サルデーニャの海の宝物 ボッタルガ Presented by モンテ物産

サルデーニャ島は、地中海にある2番目に大きな島(最大はシチリア島)。このサルデーニャ島の伝統的な食材「ボッタルガ・ディ・ムッジネ」をご存じだろうか?

ボッタルガとは、マグロやボラの卵巣を塩漬けし、乾燥させたカラスミのことを指す。その中でボラ(ムッジネ)の卵巣からつくられるものは「ボッタルガ・ディ・ムッジネ」と呼ばれ、そのままスライスして生野菜と合わせたり、オイルベースでスパゲッティと合わせたりすることが多い。特にサルデーニャ産のボッタルガ・ディ・ムッジネは、イタリアでも高級食材として珍重されている。
さて、6月初旬、イタリアではワクチン接種が急速に進み、イタリア全体に夏のバカンス前の解放感が漂い始めた頃、サルデーニャ島南部にある州都カリアリ近郊のボッタルガメーカーを訪問することができた。

サルデーニャでは3000年以上にわたりボッタルガがつくられてきたが、その伝統にこだわりながら、常に改良を試みる職人が集うメーカー「ス・ティアーヌ・サルドゥ」をご紹介します。
出迎えてくれたのは、創業社長のサルバトーレさんと輸出担当のアンブロージョさん。
工場内は、原料となるボラの卵巣の塩漬けから乾燥工程までを手作業で行う作業部屋と、ラベリング・真空パックを行う部屋に分かれており、とてもコンパクトだ。

立派な卵巣を、作業員が丁寧に塩漬けしている様子が見えた。

「平均的な卵巣のサイズは、大体170~230g。塩漬けと乾燥により3割程かさが減るから、最終的には130~160gになるよ。サルデーニャの高級リゾート地コスタ・ズメラルダの5つ星ホテルなんかは、特大サイズを欲しがるから、最終製品で250g以上のものも製造するんだ。」
サルデーニャの天然海塩を使った塩漬けの時間は、60分から80分と意外と短い。

「1990年代に入るまでは真空パックの技術がなく、塩をたくさん振ってボッタルガの表面に塩の壁を作り、酸化を防いでいた。色も黒っぽかったね。今は技術が進み、我が社は塩の量を少なくして、パッキングにもこだわっているから、色は輝く黄金色さ。」

この塩漬け加減を見極めるのは職人技だ。サルデーニャのカリアリ塩田から作られる天然海塩の使用もあいまって、ス・ティアーヌ・サルドゥのボッタルガは、味に丸みがあり、魚卵の風味がよく出ている。

塩漬けが終わると、なんとサルデーニャの海水で塩を洗い流すという。
「実は1か月前からサルデーニャの海水を導入して、生の卵巣の洗浄や塩漬け後の塩を洗い流すのに使用していてね。海水と言ってもミクロフィルタリングして殺菌している安全な海水製品なんだ。」

試しに瓶に入った、その海水製品を飲ませてもらったが、かなりしょっぱいと感じた。それもそのはず、この海水は飲料用ではなく料理に使うものだという。味に影響はないのか尋ねてみた。

「塩漬け後の卵巣は、すでに十分に塩が入っているので、塩分濃度がより高い海水で洗い流しても(味には)特に影響がないんだ。真水で洗い流すよりも、乾燥工程中の酸化防止効果が高いんだよ。」
海水で塩を洗った後は、成型工程に入る。作業員が一腹ずつ、二つに分かれた卵巣を平行に並べ、高さを均一にする。全体が大体2~3㎝の高さになるように形を整え、上にガラス板を載せ、その上にまた卵巣を重ねる。この作業を繰り返し、ガラス板と卵巣の重さで適度にプレスし、余分な水分を排出させる。

その後は乾燥室で7~10日間かけじっくり乾燥させ、包装したら、「ボッタルガ・ディ・ムッジネ」が完成する。
工場見学が終わった後、地元のトラットリアに連れて行ってくれた。
用意してくれたのは、自慢のボッタルガ料理。
ボッタルガにセロリとトマトとを合わせ、オリーブオイルをかけたシンプルなサラダ。
分厚くカットしたボッタルガの濃厚な旨味と、新鮮なトマトとセロリが調和して、冷えたフレッシュな白ワインをぐっと飲みたくなる味だ。
冬はセロリの替わりに、くし形に切った生のカルチョ―フィとあわせるらしい。

また、面白かったのは牡蠣にパン粉とパウダー状のボッタルガをたっぷり振りかけたオーブン焼き。
オーブンで焼くことで、牡蠣の風味が凝縮し、そこにボッタルガが加わり、美味しさがさらに倍増。こちらは少し厚みのある白ワインを合わせたい。


最後は、何といってもボッタルガのスパゲッティ。ボンゴレも入った特盛りだ。
大皿に盛られたボッタルガのスパゲッティを満足気に手に持つ2人。
2人ともびっくりするほどよく食べるし、笑顔が絶えない。その姿はとても微笑ましく、美味しいボッタルガ料理をもりもり食べることで、自身の仕事に誇りを感じられるのだろうと想像した。

日本人も大好きなボッタルガ。
サルデーニャの宝物と呼ぶにふさわしい、その味わいをご賞味あれ!