マンマのレシピ

マンマの紹介

  • アンナ・グラヴィーナ(Anna Gravina)さん
  • ピエモンテ州トリノ在住
  • 得意料理:手づくりパスタ

お料理説明・背景

家にあるものでなんでもつくってしまうアンナ。もちろん、パスタやピッツァなどはお手の物。なかでも彼女が育ったプーリアの代表的なパスタと言えば、オレキエッテ。耳たぶのような形でよく知られるパスタで、ブロッコリーや菜の花の仲間であるCime di Rapa(チーメ・ディ・ラーパ)という野菜とあわせるのが、定番中の定番。今日はこのパスタを手づくりしてくれるという。

「小さい頃から、兄弟たちの中で、私が一番お料理に興味があったの。それを私の母は見抜いていて、料理の支度をするときには必ず私をそばにおいて、つくり方を丁寧に見せて教えてくれたわ。若いうちに結婚したから、それが本当に役に立ったのよ」

セモリナ粉に水と塩を入れただけのパスタ。まずは簡単にこねて、寝かせておく。 そのあとのオレキエッテをつくる手際の良さが素晴らしい。
いつも使っているというお気に入りのナイフを片手に、耳たぶのようなパスタがどんどん出来上がる。私も試しに挑戦してみたが、指だけでへこみを付けるのならば簡単だが、ナイフを使うと生地が切れてしまい、力加減が本当に難しい。
「もちろん、指だけでへこみをつけてもいいけれど、私はこのナイフが一番やりやすいの。たくさんあったこのナイフも、みんなが欲しがるものだから、今はもう2本しか家に残ってなくて、同じ形を探しているんだけど、なかなかいいと思うものが見つからないわ」と笑う。

「主人もプーリアの同じ地方の出身だから、小さい頃から食べてきたものが同じなの。私は母から伝統料理を習ったから、主人はいつも自分の母親がつくっている料理を食べているみたいだと喜んでいたわ」と亡くなったご主人のことを話してくれた。 これからも伝統あるこの料理を娘さんや息子さん、お孫さんたちにずっとつくり続けたいと話してくれた。シンプルだけど、愛情が沢山こもったパスタを食べたら、心があったかくなった。

レポート:石井美絵(Mie Ishii)
1995年よりピエモンテ州在住。日本とイタリア、そしてヨーロッパとの架け橋となるべく様々なジャンルのPR活動などに携わる。

材料

チーメ・ディ・ラーパのオレキエッテ(4人分)

・オレキエッテ約700gセモリナ粉 500g、塩大さじ1、水カップ1
・ジャガイモ500g
・チーメ・ディ・ラーパ1kg菜の花などで代用可
・ベーコン(角切り)250g
・オリーヴオイル適量
・塩適量
・ペペロンチーノオイルお好みで

作り方

下ごしらえ

  1. セモリナ粉に塩、水を加えてよくこねる。生地は10分ほど常温で寝かす。
    ジャガイモは皮をむき、8等分にする。チーメ・ディ・ラーパは葉の部分は手頃な大きさに切り、茎の部分は、皮をむき、3cmくらいの長さにそろえて切る。(写真a~e 参照)

作り方

  1. オレキエッテの生地は、手のひらサイズにちぎって、楕円形に伸ばし、縦2等分に切る。(写真f 参照)
  2. 手のひらを使って、細長く伸ばす。1cmくらいの大きさに切り、ナイフのヘラの部分を使って平たく伸ばす。その際に、真ん中の部分を指の先にのせて、くぼみをつけ、転がしておく。(写真g~i 参照)
  3. ベーコンの角切りをこんがり焼けるくらいまでフライパンで炒める。(写真j 参照)
  4. 切ったジャガイモ、チーメ・ディ・ラーパはよく洗う。
  5. 大きめの鍋にお湯を沸かし、パスタを茹でるときのように塩を入れておく。
  6. 鍋のお湯が沸いたら、まずは、ジャガイモとチーメ・ディ・ラーパを入れ、柔らかくなるまで茹でる。(写真k 参照)
  7. 野菜が柔らかくなったら、鍋の中にオレキエッテを入れる。数分でオレキエッテが上に浮いてきたら、ざるにあけて、湯切りする。(写真l 参照)
  8. 大皿に盛り、上に3のベーコンをのせる。最後にオリーヴオイルをかけて出来上がり。
  9. お好みでペペロンチーノオイルをかけてもおいしい。
  • a. 粉に塩を加える
  • b. 粉に水を加える
  • c. 粉と塩・水を混ぜる
  • d. 生地をよくこねる
  • e. チーメ・ディ・ラーパを3cmくらいの長さに切る
  • f. 生地を楕円形に伸ばし、縦2等分に切る
  • g. ナイフのヘラの部分で平たく伸ばす
  • h. 真ん中の部分を指の先にのせてくぼみをつける
  • i. 形成した生地を転がしておく
  • j. ペーコンをこんがり炒める
  • k. 野菜を茹でる
  • l. 湯切りをする

お料理ポイント

「ナイフを使ってオレキエッテをつくるのが難しい場合には、指でくぼみをつけてもいいのよ」とアンナ。2本の指先でつぶすようにしてつくる形もあるそうで、地方によって微妙に形が違うし、絡めるソースによっても、形を変化させるそうだ。
「塩気は、パスタをゆでるときの塩と、ベーコンの塩気のみだけど、もっと欲しい人は、ベーコンと一緒にアンチョビを炒めて、パスタにかけてもおいしいのよ。私はちょっと塩分控えめが好きだけどね」とアドバイスをくれた。