新時代のシェフを訪ねて2 presents by 亀屋食品株式会社

Vol.55よりスタートした新コーナー「新時代のシェフを訪ねて」(提供:亀屋食品株式会社)
これからの日本のイタリア料理業界を担ってゆく若手シェフの半生と、思い入れの深い一皿にまつわるストーリーをご紹介していきます。

今回訪ねたのは村田友哉さん(39)。オーラがあっていつもキラキラ輝いているいい店であるためにも、世界チャンピオンを目指して挑戦を続けている。

日本から世界へ ピッツァ職人の挑戦
まっすぐな眼差しに向上心が溢れる村田さんは、2023年のピッツァ・ワールドカップで快挙を成し遂げた方だ。
潮来市から世界のトップを目指す、シェフ村田友哉さん(39)。「田舎でもやればできるということを証明したい。地域を活気づけることにもつながれば」そんな気持ちも大きい。


高校時代のパン屋での手伝いが楽しく調理学校に進学、フレンチの鉄人・坂井宏行氏の下で働き始める。20歳のとき、シェフの後押しで愛知万博のイタリア館でイタリア人と共に働くことになり、これを弾みにトリノオリンピックの日本メディア館に派遣され、帰国後はエリオ・オルサーラ氏の下でイタリア大使館などでのケータリング現場を数多く経験した。どんな現場でも懸命に働くことで、縁とチャンスに恵まれたという。
ナポリピッツァと向き合ったのは25歳のとき。ピッツェリア開業を志すナポリ人を手伝いその奥深さにハマった。これを自分の武器にと、20代後半は技術の習得に励んだ。


子供が生まれ妻の故郷である潮来市に移住し、2017年ついに自身の店をオープン。コロナ禍では自分を磨くことに力を注いだ。「焼かせてくださいという気持ちでテイクアウト用に毎日たくさん焼き続けました。やっと窯と語り合えるようになった気がします」と振り返る。
そして2023年、前哨戦を勝ち抜きついにピッツァ・ワールドカップへ。「必ず、部門一位を取って、審査員の記憶に爪痕を残そう」と心に誓った。技術の面ではもちろんだが、そのほかにも他国の人と交流したり、イタリア語で意気込みをプレゼンしたりと、できることをすべて尽くした。結果はナポレターナ部門2位、ネイションズ・チーム部門1位! だが村田さんは満足していない。「目指すは総合優勝ワールドチャンピオンです」とさらに上を見つめる。
 その並々ならぬ情熱の原動力は、かつて自分を引き上げてくれた先輩たちが見せてくれたキラキラと輝く世界だ。「いい店はオーラがあって活気に満ちている。そんな店を作るためにも、実力と華、両方掴みたいんです」そう語る声が実に力強かった。理想へと近づくために、村田さんの挑戦はこれからも続く。

ピッツァ・マルゲリータ・エクストラS.T.G
生地には3種類の小麦粉を使用し、食感の軽さ、味、香り、耳の立ち上がり方などを追求。やさしい手つきで生地を成形し、素早く具材を載せ、窯と炎の状態を見極めながら焼き上げる。まさに職人技。


開放感のある店内にはイタリア車のグッズや親交の深い鹿島アントラーズのユニフォームなどが飾られている。有機野菜や無添加、旬の食材など、素材にこだわった料理をいただける。

〈レシピ〉

材料
生地(12人前)
・ドッピアエッセ(モリーノマグリ) 300g
・サッコロッソ クオーコ(カプート) 1300g
・セモリナ(5スタジオーニ)※打ち粉用 適量
・水 1L
・塩 50g
・ホシノ天然酵母 40g ※酵母を起こした状態で

具材(1枚分)
・サンマルツァーノトマト(ソラニア)など 70g 
・モッツァレッラ・ブッファラ 100g
・バジル 適量
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル 適量



下ごしらえ
1)生地をこねて約200gに分けて発酵させる。
2)ホールトマトを手でつぶし、皮と芯を外してソースを作る。
3)モッツァレッラを水切りしてちぎっておく。

作り方
1)窯の温度を460~480℃に調整する。
2)セモリナ粉で打ち粉をして生地を成形する。裏表返しながらやさしく伸ばす。
3)トマトソースをしき、モッツァレッラ、バジルを散らして、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをかける。
4)生地を広げながらパーラの上に載せる。
5)窯の中へ。生地の焼け具合によって回転させながら1分10~20秒間程で焼き上げる。
6)窯から取り出す。
7)飾りのバジルを散らして完成! ※後乗せバジルがNGの大会もある。

ポイント
具材を載せた後は、ソースが生地に浸透し過ぎないよう素早く窯へ。モッツァレッラが溶け過ぎない程度で窯から下ろす。耳は2~3cmくらいの高さが今のナポリの主流!


ITALIAN GARAGE
茨城県潮来市あやめ1-1-16 
0299-63-1863
http://www.cafefishing.com/


■イタリア食材の亀屋食品のサイトはこちら

飲食店様向け


個人の方向け

文:宮丸明香 写真:日高奈々子