お料理説明・背景
ボローニャの街をあらわす言葉として、可愛らしく韻を踏んだ3つの単語「La Dotta(ラ・ドッタ)、La Rossa(ラ・ロッサ)、La Grassa(ラ・グラッサ)」が知られている。
1つ目の「La Dotta」は「学者や専門家」を意味し、ヨーロッパ最古の総合大学が1088年に設立されたことに由来する。ボローニャ大学の卒業生には「神曲」を書いたダンテ・アリギエーリや、「地動説」を唱えたニコラウス・コペルニクスなども名を連ねる。
2つ目の「La Rossa」は、ボローニャ旧市街の屋根の色を表す「赤」のこと。ボローニャを訪れる機会があれば、街の南の丘にあるサン・ミケーレ・イン・ボスコ(San Michele in Bosco)まで是非足を伸ばしてみて! 中世に造られた煉瓦屋根の美しい「赤い街」が一望できる。
そして、3つ目の「La Grassa」は「あぶらっこい」や「でっぷりした」という意味で、この地方の豊かな食文化を表す言葉である。ボローニャ近郊には、豚肉から作られた生ハムやサラミ、モルタデッラなど美味しいものが溢れており、イタリアの中でも美食の街として知られている。
そんなボローニャの郷土料理の中でも「一番パンチがある一品!」という人が多いのが、今回ご紹介する「ボローニャ風カツレツ(Cotoletta alla bolognese)」だ。
ボローニャの商工会議所に登録されているオリジナルレシピでは、子牛肉を使っているが、ボローニャ郷土料理の大家、アレッサンドラ・スピズニ(Alessandra Spisni)さんのレシピでは豚ロースが使用されている。今回、お料理を作ってくれたリアも、子牛肉ではなく、豚ロースで作る派。その理由を聞いてみたら「豚の方が、香りがいいから」と。また「ミラノのカツレツは肉を叩いて薄く伸ばすけど、ボローニャのカツレツは叩く必要はないの。そのままで柔らかく仕上がるから!」「それから、古典的なレシピではカツを揚げる際にラードを使うけど、最近の人たちにとってラードは油っぽすぎるから、あまり使う人はいないわ」。言葉が時とともに変化するように、郷土料理のレシピも時代と共に変わっていくものだ。
実際、出来上がりを味見してみたら、リアが作ってくれたボローニャ風カツレツは、とても柔らかく、ギトギトした油っぽさもなし! これからは、リアのレシピで作ること確定!
エミリア=ロマーニャ州、ボローニャ在住。オリーブオイル国家鑑定士&イタリア政府認定旅行添乗員。日米の大学を卒業後、大手外資系企業にて経営コンサルタントとして勤務。その後、2006年に渡伊。現在は、異文化間プロジェクトディレクターとして、イタリアやアルバニアを中心に活動。ビジネス通訳や観光支援のみならず、大使館・省庁・地方自治体主催の食文化交流イベントコーディネートや、各種視察コーディネート(大学研究視察、レッジョ・エミリア・アプローチといった幼児教育視察など)、世界と日本をつなぐお手伝いをしている。男の子2人のマンマ。自分を3語で表すなら「食いしん坊」「楽天家」「晴れ女」
作り方
下ごしらえ
- パルメザンチーズを削ぎ切りにする。(写真a 参照)
作り方
- 卵を割り、料理用生クリーム(大3)を加え、ナツメグを少々削りいれるたら、塩をひとつまみ加える。(写真b,c 参照)
- (1)をしっかりと混ぜる。(写真d 参照)
- クッキングシートを準備し、その上にきめの細かいタイプのパン粉を広げ、パン粉を肉全体にまぶす。(写真e 参照)
- 卵液に肉をつけ、もう一度パン粉を肉全体にまぶす。この時、クッキングシートの両端をつかんで、ゆりかごの中の赤ちゃんを揺らすように肉を揺らすと、肉の側面にも綺麗にパン粉がつく。(写真f 参照)
- もう一度、全体にパン粉をかぶせたら、そのままパン粉の上にしばらく肉を置いておく。こうすることによって、肉とパン粉がしっかりとくっつく。(写真g 参照)
- フライパンの底が隠れるくらいに、サラダ油をしき温まったら(5)の衣をつけたお肉を入れる(揚げ焼きするような分量)。(写真h 参照)
- 片面が黄金色になるまで焼いたら、もう片面も黄金色になるまでしっかりと焼く。(写真i 参照)
- 肉に生ハム、パルメザンチーズ、生クリーム(大4)をのせ、ブロード(チキンスープ)をフライパン全体に行き渡るまで入れ(今回は肉2枚に対して100m程度)、約2分ほど蓋をして煮込む。(写真j 参照)
- ブロードが茶色く色づいたら煮込み完了。(写真k 参照)
- 肉を皿に盛り付け、フライパンの肉汁をカツレツにかけて完成。(写真l 参照)