イタリア郷土料理を巡る食事会報告 トレンティーノ゠アルト・アディジェ州

\イタリア郷土料理を巡る食事会 トレンティーノ゠アルト・アディジェ州/

去る、2023年2月26日(日)に、トレンティーノ゠アルト・アディジェ州の料理をテーマにした食事会を、東京・世田谷の豪徳寺にある北イタリア、南チロルの専門レストラン「三輪亭」で開催しました。
看板にはcucina tirolese三輪亭per famiglieと書いてある。


コロナ禍で考えた三輪シェフ、客席を半分潰して調理場に、そしてそこで自家製加工肉製品を造り、もちろん熟成まで店内で行っています。
イタリア時代の経験と、店を経営しながら日本で感じ、学んできたことを描き、形にしている。語りだしたら止まらない、熱いパッシオーネを感じます。



そんなシェフの作る南チロルへの思いの詰まった料理が並んだのでした。


ロングテーブルにセッティングしていただき、皆の気分も高まる中でSalute!


Smacafam e altri ancora(突き出し盛り合わせ)
左から、Smacafam(ズマカファム)は、山の民らしく腹持ちのよいオーブン料理。
本場ではラードを使うのでカロリーが高いそうだが、これは出汁が入っているかのようなうま味。
スィーザムはワカサギの甘酢漬けで馴染み深い味。ガルダ湖でワカサギが獲れる。
グロッセルはポテトとタマネギ、自家製の燻製生ハムのサラダ。
これは三輪シェフが南チロルで修行中、最後の賄いで師匠が作ってくれた思い出の一品だそう。
カップに入っているのは菊芋のポタージュ。

Prosciutto fatto in casa e formaggio misti(自家製ハムとチーズの盛り合わせ)
これには喜びの歓声とともに、ほぼ全員がワインを注文!笑

左から、チーズ熟成士でもある三輪シェフの師匠が名付けた“ミワチーズ”。周りにワカメを巻いて熟成させ、ユニークだがうまみのバランスが抜群。
カカオとラム酒でウォッシュしたカルブルー、黒ビールでウォッシュしたヤギのチーズ・カプラ、ゲヴェルツトラミネールワインでウォッシュしたまろやかなブルーチーズ・ゴールデンゲル。
ハムは全て自家製!モルタデッラ、モッパ、クッパ、鹿と猪のサラミ…どれも噛むほどにうま味がしみ出てくる。


そしてここで、メニューにはないサプライズ料理がスキレットで熱々に焼かれて登場!
シュマーレンを取り分けてくれた三輪シェフ。
シュマーレンという、オーストリアとチロル地方で食べられているデザートを、
三輪シェフが塩味で食事の一品としてアレンジ。
中はたっぷりのポルチーニとチーズで、シュワトロ~。香りもたまらない。


Spaetzle e canederli misti(スペッツレとカネーデルリの盛り合わせ)
プリモ1皿
左がおろし金で生地をおろすスペッツレ、真ん中は北イタリアの家庭料理・カネーデルリ、
揚げラヴィオリの三品。


Casonsei all’ampezzana(ビーツ入りラヴィオリ)
プリモプエル2皿目
ビーツの本来のやさしい甘味。

Gulasch di cervo e arrosto di cervo con polenta fresca
(鹿肉のグーラッシュとローストの盛合わせ盛合わせ ポレンタフレスカ添え)
セコンドは鹿肉。
美しいロゼ色で臭みゼロのローストと、元はハンガリー料理のグーラッシュは
ポレンタフレスカと一緒に。
八女産の筍とホワイトアスパラは、南チロルの酸味がある卵ソースで。

Dolce(リンツァートルテ、チョコテリーヌ、セミフレッド自家製花梨ジャム)
ドルチェと一緒に、取材土産のお気に入りのアマーロを♪


料理と共に熱い思いを話してくれた三輪シェフの言葉には、修行先のチロル地方への感謝の思いが溢れていました。

そして最後に話してくれたのは、10年前に作り始めた自家製サラミについて。
レストラン内に冷凍工場を造り、年間を通して提供できる環境をつくっています。
豚コレラでサラミや生ハムがが輸入できなくなっている今、各方面からの声もかかっているようです。

三輪シェフが10年かけ、新たな道を生み出そうとしている自家製サラミ。
「世田谷サラミ」と名付けたこのサラミは、店の外にある自動販売機でも24時間購入できます。
伊勢丹のイタリア展、ふるさと納税からも依頼がきているそうで、新しい飲食業を創っていきたいと語るシェフからはパッシオーネが満ち溢れていました。
三輪シェフ、参加者の皆さまありがとうございました。