思いますが、僕が会ってきたイタリア人は皆さんよく働いていました。

それでは当日のメニューを一挙に公開します。

Antipasti 1:南部(本土)の野菜とチーズの組合せ
Insalata di pomodoro, mozzarella e fagiolini (Campania)
トマト、インゲン、モッツァレッラのインサラータ
Peperonata e stracciatella di burrata al vin cotto (Puglia)
ペペロナータとブッラータのストラッチャテッラ ヴィンコットがけ
Bruschetta di melanzane all’aceto e ricotta(Basilicata)
ナスのマリネとリコッタのブルスケッタ


Antipasti 2:南部の冷製魚料理
Sgombro marinato con finocchio e agrumi(Calabria)
カラブリア風〆サバ フェンネルと柑橘のインサラータ
Insalata di cous cous con tonno sott’ olio di pesce spada(Sicilia)
カジキマグロ自家製ツナとクスクスのインサラータ
Buridda “Palombo lesso marinato alla salsa”con bottarga di muggine (Sardegna)
“ブリッタ”ホシザメと香草、クルミのサルサヴェルデのマリネカラスミかけ


Antipasti 3:北西部のちょっと変わった加工肉
Affettato valdostano con tortino di grano saraceno(Valle d’aosta)
テウテン(乳房のハム)、モチェッタ(鹿肉のハム)、ジネープロ風味のラルド自家製アオスタ風サルーミのアフェッタート そば粉のトルティーノ添え
Tonno di coniglio all’ agliata(Piemonte)
ウサギのツナ仕立て ニンニクのソース
Gelatina di maiale al pesto Genovese(Liguria)
豚のゼラチン寄せ バジリコのジェノヴェーゼ


Antipasti 4:パダーノ平野の恵み
Fegato d’oca con gorgonzola e fichi semi secchi(Lombardia)
ガチョウのフォアグラ ゴルゴンゾーラとイチジク
Tartara di cavallo(Veneto)
馬肉のタルタル
Mortadella e torta sbrisolona(Emilia-Romagna)
モルタデッラとトウモロコシ粉のトルタ、ズブリゾローナ


Minestre:北部・中部・南部のパンを使ったミネストレ
Canederlotti con crauti(Trentino-Alto Adige)
カネーデルロッティとクラウティのスープ仕立て
Passatelli(Marche)
パッサテッリ
Pancotto(Puglia)
いろいろな豆と豚の皮のパンコット


Primi piatti 1:南部のプリミ ピアッティ
Cavatieddi con le sarde(Sicilia)
カヴァティエッディ イワシとフェンネルのソース

Minuich concoratella di maiale al rafano(Basilicata)
ミヌイック 豚モツの唐辛子煮込み ホースラディッシュがけ
Strascinate alla salsa Genovese(Campania)
ストラシナーテ ナポリ風ジェノヴェーゼ


Primi piatti 2:中部(北側)のプリミ ピアッティ
Strappatella con calamari in zimino(Toscana)
ストラッパテッラ 烏賊と青菜のインツィミーノ
Strozzapreti all’anguilla(Umbria)
ストロッツァプレーティ ウナギのトマトソース トラジメーノ風

Strichetti al ragù di piccione(Marche)
ストリケッティ 鳩、丸一羽のラグー


Primi piatti 3:北東部のプリミ ピアッティ
Ravioli di barbabietola al papavero(Trentino-Alto Adige)
ビーツのラビオリ ケシの実ソース
Cjalzons(Friuli-Venezia Giulia)
チャルソンス

Risotto di carpa al vino rosso 〝valpolicella″(Veneto)
鯉のリゾット ヴァルボリチェッラ風味


Secondi piatti:中部(南側)の仔羊料理
Spalla→Pignata(Molise)
肩肉と野菜の土鍋煮込み風 ピニャータ
Costoletta→Gratinata con mollica all’erbe(Abruzzo)
骨付きロースの香草パン粉焼き オリーブソース
Coscia→Al forno con patate(Lazio)
モモ肉のオーブン焼き ジャガイモ添え






Dolci :北部・中部・南部のドルチ
Biancomangiare(Valle d’aosta)
ビアンコマンジャーレ
Sanguinaccio(Umbria)
サングイナッチョ
Cannolo(Sicilia)
カンノーロ


Piccola Pasticceria e Caffè : 小菓子とカフェ
Zaletti(Veneto)
ザレッティ
Cavallucci(Toscana)
カヴァルッチ
Ciccoluto di Modica(Sicilia)
モディカ風チョコレート



一品食べるごとに、現地で食べた時のことを思い起こし、取材した人の顔が浮かんだりしました。
『イタリア好き』が大切にしてきたことは、食を通して暮らす人を映し出すことです。だからこそ、そこに根付く食の意味を理解することが大事だと考えていました。
レシピを見て料理を再現するのは、ある程度の力のある料理人ならできると思います。でもその料理の本当の意味を理解して作れる料理人はそう多くはいないでしょう。この日の小池シェフはそれを見事に表現してくれました。本当にありがとうございました。
そして参加者の皆さん、30号まで支えてくれた読書の皆さんにも感謝します。ありがとうございました。
これからも皆さんをいい意味で裏切り続け、ロックでフリーなマガジンを作っていきます。引き続き応援よろしくお願いします。

イタリア料理に欠かせない名脇役「チェルサヌス」 Presented by モンテ物産

今回のVentoでは、モンテ物産取り扱いメーカーの中でも“目立たない”、“渋い”、しかし“高品質”で、20年以上に渡り日本に輸入し続けている名脇役的なイタリアの野菜メーカーを紹介したい。

▲(上)創業当初の工場写真(下)現チェルサヌス社 
その名は、Coelsanusチェルサヌス。ラテン語で澄み渡った空を意味する名前で、イタリア語に変換すると【Cieloチエーロ空・sanoサーノ健やかな】。このチェルサヌス社のある土地ヴェネト州ヴィチェンツァ県ソッサーノは、霧で有名なパダーノ平原にあるにも関わらず、昔から霧が発生せずに晴天に恵まれたことからこう呼ばれたそうだ。ソッサーノの町の紋章にもその名前が刻まれている。

その恵まれた天候により、健やかに育った野菜が多く取れ、フレッシュで消費しきれないものを加工品に回すようになったところから、チェルサヌス社の歴史がスタートする。

創業は、1955年。創業以来一貫して高品質の野菜加工品を作り続けるこだわりのメーカーだ。また、現在では近郊の町イゾラ・デッラ・スカーラ(Isola della Scala)に農業会社も保有し、玉ねぎやバジルを自分たちの手で育てている。

▲スライスされた野菜は3段階の火入れが行われる
商品の中でも特におすすめは、アッロスティート(Arrostito):ローストした野菜のオイル漬け。
家庭でマンマが調理するように、3段階でじっくりと火入れして野菜の旨みを引き出す。最初のオーブンで野菜を乾燥・凝縮させ、リガトーレ(Rigatore)と呼ばれるグリル機で焼き目を付けた後、最後に180℃の温度でじっくりローストする。まさに手間ひまかけたマンマの料理だ。



原料野菜にもこだわり、使用する野菜は近郊40km以内の地元産(カルチョーフィのみプーリア産)のものを収穫後24時間以内に加工。プーリアのカルチョーフィも、距離があるにも関わらず48時間以内で工場に搬入する。

このアッロスティート、モンテ物産のラインナップは、画像左からズッキーニ、ペペローニ(パプリカ)、カルチョーフィ。いずれも野菜の肉厚な食感と旨み、甘み、グリルの香ばしさと歯ざわりを感じさせる。一度是非試して頂きたい。



他のおすすめ商品としては、左から小粒の高品質な「ケッパー酢漬け」:引き締まった食感で繊細なケッパーの風味を感じる。パスタやサラダにどんどん使いたくなる。
「フルッティ・ディ・カッペロ(ケッパーの実)」:珍しい枝付きのケッパーで、そのまま食べて大粒ケッパーの実の食感と風味を味わえる。
「グリーンオリーブ・ジャイアント」:他では中々見かけないほど大きな粒のオリーブの果肉を楽しめる。前菜にぴったり。
「オリーブ・リヴィエラ」:ほんのり茶色に色づいた深みのある味わい。押しつぶして種を取り出し、パスタの具材として使用するのもおすすめ。

この夏に初めてこのチェルサヌス社工場を訪問したが、作業員の8割は女性で、皆が生き生きと働いていた。
笑顔で挨拶してくれる姿を見ながら、健やかないい環境で、気持ちの良いスタッフにより、高品質の商品が生まれることを実感した。

▲代表のステファノさん(右から2番目)ディレクターのクラウディオさん、スタッフのミカエラさん、アマンダさん


経営は、創業のカローニ家を中心にファミリー経営。イタリアの本物の家庭料理を世界に届けることをコンセプトに真摯に製造を行うメーカーだ。長年モンテ物産の取り扱いラインナップの中で、こつこつと着実に販売されてきたこのチェルサヌス社の商品。是非ご家庭で、レストランで、イタリア野菜の本物の美味しさを楽しんで頂きたい。

モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼チェルサヌス社の詳細はこちら▼
http://www.montebussan.co.jp/foods/coelsanus.html