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再ロックダウン中!?感染予防措置とワクチン接種の現況と現状

-パスクエッタ(イースターマンデー)で祝日のイタリアより-


パスクア休暇中は基本的に全土でロックダウンのイタリアですが、

州内ならば親族や友人等の個人宅(1軒のみ)訪問可能、1台の車に大人は2人まで、移動は1日1回に限る

という特別ルールが設けられて、誰かの家に遊びに行くのは公式にOKとなりました。これはクリスマスや正月に取られたのと同じ措置で、少人数であればパスクアの食事会が可能となったわけです。

レストランは営業禁止で外食も不可の中、食べるものに手を抜かないイタリアではおうちで料理三昧。案の定、食い倒れのパスクアを過ごしています。

我が家はアブルッツォ州からアロスティチーニをお取り寄せ♪


さて、イタリアでは州ごとに規制レベルが異なり、それを表すためにレッド、オレンジ、イエローと色分けされているのはご存じの方も多いでしょう。

週末にもなると、【州によって色が更新され、週明けから適用】となるので、「来週は何色?」なんていう会話が最近のトレンドです。

スプリッツで表現された写真も回ってきました (左)今日:オレンジ、(右)月曜:レッド


私はトレンティーノ-アルト・アディジェ州の担当をさせていただいておりますが、居住地はヴェネト州であり、「必要不可欠な理由の証明なく他州への移動は禁止」のため、なかなか行けない日々。

ということで、今回はヴェネト州における実際の暮らしぶりと個人的な印象をもとに、イタリアの現況をお伝えさせていただきたく思います。


今年3月に入り、10か月ぶりにロックダウンとなったヴェネト州。以前から続く屋外でのマスク着用義務や22時以降の外出禁止ルールはしっかり守られ、22時にもなると町は静まり返り、閑散としている一方で・・・

昨春のロックダウンと大きく異なるのは、スポーツOK(ジョギング含む)、公園の遊具使用可、教会のミサも人数制限とソーシャルディスタンスがあればOKということ等。

なんだか「本当にロックダウンなの?」と疑いたくなるほど、道や公園はワサワサと人であふれています。警官によるパトロールもかなり少なくなった印象です。

バールやジェラテリアはテイクアウトならOKということで-

⇒使い捨てカップで飲み物が提供されても、入口前で多くの人がおしゃべりしながら立ち飲み状態。ジェラートに関してはコーンの注文はできず、カップにはテイクアウト用のフタがかぶせられ、さらにご丁寧に紙袋にまで入れてくれることもあるのですが、結局は皆、店を出てすぐに食べ始めちゃう、

というふうに、ゴミが増えているだけのような気もします。

罰金が科されるのが店側なものだから、「対策を徹底したい」店に対し、「これくらいならいいだろう」という客。ルールの曖昧な部分を大きく解釈してみたり、バレなきゃいいだろうと高をくくっていたり。店側はピリピリして、ルールを守らない客に対する語調も強くなり、そんな光景を見ると悲しい気持ちになります。

規制内容は本当に細かくて、正直なところ「何がどこまでOKなのか」が見えづらくなっているのも事実。抜け道を探す人はやはりいるわけで、見ていて嫌な思いをすることもあります。つまりは、一番重要な「感染拡大防止」よりも「罰金を逃れる方法」を探しながら暮らしているような。コロナ疲れとコロナ慣れが広がっているのをひしひしと感じる今日この頃です。

我が家はおうちでアペリティーボを楽しんでいます


「ハグやキスの挨拶禁止」なんていう前代未聞のお触れが出されて早1年以上。イタリアの特徴でもあった、人との距離の近さがすっかり薄れたとも思います。

コロナ前は、散歩中に道端で会った知らない人同士、雑談が始まることもよくありましたが、今は素通り。むしろ、ソーシャルディスタンス確保のためにお互いを避けるように歩いてしまう。スーパーの陳列棚が高すぎて手が届かないものを近くの人が取ってあげる、というような何気ないシーンも見られなくなりました。「人の物を勝手に触わらない方が良い」という、人との接触を極力避けようとする雰囲気は、コロナ禍では仕方ないものの、残念でもあります。

関心の強いワクチン接種については、医療関係者だけでなく学校教師などにも実施されている他、一般人も80代以上の高齢者から始まって、今は70代の方たちが続いている状況です。EUが承認したワクチンを使用していて、ファイザー製が多数、次いでアストラゼネカ、モデルナ。さらに、条件付きで承認されたJ&Jのワクチンを待っているところです。

現時点で約350万人が接種済みであり、今月末までに1日の接種人数50万人到達の見通し、9月末までにワクチンを打ち終えたいとの旨が発表されています。

1日の感染者数が2万人前後。現在のコロナ規制が4月30日まで続くことはすでに決定されていますが、昨年は5月以降、特に夏の間は比較的自由に他州、他国(各国の受け入れ体制による)への移動や、屋外でマスク義務のない生活もできたので、皆で協力してこの我慢のときを元気に乗り切りたいものです。


イタリア好きの皆様も心置きなくイタリアに遊びに来られる日が早く訪れますように。

黄色く彩られるイタリアの春初

明日は3月8日、国際女性デー。イタリアでは女性にミモザを贈る日として知られていますよね。

先日お散歩していると、フサフサのミモザが満開になっているのを見かけ、青空によく映えるなぁと眺めていました。ヴィヴァーチェな黄色で彩られるイタリアの春初は、日本の梅などに見る可憐な美しさとはまた違う、生き生きと元気いっぱいな清々しさがあります。


 

今年は全体的に少し控えめな印象ですが、町のパスティッチェリアもミモザ仕様。


 

通りかかったマーケットではミモザが鉢ごと売られていて、買おうかどうか悩んだものの、生長が早くて大変そうなので断念しました。


 

しかしながら、おうち時間も長い今、家に花を飾るだけでも気分が変わるもの。

ということで、ミモザとユーカリを組み合わせて飾ってみることに。


ドライフラワーとなって1年ほど持つらしいです。

1年後という長いようで短い未来に思いを馳せながら。コロナウイルスの収束を祈って…

食べることに妥協なし!カーニバルからパスクアに向けて…

先週2月16日(火)にカーニバル期間が終了したイタリア。Mercoledì delle ceneri「灰の水曜日」と呼ばれる翌17日からパスクアまでのカウントダウン(日曜を除く40日間)が始まっています。町中のお店では、すでにパスクア向けのアイテムがずらり。


カーニバルの日程が年々変わるのは、移動祝日であるパスクアの日程(今年は4月4日)から逆算されるため。灰の水曜日前週の木曜日はGiovedì grasso「肥沃な木曜日」と言われ、火曜日までの6日間、カーニバルは最高潮となります。

カーニバルの起源は古代ローマに遡り、実は宗教的行事ではないのですが、終了後~パスクアまでの間はキリスト教徒にとって断食(肉断ち)の期間。謝肉祭とも訳されるように、「断食の前にお祭り騒ぎしよう!たらふく食べよう!」というような意味合いがありました。(今では、金曜日のみ肉を食べないというキリスト教徒も多いです。)

州や地域の伝統によってカーニバル行事が違うのもおもしろいところ。ヴェネツィアのカーニバルは世界的に有名ですが、小さな町でもそれぞれのお祭りがあり、コスチュームに身を包んだ人たちが騒ぎに繰り出します。

例えば、同じヴェネト州でもヴェローナでは例年、こんな感じ。

ヴェローナのパレードの様子 (2020)


ヴェローナのカーニバルは1500年代からの歴史を誇り、今年は491回目を迎えるはずでした。

昨年はちょうど2月下旬のカーニバルの頃にロックダウンとなり、相次いでイベントごとが中止になったなぁとしみじみ思い返されます。今年は大きなイベントもなく、町中では仮装した人たちをちらほらと見かけた程度。(パレードなどは5月に延期と言われているので、開催できることを願っています。)

ヴェローナ (2020)


 

しかしながら、どんな状況下にあっても食べることは健在!ヴェローナではカーニバルの金曜日にニョッキを食べる習慣があり、家族みんなでジャガイモを茹でるところから作りました。


 

その名もVenerdì Gnocolar「ニョッキの金曜日」と呼ばれ、それに向けて毎年Papà del Gnocoというニョッキの王様まで選出されるのです。

ヴェローナのカーニバル (2020)


このニョッキの王様の選出法もユニークで、、、ヴェローナの守護聖人サン・ゼノの教会がある地域住民のみが投票できるという決まり。このニョッキ王はじめ、各地域や団体が造った山車が旧市街を練り歩くパレードが、この金曜日の一大イベントなんです。

ニョッキの王様には、恰幅の良い男性が選ばれる


 

カーニバルお馴染みのお菓子キアッケレは、州や地域によって呼び名が違い、ヴェローナ(ヴェネト州)ではガラーニという名で親しまれています。小麦粉と砂糖、卵のパスタ生地に、白ワインやグラッパ、ラム酒のようなリキュールを加え、薄く伸ばして揚げられたサクサク食感のほんのり甘いお菓子。軽くて、食べ始めたら止まりません。


 

さらに、ヴェネツィア名物のカーニバル菓子、フリテッレも。こちらは揚げドーナツのようなモチッと食感。干しブドウ入りなどの種類もありますが、絶品クリーム入りが私のお気に入りです。


 

そして、灰の水曜日。つまり肉断ち初日を迎えると、、、

魚を食べるというのがヴェローナ流。

定番メニューを2品:ビーゴリ×イワシソース和えをプリモに。


セコンドにはニシン×ポレンタ添えをいただきました。


 

「結局、ガッツリ魚は食べるんかい!」と思わずツッコミたくなるような。

大きな行事はなくとも、できる範囲で。カーニバルをしっかり味わうという、食べものには妥協しないのが、なんだかイタリアらしい2021年初めのお祭りとなりました。

おうち時間に手作り♪アルト・アディジェの伝統ドルチェ

再びおうち時間が長く続いている今日この頃。

春のロックダウン時にはイーストが品薄となるほど、パンやパスタ、焼き菓子を小麦粉から作る家庭が多かったイタリアですが、我が家も例外ではありません。そしてこの冬も、クリスマスや年末年始のホームパーティ(といっても極少人数でしたが)に合わせ、いろいろと新しいレシピに挑戦しました。

中でも満足度が高く、何度もリピートしているのがリンゴのシュトゥルーデル。


実はドイツ語でシュトゥルーデルは「渦巻き」という意味を持ち、オーストリアではパイ料理全般のこと。なので、中の具は野菜やキノコ類など食事系の場合もあるのですが、やはりリンゴ入りのドルチェ「アップル・シュトゥルーデル」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

薄く切ったリンゴにレーズン、松の実、ラム酒、シナモンなどを混ぜ合わせて生地に包み、オーブンで焼いたものです。


100年ほど前までオーストリア領だったアルト・アディジェでは、アップル・シュトゥルーデルは伝統菓子として大人気。

観光案内所の公式ウェブサイトによると、アルト・アディジェ全体でなんと毎年85トンものアップル・シュトゥルーデルが生産されるそう!それを全て並べると26㎞の長さになって、最大都市ボルツァーノと第二の都市メラーノを結ぶ直線距離と同じなんだとか…ちょっと想像しにくい例えですが、こちらにそう書かれています。

ともあれ、菓子店やベーカリーはもちろん、バールやレストランのデザートメニューにも必ずある一品。ヴェノスタ渓谷(Val Venosta / Vinschgau)がリンゴの名産地であることも、理にかなっている気がします。


おもしろいのは、アルト・アディジェの場合、パイ生地とは限らないこと。パスタ・フロッラと呼ばれるタルト生地で作られることも多いのです。パスタ・フロッラだけでもクッキーのように美味しいものですが、そこに美味しい中身を詰め込むのだから、美味しくなるのも当たり前ですよね。


サクッとした生地の甘み+お口に広がるラム酒やシナモンの香りが、大人向けな味わい。

さらに生クリームやバニラアイスを添える習慣もあるんですよ。カロリーが気になるところではありますが、寒い冬、長いおうち時間、外食もできない…そんな生活の中、手作りドルチェは楽しみの一つにもなっています。

コロナ禍の時事イタリア語から見る歴史&雑学

山岳地帯は真っ白な雪に囲まれ、ウィンタースポーツの楽しいシーズン。本当はそんな冬山の様子をお伝えしたいなと思っていたのですが・・・


春に続いて再び、不要不急の外出自粛が続く中、おうち時間が長~くなっているイタリアより、今回は私がおもしろいなぁと思った、ちょっとマニアックな言語の話をさせてください。

 

日本では今年の漢字や流行語にコロナ関連の言葉が多く見られたようですが、イタリアで今年よく聞いた言葉の1つがquarantena(クアランテーナ)「検疫」という意味を持つ単語です。

 

とはいえ、日常会話では、

「家族が感染したので、私は今クアランテーナ中」とか、

「帰国したら、2週間クアランテーナしなければならない」

というような形で耳にしました。

 

この場合の意味は「検疫」よりも「隔離」

 

英語でもほぼ同じ言葉quarantine(クアランティーン)=「検疫」self-quarantine =「自主隔離」なんて言うので、ご存じの方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

この語源を辿ると、ヨーロッパの歴史も垣間見えてきます。

 

この言葉の響きがquaranta(クアランタ)40に近いと気づかれた方も多いでしょう。実はもともとのクアランテーナには【40日間】という意味が含まれており、その由来は中世のヴェネツィア共和国まで遡ります。


14世紀のヨーロッパでは「ペスト」が大流行。ヨーロッパ全体で人口の3分の1が亡くなったと言われるほど猛威を振るったこの感染症は大変恐れられていたものの、当時の医学でははっきりと原因が解明できてはいませんでした。

ただし、人から人へ感染することと、アジアの方から持ち込まれている、ということはなんとなくわかっていたため、地中海を行き来する船は警戒されていたのです。

 

その頃、コンスタンティノープル、現在のトルコ・イスタンブールを通じて、アジアとの貿易を盛んに行っていたヴェネツィアの港では、そんな事情から、船が到着しても荷物や人をすぐには上陸させず、沖に40日間停泊させ様子を窺いました。そして40日後、感染者がいないことを確認した上で、上陸を許可したのだそう。

その40日間がヴェネツィア語*でクアランテーナであり、「検疫」として今のイタリア語にも残り、さらに英語にも使われているというわけです。

[*ヴェネツィア語とは:現在のイタリア語ヴェネト方言のことだが、当時はラテン語由来の一言語として、ヴェネツィア共和国の公用語とされていた。]

 

イタリア語の勉強をしていると、「イタリア(+スイスの一部)でしか話されていないなんて、通用範囲が狭いな」と感じることがあるかもしれません。しかし、専門用語のような難しい外来語や英単語は特に、ルーツをたどるとイタリア語、さらにはラテン語につながることが多く、私は言語を深掘りしながら歴史や文化に触れるのが大好きです。

 

少し話は逸れますが、日本語でもおなじみのマスクという外来語についても少し。その語源は諸説ありますが、ラテン語maschera(マスケラ)とも言われています。


舞台劇などで使用されるお面やヴェルディのオペラ「仮面舞踏会」に見られるような顔や身分を隠すための仮面がマスケラ


ヴェネツィアへ行けば、カーニバル用の様々なマスケラが売られていますが、ここで注目したいのが一際目立つ、白く鼻が嘴のように長く伸びたタイプのもの。実はこれ、ペストの流行時に医者が着用していたマスケラなんです。


なぜこのような形をしているのか?ヒト-ヒト感染防止に距離を保つための嘴かなと思ったのですが、実はこの鼻の部分にハーブを入れ、その香りを吸いながら感染者と向き合っていたそう。効果があったのかは不明ですが、試行錯誤してペストに立ち向かっていた様子が見えてきますよね。

なお、コロナ禍、イタリアにおいても着用義務のある、いわゆる普通のマスクは「小さな」を意味する-inaを語尾につけてmascherina(マスケリーナ)と呼ばれています。

 

最後に余談ですが、集団感染という意味で使われる「クラスター」。これはブドウなどの房や群れ、集団を表す英語clusterですが、イタリア語ではfocolaio(フォコラーイオ)という全く別の言葉を使って集団感染を表します。fuoco(フオーコ)=「火」の派生語です。

フォコラーイオには感染源という意味もあり、それが集団感染につながっていく様子は⇒ ⇒ ⇒小さく発生した火が燃え広がっていくような発想なんだろうなと思うと、なんだか妙に納得してしまうのは私だけでしょうか。

 

さて今回は、コロナ禍における時事単語をお届けしましたが、日本においてもイタリア語(ラテン語由来の言葉)をもとにしたカタカナ語は身近にあり、知らず知らずのうちに使われている可能性があります。気になる言葉を調べてみると、新たな発見があるかもしれません。

絶景360度のモンテバルド縦走 ガルダ湖を眼下に望みながら

コロナによる規制が再び厳しくなってきたイタリアですが、そうなる数週間前、初めてモンテバルド(バルド山)へ山登りに出かけてきました。宿泊可能な山小屋も点在する中、仲間6人でのテント泊です。

11月に入り、雪をかぶったモンテバルド


イタリア最大の湖、ガルダ湖の東側にそびえる南北に長いモンテバルドは、標高2,000m前後の主要な頂が13座連なる山々の総称であり、バルドという山頂は存在しません。

今回の登山は南のヴェローナ側から入り、北のトレンティーノ地方ナーゴ村へとひたすら尾根を歩くルート。出発の前夜、ゴール地点にワゴン車を置きに行き、翌朝、スタート地点のプラダ村へと向かいます。

ガルダ湖の西側はブレーシャ県、東側はヴェローナ県。北端の町、リーバ デル ガルダやトルボレはトレンティーノ地方。


この登山を行ったのが真夏ではなく秋口だったのは、いくつか理由があってのこと。

 

・日差しを避けられないため、夏は暑すぎる

峰から峰へと歩き続ける日陰のないルートのため、暑さが大敵となります。(真夏はもっと標高の高い、涼しい山のほうへと繰り出すことが多いです。)


・湧き水がない

モンテバルドでは、汲めるような湧き水が一切ありません。これは、かなり登山者泣かせ。適度な水分補給が重要となる登山で、家から持って行った貴重な水を、残量を気にしながら飲まなければならないのです。水が限られていることは、酷暑の時期だと危険な状態にもなりえます。(山小屋で買うことは可能)

 

・夏の景色は靄がかっている

上からの眺めが楽しみでもある登山。モンテバルドからは、ガルダ湖を一望できるだけでなく、対岸(ロンバルディア州ブレーシャ県)の山々や反対側のヴェローナ、ポー平原の広がる地帯まで360度のパノラマを見渡せるのですが、真夏はモヤモヤと白っぽくなりがちです。

湖とは反対側の眺望。山の向こうにヴェローナの町があり、ポー平原へと続いている。


これらの理由から、涼しくなった頃に決行したモンテバルド縦走。森林を抜けて稜線まで着くとこの景色が待っていました!

写真左、ガルダ湖の南側にはシルミオーネの半島が見える


ガルダ湖南に突き出た半島、シルミオーネまでくっきり見えたのです。

 

とはいえ、天気が変わりやすいのが山。1日の間に快晴と曇り空を繰り返し、雪まで降り始めて冷えとのたたかいになりました。


常に絶景を見下ろしながら稜線をアップダウンし、時に崖上の狭い箇所を恐る恐る進まなければならないモンテバルドの山道は、険しいというより、とにかく長い!


終わりが見えず、心折れそうになり、ようやくテントを立てたときにはすでに真っ暗になっていました。

遠くにヴェローナの夜景を望みながら、ラーメンをゆがいて食べ、早々に就寝。標高2,000mの氷点下の中、愛用の羽毛寝袋にくるまって暖をとります。外はこんなに寒いのに、一見簡易なテントと寝袋だけでゆっくり眠れる温かさ。テント泊登山の醍醐味です。

 

そして、翌朝-


まさに清々しいという言葉がピッタリの朝を迎え、感動もひとしおでした。

 

さて朝食を済ませたら、再び絶景の中を北進していきます。


しばらく下りが続き、車道に出たところで、州境を越えてトレンティーノ₋アルト・アディジェ州へ。実はこの辺りは一般車でも乗り入れられ、部分的にトレッキングやハイキングを楽しむこともできます。

標高1,400m辺りに駐車場があり、そこまでは一般車も乗り入れ可能


下った分を登り直すように、ここからまた最後の山頂を目指して600mの標高差を登ることになるとは想定外でした。テントは男性陣に担いでもらいましたが、寝袋やマット、着替え、食料、調理具を詰め込んだリュックは12kg超。肩と腰にずっしり、特に後半に重くのしかかります。

最後の頂上を目指しながら振り返ると、歩いてきた尾根が一望できる


 

なんとか最後の頂、モンテ・アルティッシモ(2,074m)にたどり着くも、残念ながら真っ白な霧に包まれていて何も見えず。

濃い霧に包まれたモンテ・アルティッシモの道標


 

ともあれ、登り切った後はゴールを目指してどんどん下りるのみです。下りって楽そうに聞こえて相当、膝に応えるんですよね。

 

こうして夕方6時前、ワゴン車をとめていたナーゴ村の駐車場に到着し、ほっと一息。2日間の総距離にして、なんと32㎞も歩いたんだとか。登った高さは計2,400mもあったというから、出発前に知っていたら、あきらめていたような数字です。正直なところ、こんな大変な登山になるとは思っていませんでした。

が、仲間と一緒だからこそ成し得た素晴らしい経験となりました。

写真右、ガルダ湖の北端にトレンティーノ地方の町、リーバ デル ガルダを望む


なお、ガルダ湖畔の町、マルチェージネからは回転ロープウェイで標高1,800m近くまで上がれるので、もっと気軽に日帰りでモンテバルドを楽しむことも可能です。

毬栗ころころ~秋深まる渓谷を歩いて収穫祭体験

先日、秋色深まるイタリアンアルプスの、とある渓谷を15㎞近く歩いてきました。すでに肌寒い季節ではありますが、青空の下を歩くのは心地よく、夏とはまた違う表情を見せる山々の美しいこと。今回の目的は…「トゥルゲレン」‼

なんと聞きなれない響きでしょう!


それもそのはず。トゥルゲレン(Törggelen)とはこの地方特有の方言。ブドウの収穫を終える9月下旬頃、イザルコ渓谷(伊)/アイザック渓谷(独)を中心に始まる収穫祭を表す言葉です。12月あたりまでゆる~く続き、自由にいつでも誰でも参加可能。ただし、いくつか押さえるべきポイントがあります。

 

まずは
①栗のトレイルからスタート!

「栗のトレイル」のサイン(上:独語/下:伊語)が随所にあるので、わかりやすい


大自然の中を歩いて新鮮な空気を存分に味わいつつ、この時季の風景を楽しむことからトゥルゲレンは始まります。全長60㎞もある栗のトレイルのうち、私たちは一部分のみ歩いてみたのですが、、、


信じられないくらいに栗、くり、クリ!!!

地面いっぱい、毬栗(いがぐり)や毬から飛び出た栗で敷き詰められていました。油断していると、頭上に毬栗が落ちてきて、けっこうトゲトゲが痛いので要注意です。

よく見ると、栗って1つの毬に仲良く3つ入っているんですね。外側の2つがぷくっと膨らみ、真ん中の栗は押しつぶされたような形になっています。


栗がなっているのを見るのは、実は初めてだったのですが、なんとも可愛らしいものでした。

左下のように、真ん中の栗が大きく、両側の2つが押しつぶされているものもある


そんな栗の道を抜けた先には、この絶景が待っています。


 

さらに歩いて山村に到着し、山小屋に寄り道してテラスでランチタイム。


普段は閉まっている農家でさえ、秋から冬にかけてのこの期間だけオープンして伝統料理をふるまってくれるのもトゥルゲレンの醍醐味です。

 

食事は
②大麦スープと肉プレートが定番!


プリモは大麦スープやカネーデルリ、セコンドはソーセージや塩漬け豚肉のザワークラウト添えという風にほぼ決まっているものなので、メニューを見ながら選ぶものではありません。ただし、これらの中から一部だけオーダーするなどの融通はたいてい利くのでご安心を!

アルト・アディジェの伝統料理を味わえる良い機会


 

さて、美味しくいただいてお腹いっぱいになった私たちは、再び栗のトレイルを次の村へと歩き始めました。小さな村が点在しているこの辺りでは、歩いて20分ほどで隣の村に到着します。


そこから駐車場へと引き返すことにしたのですが、帰り道だからといって、まだまだトゥルゲレンは終わっていません。

おやつには
③焼き栗で決まり!


これだけ栗を踏みながら歩いてきたのだから、名物の栗は食べておかなきゃ!ということで、アペリティフを兼ね、ブッシェンシャンク(伊:フラスカ)のテラス席にお邪魔することにします。ブッシェンシャンクとはもともと、ワイン生産者が新酒の時期にテーブルと椅子を出し、自家製ワインを比較的安価でふるまってくれるような場所。気取らずに立ち寄れる雰囲気が素敵なんです。

ブッシェンシャンク(独:Buschenschank)/フラスカ(伊:frasca)


そこで栗のお供に
④ワインジュース!?  Süßenを賞味!

収穫したてのブドウを搾った液体で、発酵が始まる前の段階、つまりはアルコールのほとんどない状態のズゥーセン(Süßen)を飲むのが慣例です。

トゥルゲレンの語源はトルキォ(Torchio)=ブドウ圧搾機。ブドウ収穫とワイン造りを祝う伝統行事であるからには、この年の第一号となる若いワインを飲まずに帰るわけには行きません。

発酵前のワインは贅沢なブドウジュース


濃い果汁が口いっぱいに広がる贅沢なブドウジュースはルビー色も綺麗。ノンアルが物足りない方は、11月に入ると出来立ての新酒を味わえるようになるのでしばしお待ちを!

 

トゥルゲレンに参加するといっても、どこかに届け出をするわけでも、参加費を支払うわけでもなく、好きなところから歩き始めて、好きな場所で食べて飲み、それぞれの飲食に対して支払いをするものです。

決してオシャレはせず、山スタイルでカジュアルに行くのが暗黙のルール。栗のトレイルはしっかり整備されて歩きやすくなっているため、車でアクセス可能な山小屋であっても、ハイキング気分で歩いて行くのがオススメです。標高が高く、ドロミティ山塊までくっきりと望む大パノラマは、見飽きることのない感動があります。


 

本来、トゥルゲレンの夜は各所で賑やかな宴となって盛り上がるのですが、コロナウイルスの状況悪化により、縮小を余儀なくされているのが仕方なくも悲しいものです。

酪農家の娘に聞く 南チロルの郷土食と山村の暮らし

「スペックは自家製。あと、このカミンヴュルストもね。」

前菜にハムやチーズの盛り合わせを頼んで驚いた。家族経営のこのレストランでは、スペック(Speck)やカミンヴュルスト(Kaminwurst)を自分たちで仕込んでいるというのだ。

下に敷かれたスペックと丸く切られたカミンヴュルスト


スペックとは南チロル(アルト・アディジェ)地方の食を語るのに欠かせない生ハムの燻製。料理にもよく使われている。

色の濃い方が自家製スペック


「スペックは正月を過ぎた頃に1年分、家族で作るのよ。カミンヴュルストは豚肉がメインだけど、鹿肉があるときにはミックスするの。野生的というか力強い味わいになるわ。」

カミンヴュルストという細い燻製サラミは、硬めの食感とスモーキーな香りがおつまみにもピッタリだ。

 

ここは標高770mの山村ナッツのレストラン。南チロル第3の町、ブリクセン(独)/ブレッサノーネ(伊)に程近い。

レストラン Walderhof


この建物の構造を見てピンと来た人もいるだろう。ここはかつて、20頭以上の乳牛が飼われていた牛舎であった。6年前に乳牛を手放して改装し、ゲストハウス兼レストランとして2015年にヴァルダーホフ(Walderhof)をオープンしたばかり。木のぬくもりが感じられる心地よさに、南チロルの伝統料理が気軽に楽しめるとあって、毎日多くの客で賑わう。

木のぬくもりが優しい店内 外にはテラス席もある


酪農家の両親、祖父母のもとで育ってきた4人姉妹の長女、カトリンさんの接客は、そんな忙しい最中でも丁寧である。

カトリンさん


とにかく明るくて気さくな彼女は、レストランのオーナー兼シェフである母親の右腕のような存在で、サービス全般を担当。家族間の会話はドイツ語だが、彼女はイタリア語も自在に操り、

「どんなに忙しくてもお客様との会話は大切に。」

と笑顔を絶やさない。

 

「トリスチロレーゼなら、いろんな味が試せるわよ。」

メニューを見ながら迷っていると、チロルの3種盛りを勧めてくれた。カネーデルリという硬くなったパンを牛乳と卵で固めて茹でた団子状の塊は、チーズ入りの楕円形とホウレンソウの入った緑色の計2種。さらに餃子のような形のメッツァルーナが載っていて、3種類の味を楽しめる一皿となっている。

トリスチロレーゼ


三日月及び半月という意味をもつメッツァルーナは、餃子の皮のように丸い形状の生パスタを作り、その中に茹でて細かく刻んだホウレンソウを入れて包み込む。餃子作りと同じ要領で、水を付けながら半分に閉じ、塩を効かせた熱湯で4分、アルデンテに茹でれば出来上がりだ。

メッツァルーナの中にはホウレンソウと少量のリコッタチーズ


カトリンさんによると、クリーミーな食感にするため、隠し味程度にリコッタチーズも具に混ぜる。が、主張しすぎないように控えめにするのがポイント。生パスタの食感が絶妙の一品である。

「カネーデルリをスープに入れるなら、シンプルなスペック&アサツキ入りがいいわね。」

スープに浸したカネーデルリはスペック入り


カネーデルリは刻んだタマネギやパセリ、ホウレンソウ、ビーツ、ニンニク入りなど、挙げればキリがないほどのバリエーションが存在するが、コンソメスープにはスペックから出る燻製の香りがよく合っている。

 

暮らしぶりについてもいろいろと教えてくれたカトリンさん。

「子どもの頃は学校から帰ったら、毎日お手伝い。もちろん週末も。毎日、毎日、休む暇もなかったわよ。牛の乳しぼりだって何だってできるわ。」

得意げにそう言いながらも、将来的に酪農を続けていくことには限界を感じたのだという。

「うちは4姉妹でしょう。結婚相手の男性たちに突然、酪農の仕事をしてもらうのも簡単ではなくてね。」

レストランという形に変えて、家族みんなで協力し合うのがベストという結論になった。

オーナー兼シェフを務めるカトリンさんの母


「私たち4姉妹はね、ママから全然、レシピを習いきれていないの。まだまだ学ぶことがたくさんあるはずなんだけど、ママが元気すぎて、何でも一人でテキパキこなしちゃうから。」

なんて笑いながらも、本当は母親の負担を減らしたいと考えている家族思いのカトリンさん。自身も2人の息子を育てながら、夫家族のブドウ畑も手伝っている、そんなパワフルな女性だ。

 

一方、父親や従兄弟など男性陣はというと-

週に3回程度、狩りに出る。狙いはシカやシャモアで、獲物は自慢のジビエ料理に変身。山に生まれ育つとは、なんとタフなことだろうか。

ジビエのパスタ


アルプスという壮大な自然に囲まれ、登山好きの私としては憧れる山の暮らし。いつでも山に行けていいなぁなんて思っていたらとんでもない。

「山登り?他にやることが多すぎて、それどころじゃないわね。息子たちも連れて行ってあげられない。かわいそうだけど『登山に出たくてウズウズする』という感情すら湧かないものなのよ。行ったことがないから、『また行きたい』とも思わない。」

繁忙期の昼食時に、ウエイターとしてお手伝いしている11歳の長男の姿が印象的であった。

「山登りには行かなくても、あの辺りの森に、薪割りには行くけどね。」

と彼女が指さす方向には、深い緑しか見えない。

 

南チロル地方の夏は、ドイツやオーストリアからも登山客が多く訪れる他、避暑地としても大人気のため、レストランは大忙し。一方の冬も、スキー場が各所にあるため、休んではいられない。おまけに秋にはカトリンさんの夫のブドウ畑が収穫シーズンを迎える。


「リンゴ農園も持っていて、リンゴジュースも自家製よ。」

と言いながら出してくれたリンゴジュースは濃厚で、口の中に果汁の甘みがしっかり残った。山間部に生まれ、自分たちで育てたり作ったりしたものを味わうという、自給自足の生活は最高に美味しい響きだが、生き物や自然を相手にする、その苦労は計り知れないものである。

彼女らにとっての山とは、放牧をし、狩りに出かけ、木を切り倒して薪を割る、という生活の一部。実用的な理由で山に入るのであって、決して娯楽の場ではないのだと痛感した。


「あれもこれもと欲張らず、家族でできる範囲で続けていくつもり。他の食材もすぐそこの農家や牧場に行けば新鮮な状態で手に入るから。」

地産地消にこだわった絶品メニューとカトリンさんのリズミカルなトークが、今日も誰かをもてなしている。

Walderhof
www.walderhof.bz.it
住所:
(独)Schlossergasse 20
39040 Natz-Schabs (BZ)

(伊)Vicolo Schlosser 20
39040 Naz-Sciaves (BZ)

金曜~月曜:11:00-23:00
火曜・木曜:11:00-16:00
水曜:定休日
(2020年10月現在)

世界最古のワイナリー!900年の歴史を誇るノヴァチェッラの修道院

ヨーロッパでは古くから修道士たちが羊毛やハーブ、ワインなどを生産していたという記録が残っていますよね。これらは修道院の資金源となっていたほか、物々交換などにも使われていたそう。今回は、そんな修道院で今なお作られているワインのお話。


ノヴァチェッラ(伊)/ノイシュティフト(独)という村はアルト・アディジェ地方のイサルコ渓谷に位置します。車で30分も北へと走れば、そこはもうオーストリア。ということで、この一帯はイタリア最北のブドウ生産地としても知られているエリアです。


広々とした修道院は一般に開放されている場所もあり、夏には観光客でにぎわいます。

敷地内へ入ってまず目に入るのは、かつて見張り台だったお城。


さらに先へ進むと今でも修道士の暮らす修道院に加え、火事と再建、修復の繰り返されたロココ様式の教会やフレスコ画の見事な回廊など、見どころたっぷり。



始まりは1142年と、およそ900年の歴史を誇り、ヨーロッパ北部からローマやエルサレムへと向かう巡礼者たちの休息所という重要な役割を果たしていたのだそうです。


建設当時から、ドイツ皇帝やローマ教皇のお墨付きだったこの修道院は強大な力を持ち、広大な土地を与えられたことからワイン生産が始められたと言われています。それが現在に至っても続いているという点で、世界的に見ても貴重な、最も古い現存ワイナリーの1つと称されているのです。


圧巻の修道院内部の見学(一部有料)だけでなく、お散歩感覚でブドウ畑を歩くこともでき、この勾配を利用して育てられるブドウ越しに一帯を見渡せます。


標高は1番高いところで900mという、夏でも比較的爽やかで涼しいイタリア最北のブドウ畑。


近年、修道院所有の畑は縮小したものの、周辺のブドウも利用して作られるここのワインは、一級品ながらお手頃な価格帯もあり、ラベルも可愛くお土産としても喜ばれます。

エノテカ内ではテイスティング(有料)も可能


赤ワイン30%に対し、白ワインの生産は70%。

赤はアルト・アディジェ地方特有、力強い味が特徴のラグライン(Lagrein)の他、ピノ・ネロ(Pinot Nero)などが人気。


一方の白は、このイサルコ渓谷特産のケルナー(Kerner)をはじめ、フルーティーな香り広がるゲヴュルツトラミナー(Gewürztraminer)、エレガントな味わいのシルヴァーナ―(Sylvaner)など種類も豊富で目移りしちゃいます。


土地柄、ドイツの白ワインにも近い印象ですよね。


レストラン併設のワイナリーやエノテカでワインテイスティングも楽しめるので、味見しながら、お気に入りの一本を見つけたいものです。


 

夏が旬!? アルト・アディジェのキノコ事情

秋のイメージが強いキノコ狩りですが、あっという間に9月も後半に入り、アルト・アディジェ地方ではピークが過ぎ去ってしまいました。今から旬を迎えるキノコ類もあるけれど、我々の一番の狙いはやっぱりポルチーニ!新鮮なものを調理して食べるにも、乾燥させて保存しておくにも最高のキノコです。

1つ(単数形)だとポルチーノ


が、ここは標高の高いアルプスの山間部。冬の寒さが厳しいのはもちろん、夏は涼しく、春秋でもフリースやジャケットを羽織るほど肌寒いところ。ポルチーニが育つにはある程度の暑さが必要なため、シーズンは早くて7月中旬以降。9月に入ると終わりに近づいてゆくという、2か月足らずの短い期間しかないのです。

深い森に覆われたアルプスの大地


その間、誰でも好き勝手にキノコ狩りを楽しめるわけではありません。イタリアの他の州と同様、アルト・アディジェ地方にも独自のルールが存在し、地域外の住民は、郵便局や観光案内所などで事前にキノコ狩り申請を行う必要があります。1人1日8ユーロ払い、認められるのは全キノコ類合わせてたったの1kgまでと少ないんですよね。。。


従わなければ、パトロール中の森林警察による罰金対象。しかも、キノコは全て踏みつぶされるらしいです。

さらにもう1つ、悩ましいルールが存在します。

実は、キノコを採っていいのは「偶数日」のみ。つまり、20日に大雨であきらめて次の日が晴天でも、21日は禁止!キノコ狩りに行ってはいけないことになっています。

ただし、そんなときには

「ちょっとオーストリアまで行こう!」

なんていう抜け道も。日にち規制のない隣国の森まで出かける人も多くいるのです。キノコを採るために国境越えるなんて、“さすがヨーロッパ”な光景ですよね。

 

さて、雨がたくさん降って森全体が湿った後、太陽がしばらく照った頃を見計らって、名人たちだけでなく素人っぽい私たちも、それぞれ秘密の森へと入ります。

まずパッと目に入るのが、遠くからでも目立つ真っ赤なベニテングタケ。毒々しい見た目の通り、いわゆる毒キノコ!!


ですが、ポルチーニと同じ環境に生息することから、その周辺はポルチーニチャンス。くまなく目を凝らして探します。

ポルチーニは傘がしっかりと硬めで、裏側がひだ状ではなく、スポンジのようにふわっとした感じ。さらに柄(え)の部分が太くがっしりとしていて、見分けやすい特徴を持っています。柄が赤いニセモノも存在するので、その点には注意が必要です!


キノコ狩り歴わずか3年程度の私、最初はキノコの感触が怖くて(?)触るのを躊躇していたくらいですが、最近、良いものを見る目が養われてきたみたい。

※この写真の中にはポルチーニが8本生えています


まるで生まれたてのように、ひょっこりと顔を出しているのを見つけると嬉しくなっちゃいます。


これくらい小さいほうが、新鮮で寄生虫もいないので、そのまま洗って調理するのに最適です。


小さく切って、オリーブオイルとニンニク、バターで炒め、タリアテッレ(フェットチーネ)などのきしめん状パスタと和えれば、相性抜群!この食感がたまりません~


 

生長しながら、スポンジ部分が白から綺麗な黄緑色へと変化して いくポルチーニですが、これが黒っぽくなると、あまり良い状態とは言えず、切り離して捨てなければなりません。


大きな大きなポルチーニを見つけたときは「おぉっ!」となる反面、白い寄生虫がにょろにょろと群がっていたり、ナメクジなどに食べられてしまっていたりすることも多く、「うぅっ…」となることも。


育ちすぎたもの=古いものは、ナイフやブラシなどで汚れを取り除いてスライスし、ストーブで熱を送って乾燥させ、その過程で寄生虫を完全に追い出します。

お手製の網に敷き詰める → ストーブで下から熱を送って一晩待つ


乾燥ポルチーニは、水で戻してリゾットにするのにピッタリです。


瓶に入れて保存しておけば、急な来客の多いイタリアでかなり重宝します。


 

キノコ狩りの許可を得るためにお金を払い、時間をかけて探すくらいなら、買ったほうが確実、と思う人もいるかもしれません。しかし、木々に覆われてひんやりとした森の中を歩くこと自体が楽しみの1つ。苔のじゅうたんのふわっと感が私は大好きです。


なお、売られている乾燥ポルチーニは通常、乾燥控えめ。水分でかさ増しされています。自分たちで採ってきた満足感と凝縮された旨味がより美味しいことは言うまでもありません。