お料理説明・背景
カンパーニア、プーリア、シチリア、カラブリアと、南イタリアでは柑橘栽培が盛んだ。ポンペイ遺跡では、レモンの木が壁に描かれた邸宅もあるほど、昔から栽培されてきた。
カンパーニア州で言えば、アマルフィとソレントのレモンはどちらもIGP称号を得ていて生産量は多くないが、昔ながらの方法で限られた狭い土地で作られている。また、プロチダ島で作られるレモンはLimone Pane(レモンパン)と呼ばれ、とても大きく、甘い。
一般的にレモンはジャム用というよりは、皮を使った香り豊かな食後酒のリモンチェッロに使われることが多い。少しこすっただけで、部屋中に飛散するぐらい力強く、爽やかな香りだ。
少し郊外の家庭なら庭には必ずといっていいほどレモンの木があり、手入れもしていないようなのに、冬の間にたわわに実がついている光景をよく見かける。それぐらい馴染み深い食材なのだ。レモンは皮だけでなく、無駄なく使われる。果汁は調理に使われることが多く、綿の部分をサラダとして食べたり、レモンを使ったリゾットやスパゲッティ、ドルチェのバリエーションも豊富だ。
今回は、マンマ・マリレーナのオリジナルレシピのレモンのスパゲッティ。料理好きなマンマがトレンティーノの友人と電話で話しているときにひらめいたレシピで、南にしては珍しくバターを使う。えっ?バター?と思いきや、クリーミーだけど、重たくなく、こってりもしていない。さすがレモンパワーだ。皮をメインで使うので、無農薬で皮厚めの種類のレモンを使う事が好ましい。
レポート:祝 美也子(Iwai.Miyako)
イタリアの家庭料理に憧れ渡伊。Firenzeでの短期留学を経て1997年よりナポリ在住。日本での情報誌編集制作勤務経験を活かし、2021年に著者本”ナポリとアマルフィ海岸周辺へ”をイカロス出版より発売。TV・雑誌のコーディネート、日本企業向けのテクニカルビジット通訳、など多数を手がける。 1995年より南イタリア情報サイトPiazzaItalia設立。ナポリにてマンマに習うナポリの家庭料理教室なども主宰。
イタリアの家庭料理に憧れ渡伊。Firenzeでの短期留学を経て1997年よりナポリ在住。日本での情報誌編集制作勤務経験を活かし、2021年に著者本”ナポリとアマルフィ海岸周辺へ”をイカロス出版より発売。TV・雑誌のコーディネート、日本企業向けのテクニカルビジット通訳、など多数を手がける。 1995年より南イタリア情報サイトPiazzaItalia設立。ナポリにてマンマに習うナポリの家庭料理教室なども主宰。
作り方
下ごしらえ
- レモンを洗いデコレーション用に細切りにそぎ落とした皮を用意。道具などがなく、うまく細切りにできない場合、すりがねで削る。(写真a,b 参照)
- 最後にレモン半個分の果汁を絞る(約5cc)。(写真c 参照)
作り方
- 220CCのお湯にブロード半分(5g)を入れて溶かし、ブロード液を作る。(写真d 参照)
- 小鍋に弱火でバターを溶かす。※焦がさないように必ず弱火で溶かす。(写真e 参照)
- バターが溶けて、泡が出てきたら、火からいったんおろす。(写真f 参照)
- ベシャメルソースを作る要領で、小麦粉をふるいにかけながら数回に分け、少しづつバターに入れて素早く混ぜる。※ダマにならないように火から降ろし行う。よく混ぜて小麦粉を完全に溶かす。(写真g 参照)
- 小麦粉にも火が通るよう小鍋を再び弱火で混ぜながら加熱し、2~3分加熱したら、ブロード液を少しずつ加えていく。※とろみがあまりにも強すぎる場合、お湯を足して、ソースをゆったりさせる。(写真h 参照)
- ソースに、レモン大1個分の皮を削っていれる。削る際は白い部分を入れないように、表皮の黄色い分だけ削るようにする。(写真i 参照)
- レモン果汁を加えて混ぜる。(写真j 参照)
- 砂糖を加える混ぜ火を止める。(写真k 参照)
- 出来上がりソースのクリーム感は写真ような感じ。※冷めるともったりとダマっぽくなるが、そのままでOK。(写真l 参照)
- パスタをゆで始め、ゆで上げる少し前に先ほどのレモンソースを弱火で温めなおし、パスタのゆで汁を加えて滑らかにする(様子を見て50cc程度とろみが強ければそれ以上)。※パスタをゆでる際、塩は通常の半量程度でゆでる(ティースプーン1.5ぐらい)。(写真m 参照)
- ゆであがったら、お湯を捨てる前に、コップ一杯のゆで汁をキープしてから排水し、ゆでたスパゲッティを、鍋に戻し、先ほど用意したソースを投入し、一気に混ぜる。この際、だまになるようであれば、キープしておいたパスタのゆで汁を入れて、少しのばして滑らかにする。(写真n 参照)
- お皿に盛り付け、飾りつけに細長く削ったレモンを載せて出来上がり。