グラスとワイン。その関係は知るほどにおもしろくなる。
「イタリアのグラスと料理で紐解くワインの味覚体験」の企画に先立ってソムリエ永瀬喜洋さんとのインスタライブを開催しました。今回はそのハイライト版として2つのトピックをお届けします。【1】今回なぜイタリアの代表的なグラスメーカー「イタレッセ」を軸とした「ワインとグラス」にまつわる企画を立ち上げるに至ったのか?
【2】3種類のグラスを用いた飲み比べ。「グラスの形状によって、ワインの味わいはどう変化するのか?」
【1】「イタリアのグラスと料理で紐解くワインの味覚体験」立ち上げの背景
編集長 松本:
最新号vol.64で、イタレッセで現在代表をしているマッシモ・バルドゥッチさんに取材をしました。彼は父親から引き継いだイタレッセというブランドをどのように昇華させるか、ブランドの基礎を踏まえつつ、大胆に革新していて。お、これはおもしろいなと思って、その魅力を伝えられるような企画をしたいと思っていたんですね。
そんな時にたまたま永瀬さんとお話しをたら「僕も実はイタレッセのグラスすごい気になってたんですよ」っていうんです。
そこから食事を兼ねた企画をやりたいとなって。ガストロノミアヘリテージヨコハマの佐藤護シェフに相談しに行ったら、「僕もね、そういうことをやりたいと思ってたんですよ」って言うんです(笑)
佐藤シェフとしては「自分がある程度いい年になって、後進たちにいろんなことを伝えていくための機会を作りたいと考えてたんだ」って言うんですね。
お互いのやってみたいことの点と点が合わさって、ぜひ一緒にやってみましょう!となったのが、今回の企画「イタリアのグラスと料理で紐解くワインの味覚体験」です。
永瀬さん:
イタレッセってもともとカジュアルな印象のイメージがあったと思うんですけど、私たちは“イタリア好き”なので、ちょっとひいきに見てたブランドではありました。
今、ブランドとして何が変わったかというと、イタレッセではイタリアの品種に特化したグラスを作り始めています。ファランギーナやベルメンティーノ、ネッビオーロやブルネッロの専用グラスなど、かなり攻めてます。世界には色々なグラスメーカーがありますが、これはイタリアのグラスメーカーだからこそやれること。そんなブランドのおもしろさを、まずイタリア好きの皆様に紹介したいと思ったわけです。
編集長 松本:
佐藤シェフも、永瀬さんに説明してもらいながらイタレッセのグラスでワインを飲んだら、「すみません。僕あの今までの考え間違いました」とおっしゃっていましたね。それくらいグラスに対する価値観が変わります。
今回の企画では、講義というより、ヘリテージヨコハマの素晴らしいレストランで開催することで、実際にイタリア料理を食べて、イタリアワインを飲みながら、グラスの話も聞いて、料理やワイン、ペアリングの話も聞いて、さらにはグラスのお土産も持って帰れるというものになっています。これはかなり貴重な体験になると思いますよ。
【2】グラス選びに正解はないけど、違いが分かるとおもしろい!
永瀬さん:
今回飲み比べで使うのは、「メリーニ」という生産者の「リリウム ロッソ ディ トスカーナ ゴヴェルノ」です。サンジョヴェーゼで造られるキャンティはイタリアワインの入門で触れるワインですよね。このワインは一部陰干ししたブドを使っていて典型的なトスカーナのワインともいえます。
現地トスカーナで普通に飲まれているおいしいワインを 3つのグラスで飲み比べるとどう変わるのかというのをやってみたいと思います。
永瀬さん:
まずはこのグラスから。家庭にまず置くのであればこのグラスがベストです。このグラスは泡も、白も、赤も使えるからです。
なぜかというと、グラスの一番幅の広い部分が真ん中の位置にありますよね。ここに華やかさや香り、味わいのバランスが集まります。
ご存知の通り、サンジョヴェーゼはある程度酸の高い品種ですが、そこにタンニン、果実味も一緒に集まってくるので、全体がまとまった状態になるんです。
実際に飲んでみて感じるのは、涼やかさや酸、ハーブのニュアンス、プラムみたいな香り。果実味よりも酸や香りの方がより早く来る。多分このワインをバランスよく飲みやすく飲めるのはこのグラスだと思います。
編集長 松本:
すごくまとまりがあって、飲みやすい感じがします。
永瀬さん:
二つ目は下の部分が平らで台形に近いグラスですね。これから日本に入荷されるイタレッセのブルネッログラスっていうのも、この形に近いです。
今回のワイン自体はIGPのそんなに高価なワインではありませんが、単純にブルネッロと同じサンジョヴェーゼのワインであるとして、このグラスで飲むと、ワインの重たさやストラクチャーが感じられると思います。ちょっとオレンジの果実に似たような重たさや、熟成感とかも、グラスの下の方にどっしりとある感じですね。酸もダイレクトに入ってくるけど、逆に果実味は遅れて感じられます。そしてフローラルさや若々しさは消えます。
その果実感とかストラクチャーの複雑味を、ところてんの「天突き器」みたいに後ろからドーンと押し出すような感じです。
この形のグラスが最近レストランでよく使われているのは、オレンジワインやナチュールなど旨味複雑味を出したいワインが好まれる傾向にあるから。逆に言うと、それ以外の香りなどの要素はあまり前面に出さない、という感じです。
編集長 松本:
なるほど、確かに。このグラスには、重いワインがより合う感じがしますね。
永瀬さん:
このグラスを使うと、個人的にはサンジョヴェーゼらしさを感じられると思います。でも初めのグラスの方が、このワインの可愛らしさ、香りの複雑味とかが出てるんで、おもしろいかなと。
永瀬さん:
最後に試すのはネッビオーロ用のグラス「T-made75」です。これが今回イタレッセの「Leggerissimi」の中で一番感動したグラスです。サンジョヴェーゼとネッビオーロは品種の個性が似ていますが、先ほどの台形型がドンとダイレクトにきたのに対し、こちらはこのカーブのところで一度ギュッと固めてから出てくる。酸とタンニンの本当に綺麗なところだけをまとめて出している感じです。
すみれのチャーミングなニュアンス、酸とタンニンというサンジョヴェーゼの本来持ってる個性を全部感じることができるんです。これは本当においしく飲めますよね。
サンジョヴェーゼには果実味もあるけど、そこはちょっと閉めておいて、酸ときめ細やかなタンニンを出すことに振り切っていて、柔らかく丸い形にまとめて出していますね。
永瀬さん:
まとまりがあるのは初めのグラスもそうでしたが、こちらの方がよりまろやかに感じられます。全く違いますね。
グラス×ワイン×料理のミックスを、楽しく体感してもらいたい

永瀬さん:
今回5月からスタートするプログラム「イタリアのグラスと料理で紐解くワインの味覚体験」では、3回までにグラスにまつわる基本を知ってもらい、4回目にはその先にある自由度を目指します。
グラスとワインのペアリングだけ考えるならこの組み合わせだけど、この料理に合わせるのであればこの組み合わせがいいよね、といったことも、料理を作るシェフと、食べ手がお互いに話を聞きながら考えるということをしていきます。
編集長 松本:
今までにない組み合わせの体験だと思います。単にグラスとワインに関する知識を深めるだけでなく、食事と共に体感することで、感覚としてわかることが大事だし、それがおもしろいだろうなと思います。
永瀬さんと一緒にこんな奥深い体験をしてみたいという方は、ぜひ1年間、全4回を通して、楽しくおいしく学んでいただければと思います!





















