イタリア取材旅(5)ソット・イル・サローネ、ヴェネツィア、ペアラ

イタリア5日目(11月15日)

パドヴァの朝。
ホテル近くの小さな橋の上で川をバックにアコーディオンを奏でるストリートミュージシャン^^;。その音色が街の景色に溶け込み、否応なしに異国感が高まり、旧市街の散歩が楽しくなる。

ドゥオモ横を抜けて、ソット・イル・サローネへ。外の屋台ではラディッキオ・タルティーヴォやチリメンキャベツなど冬の訪れを感じさせる野菜が並び、ポルティコの下にある数々の店では、地元客がいつもの買い物をする。
買いたい、食べたい気持ちを抑えながらも、ストッカフィッソを1本買ってしまう。ここではソットヴォート(真空パック)はダメだとしてくれない。半分に切ったそれを、油紙で幾重にも包み、ビニール袋に詰めてくれた。この先長いのに、スーツケースの中で大きな存在になったが、ここのは日本ではなかなか手に入らないいい品なのだ。1本をノコギリで半分に切って。

vol.47で撮影を担当してくれたマルタさんに会いにヴェネツィアへ。
観光客が来ないのはこの街にとっては厳しいことだろうと思いつつも、人もまばらなヴェネツィアは静かで趣がある。
ヴェネツィアに来たらやっぱり、バーカロに入って、オンブラとチケッティ。こうやって各地の違った食文化に触れることができるのがイタリアの楽しいところだ。
僕のイタリア好きの師匠でもあり、本誌で連載をしてくれている篠利幸さんと歩いたヴェネツィアを思い出しながら。

マルタさんから作品をプレゼントされ、運河バックにちょっといい感じで撮ってもらった。
素敵な女性でした。またぜひ撮影をお願いしよう!

短かい時間でしたが、ヴェネツィアの空気を吸って、電車に乗ってヴェローナへ。
余談だが。この2階建て車両はHITACHI製で、ROCKと名付けられている。2019年からイタリア国内のローカル線として走っているそうだ。僕は今回始めて乗ったけれど、落書きだらけでベコベコのローカル線のイメージがガラッと変わった。カッコいい。
日本の車両も嫌いじゃないけど、このデザインや内装は、まず日本では無いだろうし、名前もいいね。ちなみにjazzとpopもある。

ヴェローナでは、「イタリア好き通信」で記事を書いてくれている新宅さんと待ち合わせて、vol.47のコラムで紹介したヴォルポリチェッラのワイナリー「Franchini Agricola」へ。

ここは本誌にもあるように、古代ローマ時代の邸宅のモザイク床が発見されたことで、ブドウの栽培地を移さなければいけなくなったところ。残念ながらモザイクは見れなかったが、ワインの試飲と熟成士が手がけたさまざまなチーズを味わった。 試飲とチーズで至福の時間〜^^
その後、オーナーのジュリアーノさんの案内で、その名も「ALLA PORCHETTA」(アッラ・ポルケッタ)へ。
当然ポルケッタとボッリート・ミストを。そしてジュリアーノさんにヴェローナに来たらこれを食べなきゃダメだよって出てきたのは、パン粉をブロードでのばしてソース状にした「peara」(ペアラ)。「peara」は、ヴェローナ方言でコショウを意味するので、コショウが効いているボテっとしたソース。それをボッリート・ミストにかけて食べる。こういう料理が、ヴォルポリチェッラチェッラにはちゃんと合うんだね。




ブドウを移植しても文化や歴史を守る責任があるというジュリアーノさん。こういう姿勢のイタリア人って多いと思う。
ヴォルポリチェッラやアマローネだけをがっつり味わうことができた、とても貴重なヴェローナの夜だった。