お料理説明・背景
「リゾットもいいけど、この時期のポルチーニ茸は絶対にフライがおいしいわ」というアンナマリア。「まだこの時期はフレッシュで肉厚。採ってから時間が経つと柔らかくなってしまうから、フライにするなら、固さがある今の時期が一番!」
ヴェネツィアの反対側、イストリア半島出身の彼女。11歳のときに第二次世界大戦が終わり、ナポリに家族で引き揚げてくる。そこで、ナポリ人のご主人に出会い、彼の仕事の関係で、1967年からトリノに住む。「人間、どこで生まれたかは知っているけど、どこで死ぬかは知らないものよ」と笑う。
「イストリアにいたのは小さい頃だから、母が作ってくれた料理は覚えているけど、ナポリに越してからは、母もナポリの料理を習って、家ではナポリ料理だった。そのあと、トリノに越してきてから、お友達のピエモンテの人にトリノのお料理を教えてもらった」と話す。
確かに、彼女の料理は、北イタリアのキノコ料理やポレンタから南イタリアの魚介料理まで本当にメニューが豊富。たくさんの家族に囲まれて、週末には必ず、彼女が腕をふるってみんなを喜ばせている。
息子さんが日本人の女性と結婚しているので、彼女から「海苔巻き」の作り方も教わったと話すアンナマリア。「いろいろなところを転々としてきたから、その土地の食材などを使って作る料理を習うのが大好き。お寿司だって、ちゃんと作り方を習えば、できるものだわ。」
家族に言わせると毎回、どんな料理が出てくるか楽しみだとか。料理をする彼女のとなりで、仲良しのご主人がアシスタントのように動いている。50年以上一緒にいるという一卵性双生児のようなご夫婦。「味も調理の仕方も彼のアドバイスが欠かせないの」と嬉しそう。そばで、ご主人が固くなったパンをチーズ削りで細かく削ってパン粉にしている。
「毎日いろいろなメニューがいっぱい頭に浮かんで、何を作ろうかなかなか決まらないの。」そういうときには、家の下にある市場に出かけて、季節の野菜を見に行くと思いつくらしい。今回も屋台にたくさん並んでいるポルチーニ茸を見たら、とたんに肉厚フライを作りたくなったという。
ついでにポルチーニ茸のタイオリーニパスタも作ってしまった。
「今度は、ナポリの料理を作ってあげるわ」愛がいっぱいあふれるお料理。次回も楽しみだ。
1995年よりピエモンテ州在住。日本とイタリア、そしてヨーロッパとの架け橋となるべく様々なジャンルのPR活動などに携わる。
作り方
作り方
- ポルチーニ茸をきれいにするために、まずは軸に泥がついている部分をそぎ落とし、その後、キッチンペーパーを水で濡らし、丁寧に汚れなどをぬぐう。 (写真a 参照)
- ポルチーニの傘の部分と軸の部分を離し、傘の部分は横に、軸の部分は縦に、1cm幅の厚さにスライスしていく。 (写真b,c 参照)
- 小麦粉、卵、パン粉を用意。卵はよく混ぜ、塩を加えておく。パン粉は、固くなったパンを削る。細かいパン粉なのがポイント。2のポルチーニ茸に、小麦粉、卵、パン粉をまぶす。 (写真d,e 参照)
- フライパンに油を入れて熱し、温まったら揚げる。片面をよく揚げてからひっくり返す。 (写真f 参照)
- 最後に塩を振って出来上がり。 (写真g 参照)