お料理説明・背景
春から初夏にかけ、イタリアのメルカート(市場)へ行くと、鞘に入った生のグリーンピースが山積みになって売られている。そんな光景を見ると、長かった冬も終わり、お料理のメニューもいよいよ春本番!
最近は冷凍技術もすすんで、品質では生と遜色のない冷凍グリーンピースが一年中買えるが、「せかっく新鮮な生のグリーンピースがあるうちに、たくさん食べておかないと!」と言うマリレーナさんに、グリーンピースのパスタを紹介して頂いた。
マリレーナは私が主宰するナポリの家庭料理レッスンの先生で、生粋のナポリ生まれ、ナポリ育ちのマンマ。残念ながら旦那様を数年前に亡くしたものの、二人の息子を育て上げ、今では息子が毎週末連れてくる孫が可愛くてしょうがない。息子はベジタリアン、孫はまだ3歳なので、週末になるといつも、みんなが食べられる美味しいメニューを嬉しそうに考えている。日本では結婚した息子が週末になると毎週律儀に実家を訪ねるというのは少し考えにくいのだが、ここはイタリア、しかも南。息子たちのマンモーネと呼ばれる“母親べったり主義”が根強く残る。やっぱり、母親の存在は家の中では一番なのだ。
そんなグランマンマが今週孫に用意したグリンピースのパスタ。「甘味のある玉ねぎも加わり食べやすく、大人も、子供も大好きなレシピだし、時間がなくてもとても簡単に作れるのよ」そして、可能な限り合わせるパスタの形状は、グリーンピースと同じくらいの小粒のショートパスタで!イタリア語だと、DitaliやDitaloniあたりがベストだとか。スプーンで食べる料理なので、小さいお子さんでも食べやすいパスタだ。
また、グリーンピースレシピのバリエーションとして、生クリームを多少使って、玉子入り麺Fettuccineなどと合わせて食べることもできるが、南イタリアでは、生クリームなしがポピュラーな食べ方。逆に、パスタではなく、お米と合わせて、Riso e Piselli“グリーンピースのリゾット”として食べることもよくあるそうだ。
現代ではチーズや肉、魚介などをふんだんに使ったレシピがたくさんあるが、本来カンパニア州の料理は高級食材を使わないCucina povera(貧しい料理=農民たちが食べていたような野菜や豆料理)が多く存在する。このレシピも昔の人たちが、日々普通に食べていた一品と言えるだろう。
カンパーニア州在住。イタリアの家庭料理に憧れ渡伊。1997年よりナポリ在住。日本での情報誌編集制作勤務経験を活かし、2005年スローフード協会公式ブック”Slow”日本版の現地取材コーディネーションを始め、様々なコーディネート、執筆を多々手がける。1995年より南イタリア情報サイトPiazzaItalia設立。ナポリにてマンマに習うナポリの家庭料理教室などを主宰。ブログ「ナポリのテラスから」で日々の生活をを綴る。
作り方
作り方
- グリーンピースは鞘を剥いて洗う。(写真a,b 参照)
- 玉ねぎはみじん切り(きちんと細かく)にする。
- パンチェッタは短冊切りまたは、1cm角ほどのダイス状にカットする。
- 鍋にオリーブオイル多め(鍋底が均等にオイルで隠れる程度)と刻んだ玉ねぎを入れ炒める。この際、火が強すぎるとすぐ焦げてしまうので要注意、焦げそうになったら白ワインを加え、焦がさないようにする。(写真c 参照)
- 玉ねぎがきちんと煮えたらパンチェッタを加えて更に炒める。(写真d 参照)
- パンチェッタの脂身が少し溶けてきたら、グリーンピースを加えコップ一杯(200cc)ほどの水を加え蓋をして5分程加熱。(写真e,f 参照)
- グリーンピースが煮えたところで残りの水を加え水が沸騰したらパスタ、塩を加えて煮込む。パスタが鍋底にくっつかないように、頻繁に混ぜる。
※パスタは水をどんどん吸収するので、少なくなり始めたらすぐにお湯を足して調整。 (写真g,h 参照) - 塩味を確認し、パスタがアルデンテになったら出来上がり。(写真k 参照)