マンマのレシピ

マンマの紹介

  • フジネッタ・ディ・マルティーノ(Ginetta di Martino)さん
  • アブルッツォ州グアルディアグレーレ在住
  • 【得意料理】アニエッロ・アッラ・ブラーチェ、ズッパ・ディ・ファッロ、パスタはなんでもOK!

お料理説明・背景

今回は2012年の6月に取材に行ったアブルッツォ州のマンマ、ジネッタさんの話です。

アブルッツォ州は、東側をアドリア海に面し、アペニン山脈の中でも最高峰のグランサッソとマイエッラを擁するこの州は、3分の2は山岳地帯で自然保護地区も多く存在します。ジネッタさんの暮らす町グアルディアグレーレは、ペスカーラから内陸に50kmほど入った山の麓のマイエッラ山塊を目前にのぞむ町です。

その町にある「Ristorante Villa Maiella(リストランテ・ヴィッラ・マイエッラ)」は、今はジネッタさんの息子ペッピーノさんが経営し、奥さんや孫たちが料理やサービスを提供しているが、その前進「Da Ginetta(ダ・ジネッタ)」を経営し、シェフを務めていたのがジネッタさんです。幼い頃から母親が料理を作る姿を見ていて、12歳のときには両親に手打ちパスタを作って食べさせていた。その腕前は町で評判になり、後にレストランを開くことになったほど、味には定評があったそうです。

教会そんな料理上手マンマ、ジネッタさんに教わったのは、アブルッツォを代表するパスタ、キタッラと仔羊肉のラグ−です。 特にアブルッツォのパスタといえばキタッラというほどよく知られるパスタで、特徴はイタリア語でギターの意味を持つChitarra(キタッラ)という木枠に弦を張った道具を使ってパスタを成形します。薄く伸ばした生地を、写真のように弦の上に載せて、麺棒で押し切るように成形するので、四角い角が立った麺になるのが特徴です。そして道具も、出来上がったパスタもキタッラと呼びます。

教会仔羊肉のラグーは、パスタのソースを作りながら、セコンド(メインディシュ)も作ってしまうピアット・ウニコという調理方法です。いくつも鍋を使わずに、時間も短縮もできて、しっかり食べられる、まさにマンマの知恵から生まれた調理法です。羊肉の料理は、羊飼いの多いアブルッツォではよく食べられていて、仔羊のラグーは定番です。一般的には骨付きの仔羊肉を使うことが多いですが、食べにくいのでジネッタ流として、首肉を使うことにしたとのことでした。

コシのあるキタッラに、肉の旨みが凝縮した濃厚なソースがからみ、セコンドの仔羊のインボルティーニも軟らかくて食べやすく、どちらもおいしくいただきました。

文:イタリア好き編集長 マッシモ 写真:萬田康文

材料

手打ちパスタ、キタッラの仔羊のラグーと仔羊のインボルティーニ(4~5人分)

【パスタ】
・薄力粉400g
・卵4個
・塩ひとつまみ
【仔羊のラグー・インボルティーニ】
・仔羊肉(できれば首の部分)1kg代用として豚の肩ロースでも可
・タマネギ1/4個
・セロリ1/2本
・イタリアンパセリ1束
・ニンニク2片
・ホールトマト1kg
・塩適量
・コショウ適量
・白ワイン1/4カップ
・ローリエの葉1枚
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル適量

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  • 作り方

    手打ちパスタ、キタッラの作り方

    1. パスタ台の上に薄力粉で土手を作り、卵と塩ひとつまみを入れ、徐々に土手を崩しながらひとつにまとめる。(写真a 参照)
    2. よくこねて、感触が耳たぶくらいの硬さと弾力を感じるくらいになったら、乾かないように布をかぶせて1時間ほど寝かす。(写真b 参照)
    3. キタッラ(道具) はテーブルの端に設置し、弦は好みの麺の太さに合わせておく。2を少し切り出し、麺棒(またはパスタマシーン)で2~3mmの厚さに伸ばす。(写真c,d 参照)
    4. 3を弦の上に載せ、麺棒を使って前後に伸ばし、弦に食い込ませる。生地を潰さないように、麺の角が立つように切れたら理想的。※道具がない場合は包丁で切っていく。(写真e,f 参照)

    仔羊のラグー・インボルティーニの作り方~仕上げ

    1. 仔羊の肉を厚さ1㎝、大きさ15cm程度の大きさに切って塩、コショウをしたら、細切りにしたセロリ(半量)と薄切りにしたニンニク、ちぎったイタリアンパセリを載せ、タコ糸を使ってしっかり巻いてインボルティーニを作る。(写真g,h 参照)
    2. 鍋(あればテラコッタ)に、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルを入れ、巻いたお肉を焼き色が付くまで弱火でじっくり焼く。※テラコッタは焦げつきやすいので、様子を見ながら水を適量足してもよい。(写真i 参照)
    3. 水分が飛んで肉の脂だけになりカリッとしたら、みじん切りにしたタマネギとセロリを入れ混ぜてからめ、そこに白ワインを注ぎアルコールと水分を飛ばす。(写真j,k 参照)
    4. さらにホールトマトを丸ごと入れ、ローリエと塩をひとつまみ入れて、弱火で2時間程度煮込む。(写真l,m 参照)
    5. パスタを仕上げる:沸騰したお湯に適量の塩を入れ、キタッラ(パスタ)を4~5分ゆでる。
    6. フライパンにエクストラ・ヴァ―ジン・オリーヴオイル大4を入れ、肉を煮込んだトマトスースの適量とゆでたキタッラ、パスタのゆで汁を適量入れて混ぜ合わせたら出来上がり。(写真n 参照)
    7. 仔羊肉のインボルティーニは、皿に盛りセコンド(メイン料理)として供する。(写真o 参照)
    • a. 薄力粉で土手を作り卵と塩ひとつまみを入れ混ぜていく
    • b. 耳たぶくらいの硬さと弾力を感じるまでこねる
    • c. 寝かせた生地を少し切り出す
    • d. 2~3㎜の厚さに伸ばす
    • e. 弦の上に生地を載せ、食い込ませるように麺棒で伸ばす
    • f. 麺の角が立つように切れたら理想的
    • g. 仔羊の肉に塩・コショウをしセロリなどを載せる
    • h. タコ糸を使ってしっかり巻く
    • i. オイルを入れお肉を弱火でじっくり焼く
    • j. みじん切りのタマネギとセロリを入れ混ぜてからめる
    • k. 白ワインを注ぎアルコールと水分を飛ばす
    • l. ホールトマトとローリエを入れる
    • m. 弱火で2時間程度煮込む
    • n. ゆでたパスタとゆで汁、ラグーソースを混ぜ合わせる
    • o. 羊肉のインボルティーニはセコンドとして盛り付ける
    ※写真クリックで拡大写真が閲覧できます。

    お料理ポイント

    南イタリアではよくある、ピアットウニコと言われる料理で、パスタとメインを一緒に作って、同時に味わいます。 肉をしっかり焼いて、鍋についた焦げも旨味としてワインを入れてしっかりこそげ取り、肉の旨みをトマトソースにしっかり移すのがポイントです。