タグ別アーカイブ: カラブリア

カラブリア州でチーズ工房見学するなら、やっぱり「カラブリア州らしい」チーズ工房がお勧め。お勧めの理由と工房の様子

州内の約7割が山岳地帯のカラブリア州では体の大きな牛の飼育が難しく、伝統的に牛の飼育をしていた地域はごく限られています。
そんな限られた地域の一つ、コセンツァ県内のシラ国立公園。古代種・ポドリカ牛*の飼育でも有名な地域です。


シラ国立公園域のチーズといったら、DOP食材でもあるシラのカッチョカバッロ(Caciocavallo Silano)。ポドリカ牛のお乳100%の物も生産されていて、チーズ工房もあちこちにあります。
そんな中でおススメのチーズ工房は、
近代化って何? なThe・家内工業っぷりが素晴らしい小さな小さな工房。
ちなみに、ただ今凝固の様子を目視で見極めている所。これ、間違えると本日の生乳をすべて廃棄することになる大変重要な作業なんですが・・。見ている方がドキドキする(笑
機械に頼らず経験がすべての世界です。

カラブリア州内にはもちろんこんな近代的な工房(工場?)もあるし、どちらかと言うとこのような規模の近代的な施設が増えているけれど、せっかくカラブリア州を訪問されるなら、なんというか。。。「カラブリアらしい」「まだ残ってる」的な工房をお勧めしたいなーと思います。

実は、地元では家内工業的に作られたチーズの方が(若干高価ですが)評価が高いです。
なぜなら、カラブリア州ではまだ「人の手で作られたもの」が評価されるから。
シーズンや気象条件によって生乳の品質も若干異なるのでチーズの味も一定にならず、この味の「揺れ」も評価されます。
一年を通して一定な味は自然じゃない。そんな感覚で生活できるって逆に贅沢だなーと私は思います。

そして、あちこちゆるーく生活しているこんなカラブリアの姿を見て頂きたいな、と思うわけです。
この辺りでは、チーズ作りは女性の仕事。この工房でも伝統通りに女性たちが工房内を取り仕切っています。
搾りたての生乳を温めて、凝固剤(自然の物です)を入れて。チーズ作りは力仕事。
工房見学に行くと、生乳を温めるところからすべての行程を見学できます。
そして・・

あ。モッツアレラ作ってくれてる♡

工房見学では、モッツアレラ、リコッタなど出来立てチーズの試食もさせてもらえます。出来立てで熱々のリコッタチーズはココでないと食べることが出来ない贅沢品ですよ。

条件が整っている日なら、放牧中の牛さんの様子も見学できます。
シラ国立公園内では放牧が基本。乳牛は夜に牛舎に戻るし、寒さに弱いので冬期は完全に牛舎に入りますが、強靭な古代種・ポドリカ牛は基本的に完全放牧です。(お産を控えているなど管理が必要な牛は、冬期だけ牛舎へ。)
そんな牛さんたちの生育の状況も見ることが出来ると「チーズができる工程をいただく」よりも、もっと食材に対して愛着がわくと言うか理解が深まると言うか。

ポドリカ牛100%のカッチョカバッロは春~初夏までがシーズン。この時期なら一般的な乳牛のカッチョカバッロと食べ比べもできるかも!?


※ポドリカ牛:中央アジア原産と言われる古代種。古代ローマ時代にはすでにカラブリア州~アブルッツォ州辺りで飼育されていた。
四角く灰色の大きな体に角があり、人間に慣れず、狭いところも苦手なフリーダムを愛する性格。
肉牛でもあり乳牛でもあるオールマイティーさん。年中外を歩いているため、赤身がちのお肉は地元で大変珍重されている。
コセンツァで極上牛肉と言ったらポドリカ>>神戸です。

 

 

 

イタリア旅の醍醐味中の醍醐味? メッシーナ海峡を渡る!

イタリア半島最南端のカラブリア州。目の前は麗しのシチリアです。カラブリアとシチリアを隔てるのがメッシーナ海峡で、ここをフェリーが往来し両州を繋いでいます。

日暮れ時は特に綺麗。
電車移動の際の情報についてはだいぶネット上に見かけるので、本日は車で海峡を渡る様子をダイジェストでお伝えしますよ。ちなみに徒歩や自転車で海峡を渡る場合も同様です。

サレルノ以南は高速料金無料!
旅人にひたすら優しい高速を利用し、カラブリア州をどどーんと南下します。
フェリーの乗船券はフェリー乗り場周辺でも購入できますが、窓口購入は混雑しがち。なので、途中のサービスエリアで購入しておくのが良いでしょう。お値段もちょっとお得になります。片道券・当日往復券・3日券など色々種類があるので、旅程に合わせて購入してください。フェリーを往復利用の際は、帰路も使うので旅行中に無くさないように~‼

ガラスが汚いのはご愛敬です・・
レッジョカラブリアのちょっと手前のヴィッラサンジョバンニ(Villa San Giovanni)が出口です。レッジョまで行っちゃうと行きすぎ! ご注意くださいね。
ま、ヴィッラサンジョバンニ出口のだいぶ前から高速の看板に「Port(港)」と大きく標識が出るのでまず間違えません。
高速を出た後も、ひたすら「Port」の表示に従って走行すればOKです。

一般道の港までの道筋で、少しわかり難いのがレッジョカラブリア駅周辺。
今はナビも精度が上がっているので、高速下りるぐらいからナビを付けておくと安心です。ちなみに港までの道は、駅正面までぐーっと下り、駅の右側に抜けていきます。左に行っちゃだめよ。
※道路標識もしっかりしたものに交換が進みつつあります。

メッシーナ行きのゲートをくぐれば、いよいよフェリー乗り場。乗船直前に係員がチケットのバーコードを読み取って確認します。それでは、乗船~

メッシーナ海峡を航行するカーフェリーには何種類かあって、漁船(?)な小さ目な船から、船体内部が3階建てぐらいの駐車場になっている大型船までさまざま。

一番多いのが漁船っぽい小さ目な船です。小さいながらも休憩室もしっかり完備し、バーも常設しているので不便は無いのですが・・駐車スペースの大部分に屋根が無いので、駐車場所によっては車内がもの凄い暑さになることも。
さらにデッキまでの階段が混むので、駐車次第デッキに上がってしまいましょう。

運が良いと大型船に当たる事もあります♪ 今回の旅では帰路が大型船でした。子供用の遊戯施設など+αな設備を備え、駐車場もなんだかカッコいいんですよね。
シチリアからの帰路なので・・車内のオヤツやお土産用のシチリアの旨い物がフロントに並んでおります(笑
やっぱりシチリア出発直前にアランチーニとカンノーロは買っておきたい。。

ちなみに、船内は犬や猫も歩かせてOKです。ただし、リードの着用と口輪の装着を求められます。

口輪!とびっくりしますが、実際のところは口輪は持っていればOKで、余程のことが無い限りは装着を求められません。
ただ、フェリーやゴンドラなど一般の方と閉鎖空間に犬がいる場合は口輪の着用もしくは携帯を求められることが多いイタリア。犬と旅行する際はソフトタイプの口輪を持っていると便利ですよ。
我が家のワンコも、そよそよと海風に吹かれておりましたw

約30分の海峡越え。船内のバーでアランチーニを食べたり、

往来するフェリーや遠くの漁船を眺めながらゆったりと過ごしているともうシチリア! どうぞ良い旅を!

まもなく新装オープン。レッジョカラブリア中央駅

カラブリア州の南の端・レッジョカラブリア。ローマから南下するシチリア行はレッジョカラブリアの1つ手前の駅からフェリーに乗り込みますが、イタリア半島の鉄道駅最南端はレッジョカラブリア中央駅という事になっています。

カラブリア州最南端の始点で終点なこの駅、例のごとく(笑)工期よりずーっと長い事かかっていた改修工事がやっと終わりつつありますよ。

南伊の割りに旅行者にも優しい設計となっている、レッジョカラブリア駅の最新状況をお伝えします。

薄暗かった構内は少しモダンな雰囲気に。電光掲示板も見やすいフォントになっていたり、少し改良が加えられていました。

館内放送もイタリア語と英語。係員も日中は英語ができる人が待機しているそうです。

そして・・

エレベーターがちゃんと稼働しております!

エレベーターホールへの入り口に分厚いシャッターがあるのが「いかにも」ですが、死角が出来ないような配置で監視カメラもついていて安心して使えそう♪ (それでも夜間などは十分ご注意ください)

さらに・・

ホームを繋ぐ地下通路には、そろそろ稼働を始める電光掲示板がスタンバイしていました!

うわー。カラブリアが一気に近代化だー! と地味に感動するところですよ、ここは(笑

車内からパチリ。

地下通路~ホームもエレベーター完備となりました。カラブリア州内の特急停車駅の中で最も早い設置です。さすがかつての州都級重要度を誇ったレッジョカラブリア。。

スーツケースを持ち運ぶ旅行者に優しい設計となり、英語などのサービスも充実。州の東側を回る単線も少しサービスを向上させる予定があるようで、電車での旅も少し便利になってきたようです、カラブリア州♪

ところで。

レッジョカラブリア駅は始点で終点。なので、レッジョカラブリア駅発の電車に遅延はほとんどありません。時間ぴったりに出発する、この気持ち良さ♡

電車内はまだUSB充電に対応していないので、しっかりプラグ持って乗り込むのがGoodです。

レッジョカラブリアからナポリ・ローマ方面に北上する際は進行方向向かって左側が良い席。ティレニア海を眺めるスポットもあちこちにありますよ。

良い旅を!

ある日、森の中で牛さんに出会ったら。~ドライブ中の牛との遭遇。対処法~

 

車を借りてイタリアの田舎を旅行する方にお馴染みなのが「ヤギ・ひつじ渋滞」。牧童に連れられ、道路を横断したり、道路わきを歩くヤギやひつじさんを見かけることはまだ珍しくありません。

のんびりしていて「これぞイタリアの田舎!」な光景ですね。

カラブリア州でも街から出たとたんにヤギ・ひつじ渋滞が発生することもありますが、特にコセンツァ県のシラ国立公園やポッリーノ国立公園内では公道で牛に遭遇するケースもあります。

しかも、牧童が同行していない完全放牧。つまり、牛さんが勝手にウロウロしているところに遭遇することもあるんです。(稀に馬に乗った牧童が同行していることもあります)

どう見ても牛の群れ。びっくりするけど、カラブリアでは2019年でもこんな光景が繰り広げられています。
実は、彼らは「いつもの道」を行ったり来たりしているだけ。群れのボス(一番年上の牝牛)が群れを引き連れ、その時期の美味しい草のある場所・水場・ねぐらを行ったり来たりしています。

彼らにとっては、いつも道に今日はなんだか車がいるぞっていう認識らしいですが、問題はその巨体。

特にシラ国立公園内には「ポドリカ牛」という古代品種の牛が多く飼育され、体の大きなポドリカさんは角も立派。性格が荒い個体も多く、特に子牛を連れたグループは比較的簡単に「お怒りモード」に入ると言われています。
公道で牛に出会ったらまず心掛けたいのは、むやみに刺激しないこと。

特に大きな角を持つポドリカは、その気になれば大きなトラックでも簡単にひっくり返せる力があります。(しかもスイッチが入りやすい難儀な性格💦)

牛の近くでクラクションを鳴らしたり、大きな声を出すのは厳禁。間違っても窓を開けて牛を触ろうとしたり、「きゃー!可愛いー♡」などと大きな声を出さないようにご注意を。牛さんがびっくりしちゃいます。

牛さん達はいつもの道を行きたいだけ。見慣れない車に驚いて警戒しているだけで、危険が無いと判断すればそのまま通り過ぎて行ってくれます。なので、彼らとすれ違う際は静かに超徐行、もしくは彼らが通り過ぎるまで停車が正解です。

一本道で牛が通せんぼしていて全く動く気配が無かったら。最悪、引き返すぐらいの気持ちの余裕を持っていないと危険です。
基本的に優しい生き物ですが、その気になれば車程度はひとたまりもない相手だっていう事をくれぐれもお忘れなく。

草原に駐車して近くを散策して帰ったら、車が牛さんに囲まれていることもあります(笑
牛は臆病な動物なので、人影を見ると離れます。なので、こんな時はゆっくり車に近づくのが正解。
草を食むのに一生懸命で人影に気が付かないうっかりさんも稀にいますが、「人がいますよー」的なアピールを静かにすると大抵移動してくれます。

放牧されている牛にはカウベルが付いていることが普通です。遠くに聞こえていたカウベルが近づいてきたら、ご用心を。
牛に遭遇したら慌てず・騒がず。時間の許す限り彼らのペースで行動することをお勧めします。
道端で牛に遭遇、というのも楽しい経験ですけれど、ね。

農家さんの朝採れ野菜直売。路上マーケットのススメ。

カラブリア州に限らず、幹線道路沿いや幹線道路から一本奥に入った道などで大き目のパラソルが出ていることがあります。

車でイタリアを旅行したことがある方には比較的なじみのある光景かと思いますが・・こちらのパラソル、地域の農家さんが自家製野菜を直売しているお店で、朝採れのお野菜や自家製の加工品(トマトソース・オリーブオイルなど)を安価に購入することが出来るので地元で人気があります。

往来から一本入った道沿いの並ぶパラソルはこんなカンジ。こんなところ人が通るの?ってくらいに往来が少ない道ですが、不自然に駐車している車が多いですね(笑

こちら、ラメッツィアテルメ空港にほど近い場所の私の行きつけの路上マーケットの一つで、平日の朝だけパラソルが並びます。

農家の奥さんたちが朝採れたばかりの野菜を直売していて、野菜が新鮮なのはもちろん、超安価。激安価格&値段交渉に応じちゃうよ!な太っ腹さが人気で、お昼前には野菜も完売してしまうため「朝だけ営業」なパラソルさんが多い模様。

カラブリア州は春玉ねぎの季節。州特産のトロペアの赤玉ねぎも新玉が並びます。

もちろん採れたて♡

この他に、パラソルの主が収穫してきた野生のアスパラ、今年は異常気象で収穫が遅れているそら豆(イタリア語でファーベ/Fave)、菜っ葉類などがありました。

もちろんトマトやナスなどの夏野菜はまだありません。並ぶ野菜が少ないのも、いかにも「ウチで作ってます!」な印象で、本来、野菜って旬を追うものだよな。。と考えさせられますね。

という訳で、この日の戦利品の1番はトロペアの赤玉ねぎ。

18個で3ユーロという、激安価格でございました。葉付きの新玉が500円弱。価格設定がおかしいカラブリア州にようこそ♪ですね(笑

 

幹線道路沿いの路上マーケットは、どうしても幹線道路を通る観光客や外から来る人向けの販売になるので、少しだけお値段が上がったりするようですが、それでもスーパーなどで購入するよりもずっと新鮮・安価に美味しい野菜が手に入ります。

基本的にイタリア語しか通じないのが残念ですが、英語圏やドイツ語圏から来る方たちは、意外とジェスチャーでなんとかお買い物をされています。

少し余裕があったらぜひ往来から一本入った道沿いで、ひっそりと営業中の路上マーケットも探してみてくださいね。

 

※おおよそ、4月下旬~11月ごろまで路上マーケットが出ます。基本的に現金払いのみに対応。写真を撮られるのを嫌がる人が多いので、人の写真を撮る際は必ず確認してください。(野菜などの写真はOKのことが多いです)

起源はシルクロードのキャラバン隊によるバザール。コセンツァ市の春のお祭り・フィエラ ディ サンジュゼッペ

コセンツァ市に古くから伝わる春のお祭り・フィエラ ディ サンジュゼッペ(Fiera di san Giuseppe)。記録に残るだけでも700年以上の歴史を誇る、コセンツァ市最古かつ現存する唯一の季節を祝う祭りです。

何百年も前からシルクロードを経て到達したキャラバン隊が持ち込む荷物、つまり東側の陶器・織物・食品などを取引していた市場をフェデリコⅡ(フリードリヒ2世)が整備したのが1241年。春を祝う土着のお祭りと、キャラバン隊到着によるお祭り騒ぎを合わせて1つのフィエラとしたのではないか、と言われています。
現在でもキャラバン隊が開いていた市場の名残が強く、食器・家具・絨毯などを取り扱う店が多い、ちょっと変わったフィエラになります。特にキッチン用品は激安。メーカー物でさえも「なんでこの値段?」っていう激安価格でたたき売り。

見ているだけでも楽しい食器などの「伝統的な」出店に加え、ストリートフード、季節の野菜、植木屋さんも多く並びます。食いしん坊が多いカラブリアなので、一番充実しているのはストリートフード。イタリア各州からやって来る屋台も深夜まで大賑わいです。
3月も中旬になれば本格的な春のカラブリア州。お祭り期間中に家を飾る花を探す人も多く、「今度のフィエラであれを買おう!」と思っていたコセンツァ市と界隈の町からのとてつもない人出で賑わう数日間となります。ちなみに期間中、公立校は休校です(笑。

あまりにも日常的な物過ぎて、逆に普段はなかなか見ることのできないカラブリア州の伝統的な陶器や道具を扱うお店もたくさん出ます。
暖炉で豆を煮込む際に使う壺、塩やラードを使う保存食つくりに欠かせない容器などを扱う出店がこれだけ並ぶのはカラブリアでも唯一このお祭りだけ。
古い道具などは修理できる人も減っているので、お祭り期間中に売り子さんに自分の道具のお手入れをお願いすることも。
移動遊園地もやってきて、街中がうきうきとした気分で春を迎える節目のお祭り・フィエラ ディ サンジュゼッペ。今年もいよいよ始まります。

 

フィエラ ディ サンジュゼッペ(コセンツァ)2019

陶器類と植木のお店:3月10日~19日

その他のお店:3月15日~19日

シルクロードがカラブリア州にもたらした物。州の静かな誇り・養蚕業

シルクロードを行き来していたキャラバン隊が到達していたカラブリア州。州の中東部~北部にその名残は今も残っていて、その最たるものが養蚕業です。

養蚕の歴史は古く、中世初期には同業者協会が作られ、出荷される絹糸に対した厳しい品質基準も作られていました。
絹糸加工の技術も進み、現在のコモ湖周辺地域に絹糸加工の技術を伝えたのはカラブリア州の技術者たちだと言われています。

北部への技術者の移動や戦争による工房の破損などの影響で、70年ほど前に州内の工業的な生産は一旦停止しましたが、一般家庭で細々と続いていた養蚕業。

この生き残ったお蚕さんたちの数を増やし、カラブリア州の伝統工業復興を目指しているのは、かつて一大養蚕地域として名をはせたカラブリア州カタンツァーロ県の小さな村・サンフローロの有志達です。

こちら、染色していない糸。カラブリアではお蚕さん自身の色によって、4種類の糸を得ることが出来ます。

この中で、最も高価なのが「淡いグリーン」の糸。生産数が大変少ない貴重な物。

こちらも生産数の少ない黄金色の糸と合わせて、カラブリア州の誇りの絹糸、なんだそうですよ。

機織りの道具も、それこそ「おばあちゃんちに眠っていた」ものを引っ張り出してきて使えるように修理しました。

州の誇りを継承するには、この70年の間に失われてしまった知識や散逸した文献を丁寧に集めてまとめ、これを次の世代に伝えること。

このため、サンフローロ村では小さな郷土資料館も出来上がり、北部コセンツァ県・アクリ村では養蚕業復興活動が発足。各地で忘れられてしまった州の伝統工業を復活させようという活動が活発化しています。

 

コセンツァのDOPイチジクは2000年以上の歴史。コセンツァ県の「超」特産品・イチジク加工品は今が加工最盛期です

カラブリア州内で初夏から晩秋まで収穫されるイチジク。各地で早生・晩生・大き目・小さ目と色々な品種が栽培されていますが、加工品用として最も人気で高価なのはコセンツァ県の中でも一部でしか作られていない品種「ドッタート(Dottato)」種。

コセンツァのドッタートはDOPもついている特産品。加工品用としても優秀ですが、そのまま食べても非常に美味しい、私も大好きな品種です。

コセンツァのドッタート種は、黄緑色の皮とゴルフボール大の大きさが特徴。ゆっくりと天日で乾燥させた後にナッツ類などと加工品にするこの食品。実は古代ローマ時代には生産が行われていた記録が残る、古い古いこの地域の特産品です。

現在でも当時からイチジク加工で有名だった小さな村で、すべて手作業で生産が行われています。

色々な加工品がありますが、クロチェッタと呼ばれる伝統的な加工方法がこちら。

作業自体は一見単純。
  1. 乾燥したイチジクの形の良いものを選別し
  2. 頂点部分を切り落とさないように半分に切り込みを入れ
  3. 切り込みを入れたイチジクを開いて
  4. オレンジピールやアーモンドをギュギュっと押し込み
  5. 中身が入ったイチジク4つを使って十字架の形に成型
オレンジなどのかんきつ類もカラブリア州は特産品で、ナッツの類は庭先でも収穫可能な食べ物でした。

要するに手近にある食材で、栄養価の豊かな加工品を作っていた農家さんの知恵が結晶した保存食です。

ちなみに、十字架はイタリア語でクローチェ。クロチェッタの名前もココから来てるようですよ。

成型したイチジクは低温のオーブンで焼かれ、秘伝のシロップ塗りなどの作業を経て箱詰めされます。

オーブンはさすがに電気の力を借り、秤などは最新のものを利用していますが、他の作業は全て昔ながらの手作業・道具を使う、時間と手間をかけている加工品です。

工房見学の後に試食させてもらえるのが、このシロップが塗られたシンプルなイチジク加工品。クロチェッタよりも歴史が古いと言われている、優しい味の一品です。

これがまた、後を引く美味しさ。コセンツァを訪問される方にはぜひお試しいただきたい一品です。

原材料となる乾燥イチジクの収量により、その年に生産できる加工品の量も決まると言う、自然に寄り添った方法で作られているカラブリア州コセンツァの特産品。

生産量が多くないので春になる前にソールドアウトする品も多く、でも賞味期限は非常に長い。

地元では「出来立てを買い占め」してちびちび食べながら楽しむ。これが正しいカラブリア州のイチジク・ラバーのあり方です(笑

 

※工房見学のお勧め時期:9月中旬~

簡単レシピ・美味しい物は農家さんが知っている。乾燥パプリカでカラブリア州農家さんの家庭料理

この時期、カラブリア州の各家庭ですだれのようにぶら下がっているのが乾燥中のパプリカ。

地域によって軒下だったり室内だったりに吊るされるパプリカは、カラブリア州の食卓にとって無くてはならない食材。大抵は石臼で粗挽きにしたり粉に挽く分とこのままの大きさで消費する用、2種類を作ります。

さらに甘口と辛口があるので、最低でも4種類のパプリカがぶら下がるのがカラブリア流。我が家でも空気の綺麗な山間部の家で毎年大量生産しています。

このパプリカ、特産食材な上に軽くて持ち運びしやすいので最近ではお土産としても人気の模様。

ところが・・日本では買った(貰った)はいいけれど使い方がわからない食材リストの上位に入るらしく、頻繁に使い方のお問い合わせを頂きます。

今回は、挽いて粉にしても美味なこの乾燥パプリカを丸ッと使う簡単レシピをご紹介。カラブリア州の農家さんの間で伝えられてきたレシピで、都市部では見られない限定の味ですよ。

 

材料
  • 乾燥パプリカ(甘口・辛口はお好みで♪)
  • パン
  • オリーブオイル、塩
作り方

乾燥パプリカを洗って種を除いたら適当な大きさに割きます。

辛い物が大好きなカラブリア人は、辛口のパプリカを好む人が多いように思います。甘口を好む人も、冬場は辛口多めで作っている印象です。

たっぷりのオリーブオイルを熱したら、水気を切った乾燥パプリカをそのまま投入。さっと素揚げします。焦げやすいので注意してくださいね。

軽く塩をふって置いておきます。

辛口・甘口両方を使う際は、甘口を揚げてから辛口の調理をします。辛口を揚げると油にも辛い成分が出てしまうので、ご注意を。

同じ油に、今度は卵を割り落とします。たっぷりの油で揚げるように加熱。半熟ぐらいが良いとされていますが、加熱加減はお好みで。

お皿に先ほど揚げた乾燥パプリカ、熱々の卵、パンを添えたら完成♪

揚げるとカリッカリになる乾燥パプリカで半熟卵を掬いながらいただきます。

見た目が絶望的に悪いですが(笑)、とにかく簡単&美味な一品。一昔前までは同じカラブリア州内でも都市部の人は見たことも聞いたことも無い一品で、特にコセンツァ市では「農家さんはこんなに美味しいものを食べていたのか!」と地元でニュースになりました(笑

農家さんにしてみると、ありあわせの物で作った「貧しいお料理(Cucina povera)」の極み。あんまり貧しい食事なんで、恥ずかしくって他人にはお出しできない!っていうぐらいの物らしいんですが・・都市部の人にしてみると目からうろこのおいしさだったという(笑

美味しい物は農家さんに聞けっていうのはカラブリア州ではテッパン。何でもあるようで、一見豊な暮らしをしている都市部の人たちが知らない、美味しいお料理は農家さんの家庭にまだまだあるようです。

地元で偏愛されるご当地ミネラルウォーター@カラブリア州

レストランでも水を「買う」イタリアのスーパーの水売り場は御覧の通り。より取り見取りなミネラルウォーターが並んでいますが・・・イタリア各地には「ご当地ミネラルウォーター」が存在しているのはご存知ですか?

こちらシラ国立公園内の湧き水をボトリングした製品で、基本的にカラブリア州内でしか販売されていません。

南イタリアながらそれなりの積雪量の有るカラブリア州は、実は湧き水が出るスポットを何か所も抱え、私の住むコセンツァ(Cosenza)市の裏山・シラ国立公園などは湧き水の宝庫。

雪解け水が長い時間をかけて地表に出て来るシラの湧き水は、一応硬水の分類ながらも柔らかく、日本人にもなじみやすい味です。

我が家では水道水が十分美味なミネラルウォーターなのでボトルの水を購入することはほとんどありませんが・・・それでも旅行に行く際などに購入が必要になったら絶対このブランド、と決めています。

こちらは州東部カタンツァーロ県の水。商品名から「カラブリア」を名乗っている、The・カラブリア州な水でございます(笑

こちらの商品の方がシラの物より生産量が多く、他州でも見かけたことがあるように思います。それでも店舗オーナーがカラブリア人だったり、カラブリア料理の店であったりと、他州で見られるのはごく限定された場所のみ。

こちらも北部有名メーカーの水に比べてずっと口当たりが柔らかく、なにより「ご当地ミネラルウォーター」っていうあたりが郷土愛の強いカラブリア人魂をくすぐる。。。という、実に素晴らしいマーケティングを展開しております(笑

郷土愛から(?)ご当地ミネラルウォーターを愛飲している人が多いのも事実ですが、何よりも
  1. ボトリングされてからの輸送距離が短いので環境にやさしい
  2. 有名メーカーに比べて安価
  3. 採水地を知っている安心感
  4. 美味しい!(←飲みなれた味なので)
こんなあたりが、カラブリア人のご当地メーカー偏愛の理由なんじゃないかなーと思います。

おしゃれな有名ブランドの物を購入することもあるけれど、やっぱり地元の水が好きっていう地域はイタリア中にあって、ご当地ミネラルウォーターも各地に存在しています。

スーパーの水売り場で訪問地のご当地ミネラルウォーターを探してみるっていうのも面白いですよ♪

夏は村祭りの季節なカラブリア州。村祭りを訪問するなら、こんな点にご注意を

カラブリア州で夏場に特に増えるのが「村祭り」。村の守護聖人をお祭りする日だったり、北部都市部で働く人たちが帰省する時期を狙って企画されたお祭りだったり主旨はいろいろですが・・・7月中旬から8月下旬にかけての週末は、どこかしらの村で何かしらのお祭りが開催されています(笑

お祭りには小さな移動市場が付き物。スーパーすら無い小さな村では、この移動市場を楽しみに一年を過ごしている高齢者も多く、生活必需品がいっぱいの市場の様子は旅人にとっても一見の価値あり。

ところで。写真の真ん中のバケツは、これから始まるトマトソース作りに欠かせない40l~60lのバケツです。これ、街で探すの大変なんだよね・・・

基本的に、夏祭りは午前の部と午後の部に分かれています。人口の少ない小さな村だとお祭り自体は午後だけれど村がにぎわうのは午前だけで、移動市場はお昼前に撤収!なんてこともあるのでご注意を。

移動市場を見たいなら、午前中がお勧め

村の守護聖人の日をお祝いする村祭りの場合、高い確率で村中を楽団が練り歩きます。村の隅々まで演奏しながら練り歩く楽団さんはちびっ子に大人気。窓辺から応援する人もいたりして、写真に収めたくなるんですが、実は「音はするのになかなか姿が見えない」人たちだったりします。音が反響するのかな?

楽団の写真は出会った時が唯一のチャンスと思うべし

ちょっと大げさだけど、在住者でも演奏中の写真ってなかなか撮れないんですよ。覚えておいてくださいませ。

移動市場は村人にとっては社交の場。見知らぬ旅人はじろじろ見られちゃったりもしますが、悪意はないので許してあげてください。逆に、色々話しかけると大抵はみんな喜び勇んで色々教えてくれます。

きっと初めて見る道具や野菜などがあると思うので、この機会に異文化交流してみてくださいね♪

移動市場は異文化交流の最適の場。物おじせず語りかけて見てください♪

もしかするとイタリア語じゃなくて「村の方言」ばりっばりな返答かもしれないけれど、それもまた旅の醍醐味♪

と、ここで旅人にとって一番大切な注意事項が。それは

宗教行事な村祭りの日、お昼ご飯を食べられる場所は無いと思え

村祭りの日のランチは村人にとって大変重要な家族行事。家族・親族が集まってお食事をする大切な機会なので、台所を預かるマンマはヘタすると前日から大量のご飯の準備をしているのが普通。「今日は外で食べようか♪」なんてことをする人はぜーったいいないので、村中のバーやレストランは休業します。

小さな村ほどこの傾向は強いです。逆に、少し大きな村だと観光客目当ての場所は営業している模様。お昼ご飯の場所をあらかじめ調べておくか、何か持って来ていると安心ですよ。

※バーはお昼休憩だけで、午前・午後は営業します。
宗教行事にまつわる村祭りの場合、大抵夕方~日没ごろから宗教行事が始まります。

そして、宗教行事の後は夜遅くまでコンサートや花火などが開催されることが普通。

夜は露店なども出て、お食事のサービスをするところも増えるので、とりあえず晩御飯の心配はいらないかな(笑

その代り、夜間のお祭り騒ぎまで滞在する予定ならば

羽織れるものは必携 です。

カラブリア州の特に山間部は、真夏でも夜間肌寒いほどの気温になることもあります。

私は軽く羽織れるカーディガン類の他に皮のジャンバーは絶対持っていくし、場合によると軽めのスカーフも携帯します。

村の中に宿を取っていれば、一日かけてゆっくりと村祭りを楽しめます。村祭りの情報を見つけるのが難しいけれど、滞在中に「村祭りがあるよ」なんてウワサを聞いたら、ぜひ出かけてみてください。