
お料理説明・背景
サルデーニャを代表するデザートといえば、まず、セアダスが筆頭に挙げられます。チーズが入った、大きなラビオリ状の生地をからりと揚げて、ハチミツをかけていただく一皿。揚げたサクサクの生地の中から、チーズがとろーりとのびて、ハチミツとからまるセアダスは、サルデーニャの人々に愛されているドルチェです。
セアダスには、ハチミツをかけるのが定番ですが、苦手なイタリア人も少なからずいるため、そのかわりに、砂糖をかけて食べるイタリア人も結構います。アグリツーリズモなどでは、ハチミツとお砂糖とどちらが良いか聞かれるところも多いです。
初めてセアダスを食べた時は、プリモ、セコンドと食べた後だったので、揚げ物のデザートは正直、重いと思ったのですが、それもそのはず。今でこそ、サルデーニャのドルチェとしての位置を確保していますが、現在のように食料が豊富ではなかった時代、さらにお砂糖などが貴重品だった昔は、セアダスの上には、ハチミツや砂糖などは何もかけずに、セアダス2つが昼食だったと言います。チーズにイタリアンパセリを加える地域もあり、そうなるとますます、食事としてセアダスが食べられていたという伝統の名残を垣間見ることができます。
養蜂が盛んなサルデーニャ島。自分の家で飲むためのワインを作るように、養蜂を自家消費用に行っている人もいます。ちょっと田舎へ行くとミツバチの巣箱が置かれている風景にも出会います。フランチェスカのマンマのトニーナさんが子供の頃、トニーナさんの家族は蜂を飼い、家で食べるハチミツをつくっていたそうです。そして、自家製ハチミツがある家では、もちろんセアダスにハチミツをかけて食べていたそうです。
ところで、自然が豊かなサルデーニャ島には様々な種類の花のハチミツがありますが、ほぼイタリアでもサルデーニャだけでしか作られない、サルデーニャ名物のひとつともなっているちょっと珍しい種類のはちみつがあります。その名も「苦いハチミツ」。秋に白い花と赤い実を同時につけるコルベッツォロの花のハチミツです。やや濃い色の独特の風味で、風邪気味の時や、のどが痛いときには、特によく効くとサルデーニャの人々は言います。生産量が少ないため、値段はふつうのものの3倍くらいしますが、筆者も、風邪気味の時の「薬」として、必ず一瓶、常備しています。それはさておき、セアダスには、お好きな種類のハチミツをどうぞお使いください。
セアダスは、本来は一つならばセアダseadaと呼ばれます。(セバダやセヴァダとよぶ地域もある)しかし、サルデーニャ島の方言のサルド語はイタリア語と違い、複数形の場合、英語のようにsをつけるため、セアダスseadas となるのですが、sをつけないイタリア語の複数形とは違うため、間違えてそのまま単数の場合でも、セアダスと呼ばれるようにもなりました。
セアダスの生地を作っていると、フランチェスカのマンマのトニーナさんもいそいそとやってきました。でも娘のフランチェスカの方が手馴れています。フランチェスカが、「師匠を上回った!」と誇らしげに言うと、トニーナさんは「最近作っていなかったから」とはにかみながらつぶやきます。フランチェスカがこんなに料理を作るようになったのは、だいぶ大人になってからと言います。若いころはあまり料理をしなかったけれども、マンマの手作りの味をずっと食べ続けてきたから心にしみ込んでいる。母から娘へとしっかりと受け継がれていくマンマのセアダスのレシピです。
セアダスはもともとは、チーズが中に入っていることからわかるように、サルデーニャ島内陸部の酪農が盛んな地域が発祥の食べ物とも言われていますが、今はサルデーニャ中のレストランでデザートとして提供され、また、家庭でつくるマンマもかなりいます。たくさん作り、冷凍しておくマンマも多いです。
イタリア・サルデーニャ州公認観光ガイド。2004年からサルデーニャ島在住。2016年にサルデーニャ州公認観光ガイドライセンス取得し、「サルデーニャガイド」を設立。サルデーニャ島での現地ガイド、アテンドの他、サルデーニャ島に関する調査、執筆、各種アレンジなどを致しております。サルデーニャ島の食とワインツアーも行っております。 https://sardegnaguida.com/
作り方
- デュラムセモリナ粉とラード、塩ひとつまみをボールに入れ、常温の水を少しずつ3回にわけて入れ、手で混ぜていく。(写真a,b 参照)
- 滑らかになるまで手でこねる。(写真c 参照)
- ラップにくるみ30分ほどおく。(写真d 参照)
- ペレッタチーズを削る。お好みにより、レモンやオレンジの皮を削ったものや砂糖をひとつまみ加える。(写真e 参照)
- 生地を10cmほどナイフで切り、手で押してのばす。(写真f 参照)
- パスタマシーンでのばす。最初は5。最後は2の2~3mm程度の厚さまで伸ばす。(写真g,h 参照)
- 生地を直径10cmの器で筋をつけ、チーズをのせる。(写真i 参照)
- 生地を上にかぶせ、手でやさしく押す。(写真j 参照)
- 指で周囲を軽く押す。(写真k 参照)
- 再度重ねた生地の上から直径10cmの器で筋をつける。(写真l 参照)
- パスタカッターで丸く切り取る。(写真m 参照)
- 180度の揚げ物用油で、黄金色に色づくようにからりと揚げる。(写真n,o 参照)
- ハチミツを小さな鍋に入れ温めて溶かしてからめる。または、そのままセアダスの上にかける。(写真p 参照)


















