お料理説明・背景
イタリア料理の材料に欠かせないトマト。南イタリアではトマトのない食卓は考えられないほど基本的な野菜。夏になると青空市場ではたくさんの路地物の野菜が出回るが、夏の主役はやっぱりトマトで、種類の多さに驚く。
中でもカンパーニア州の代表的なトマトは、パスタソースに欠かせない、サンマルツァーノ種、ダッテリー二種、サラダに大きな肉厚のソレンティーノ、最近人気を博しているヴェスヴィオ種など、多様なトマトが手に入る。「今日はソースだからサンマルツァーノ、モッツァレッラに合わせてソレンティーノ」など、マンマたちはそれぞれのトマトを料理ごとに使い分けるのは当たり前。
8月を過ぎるころ、完熟したサンマルツァーノが出始める。ドライトマトを作ったり、保存用のソースを作ったり、昔はバカンス先の別荘などのあちこちで見かけた”夏の風物詩”といえる南イタリアの保存トマトソース作りも、今では簡単に安く手に入るので、ソース作りをする家庭も減ってきたとか?
そんな、季節限定で、はち切れんばかりに真っ赤に熟れたトマトを普通のフライパンでの調理法ではなく、オーブンで焼いてパスタと和えるという珍しい料理。マンマは南チレントで教わったそう。材料が至ってシンプルなところにがいかにもチレントの料理らしく、旬のものを上手に使う農民料理といってよいだろう。
また、写真は新しいVesuvio種だが、お馴染みのサンマルツァーノ種は、1996年という早い段階からEUのDOP認証を受けており、ナポリには1770年ごろにペルーより寄贈された。通常は支柱を立てて垂直栽培がおこなわれる。特徴は種が少なく、肉厚で、甘酸っぱく、主に缶詰として加工されることが多い。サンマルツァーノDOPは、カンパーニア州のアグロ・サルネーゼ、ノチェリーノなど、一部の地域で栽培されたもので、収穫祭やフェスティバルを行う農園も多い。
イタリアの家庭料理に憧れ渡伊。Firenzeでの短期留学を経て1997年よりナポリ在住。日本での情報誌編集制作勤務経験を活かし、2021年に著者本”ナポリとアマルフィ海岸周辺へ”をイカロス出版より発売。TV・雑誌のコーディネート、日本企業向けのテクニカルビジット通訳、など多数を手がける。 1995年より南イタリア情報サイトPiazzaItalia設立。ナポリにてマンマに習うナポリの家庭料理教室なども主宰。
作り方
下ごしらえ
- ニンニクとバジリコはあらかじめみじん切りにしておく。(写真a 参照)
作り方
- ホイル容器にオリーヴオイルを底が見えなくなるくらい注ぐ。(約25~50cc天板による)(写真b 参照)
- 良くあらったサンマルツァーノトマトは乾かし、半分にカットし、格子目状に切り目を入れておく。(写真c 参照)
- ホイル容器に3を並べる。(写真d 参照)
- トマトの上に、軽くオリーヴオイルをかける。※スプレー式でなくてもOKですが、ごく軽めにかける感じで。(写真e 参照)
- トマトの上に少しきつめに塩を振る。(写真f 参照)
- トマトの上にみじん切りにしたニンニクを加え、次にバジリコを載せる。※この際、にんにくとバジリコを上に載せるのではなく、格子目状に押し込んで入れる形で。(写真g 参照)
- 再度、トマトの上に、オリーヴオイルをかける。※5の時よりも多めに一つ一つの上にきちんとかける感じで(約60~70cc)。(写真h 参照)
- 180度のオーブンで約1時間半。※オーブンの大きさによって違うのですが、最初の一時間を下段で焼き、残りの30分を上段に移動して焼きました。表面が少しカリっとする感じが理想的。(写真i 参照)
- パスタをゆで始め、ざるでお湯切りをする。(写真j 参照)
- ゆでたパスタを天板に注ぎ、ベイクドトマトをつぶしながらパスタと和えていく。※フォークの背でベイクドトマトをつぶし、パスタの隙間に絡める感じ。(写真k 参照)
- お皿に盛り付け、出来上がり。※バジリコで飾り付けると美しい。(写真l 参照)