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Conosci arbëreshe? カラブリア州に住む少数民族・アルブレーシュ(アルバレシュ)

カラブリア州の主に北部コセンツァ県内、自然の厳しい地域に「アルブレーシュ(もしくはアルバレシュ)」と呼ばれる少数民族が住んでいます。

アルブレーシュ(アルバレシュ)とは、500年ほど前にオスマントルコの侵攻から逃げてきたバルカン半島出身の人たちのこと。現代にいたるまで言葉・文化・生活様式をかたくなに守り、生活してきました。

コセンツァ県内の約30のアルブレーシュ(アルバレシュ)の村は、殆どがイオニア海が見える&岩々な場所に位置しています。イオニア海を渡ると、そこはかつての祖国。岩が多い場所を好んだのは、祖国の様子に少しでも似ているところを探して定住したからだとか。

※アルブレーシュ(アルバレシュ)とは:アルバニア系イタリア人自身を指すこともあるし、彼らの話す言葉や彼らの文化について指すこともあります。住む地域によって発音方法に若干違いがあるため、arbëresheの方かな表記に揺れが生じます。ここでは、ルングロ・チビタの人々の発音に最も近いアルブレーシュを第1位に、その次に多いアルバレシュを併記しました。

近代になって再興した本国・アルバニア共和国は、約400年に渡るオスマン帝国支配の頃の名残でイスラム教徒が多いですが、オスマン侵攻前の彼らの宗教は正教会派。

というわけで、カラブリア州内にあるアルブレーシュ(アルバレシュ)の村には必ずグレコ・ビザンチン様式の教会があります。グレコ・ビザンチン様式の教会は彫像が無く、宗教画(イコン)が壁面を飾っているのが大きな特徴。

さらに司祭さんが宗教行事をするのは壁の向こう側。いわゆる「秘儀」という扱いで、信者は見ることが出来ないなどのカトリックやプロテスタントとは色々違いがある正教会派なんですが・・・彼らが信仰する宗派は、ローマ法王のお墨付きをもらってカトリックの一派となっています。

こちら、大変貴重な晴れの日用の衣装で、彼らの中でも最高峰の地位付けをされている元貴族一家に伝わるもの。

通常は片栗粉やコーンスターチで刺繍部分を覆い、折り目ごとに充て布をして大切に保管し現代に伝えられたもの。粉を払って取り出すのも大変な、貴重な貴重な衣装です。

バルカン半島から逃げてきたのは、裕福な貴族と彼らに使える身分の人たち、さらに農民などだったと言われています。彼らはカラブリア州内でもかつての貴族を中心に部族社会を作り上げ、カラブリア各地にできた部族間交流などを積極的に行いつつもそれぞれの出身地域の伝統柄を守り・・現在、約500年が経過したところ。

実はアルブレーシュ(アルバレシュ)の間でも微妙に言葉が異なったりするんですが、それは、そもそもバルカン半島の「どこ」出身なのか、によるところも大きいのだそうです。500年前のご先祖さまの出身地域が言葉にわかっちゃうんですね。

さらに、言葉が簡略化されていく中で、住む地域の方言に強く影響された言葉になりました。この為、イタリア人の住む街から遠ければ遠い程、イタリア語化していない言語に出会うことが出来ると言われています。

アルブレーシュ(アルバレシュ)の村で比較的オープンなチヴィタ(Civita)では、各地から人々が集まって行うお祭りもあります。

正式には彼らの救国の英雄・スカンデルベルグ(Skanderbeg)のオスマントルコに対する戦勝記念のお祭り。チヴィタにはスカンデルベルグの直系子孫がいたこともあり、大変ゆかりがあるようで・・現在でも盛大に行われているお祭りです。

各地の民族衣装に身を包み、彼らの言葉で彼らに伝わる踊りと歌を歌いながら街中を練り歩きます。

※スカンデルベルグはオスマントルコの侵攻を一時退け、四半世紀にわたって独立を保った英雄です。彼の死後、10年ほど後にアルバニア地域は完全にオスマントルコと支配下に入りました。


お祭りの後は衣装の始末が大変らしいw

アルブレーシュ(アルバレシュ)の村があるのはカラブリア州コセンツァ県の北部地域に集中していて、さらにプーリア州・バシリカータ州あたりにもちらほら。

イタリア人でありながら異なる「祖国」を持つ人たち。

カラブリア州内ではチヴィタ(Civita)、ルングロ(Lungro)、ファルコナーラ・カラブレーゼ(Falconara Albanese)などが有名。彼らの村の近くになると道路標識も二か国語表示(イタリア語/アルブレーシュ)になったり、イタリアの中の異国を感じることが出来ます。

復活祭だ。大掃除だ! カラブリア州コセンツァの復活祭はクツッパとパスティエラナポレターナで

【復活祭のころ=大掃除の時期】な方程式のカラブリア州です。

カラブリア州の春は大掃除の時期。日本は大みそか前(年内)に済ませる作業ですが、カラブリア州では復活祭前後に大掃除をする家庭が多いように思います。

よって。。。スーパー内にもお掃除道具がいつもに増した量で並びます。色々ありすぎて選べない(笑


なんでこの時期に大掃除をするのか。これには諸説あるんですが・・・ヘブライ文化の影響が濃いと言われています。部屋の隅々までお掃除して、心の中もお掃除して「新しい人」に生まれ変わって春をお迎えする。日本の断捨離みたいなものでしょうか。新年度前に心機一転っていうカンジ?

カラブリア州での大掃除の風習は、暖炉で暖を取っていた時代の名残とヘブライ文化が融合したというのが有力な説。つまり、暖炉から出るススや灰で家の中が汚れてしまうので、暖炉が必要ない春になったら普通に行っていた徹底的にお掃除が宗教行事と結びついて習慣化している、という訳ですね。

復活祭はいわゆる移動祝日なのですが、カラブリア州ではちょうど暖房が必要ないぐらい暖かくなる時期なのでこの「暖炉の掃除説」はすごーく説得力がありますw

復活祭時期の大掃除については、コセンツァ市に「大掃除で冬の名残を落とし切る(落とし切って春を迎える)」という言い回しもあるぐらいです。

で、大掃除なんですが。。。

大物家具もすべて動かします(涙。

普段使わないクリスタル製品や銀食器なども磨き込み、家具内の物をすべて出して家具の後ろ側もしっかりお掃除。もちろん大物中の大物・クローゼットも動かします。

我が家には暖炉が無いので、こんなに一生懸命しなくても良いんじゃないかなーと思ったりしますが・・・大掃除をしないと春を迎えられないと思って、ここはガンバルところ。

復活祭前後はお休みになる会社も多いので、この休暇中に家族総がかりで一気に仕上げるのは、日本の年末大掃除と似ているかも。

ところで、カラブリア州の復活祭に欠かせないのが、卵を丸のまま入れ込んで焼き上げるパン菓子です。

地域によって呼び名が異なりますが、コセンツァ県内ではクツッパ(Cuzzupa)とかピッツァトラ(Pizzatola)などと呼ばれています。

飾りにしておく物なので、味よりも見た目重視ですよ(笑

形状に違いがあるものの、カラブリア州全域で作られる数少ない「カラブリア州郷土菓子」です。ちなみに、南のレッジョカラブリア県の友人によると、彼の実家のある辺りではブータ(Vuta)って呼んでいるそう。カラブリア州の方言は奥が深すぎる。。。


ちなみにカラブリア州コセンツァ県コセンツァ市で絶対に欠かせない復活祭のお菓子がパスティエラナポレターナ(Pastiera Napoletana)。大麦を牛乳で煮たもの、カスタードクリーム、リコッタクリームなどなどが入る贅沢ドルチェです。

これが無かったら復活祭を迎えられない!というコセンツァの家庭は多く、我が家でも山盛り作りました。

カラブリア州北部はナポリ王宮文化の影響を色濃く受けた場所。特にコセンツァ市はナポリ王宮に出入りしていた貴族が多く、さらにナポリアカデミー設立に携わった学者も輩出していたりしてナポリとは切っても切り離せない間柄。

今でもその名残が言葉に・食文化に残っていて、その一つがこちらのパスティエラを復活祭に食べる習慣だと言われています。パスティエラに欠かせない材料の一つ、チェードロ(シトロン)の特産地っていうのもコセンツァでパスティエラが好まれる所以かも、ですね。

 

 

~カラブリア州で電車利用予定のみなさまへ~

カラブリア州内を電車で移動予定の場合、一番注意していただきたいのがご自身の荷物の量(というか重さ)。

州内に特急が停車するのは北から、パオラ(Paola)、ラメッツィアテルメ(Lamezia Terme)、ヴィラサンジョバンニ(Villa S.Giovanni)、ついでにレッジョカラブリア(Reggio Calabria)がありますが・・・どの駅も駅舎内施設がとことん悪く、荷物が多いと移動に難儀します。

※レッジョカラブリアが「ついで」扱いなのは、ほとんどの電車がヴィラサンジョバンニからシチリア方面へ行くからです。

こちら、カラブリア州の空の玄関・ラメッツィアテルメ空港(SUF)間近のラメッツィアテルメ駅。

駅~空港間はシャトルバスが運行しているので移動は便利。タクシーも常にいるし空港そばの駅の上、ちょうど州の真ん中ほどに位置しているので利用を考える方も多いと思います。

最近はほとんどの航空会社がエコノミークラスで23㎏×2つの荷物+機内持ち込み荷物を認めているので、皆さん大荷物になりがち。イタリアからのお土産品などを考えたらスーツケースの数が増えるのも納得なんですが。

その旅行者の前にはだかる難関がこちら!


エレベーターって何?な、階段です。

こちら、カラブリア州主要駅であるはずのラメッツィアテルメ駅構内の様子。ちなみに、この階段を上がらないと空港行のシャトルバスに乗れません。

もちろん、駅ホームと地下通路をつなぐのも階段のみ。エスカレーターもエレベーターもありません。

これはもう一つの特急停車駅・パオラ(Paola)も同様。一応地下通路とメイン玄関をつなぐエレベーターがあるのですが・・・万年故障中で、稼働しているのを見たことがありません(涙

※車いすを利用するなど移動に駅員の手助けが必要な方は、事前に予約することでサービスを利用することが出来ます。

そもそも、イタリアの駅は大きなスーツケースを持って移動する個人旅行客に不親切な設計ですが、カラブリア州の主要駅はその最たるもの。

親切な人が多いので、大抵は助けてもらえますが・・・電車移動を予定されている方は十分ご注意ください。

こちら、特急停車駅・パオラから引き込み線で到着できるコゼンツァ駅。

コゼンツァ駅内はすでに地下通路からメイン玄関への階段部分にエスカレーターが設置され、現在はホームと地下通路へのエスカレーター設置工事中です。

今後、カラブリア州内の他の主要駅も改装工事が進むそうですが・・・すべてが完了するのはきっと50年後(笑

カラブリア州の隠れた特産物・ベルガモット


カラブリア州の特産品の一つ、ベルガモット。レモンに似たかんきつ類で、特産品と言ってもカラブリア州の南部地域・レッジョカラブリア県のさらにごく一部でしか取れない、とにかく地域限定の特産品。もちろんDOP食材です。

「大きさはオレンジの様で、熟して黄色くなるとレモンの様、でもその香りは唯一」と言われ、豊かな香りの皮が香油の原料として古くから珍重されてきました。

イタリア語ですが、こちらのサイトに写真の説明詳細が出ています。

写真は20世紀初頭頃のベルガモット加工工場の様子。1900年代中ごろに近代的な機械が登場するまで、村総出で収穫し、手作業で皮を剥き、香油原料を得ていました。

香油原料は主にヨーロッパの大都市圏に輸出されていて、フランスが最大の輸出先だったとか。

大きな産業の無かったカラブリア州南部地域では、ベルガモットが村全体の生活を支えていた場所が少なく、そういった村々に収穫の際にのみ歌われる民謡などが伝わっています。

大切な大切な収入源だったベルガモット畑は、現在でも「場所は秘密♡」という生産者が少なくありません。盗まれちゃったら大変ですから!

中には畑の見学を許可してくれる生産者もいますが・・・本当にごく一部の生産者のみ。それほど地域にとっては無くてはならない、大切な農作物でした。


12月~2月が収穫・加工作業の最盛期です。

現在でも豊かな風味を逃さないよう、収穫後すぐに加工が始まります。香油原料としては新鮮さが命。収穫から約5時間以内に加工を始めるのが普通のようで、収穫時期はとにかく忙しい農家さんが殺気立ちます(笑

香油原料としては冬に収穫される完熟が、香水としてはまだ実が小さい夏のうちに収穫したものが使われるとか。

 

ちなみに、私の住むカラブリア州北部コゼンツァ県では別の特産かんきつ類があるため、そもそも店頭にすら並びません。もしかしたら、ベルガモットがカラブリア州内で耕作されている事すら知らない人がいるかもしれない、ぐらいのレアな農作物なんですよ。

カラブリア州に住んでいても滅多にお目にかかれない、そんなレア感漂わせるベルガモット。最近では、この豊かな香りを食卓で楽しもうというムーブメントの中からベルガモット製品が登場、州内の旨いモノ好きの間で人気があります。


その筆頭が、ベルガモットの皮と晩生のオリーブの実を一緒に粉砕させて作られるベルガモット風味のオリーブオイル。

そして、苦味が強くて生食に向かないフルーツも使ったコンフェットゥーラです。

柚子とライムに似た香りは日本人の私でも使いやすく、我が家は「Frantoio del Borgo」社のものがお気に入りで、ベルガモット風味のオイルとコンフェットゥーラを常備しています。

※コンフェットゥーラとは・・果肉が全体の35%以上を占めるジャムのこと

かんきつ類なので魚を使ったお料理と相性が良いのはもちろん、ただ煮ただけのほうれん草にまわしかけたり、重めのお肉料理を盛り付けた後に使ったりしています。

少量でもしっかりと香るので、コスパが良いのも嬉しい♡

数滴ちらすだけで、ふわりとベルガモットが香り、簡単なお料理も少し違った雰囲気になるので重宝です。お料理上手産の間では、色々なお料理の隠し味などにも使われているベルガモットのコンフェットゥーラ。私はベルガモット自体の苦味が結構好きなので、そのままパンに乗せて朝食のお供に使うことが多いかな。

香油を得るために、すなわち「外」に売るために作られていたベルガモットが、カラブリア州内の食卓を豊かにする製品に加工されるようになったのは嬉しい限り。

食品に加工されるようになって、州内でもベルガモットに対する認知度も上がり、合わせて世界からもこの知られざる「食用」かんきつ類が注目されている昨今です。

あまり聞きなれないかんきつ類かもしれませんが・・カラブリア州にベルガモットという、なんだか珍しい果物があるんだなと覚えていただけると嬉しいです♪

カラブリア州内には特産のかんきつ類がまだまだあるので、今後少しずつご紹介しますね。

冬の風物詩・豚仕事。カラブリア州はンドゥイヤも作ります。


12月の末からカラブリア州一帯で始まるのが「豚仕事」。春生まれの豚さんを〆て、サラミに加工する一連の作業です。

サラミ工房でも豚を持っている一般家庭でも普通に行われる豚仕事。豚を飼う伝統のある地域の風物詩ともいえる「豚仕事」ですが、カラブリア州の一部では特産サラミ・ンドゥイヤ(’nduja)も一緒に作られます。


ンドゥイヤはカラブリア州を代表する辛くて塗れるほど柔らかいサラミ。州を代表する有名サラミなんですが・・実はつい数年前まで、州中西部のある地域でしか作られていませんでした。

ある地域とは、カラブリア州最大の観光地・トロペア(Tropea)近郊の小さな村、スピーリンガ(Spillinga)周辺。

ンドゥイヤがこの地域特産サラミと言われているのは、この辺りの独特な地形と気候がンドゥイヤ作りに欠かせないものだったからで、現在でもスピーリンガの物が最上級品とされています。

作り方はカラブリア州の一般的なサラミとほぼ同様。大きく異なるのは「ほぼ脂身じゃない?」っていうぐらい脂身が多く使われること。

※ちなみに、コゼンツァ市で同様に作ろうと思うと上手にできません


本物のンドゥイヤは、乾燥パプリカを石引したものを使います。パプリカは甘口・辛口があり、それぞれの工房・家庭がオリジナルブレンドをして辛味を調節しています。晩秋に工房を訪問すると、乾燥パプリカを石引する作業を見ることが出来ますよ♪

また脂分が多いので、数か月の熟成を経て後もそのまま塗れるほどの柔らかさを保てるんですね。

そして、ンドゥイヤを作る地域の最大の特徴がこの燻製作業! これは、一般家庭の燻製小屋の様子です。一般家庭に燻製小屋がある事自体が驚きですが・・まぁカラブリア州ですんで(笑

私の住むカラブリア州コゼンツァ県では、サラミを作ったら屋根裏部屋などで乾燥させ、たまに煙を掛ける程度で「燻製」作業は行いません。なので・・・コゼンツァ界隈では燻製小屋を見かけません。

スピーリンガ村界隈ではサラミ作りをするには温暖すぎるため、出来上がったサラミは即・燻製室へ! なので、普通の家庭にも豚仕事スペース脇に燻製小屋があるという訳。

もちろんンドゥイヤも最初に燻製作業が行われます。

一言に「カラブリア州のサラミ」といっても、これだけ豊かな地域差があるのが面白いですね♪


こちら、農家さんの「豚仕事」の様子。今年から紐かけ作業を任された、若手さんが頑張っています。

腸詰作業用の機械にンドゥイヤの中身がスタンバイされ、あまりの量に「やっとサルシッチャが終わったのに~」と苦笑い中(笑

豚一頭はだいたい200㎏ぐらい。解体するのも一苦労ですが、様々なサラミに加工するのも1日掛かりです。

豚を持っている家では、1日1頭のスペースで冬の間を通して豚仕事を行います。カラブリア州ではだいたい12月末から1月末がシーズン。

祝祭日はちびっこ達にも積極的にお手伝いさせ、家族総出で行う「豚仕事」は世代を超えて確実に受け継がれている模様ですよ♪

 

~おまけ~


 

私がご案内している工房では、自家製豚使用のこだわりのサラミ製品を作っていて、もちろん工房見学後に試食会があります♪

ンドゥイヤだけでなく魅惑のサラミの数々は、自家製赤ワインと一緒にご試食ください♡

 

南国カラブリア州でスキー・スキー

南国のイメージが強いカラブリア州内には、実は4つの大きな(?)スキー場があります。

私の住むコゼンツァ(Cosenza)から近いのはシラ国立公園内の3つのスキー場で、それぞれカミリアテッロ(Camigliatello)、ロリーカ(Lorica)、ヴィラッジョパルンボ(Villaggio Palumbo)と、地名を取って呼ばれています。

以前はさらにもう1軒のスキー場があったのですが・・いろいろあって休業中(涙

今年は積雪に恵まれ、カミリアテッロとヴィラッジョパルンボはすでにオープン。ロリーカは技術的なチェックが済み次第オープンの予定。

先日滑りに行ってきた、カミリアテッロの様子をお伝えします。

カラブリア州最大規模、といっても山の頂上からの2本のゲレンデしかありません。赤は中級者用、青は初級者用のゲレンデ。

イタリアの初級者ゲレンデは、日本の中級レベル程度だと思って間違いないと思います。たまーに斜度のきつい場所もあるので、超初心者さんはご注意を。

それぞれ約2キロ程度の長さなので、ゲレンデ途中にお休み処はありません。。。

頂上のゴンドラを降りたところに小さなレストランがあります。

この日はガスっていましたが、天気の良い日だと山の反対側も見渡せるビュースポットに位置していて、ここのホットココアを飲みに、わざわざゴンドラ使って登ってくる人たちもいる人気レストランです。

スキー場があると言っても、カラブリア州内のスキー人口はさほど多くありません。このレストランも「雪が降ったからお散歩に♪」な訪問者が多いんだとか。

ちなみにこのゴンドラは夏場も営業していて、特に8月はシラ国立公園内でピクニックをする人たちで混雑します。

ゴンドラで一気に頂上まで登り、滑り降りる形のゲレンデデザイン。

初級と中級ゲレンデが途中何か所かでクロスします。

シラ国立公園ならではの、ほぼ全域が林間コースになっているけれど、幅が狭いところは少ない滑りやすいゲレンデです。

雪が降ったらオープンして、雪が溶けたらクローズする。

そんなユルイ営業ですが、州内最大規模・南伊でも大規模スキー場の部類に入るため、プーリア州やシチリアからも人が押し寄せるそうです。

そもそも、こんな南国で滑れること自体がスゴイらしい。

コゼンツァ(Cosenza)の人にとっては家から車で約30分の「ウチの裏山スキー場」で、これから始まる冬休み中はスキースクールに通う地元のちびっ子で賑わいます。

レンタルスキーやスキーレッスンも、色々サービスが悪いカラブリア州のわりに充実(笑。

ウェアのレンタルはないけれど、ゴーグル・ヘルメット・ブーツ・スキー(もしくはスノーボード)のレンタルはどのショップでも可能です。

スキー教室は各社がチケット売り場前にて受付をしていて、認定資格を持つ先生たちのレッスンを受けられます。クリスマス休暇期間中は要予約。

雪遊びスペースやソリ貸出も行っているので、ちょっとした雪遊びも可能です♪

北部イタリアのスキー場と違い、寒い日でも-10℃くらいまでしか気温が下がりません。ちなみに、先日滑りに行った際のゲレンデ平均気温は約2℃でした。で、コゼンツァに戻ってきたら13℃だったという(笑

 

南国カラブリア州で、まさかの雪遊び。コゼンツァの人にとっては当たり前の光景ですが・・・確かに南伊の他の地域からしたら、雪があったらの超限定体験ですね。

シーズンは2月下旬頃まで。雪があれば3月でもオープンしています。

コゼンツァ市からバスも出ていますが、車での移動が便利です。路面はしっかり除雪してあるのでチェーンを掛ける必要はありませんが、冬用タイヤは必須。南伊では冬用タイヤを標準装備している車が少ないので、車を借りる際に必ず確認してください。

 

カミリアテッロスキー場/ARSAC(

カミリアテッロ村から車で3分。(村内に道路標示あり)

・半日券17€~

・1日券25€~

・1回券4€~

週末・祝祭日は値段が上がります。

駐車場無料

もうすぐクリスマスシーズン到来!この時期に我が家で作るカラブリア州郷土菓子をご紹介します。


いよいよクリスマス! イタリアの本格的なクリスマスシーズン入りは12月8日から。我が家も8日にクリスマスツリーとプレゼーペを飾ります。(写真はボローニャのクリスマスツリー)

クリスマスの飾りつけと同時に始まるのがクリスマス郷土菓子作り。カラブリア州コゼンツァ県では、はちみつやナッツ類を使った素朴なお菓子を並べてクリスマスをお祝いするのが習わしです。

で・・・この郷土菓子の数々。もちろん地元語で呼び名がついていて、「これ、イタリア語?」というものばかり(笑

それでは、カラブリア州コゼンツァ県コゼンツァ市のクリスマス菓子の中で、我が家で作るお菓子一覧です! 読めるかな?

・Pitta ‘mpigliata

・Turdiddri

・Chinuliddri

・Ciccitieddri

上から解説してみましょう~


Pitta ‘mpigliata(ピッタンピリャータ)はコセンツァ市から30分ほどの山村発祥のお菓子。このお菓子ばっかりは、名前のバリエーションがありません。どこに行ってもピッタンピリャータはピッタンピリャータです♪

カラブリア州中東部では、ピッタンキューザ(Pitta nchiusa)という名前が似ているお菓子がありますが、こちらは全くの別もの。混同するとカラブリア人が悲しみます(笑


Trudiddri(トゥルディッドゥリ)はイタリア語でTrudilli(トゥルディッリ)のこと。ニョッキ状に成型した生地を揚げて、こちらもはちみつをたっぷり掛けます。

ドゥリドゥリ言うのはコゼンツァ市方言の特徴。発音も大変なんですが、カタカナ表記でも難しいですね(笑


こちらはChinuliddri(キヌリッドゥリ)。単純にChinuli(キヌリ)と呼ばれることも。ナッツ類たっぷりクリームをラビオリ状に閉じて、オーブンで焼き上げるか揚げます。

人気はやっぱり揚げバージョン。カラブリア人って揚げ物好きですよ~(笑

州の南・レッジョカラブリアには、表面に美しい細工を施したりもするPerali(ペトラリ)という名の似たお菓子があります。


Ciccitieddri(チチティェッドゥリ)はナポリのStruffoli(ストゥルッフォリ)由来のお菓子。この名前を使うのは、コゼンツァ県コゼンツァ市とその周辺です。

豆粒大に成形した生地を揚げ、はちみつで固めます。プルーン型を使って大きくまとめることもあります。

バシリカータとカラブリアではCicirata(チチラータ)やCiceraciata(チチェラータ)が通り名。カラブリア州中部ではPignorata(ピニョラータ)とも。

単純にStruffoli Calabresi(ストゥルッフォリカラブレージ・カラブリアのストゥルッフォリの意)と呼ばれることもあります。

 

クリスマス前にはざっとこのようなお菓子を作り、魅惑の「クリスマス菓子コーナー」を作ります♡


そして、24日のディナーと25日のランチで粛々と頂きます。あくまでも粛々と。どんなに満腹でも別腹で(笑

 

いつにも増して「お食べ地獄」なクリスマスシーズンまであと少し。カラブリア州の我が家でもいよいよクリスマス菓子作りが始まります!

 

 

カラブリア州ってこんなところ!


はじめまして。カラブリア州コゼンツァ県コゼンツァ市在住の澤井英里です。「カラブリア州が大好き!」と言っては周囲に変人扱いをされています(笑

エノガストロノミーを基軸に置いた州内のご案内もしているのですが「日本語のカラブリア州に関する情報が極端に少ない」といった声も聞こえてきます。

これから、カラブリア州の一般観光情報や見どころの紹介、美味しいモノ情報やカラブリアでの生活、知られざる特産品などなどについて現地からお届けできたらと思います。

まず最初は「そもそも、カラブリア州って?」のご紹介を。

 

✅州の概要

カラブリア州はイタリア半島の南端、目の前はシチリアです。

カラブリア州を訪問したら体験しておきたいのがメッシーナ海峡越え。電車利用の場合は、電車のままフェリーに乗り込む体験もできますよ♪


写真右がカラブリア、左側がシチリアです。

かれこれ2000年以上「支配される側」にあった為、現在州内に存在する5つの県では、それぞれが異なる文化・風習・方言を持つ、複合文化州です。もちろん、食文化も県ごとに異なります。

5つある県の内、特に北部コゼンツァ県(県庁:コゼンツァ市)・中東部カタンツァーロ県(県庁で州都:カタンツァーロ市)・南部レッジョカラブリア県(県庁:レッジョカラブリア市)が歴史が古く、また規模も大きく有名です。

サッカーファンの方なら「日本人がプレーしていた街」としてレッジョカラブリア市をご存知かもしれないですね。

大雑把にナポリ文化圏のコゼンツァ、ギリシャ文化圏のカタンツァーロ、アラブ・シチリアよりのレッジョカラブリアと言われています。

 

✅豊かな自然

カラブリア州は700㎞とも800㎞ともいわれる美しい海岸線を持ち、山岳地帯多めの土地柄です。

イタリア最大の面積を誇るポッリーノ国立(Parco nazionale del Pollino)をはじめ、ヨーロッパで一番空気な場所らしいシラ国立公園内(Parco nazionale della Sila)など、豊かな自然に事欠きません。


州内にはスキー場も何か所かあり、豊富な雪解け水に支えられた耕作地帯も存在し、実はお米も作っています。

国立公園内では酪農も盛んで、コゼンツァ市のすぐ裏にあるシラ国立公園ではこの付近でしか見られなくなった古代種・ポドリカ牛も繁殖されています。

ローマ時代にはすでに繁殖が行われていたポドリカ牛は、乳牛でもあり肉牛でもある上に飼育が難しく、現在でも大変珍重されています。コゼンツァでは最高級のカッチョカバッロチーズはポドリカ100%もの、と言われているんですよ。

 

✅食生活

カラブリア州は「貧しい食事(Cucina povera)」を地で行く良く文化を持ちます。加えて、常に支配される側だったため、特に自然が厳しい地域では冬季に餓死者を出さない方法・保存食つくりの技術を発達させました。

手元にあるもので工夫して作られるレシピが多いのも被支配者だったころの名残。現在では逆に贅沢に思える、旬の食材のみを使った地産地消文化の根が張り巡らされ、村ごとに異なる郷土料理が存在しています。


農家の日曜日のごちそうランチはこんなカンジ。

同じ食べ物でも隣り合う村で呼び名・使う材料が違ったりして、在住者の私でも毎回新しい発見が楽しいのがカラブリア州の食卓事情も、今後折を見てお伝えいたしますね。

かつての支配者たちが残した食文化をうまく取り入れたカラブリア州独自の食品も多く、例えば世界的に有名になった辛くて塗れるサラミ・ンドゥイヤ(’Nduja)はナポレオン時代のフランス産サラミが由来と言われています。

 

✅さいごに

次回より、州の交通情報など旅に役立つ情報、美味しいモノのご紹介、州内の見どころや特産品などなどを写真たっぷりでお伝えします。


写真は最近人気の訪問地、陶器の街としても有名なスクイラーチェの城址。陶器作り体験もできるのですが、こんな小さな村の情報もどしどし発信予定です。お楽しみに!

「カラブリア州のこんな情報が欲しい!」などのご要望もお気軽にお寄せくださいね♪