タグ別アーカイブ: イタリア菓子

カラブリア州コセンツァ県の冬の味覚・クッドゥリ

カラブリア州コセンツァ県一帯の冬の味といったらクッドゥリ。

正確にはコセンツァ市ではcuddruriaddri(クッドゥリアッドゥリ)。その他の地域では cullurielli(クルリエッリ)の方が通じますが発音難しいので練習しましょう。

ちなみにクッドゥリアッドゥリの「ド」を強く発音します。すなわち、クッゥリアッゥリ。呪文かな?

ジャガイモと小麦粉を使った生地をドーナツ状に成型して揚げるのですが、塩味バージョンだとアチューゲ(アンチョビ)が生地に入ります。

一方甘味バージョンでは、揚げた後にお砂糖にくぐらせて、日本人には懐かしの揚げドーナツの様な一品に。


街角や観光地にはクッドゥリ屋台が出て、揚げたてを購入できます。クッドゥリ小屋は朝から晩までずーっと営業していて、ストリートフードとして大変人気があるんですよ。


お店によって味も大きさも違うのがご愛敬。
ただ、ジャガイモの特産地であるシラ国立公園内で購入するクッドゥリは格別美味しいような気がします。

そもそもジャガイモが美味しいからね…

それと、


こんな光景の中でアツアツを頬張れるから、かもしれません。

最近では真夏以外は営業しているクッドゥリ小屋も増えました。
カラブリア州コセンツァ県を訪問されたら、ぜひ召し上がってみてください。

※一つ€2前後。注文時にアチューゲ入り塩味か砂糖付け、プレーンを選べます。

 

シチリアのクリスマス菓子色々

シチリア
いよいよやってきたクリスマスシーズン!

イタリア人にとってクリスマスは単なるお祭りではなく、
キリストの誕生を祝う、という宗教上のお祝い。
信仰心が厚いシチリアには、
クリスマスを祝うためのお菓子がたくさんあります。

12月8日のインマコラータの日になると、
家族総出で作るお菓子、スフィンチェ ディ ナターレ。

シチリア
粉と茹でたマッシュしたジャガイモを練り上げた醗酵菓子。
シナモンシュガーをまぶします。
シナモンが嫌いな子供達もいるので、シナモン抜きもつくります。

家族総出で大量に作るのですが、そのなくなっていく速さにもびっくり!
それもそのはず、、、モチモチして美味しい!

本当に危険な揚げ菓子です。

もうひとつ家庭で作るのがコレ。

シチリア
イチジクのビスコッティ。
私のオットの実家では夏に庭の木から収穫したイチジクを干し、
クリスマスのために保存しておきます。

シチリア
そして12月8日を迎えると作り始めていました。

甘いものが贅沢品だった昔は、
こうして家で収穫できる甘い果物を保存して
大切なお祝いの日にとっておいたのでしょう。

素敵な習慣ですね♪

ちなみにトラーパニでは小さく作られるイチジクのビスコッティですが、
パレルモに行くと大きなリング型になり、
名前も「ブッチェッラート」と変わります。

イタリア菓子図鑑
やはりパレルモは大都市。
お菓子も華やかですね。

今年出版した拙書「イタリア菓子図鑑」(誠文堂新光社)には、
シチリアを始め、イタリア全土のクリスマス菓子もたくさん載っています。

イタリアのお菓子達は文化や宗教と密接に関わって発展してきました。
おうち時間が増えるこの冬休み、
是非お手に取ってみてくださいね!

イタリア菓子図鑑
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旅する気分で読みたい1冊 イタリア菓子図鑑

写真で旅するイタリア フリウリ-ヴェネツィア・ジューリア州ウーディネ

Facciamo un viaggio in Italia

フリウリ-ヴェネツィア・ジューリア州ウーディネの小さな村で人気のグバーナ専門店
「la gubana della nonna」は朝から配達で大忙し。

さあ、上を向いて、今日も元気に前向きに!
Su con la vita !

マッシモ
Photo by Manda Yasufumi



ヴェネツィアの伝統、サンマルティーノのお菓子

11月11日は、サン・マルティーノの日。ヴェネツィアでは伝統的に、ヴェネツィア人の楽しみにしている特別な日でもある。

サンマルティーノとは?

サンマルティーノは地位あるローマ軍人を父にもち、現在のハンガリー周辺にて生まれたと言われる。有名な逸話としては、寒い冬の日に軍を引き連れていたマルティーノが、その道中、寒さと貧しさに震える物乞いに遭遇。とにかく寒さを凌いでもらうため、自身のまとっていたマントを2本の剣で切り裂き、その半分をこの物乞いに与えた。
その夜、その半分のマントをまとったイエス・キリストが彼の枕元にたち、彼の行いを褒め、洗礼を受けることを勧められる。それを受け、殉職者となったとされている。
この逸話から彼は敬愛と慈悲の聖人として敬われ、サンマルティーノの名に帰属する教会はヨーロッパ各地に存在する。
11月11日は、彼の没後に埋葬された日をさす。

ヴェネツィアのサンマルティーノの日

サン・マルティーノといったら、まずはあちこちで催されるカスタニャータ(焼き栗)。焚き火の上に仕掛けられた真っ黒に焦げた鍋で栗を炒る。

この焼き栗の風景は、この季節ならでは


片手にはもちろんワイン。この頃はヴェンデンミア(ブドウ収穫)も終了し、おまけにちょうど果汁(モスト)の糖分がアルコールに変化してワインとなる時期にもあたるので、これを合わせるのがトラディショナル。まだほんのり糖が残って甘く濁り気のあるそれは、トルボリーノ(torbolino)と呼ばれている。

そして、子供たちには…

この日の夕刻のヴェネツィアは、子供たちのグループを見かけることとなる。子供たちは、サンマルティーノが身につけていたようにマントをつけ、冠をかぶる。そして各自が片手に鍋を持ってそれを叩いて音を鳴らし、「サン・マルティーン〜…」とリズムをとるお決まりの歌を歌いながら歩きまわる。
そして、近所の家や商店やらバール、オステリアなどを回って、お菓子や小銭やらを頂戴するのだ。
最近では、イタリアでもハロウィンの行事が定着してきており、この伝統がなんとなくごちゃ混ぜになっている感もあるが、ヴェネツィア、特にサンマルティーノの教会のあるカステッロ地区では特にその伝統が未だに残る。

学校では、このサンマルティーノの歴史を必ず触れられることもあり、この時期、この地区を歩くと、地元の小学生たちの力作を街のあちこちで見ることができる。なんとも微笑ましい!

お菓子屋さんの店先のサンマルティーノ画


エディーコラにも!


今年はCovid-19対策によって、様々な自粛を強いられているため、このような例年の光景も様変わりしてしまうのだろう。

街のお菓子屋さんの風物詩

そして、ヴェネツィアの街じゅうのパスティッチェリアには、サンマルティーノを型どった焼き菓子が所狭しと並ぶ。

パスティッチェリアの店先はサンマルティーノで埋め尽くされる


とてもカラフル


サンマルティーノのドルチェ その一…ゴンドラに乗ったサン・マルティーノ


その二


その三


その四


まだまだまだまだ…


これらは、サンマルティーノがマントを羽織い騎馬に乗った姿が型どられている。パスタ・フロッラ(クッキー生地)をベースに、カラフルなかけ砂糖やチョコレートを飾られたもの。あちこちの店のショーウィンドウはこれらで埋め尽くされるのだ。

調理道具屋さんでは、サンマルティーノの型もあります


そして、コトニャータ。モスタルダやジャム向けなど、加熱用に使うメーラ・コトーニャを煮詰めて固めたもの。コインのような形なので縁起が良い。

コインの形のコトニャータ


サンマルティーノにまつわるあれこれ…

ちなみに、サンマルティーノを用いた言い回しやそれに伴う季節感というのもある。

例えば、本格的な冬へと移行するこの時期、時に暖かい日が訪れたりする。寒い日にまつわる逸話をもつ同聖人にちなみ、こんな日を「エスターテ・ディ・サンマルティーノ(→夏の日のサンマルティーノ)」と呼ぶ。いわゆる「小春日和」のことだ。
また、ワイン醸造の世界でも、非常に遅い収穫時期をもつぶどうに対して「サンマルティーノのヴェンデンミア」とか、夏の収穫時に取り残され、この時期に再度完熟したものを「サンマルティーノのブドウ」と呼ぶこともある。
収穫が終わり、カンティーナの仕事もだいぶ落ち着くこの時期がちょうどサンマルティーノにあたるので、カンティーナを開放して、その年の収穫を分かち合うフェスタを催す者もある。

いわゆる「サンマルティーノ」とは、季語のようにして使われるほど親しみのある聖人(の日)であり、冬への季節の移行を確実に私たちに感じさせる基点でもあるようだ。

※掲載した画像は昨年以前に撮影したものです

「イタリア菓子図鑑」でイタリアを旅しよう!


7月14日に私の3冊目の著書「イタリア菓子図鑑」が誠文堂新光社より出版されました。

昨年、企画が通ってから1年、、、。
今年の前半はこの本の執筆に全力を注いだという渾身の1冊です。


現在は「シチリア専門」となっている私ですが、
元々は「イタリア菓子専門」だった私。
この話を頂いた時にはかつてのイタリア菓子への情熱を想い出し、身震いしました。

北から南まで107種類のイタリア菓子。
全てのお菓子にレシピはもちろんのこと、菓子にまつわる歴史や小話も充実。
コラム、そして巻末のミニイタリア菓子情報にも力を入れました。


菓子は州ごとにまとめてご紹介。
地方色が強いイタリア菓子。
材料や作り方からも、地方の特徴を感じることができます。
北から南に読み進めていけば、まるでイタリアを旅ししているような気分になれる1冊です。

バーチ ディ パンテッレリア
昨年は菓子の選定や、本の構成についてしっかりと吟味し、
去年の暮れからレシピ作成、試作、試作、試作、試作、、、の日々。
それと並行して、本文の執筆。

先にも書きましたが、今年の前半は毎日12時間以上、
この本だけに捧げてきました。
6月中旬に校了した時には、本当に脱力というか、、、
燃え尽き感というか、、、とにかく、しつこいようですが、
本当に渾身の1冊なのです(笑)

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旅する気分で読みたい1冊 イタリア菓子図鑑


現在、残念ながら日本からイタリアに渡航することは難しく(涙)
イタリア好きの皆さんは、きっとイタリア不足症候群になっていることかと。
全240ページ、とっても読み応えがある本なので、
今年の夏はキリッと冷えたワインを飲みながら、
「イタリア菓子図鑑」でイタリア不足を補ってはいかがでしょう?
そしてイタリアへ旅行ができるようになったら、
是非この本を片手に現地でイタリア菓子を頬張って頂けたら
嬉しいです!

3月19日サンジュゼッペの日には巨大シュー!


日本で父の日と言えば6月ですが、イタリアの父の日は3月19日。
何故かって?
それは、3月19日がサン ジュゼッペ(聖ヨセフ)、つまりキリストのお父さんの日だから。

イタリアのカレンダーを見ると、日にち、曜日の横っちょに小さな文字が書いてあります。
よーく見ると、San ●●、San ●●、、、、。
キリスト教では、毎日、その日の聖人が制定されています。
イタリア人は多くの人が聖人の名前から名付けています。


そして街にも守護聖人がいて。
例えば私が住む街トラーパニの守護聖人はSant’Alberto(聖アルベルト)で8月7日。
なので、トラーパニ市は8月7日は祝日扱い。
トラーパニの街には聖アルベルトの像もあります。



3月19日はキリストのお父さん、San Giuseppeの日。
イタリア全土、父の日でもあるのですが、キリスト教への信仰心のあつい人が多いシチリア人にとってはこの日はとても重要な日。
何と言ってもキリストのお父さんの日ですから、、、。
その証拠にシチリアには「Giuseppe(ジュゼッペ)」という名前の人がものすごく多い!
街角で「ジュゼッペ~!」と叫べば、多くのジュゼッペさんが振り返る事でしょう(笑)

そしてこの日に私が住んでいる街、トラーパニで食べるのが一番上の写真のお菓子、Sfinci di San Giuseppe(スフィンチ ディ サンジュゼッペ)。
シュー生地を揚げて、その上にリコッタがたっぷ~りと乗ったこのお菓子、、、とにかくデカい!


元々の揚げた生地がゲンコツのより大きい故、乗っているリコッタの量も半端じゃない。

そして上に乗っているオレンジが甘そう~、、、とお思いかと思いますが。
これが食べてみると意外とペロリと食べれてしまう事ができちゃうのです。
それはきっとリコッタが美味しいから。
シチリアの羊のリコッタと言えば、イタリア人の中でもファンが多く、夏のバカンスシーズンには多くのイタリア人が、

「Buonissimo!!!」(超おいしい~!)

と言いながら、リコッタの入ったお菓子を食べている姿を見かけます。
羊のリコッタは味がしっかりと濃い割には意外と軽い、そんなところが魅力なのかもしれません。

このお菓子を食べれれば、シチリアはもう春♪