VENTO 伝統的アマローネの名門、Bertani。

Amarone e fuocoバローロ、バルバレスコ、ブルネッロと同様、その確固たる地位を築き上げたアマローネ。

ブドウの収穫後に長期間の陰干し期間を経てから醸造工程に入るという、独特のスタイルで作られるワインである。

そのアマローネの伝統的な造り手の代表格がこのBertaniだ。

1857年創業という150年を超える長い歴史はBertani兄弟のワインへの情熱から始まった。



1850年、当時まだ甘口ワインが主流だったイタリアからフランスに渡り、グイヨー農学博士(グイヨー仕立ての名前の元になった)に師事し、より良いブドウを作るための畑作りを学んだ。そしてイタリアに戻るとすぐにBertaniを立ち上げ、1860年には現在も造り続けている“セッコ・ベルターニ”をリリースした。

当時のイタリアでは珍しく国外に向けて輸出し始めたBertaniは、世界にイタリアワインの品質の高さを証明する“シンボル”として、サヴォイア王家から王家の勲章をワインボトルに使用して良いという許可を得た。

Cristian Ridolfi in cantina「Bertani兄弟の頃から続く我々のこだわりは全て自社畑のブドウを使うことで、アマローネ用のブドウを植えているヴァルポリチェッラ・クラッシコ地区に65haもの畑を所有しているんだ。」Bertaniエノロゴ(醸造家)のクリスティアンさんはそう語る。

「アマローネ用のブドウで大事な点は、収穫時期と、いかにブドウを丁寧に扱い傷つけないようにするかだ。」物静かで寡黙な雰囲気とは裏腹に、ワインのことを熱く語り出すと止まらない。

「収穫時期を遅らせれば果実味や甘み、ボリューム感が強くなるが、酸が弱くなり飲み疲れするワインになってしまう。そして長期熟成にも向かなくなってしまうんだ。」

確かに1960年代の彼らのアマローネを飲むと、驚くほど若々しい酸が感じられ、全体のバランスを保っている。

陰干ししたブドウ「「ブドウを健全な状態で収穫するのももちろん大事だが、陰干し用の部屋に移してスノコの上に並べるところまでとにかく一房一房丁寧に扱う必要がある。まさに赤ん坊を扱うようにね。少しでも傷がつくとそこから腐ってしまうんだ。」

風通しの良い屋根裏部屋に一歩足を踏み入れると、陰干し中のブドウの香りが鼻腔いっぱいに広がる。見渡す限りのブドウの山、まさに圧巻だ。

「ここで4ヶ月間かけてゆっくりと水分を飛ばすのだが、その間も毎日ブドウの様子をチェックし、不良果実は取り除く。しっかり見分けないといけないから経験も必要だし、結構疲れる作業なんだよ。」

彼らは熟成にもこだわりを持っている。

Bertani「アマローネDOCGの法定熟成期間は2年だが、我々は6年間じっくりと大樽で寝かせ、さらに1年間瓶内熟成を経てから販売を開始する。」

このアマローネは、手間暇をかけて最高のブドウから最高のワインを造ろうという哲学と情熱が実を結んだものだ。
クリスティアンさんと同じような熱い気持ちを持った人たちがいれば、Bertani兄弟の哲学はきっと守られ続けるはずだ。