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ボルツァーノのメルカティーノ・ディ・ナターレ(クリスマスマーケット)


「メルカティーノ・ディ・ナターレ」と呼ばれるクリスマスマーケットは、イタリア各地にてナターレ(クリスマス)の時期に開催されます。そのなかでもイタリア北東に位置し、オーストリアやスイスに隣接するトレンティーノ゠アルト・アディジェ州内では、その立地や歴史背景からくる、独特のメルカティーノが体験できる場所なのです。必見・必訪です!

イタリア北東、ボルツァーノの恒例メルカティーノ

トレンティーノ゠アルト・アディジェ州は州都であるトレントを中心とした南側は主にトレンティーノ地方、ボルッツァーノを中心とした北側は主にアルト・アディジェ地方と大別されています。長くドイツ系の領地下にあったことから、土地のもつ文化は完全にドイツ圏の影響を受けており、今現在もそれが色濃く残っています。実際のところ、南側ではイタリア語話者が多数いるが、北側では多くがドイツ語話者であるとされ、一般にはドイツ語がイタリア語を上回るほどに多く飛び交う場所です。

世界でも古く大規模を誇るドイツのクリスマスマーケットも、当然のことながらこの地の風習として根付きました。公式的には、1991年にボルツァーノの公式イベントとなり、当時からすでに多くの集客があったといいます。このシーズンの風物詩として多くの人々を魅了するのは、今も昔も変わることなく、そしてこれからも続くものでしょう。

今シーズンは2019年11月28日〜2020年1月6日までを会期としており、街全体が楽しい、賑やかな雰囲気に包まれています。また、ボルツァーノ県下、メラーノ、ブレッサノーネ、ヴィピテーノ、ブルーニコなどでも同様のスケジュールでメルカティーノが開催されています。


メルカティーノの楽しみ方。昼も夜も楽しんで!

とにかく街全体が、ナターレ仕様で美しくデコレーションされていますが、特にゴシック・ロマネスク様式の美しいドゥオーモの前に広がるヴァルター広場(Piazza Walter)がメルカティーノの中心となります。大きな広場には、約80軒の様々な屋台が設置されています。店先に並ぶものとは、ナターレ用のグッズ、手袋や帽子、スリッパなどの防寒衣料品、アクセサリー、香水、土地のおいしい産物、そして暖をとるためのバール等。

クリスマスツリー用のオーナメントは、ガラスや木、布などを使い、この地方独特の繊細な細工がされており、非常に美しいものです。ここを訪れる人々は、毎年少しずつお気に入りのものを買い足していきます。


また、ヴァルター広場から少し歩いた市庁舎広場(Piazza Municipio)では、小さなアルティジャナーレ(職人)の工房にて作られるアクセサリーや小物などを紹介する屋台が立ち並んでいます。ここでは、簡易式のスケートリンクも設置され、気軽に貸し靴を借りてリンク上を楽しむこともできます。

会期中はほぼ毎日、朝の10時~夜7時(詳細スケジュールは下記参照)に屋台が開きます。終日どんな時間帯も楽しめますが、ぜひとも日中も、そして暗くなってライトアップされた日没の時間帯後も訪れてみてください。幻想的な中に、ナターレシーズンのワクワクとするような雰囲気を味わうことができ、とてもお勧めです。ただし、夜は特に冷えますので防寒対策をしっかりと!

ボルツァーノならでは!のおいしいもの

イタリア最北東の地ですから、ここは独特な食文化がみられます。まずは、プレッツェル。バリエーションも豊富です。その他、ライ麦をベースにしたパン各種、シュッテルブロードという薄いクロッカンテな食感のパンなど。また、欠かせないのがナターレ菓子のゼルテン。クミン、シナモン、ナツメグなどのスパイスやナッツ類、オレンジやレモンの皮の砂糖漬けなどの入ったずっしりとした焼き菓子です。もちろん、リンゴや干ブドウを巻いたお馴染みのストゥルーデルも多く見かけます。

ナターレ菓子のゼルテン
定番ストゥリューデルはビッグサイズ

この土地を代表する燻製ハムのスペックやソーセージなどの肉製品も豊富。屋台では、焼いたものを挟んでパニーニにもしてくれます。とっておきは、寒い地方ならではの温かい飲み物。りんごジュースとラムにスパイスを加えて温めたものや、プンチョと呼ばれるマンダリンのリキュールを温めたものをマグカップに入れて飲みます。とーっても甘いのですが、身体がポカポカと温まります。
プレッツェルもたくさんのバリエーション
甘〜く温かいアルコール飲料。マグカップはお持ち帰り可。

類豊富なカネーデルリ
スペックやサラミ類

パンをベースにスペックやチーズをたっぷり混ぜ込んだ、団子状のカネーデルリや大きな鍋で仕上げるポレンタには、アジのオイル漬けを添えていただきます。北国の寒さゆえ、身体の温まる食材の豊富なこと! 寒さなどもろともせずに、おいしいものの周囲には、いつも多くの人集りがしています。
温かいポレンタを大きな鍋で準備中

(2020年1月)

クリスマスシーズンにトレンティーノ゠アルト・アディジェへ行かれる方は、ぜひ訪れてみてくださいね。

メルカティーノ・ディ・ナターレ

公式HP:https://www.mercatinodinatalebz.it/
会期:2023年11月24日〜2024年1月6日
開催時間:月—木11〜19時、金-日・祝10〜19時 ただし、下記の日程は変則的
12月24日 10.00-14.00
12月25日 休
12月31日 10.00-18.00
1月1日 12.00-19.00

秋のイタリアでやりたいこと3選

青い空、青い海、太陽の国というイメージのイタリアですが、四季折々の情緒にあふれた国でもあります。そんなイタリアの秋は、美しい秋色の景色と、美味しいものにあふれた魅力的な季節です。

トスカーナ州、キャンティ地方の秋の風景
イタリア大好き、主要観光地はほぼ行った、というイタリア通の方に、そしてたまたま秋に旅行するという方にも参考にしていただきたい「秋のイタリアでやりたいこと3選」をご紹介します。


美しい秋色の景色を堪能する!
日本で紅葉といえば、赤いモミジを想像しますが、イタリアの紅葉は赤色ではなく、黄色や茶色に色づくものがほとんどです。ちょっと地味かなと思いますが、いえいえ、秋の爽やかな光に照らされて、黄金色に輝く紅葉は、それはされでえもいわれぬうつくしさです。

カステルベッロ=チャルデス(トレンティーノ=アルト・アディジェ州ボルツァーノ自治県)を走る列車
紅葉がみられる場所でおすすめは、やっぱり山岳部。雄大なドロミテ山塊のあるボルツァーノや、アルプス山塊のアオスタは電車でも行けるので、レンタカーをしない観光客にもオススメです。


収穫祭へ出かける!
収穫の秋、美食天国イタリアでも獲れたての美味しいものがたくさんです。ぶどう、オリーブ、ポルチーニ茸、栗、トリュフなど、など、など。
各地でそれぞれの特産物にまつわるお祭が行われます。お祭りでは、直売所にイートインコーナー、また楽しいイベントなども行われるので、かなり楽しめます。

開催情報はネットに出ていますので、お祭りを意味する「Sagura」または「Fiera」と入れて、あと場所名と年、例えば「Firenze 2023」などと入れると情報がヒットすると思います。英語での案内も多く出ていますので、検索も便利です。

ワインの名産地グレーベ・イン・キャンティで行われたワイン祭りの様子
ワインが好きな方なら是非行ってみたいのがワイン祭り。その土地のワイナリーが集まって、試飲会をします。有名ワイナリーから小さなワイナリーまで集まりますので、市場には出回らない、その土地ならではの掘り出し物のワインや、また飲み比べができますので、自分好みのお気に入りワインに出会えますよ。


今しか味わえない絶品、一番搾りのオリーブオイルを味わう!
旬の味覚はたくさんありますが、中でも、収穫の季節、現地だけで味わえる特別な美味しさといえば「オリーブオイル」を一番に挙げたいと思います。

収穫を待つオリーブの実
イタリアのオリーブオイルの美味しさをご存知の方も多いかと思いますが、摘みたてのオリーブから絞ったオイルの美味しさは格別なのです。まず、色、とても美しい緑色をしています。そして、香りと味わい、まるで緑のブーケのように爽やかでありつつ、ほんのり辛味を伴うコクのある旨味。べったりとしたオイルらしさはなく、サラサラと滑らかなのです。

どうして、この一番搾りが現地だけで味わえるのかというと、オリーブの実は摘み取られた時から酸化を始めます。ですので、摘み取ってすぐに搾油したものは、特に新鮮で、オリーブらしさをしっかり残した味わいたっぷりの美味しさなのです。イタリアの人はみんなこの一番搾りの美味しさを知っていて、家庭では毎年出始めの頃に買いだめしたりします。

収穫時期は地方によって違いますが、大体11月に入ってから。その年始めのオリーブオイルは「Olio Nuovo」として、季節になると各所で売り出されますので、その時期にイタリアにいかれたら是非チェックしてみてください。

(2018年10月)