欧州文化首都って何だ?
欧州文化首都 制度は、EU統合より随分前の1985年から続く、ヨーロッパ最大級の文化の祭典です。
おもしろいのは、首都は1年の持ち回り制なこと。首都に選出されると、EUレベルでその都市らしい芸術文化のイベントが繰り広げられます。
2019年の首都は、なんとマテーラなのです。
昨1月19日、
マテーラ2019 のオープニングセレモニーが、伊大統領と首相を迎えて賑々しく開催され、マテーラは晴れて「ヨーロッパの首都」になりました。笑
オープニングセレモニーは世界遺産サッシ(洞窟住居)地区のメインステージから、全国に中継された
2019年ワキワキのマテーラから、セレモニーのダイジェストと、内部事情通から届いたばかりの(笑)、2月8日現在、ホットなマテーラ2019の公式プロジェクトをご紹介します。
オープニングセレモニーを時系列で
当日、2020年の首都ゴールウェイ(アイルランド)やドイツ、フィンランドなどヨーロッパ各地から音楽隊がマテーラ入り。住宅地を含む複数の地域で同時多発的に音楽隊のパレードが見られました。
音楽隊は、ヨーロッパのどの国にも共通する伝統なのだ ©Matera2019
午後4時半から2時間のあいだ、一斉に消灯した世界遺産サッシ(洞窟住居)地区には、住人の手で無数のキャンドルが灯されました。
サッシ地区を夜空に、キャンドルの灯を星に見立てた「マテーラ満天の星プロジェクト」©Matera2019
青くライトアップされた大聖堂の上空には、星空に見立てたサッシ地区を背景に、発光するバルーンの月が昇りました。
©Matera2019
セレモニーのフィナーレには、花火ショーがムルジャ渓谷上空を彩りました。
©Matera2019
セレモニー終了後は、舞台を中央広場に移して、「首都」前にはまずお目にかかれなかった類のパレードやショーが、繰り広げられました。
仏ラ・コンパニ・デ・キダムの「光の馬」のパレード ©Matera2019
仏コンパニ・トランス・エキスプレスの「空中オルゴール」©Matera2019
VIDEO
オープニングセレモニーのハイライト ©Matera2019
続いて、内部事情通から届いた(笑)、2月8日現在、ホットにしておすすめの公式プログラム3つをご紹介します。
6人のアーティスト × 6つホテル 個性あふれるホテルにおじゃまして現代アート鑑賞
マテーラ・アルベルガ プロジェクトでは、6人の現代アーティストが、6つのホテルの特別な空間に、永久展示のインスタレーションを製作。作品を
旅人にも市民にも、無料で公開 しています。
このプロジェクトのテーマは、歓待、出会い、共存。サッシ(洞窟住居)地区の住民の間で育まれた「隣組の互助」の伝統を、アートを媒体に再構築しようという試みなのです。
2月現在、断然の一押しは、
洞窟住居地区の都市構造の華 地下貯水槽 を使った作品。このホテル地階には、稀有な連結した8つの貯水槽が残っており、アートの鑑賞がてら、実際に中に入ることができるようになっています。
A.ピッリの“IDRA(水または心を探求する場)”。細工を施した鏡を張った貯水槽は、まるで水をたたえよう。ウユニ湖のような鏡映しが楽しめる ©Matera Alberga
通常、宿泊客しかアクセスできないホテルが、マテーラ市民と「マテーラ滞在中の臨時市民」が出会って、交流する場に。展示スペースだけとはいえ、ホテル巡りができるのも一興ですよね。建物探訪好きにもおすすめです。
マテーラ・アルベルガ 開催カレンダー
注目 2019年1月18日~毎日11:00~21:00
ホテル:Corte San Pietro/サッシ地区
アーティスト: Alfredo Pirri “IDRA Istituto di ricerca anima(水または心を探求する場)”
2019年1月18日~毎日11:00~21:00
ホテル:Dimore dell’Idris/サッシ地区
アーティスト: Dario Carmentano “FONTE DEL TEMPO(時の泉)”
2019年1月18日~毎日11:00~21:00
ホテル:Locanda San Martino/サッシ地区
アーティスト: Filippo Riniolo
2019年2月23日-毎日11:00~21:00
ホテル:Hotel del Campo*マテーラ新市街。バスまたはタクシーが必要
アーティスト: Giuseppe Stampone
注目 2019年3月16日~毎日11:00~21:00
ホテル:Hotel Sextantio/サッシ地区
アーティスト: Georgina Starr
※ 内部情報によると笑、これも期待度、大。
2019年4月20日~毎日11:00~21:00
ホテル:Casa Diva/サッシ地区
アーティスト: Salvatore Arancio
Matera Alberga 詳細は
こちら
「CIRCUS+」現代サーカス・パフォーマンス
未完のトラモンターノ城址公園に、2月8日現在、絶賛特設中のサーカスの大テントでは、バレンタインズデーから毎週末、5週間に渡って、南イタリアで未だかつて見たことがない という触れ込みで、現代サーカスのパフォーマンスが開催されます。大いに期待しましょう。
2月14日
19:00~ペティ・シャピトゥー
21:00~ Flavia Mastrella and Antonio Rezza(イタリア)『7 – 14 – 21 – 28』
2月15日
19:00~ペティ・シャピトゥー
21:00~Flavia Mastrella and Antonio Rezza(イタリア)『Anelante(息せききって)』
2月16 日
18:00 ~ 20:00 シネ・サーカス
21:00 ~El grito(イタリア)『Johann Sebastian Circus(ヨハン・セバスティアン・サーカス)』
2月17 日
17:00 ~ ペティ・シャピトゥー
21:00 ~El grito(イタリア)『Johann Sebastian Circus』
2月20日~24日
出演:Phia Menard(フランス) /Ziya Azazi(トルコ)
2月28日~3月3日
出演:Cecile Mont Reynaud(フランス )/Martina Nova(イタリア)/Jörg Müller(ドイツ)/Okidok(ベルギー)
3月7日~10日
出演:Groupe Acrobatique de Tanger(モロッコ)/Forum italiano nuovi circhi(イタリア)
3月14日~17日
出演: The Black Blues Brothers(ケニヤ)/ヒサシ・ワタナベ(日本)
場所はすべて
Gran Chapiteau, Parco del Castello, Matera
マテーラ市カステッロ公園、特設グラン・シャピトゥー(サーカスの大テント)
「CIRCUS+」カレンダーは
こちら
※
CIRCUS+の入場には、マテーラ2019年間パスポートと、予約が必要です 。CIRCUS+の予約は1週間前からのみの受け付けです。
マテーラ2019年間パスポート
年間パスポート(一般19€)を購入すると、アルゼンチン出身の
Tomàs Saraceno がムルジャ渓谷に仕掛ける、超絶
インスタレーション など超目玉となる5つの特別展をはじめ、公式プログラムのすべてに入場できます。
予約コード記載の年間パスポート(左)と、おまけのパスポートを模したスタンプラリー帳(右)
パスポートはマテーラ市内インフォポイントか、オンラインで購入します。
インフォポイント
住所Via Lucana, 125-127
毎日09:00~20:00
パスポートのオンライン販売は
こちら
Matera 2019 EVENTS では、イベントリストの閲覧、イベントの検索ができます。要予約のイベントは、該当するイベントの詳細ページのBOOKから予約します。※その際、年間パスポートに記載された「予約コード」が必要です。
公式イベントカレンダー Matera 2019 EVENTS は
こちら
おまけ 年間パスポートを買ったらぜひ!期間限定の洞窟コンプレックスに入ってみよう
2014年、首都に決定して以降、マテーラでは地道に再評価と修復、再開発が進み、これまで眠っていた場所に、アクセスできるようになっています。
マテーラの旧市街では、なにげない石畳の通りの下や、「建物」の地階にも、洞窟空間が広がっているんです。
アルス エクスカヴァンディ 展のハイライトでは、そんな
洞窟コンプレックス の一つに、実際に入ってみることができますよ。
15分間の洞窟探訪への入口。おお、こんな所が地下洞窟に通じていて、こんな所に出るのか~と新鮮な発見
ここでちょっとマテーラ建物のお約束をば。
例えば、イタリアのどこの町にもある「アッシジの聖フランチェスコ教会」。小鳥にも説法することでお馴染み、今も昔もイタリア人の信仰を集める聖フランチェスコは、イタリア共和国の守護聖人でもあります。
マテーラの聖フランチェスコ教会(14世紀)が、他の町のそれと一味違うのは、
地階に12世紀に遡る岩窟の聖堂 が存在すること。
マテーラでは大聖堂(13世紀)しかり、聖アゴスティーノ教会(16世紀)しかり、旧女子修道院アンヌンツィアータ館(18世紀)しかり。地の利のいい場所に建つ「物件」は、古くからそのうま味を生かすべく、はっきり目的をもって掘られた洞窟の上に、上書きするように建設されています。
ご多分にもれず、旧神学校
ランフランキ館 (17世紀。現、国立バジリカータ中世近代美術館)のどっしりとした建物の地階にも、
ワイン醸造所、ワインセラー、雪室、倉庫 として利用した複数の洞窟が眠っていて、今回見学できるのがここ。
ランフランキ館(黄色線)の地階に広がる洞窟空間の平面図:V.Baldoni著”Palazzo Lanfranchi”(出版IEM editrice)3ヶ所の赤塗りつぶし=人が入れる状態にある洞窟コンプレックス。見学できるのは、最右のランフランキ館地下を貫く洞窟コンプレックス。
ランフランキ館の東西を通る道を繋ぐ、まさに
洞窟のパサージュ は、洞窟ファン(?)と、夏季は避暑にもおすすめなのです。
「Ars Excavandi」展の詳細は
こちら
2019年1月20日~7月31日
月曜 14:00~20:00
火曜~日曜 09:00~20:00
国立リドラ考古学博物館 Museo Archeologico Nazionale
住所 Via Domenico Ridola, 24
※ 入場にはマテーラ2019年間パスポートが必要です。