オーストリアとの国境から50kmほど南下したところに、
ボルツァーノの町がある。
ここは、第一次世界大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国領だったため、
人も町並みもオーストリアやドイツ寄りで、イタリアにいるとは思えない。
1907年創業のサン・ミケーレ・アッピアーノ社(以下S.M.アッピアーノ社)は
ボルツァーノから南西に10kmの距離に位置し、
約350軒の農家からなる醸造共同組合として運営している。
「この地方では伝統的に個々の所有する畑が広くても2~3ヘクタールを超えることは珍しく、1ヘクタールに満たないことも多い。
だから古くから我々のように協同組合が運営するワイナリーが多いんだよ。」
こう説明するのは、ガンベロ・ロッソ誌(イタリアワインガイド本)で
ー世界のエノロゴ(醸造家)トップ10ーに選ばれたこともある、
醸造責任者のハンス・テルツァーさんだ。
「S.M.アッピアーノ社は2000年のガンベロ・ロッソ誌で、光栄なことにイタリアの最優秀ワイナリーに選ばれたんだ。
よく、農家が集まった協同組合なのになぜ?と考える人がいるが、我々はただの農家の寄せ集めではない。」
ボルツァーノ生まれのハンスさんは気さくな一面も持っているが、
典型的なイタリア人のように大きな身ぶり手ぶりを使ったり冗談を交えたりはせず、真面目に落ち着いた口調で話す。
「”La qualita’ non conosce compromessi”(直訳:品質は妥協を知らない)というモットーを常に念頭に置き、
高品質なワインを造るために一切の妥協を許さないようにしているんだ。
同じことを私は一軒一軒の農家についても求め続けている。
通常は、農家としてはより多くのブドウを収穫したほうが多く稼げるので品質を気にせず大量に実をつけさせようとするが、
これでは当然良いブドウはできない。私はそれぞれの畑に合った品種、栽培方法を教えた上で、
さらに収量制限をしてもらうようにしている。そうすることで一房ごとのブドウの質が高まる。
こうしてできた良いブドウは通常の購入価格よりも高く買い取るようにしていて、
最高品質のものには2倍以上支払うこともあるんだ。
これは長年の信頼関係があってこそできることだ。」
静かな語り口だが、
ハンスさんのワインに対する熱い想いがひしひしと伝わってくる。
彼の醸造哲学の集大成が、トップレンジの“サンクト・ヴァレンティン”シリーズだ。
世界中にその熱烈なファンがいて、特にソーヴィニョン・ブランの評価が高く、
実際に17年連続でトレ・ビッキエーリ(ガンベロ・ロッソ誌の最高評価)を取り続けている。
「どれだけ需要があっても、世界中のワイン愛好家の手に我々のワインが行き渡るようにしたい。
だから組合員一丸となって、総面積380ヘクタールにも及ぶ畑で高品質のブドウを大量に作り、
生産本数がどれだけ多くなっても素晴らしいワインが造れるように努力し続けているんだ。」
350軒という大所帯にもかかわらず、各農家がただブドウ栽培をするのではなく、
最高のブドウを作ろうと努力する。
これはまさにハンスさんの“妥協を知らない”ひたむきな姿勢と熱意の賜物だろう。
ボルツァーノの町がある。
ここは、第一次世界大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国領だったため、
人も町並みもオーストリアやドイツ寄りで、イタリアにいるとは思えない。
1907年創業のサン・ミケーレ・アッピアーノ社(以下S.M.アッピアーノ社)は
ボルツァーノから南西に10kmの距離に位置し、
約350軒の農家からなる醸造共同組合として運営している。
「この地方では伝統的に個々の所有する畑が広くても2~3ヘクタールを超えることは珍しく、1ヘクタールに満たないことも多い。
だから古くから我々のように協同組合が運営するワイナリーが多いんだよ。」
こう説明するのは、ガンベロ・ロッソ誌(イタリアワインガイド本)で
ー世界のエノロゴ(醸造家)トップ10ーに選ばれたこともある、
醸造責任者のハンス・テルツァーさんだ。
「S.M.アッピアーノ社は2000年のガンベロ・ロッソ誌で、光栄なことにイタリアの最優秀ワイナリーに選ばれたんだ。
よく、農家が集まった協同組合なのになぜ?と考える人がいるが、我々はただの農家の寄せ集めではない。」
ボルツァーノ生まれのハンスさんは気さくな一面も持っているが、
典型的なイタリア人のように大きな身ぶり手ぶりを使ったり冗談を交えたりはせず、真面目に落ち着いた口調で話す。
「”La qualita’ non conosce compromessi”(直訳:品質は妥協を知らない)というモットーを常に念頭に置き、
高品質なワインを造るために一切の妥協を許さないようにしているんだ。
同じことを私は一軒一軒の農家についても求め続けている。
通常は、農家としてはより多くのブドウを収穫したほうが多く稼げるので品質を気にせず大量に実をつけさせようとするが、
これでは当然良いブドウはできない。私はそれぞれの畑に合った品種、栽培方法を教えた上で、
さらに収量制限をしてもらうようにしている。そうすることで一房ごとのブドウの質が高まる。
こうしてできた良いブドウは通常の購入価格よりも高く買い取るようにしていて、
最高品質のものには2倍以上支払うこともあるんだ。
これは長年の信頼関係があってこそできることだ。」
静かな語り口だが、
ハンスさんのワインに対する熱い想いがひしひしと伝わってくる。
彼の醸造哲学の集大成が、トップレンジの“サンクト・ヴァレンティン”シリーズだ。
世界中にその熱烈なファンがいて、特にソーヴィニョン・ブランの評価が高く、
実際に17年連続でトレ・ビッキエーリ(ガンベロ・ロッソ誌の最高評価)を取り続けている。
「どれだけ需要があっても、世界中のワイン愛好家の手に我々のワインが行き渡るようにしたい。
だから組合員一丸となって、総面積380ヘクタールにも及ぶ畑で高品質のブドウを大量に作り、
生産本数がどれだけ多くなっても素晴らしいワインが造れるように努力し続けているんだ。」
350軒という大所帯にもかかわらず、各農家がただブドウ栽培をするのではなく、
最高のブドウを作ろうと努力する。
これはまさにハンスさんの“妥協を知らない”ひたむきな姿勢と熱意の賜物だろう。