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王様の置き土産? カゼルタ県でShow Cooking

イタリア好き読者の皆様 いまさらですが、あけましておめでとうございます。今年もカンパーニア州をよろしくお願いいたします。

果報は寝て待て。
待った甲斐があり、ご縁があって、”卓越したカゼルタ県の食のショークッキング”へ参加させて頂きました。カンパニアと言えば、カプリやアマルフィ、ナポリばかりのクローズアップで、海のイメージが強いのですが、今回は海から離れ内陸へ。本誌でも2度ほど取材させて頂いた、チレントも未知のカンパニーア州ですが、このカゼルタ県もカンパーニア州5県の一つで、王宮は有名ですがそれ以外の場所は馴染みがない方が大半だと思います。偉そうに言っていますが、カゼルタ県は、私もほぼノーマークゾーンでした。

◆昨年Caiati 15’にて悲願のトレビキ獲得。ワイナリALOISのオーナーミケーレさん◆

ナポリ一帯は、1738年ウィーン条約からカルロ5世となりナポリ支配が始まります。
歴史の話はうっとおしいのですが、ナポリが栄華を極めた時代、カンパニーア人にとってのベルエポック(良き時代)な訳で、ナポリ人の家には下手すると、イタリアの国旗より、両シチリア王国の旗があったりします。
◆こんなに遠くまで降ってきた、ベスビオ火山灰の堆積層◆

今となっては信じられませんが、ナポリは欧州の重要都市としてのフランスのパリ同様の文化レベルと地位を築きました。そんなブルボン王朝の王様は、政治以外にもいろいろやっていたんだな~と、カルロ5世と息子のフェルディナンド1世が、妙に身近に感じたワークショップでした。カゼルタ県の北内陸、ラッツィオ州に近いロッカモンフィーナ、マテーゼとの迫にあるポンテラトーネには、あのベスビオから降ってきた火山灰の体積層からなる、土壌があります。


◆ピエトロ・レオネッティ氏 子羊の炭火焼、生後2~3か月のとても小さな羊◆

ナポリがブルボン朝支配の時代(日本はどっぷり江戸時代)に、ここカゼルタ王宮の後方には、カルロ5世の息子、フェルディナンド1世が推し進めたプロジェクトで絹織物工場を核とした理想郷、サンレウチョの町が広がります。日本人観光客の方々が、ほぼ皆さんスルーですが、ここもユネスコの世界遺産なのです。手つかずだったこの地に王は、大ギリシャ時代から伝わる土着品種のパラグレッロ・ビアンコ、パラグレッロ・ネーロ、カーサヴェッキアというような苗を積極的に栽培したり、今回のショークッキングでもメニューに上がった、羊の飼育も推進したそうです。ブルボン朝支配下時代からつけ継がれるこのの羊は、臭みが尻尾に集積しやすい品種で、実際、羊独特のにおいは一切しませんでした。

ナポリが芸術と政治の中心だとすれば、この一帯は、ブルボン家の産業の核になっていたのかもしれないなぁ~。
250年以上前から受け継がれる羊の品種の肉を食べて、土着品種のワインを飲んでみると、「あっ、王様、こんにちは! ものすごいセレクトで攻めましたね、21世紀でも全然行けてますぅ~」と言いたくなるぐらい身近に感じてしまう。。


◆ミシュランスターシェフのレナート・マルティーノ氏のショー◆

ブルボンパワーの次には、水牛肉のカルパッチョ。カゼルタ県はモッツァレッラチーズの産地ですが、その水牛の【乳】ではなく、【肉】です。やっぱり、ミシュラ~ンのスターシェフによる魔法がかかると、ただの焼肉ではなくなりますね。まさかのクルード(生)にオリジナルの味付けであっさり!前菜からおかわり!してしまいました。こちらも臭みゼロ。


◆ジュゼッペ・イアコネッリ氏 チーズ作りはフランスから学んだ部分が多いそうです◆

そして私が興味を持ったのは、凝乳酵素を一切使わないチーズCandida。チーズの始まりはそもそも、牛乳が温度により発酵し始め、少し凝固した感じ?発酵過程において、マルサラ酒で少し風味付けをしているチーズで、この生きた食品は、日本の豆腐に通じるものがある。マルサラがチーズの発酵で何となく味噌麹のような味わいになったもろみ風のチーズでした。


◆フランコ ペペ氏 揚げ、窯と2種類づつを披露◆

そして昨年度、Pizza50のコンクールで、ナンバーワンに輝いたフランコ氏のピッツァ。ここ数年でナポリピッツァはずいぶん変わってきましたので、その最先端ピッツァとでも申しましょうか?生地が軽く、胃にもたれない。トッピングの素材には厳選をした地元の素材を使用しています。ワークショップ前日に、お店の方へもお邪魔しましたが、最近のナポリピッツァを知らない方が食べたらびっくりするようなヘルシー感にあふれています。

今回のワークショップメーカーは、
ワイナリ:ALOIS
料理:Ristorante Vairano del Volturno
肉:Ristorante Frantoio Ducale
パスタ:Pastificio Gerardo di Nola
ピッツァ:Pizzeria Pepe in Grani
チーズ:Optimum Sancti Petri
でした。各メーカーの皆さま、ありがとうございました。


ナポリと近郊の最新情報はBLOG【ナポリのテラスから】 をご覧ください。
南イタリア、ナポリ市内の交通や観光ツアー情報他【Piazza Italia】サイトをご覧ください。

小さいけど大きな世界  Il presepe napoletano


あっという間に12月。スパッカナポリが一番多くの観光客でにぎわう季節がまたやってきました。
ナポリはイタリア有数の港町で、夏の間豪華客船に乗った世界中からのツーリストが毎日やってきますが、そんな夏の喧噪を忘れたころ、また沢山の人でにぎわう12月。何故なら、プレセーペを見にヨーロッパ各国から沢山の観光客が訪れます。意外かもしれませんが、スパッカナポリは夏のバカンス期でなく、12月が一年で一番賑わう季節なのです。

ナポリには西暦1000年代既に、プレセピオらしきものが存在していたようですが、黄金の時代と言えるのは、ブルボン王朝支配下の1700年代。教会などに置かれてた宗教的なキリスト生誕のシーンから、芸術作品として王宮内へ置くようになってから、貴族や富裕層を虜にさせていったからです。当時の王家や、貴族のコレクションの芸術的なプレセペは今でもサンマルティーノ博物館や、カゼルタ王宮内で見学することができる。現代社会の21世紀の一般家庭では、プレセーペも変化し、一般家庭におけるコンパクトサイズに変わり、パストーレと呼ばれる人形たちも、テラコッタ(粘土)でできたものが一般的。スパッカナポリ内では、Via San Gregorio Armenoが有名で50Mほどの細い路地には、プレセピーペの屋台がひしめき合い、観光客がクリスマス時期に訪れたら必ず行くマストな場所!


でもね、イタリア好き、ナポリ好きの皆さんならご存知のように、Via San Gregorio Armenoのプレセーペは一年中見ることができます。なので今回は、ナターレの時期限定のAssociazione Pesepio Napoletana(ナポリプレセーペ・アソシエーション)特別展示ご紹介します。この時期旧市街地のあちこちで特別展示が行われますが、現代マエストロたちの力作が、小礼拝堂内で無料で見学できますョ。



こちらは、スパッカナポリの入口にある、サンタキアーラ教会のすぐ近くに位置するChiesa di San Marta。住所:Via S. Sebastiano, 41,で行われています。クリスマス期間中は10:00-19:30ノンストップで見学できます。NPO団体の方々の運営なのようので、できれば、毎年行えるように、50セント~1ユーロ程度心付けを残してあげるようにしましょう。

その他、
冬のナポリの情報は【ナポリのテラスから】
ナポリ市内の交通や観光ツアー情報は【Piazza Italia】サイトをご覧ください。

では、Buon Natale 🌠

置物がビジューに変化した逸品

カポディモンテ焼きは、イタリアによくある、チェラミカ(陶器)ではなく、Porcellana(磁器)。ナポリが世界に誇るManifattura(手工業)の一つで、起源が「王家御用達」から始まるので、その流れを受けてか?ナポリ貴族の屋敷には今でも必ずといっていいほど年代物のカポディモンテの装飾品があります。
高貴過ぎて、お値段的にもデザイン的にも庶民の私の生活とは関係ないもの的な位置づけだったのですが
なぜ今回、皆さまにこちらをご紹介することにしたか?を一言でというと、ひとめぼれです。


こんなカポディモンテ焼、見たことがない!

横穴通しの変わったデザイン、控えめなミニローズとエレガントな白。そしてポーション(大きさ)でしょうか?
初めて見たとき、既にペンダントヘッドに目が釘ずけになりました。
私の友人であり、アーティストの奥様の胸元にいい感じで(写真は娘さん)収まっていて、とてもエレガントでした。
もともと奥様へ贈るために作ったオリジナルの一品ですが、今回お願いしてイタリア好きのWEB上で販売をさせて頂くこととなりました。


イタリアンマダムは自分用に、ご自分で独自にこんな感じでパーツをダブル使い。とても気に入ってるそうで、周りに褒められたそうです。紐や鎖、パーツで自分風にアレンジも可能です。


アーティストのEnzoさんがナポリの工房でカポディモンテ焼きの伝統に従い、型を一切使わずに、一枚一枚指先で生み出した花びらを、一輪の花に一つ一つ心を込めて仕上げていきます。

イギリスのハロッズ、アメリカのスミスソニアン他諸外国の貴賓からもリクエストがあるそうで、素朴な野草からゴージャスなブーケまで、花のバラエティには事欠きませんが、やはり表情が最も豊かなのはバラですね!

■カンパーニア州:カポディモンテ焼き バラ(Rose)ペンダントヘッド

現代女性の美意識スタイルに合わせカポディモンテ焼きのオリジナル作品を生み出すアーチスト、エンツォ・サヴァスターノさんが日本人女性の質感に合う大きさと、洋服を選ばずつけられる純白の色で仕上げた作品をご紹介!
>>カポディモンテ焼き バラ(Rose)ペンダントヘッドのご購入はこちらからどうぞ

チレント好き!

皆さま、初めまして。カンパニア州ナポリ在住の祝(イワイ)と申します。
南の玄関口カンパニアといえば、カプリ島やアマルフィなど、世界的なリゾート地が多々ありますが、そんなVIPな雰囲気と対局なチレント。ちょうど一年前イタリア好きの本誌でも特集させて頂きました。
しかも、過去二回のカンパニア取材はどちらもチレントです。マッシモ編集長もお気に入りのようで嬉しいです。

人が好き
旅が好き
出会いが好き
食べることが好き
愛することが好き
楽しいことが好き



そんなイタリア好きのテーマに限りなく近い民族だからでしょうか?
毎日ナポリにどっぷり浸りながらも、なんだか心の横にいつもチレントがあります。
そして先週、チレントへ行く機会があり本誌でご紹介した方々にも数人会えました!

カルメーラ! 前回のイタリア好きの主人公です!
この日は、一人息子ニコラ君のサッカー練習のお出迎え。右は旦那様のアントニオさん。
前回のイタリア好きではアントニオさんにはあまり触れませんでしたが、商工会議所認定の味覚鑑定士として、オリーブオイルメーカーで、ブレンダーなどの経験もあり、まさに!搾油の季節ですので、オリーブオイルに関する「Vero e Falso(嘘と本当)」など、非常に沢山の事を教えて頂きラッキーでした。


オリーブオイルメーカーのPietrabianca。この時期、当たり前ですが一分たりとも隙間なしの過密スケジュールをこなすジェルマーノさん。自社ブランドの収穫はほぼ終了。機械がフル稼働でうるさいので、耳にヘリ用の騒音よけをつけています(笑)。会話がかなり成立しにくかったです。

生まれたてのオイルは真緑のどっろどろです。濾過する前だから、濁っています。
チレンターニ達は、自分の畑を持っている人が非常に多く、収穫したオリーブを搾油所に持ち込んでオイルにしてもらうんです。


そして、豆農家のミケーレさん。息子さんのアンジェロさんも一緒に!
地球温暖化の影響で、自然と向き合う農業の方々は予測不能なお天気にずいぶんと悩まされていると思いますが、コントローネ種の豆ももうすぐ収穫を迎えるそうです。月末には第35回コントローネ豆祭りが開催予定です。

そんなチレントのミクロネタ話しはブログ、「ナポリのテラスから」にて続けてご紹介していきたいと思います。


大好きなチレントをこの場でご紹介することができて、とてもうれしく思います。